転生先生、嘯く   作:あまいろ+

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撃ち出す拳、相性と実力

今は深く考えることなく、ただ敵を倒すための事だけを考える。

 

突然陰から出てきたユスティナ信徒。

 

おまけに何か知らない、でっかい砲身を持ったでっかい奴まで出てきた。

 

ニカイアガスメット連合団との戦いで、もうこちらに戦える子は少ない。

 

だからと言って私たちがここのポイントから引く理由にはならない。

 

ここは要、ここは最終防衛ライン。

 

ここを突破されたらどこが勝ってようが私たちが負けてしまう。

 

それにまた逃げたら、今度こそ私は先生との約束を守れなくなる。

 

幸いツルギ先輩との特訓で成長したおかげか、奴ら一人一人は問題ない。

 

だけど、

 

『………』

 

あのデカ物…、なんでさっきから動かないの…?

 

突然あのデカ物が現れるとあいつは、大量のユスティナ信徒に戦闘を任せるようにして、戦いには参加しなかった。

 

ただこうして戦っている最中もあのデカ物からの視線を感じる。

 

もしかして私たちを観察しているの?

 

動かないデカ物を気にしてもしょうがない…。動かないならユスティナ信徒の方に集中できる。

 

なおも迫りくるユスティナ信徒に対して、私は1発2発と確実に打ち込んでいく。

 

「コ…コハルちゃん!」

 

仲間の正実の子から呼びかけられ、そちらに目を移すとユスティナ信徒に囲まれて身動きが出来なくなってる子が2人。

 

「今助けるわ!」

 

私はピンチに陥っている2人に対して銃から手を離し、セイなる手榴弾を投げた。

 

が、その時。私が手榴弾を投げたのを見計らった様に、あのデカ物が動き出し、その砲身を私に向けた。

 

「しまっ…!?」

 

砲身から放たれる掃射の様な銃撃。

 

手榴弾を投げた瞬間の私は、その掃射をまともに食らってしまう。

 

「コハルちゃん!!」

 

銃撃を食らい、その勢いで地面に転がる私に向かって、先ほど私の手榴弾で助かった2人が駆け寄ってくる。

 

「来ないで!!」

 

しかし、私はその2人を大きな声で制した。

 

「私よりも周りの奴らを倒して!少しでも数を……!」

 

きっとみんなではあいつには敵わない。

 

それに、私も痛みで動けない。

 

それなら…私よりも……。

 

あのデカ物は動けない私に狙いを済ませる様に向かってくる。

 

先生…。いっぱい頑張ったんだけどな…。

 

私にはやっぱり無理だったのかな…。

 

なおも向かってくるデカ物は、私のすぐ近くまで近づくと、無機質に砲身を私に向けた。

 

「……っ!!………せんせい!!」

 

私は放たれるであろう銃撃に、覚悟して目をつぶる。

 

「目を開けてコハルちゃん。目を閉じるのはまだ早いよ☆」

 

ドゴシャァ!

 

フワフワする声ととものすごい轟音で目を開けると、目の前には飛ばされたデカ物。

 

そして、

 

「そうそう!その目だよコハルちゃん!…お待たせ、守ってくれてありがとね」

 

ミカ様の姿だった。

 

 

▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼

 

 

「スズミ!閃光弾!」

 

「はい!投擲します!」

 

「カヨコ!パニックブリンガー!」

 

「わかった…!けど恥ずかしいからスキル名で言わないで」

 

トリニティ大通り。押し寄せるユスティナ信徒を、カヨコやスズミ、放課後スイーツ団と共に迎撃していく。

 

「ボス!全然減らないんだけど!?」

 

「そんなこと言っても私のせいじゃないんだけど…」

 

「この感じはどっちだろうね…。増える量が決まっているのか、なにか大本でもいるのか」

 

ここの私のいるポイントは戦力が集中していたため、何とか戦況は拮抗しているが。

 

私も生徒を守りながらだといかんせん、実力を最大まで発揮できない。

 

「あ!ボス!?」

 

「どうしたアイリ?」

 

アイリが大きな声で私に呼びかけ指をさすと、その先では倒れたはずのニカイアガスメット連合団の傘下であった不良たちが、見つからないように逃げ出そうとしていた。

 

「あたしたちは関係ねぇ!こんなところにいられるか!」

 

私たちが気付くとそう言って不良たちは逃走する。

 

「なんか事件現場で最初に死にそうな台詞で逃げやがって…。みんな!今は構っている場合じゃない!まずはユスティナ信徒を!」

 

ここで戦力を割く分けにはいかない。

 

しょうがないが不良たちは放っておくと決めたその時、遠くから車両がこちらに向かってくる音が聞こえた。

 

後ろを見ると、猛スピードでこちらに走ってくる車両の影。

 

その車両の存在は逃走していた不良たちにも見えてたようで、向かってくる車両に気付くとなぜか不良たちは足を止め始めた。

 

 

「おい…嘘だろ……」

 

「いや間違いない…あの車、いやあの戦車は…!?」

 

「まさかあのクルセイダー戦車は!?」

 

向かってくるクルセイダー戦車はあっという間に逃げ出す不良たちの前に到着すると、ドリフトをかましながら停車する。

 

突然現れた畏怖の存在に、不良たちも息を飲んで固まった。

 

車体の上に乗っていたガスマスクを被った銀髪の少女が周りを警戒しOKだ、と合図をする。

 

すると搭乗口がゆっくりと開き、中から紙袋を被った人物が現れた。

 

「あはは…ごきげんようみなさん」

 

その姿を見て、

 

モモフレンズのコラボカフェで店員に難癖をつけ店に迷惑を掛けた不良は思い出した。その場で鎮圧され、店の前で磔にされたことを。

 

モモフレンズの商品を取り扱った店に強盗に入った不良は思い出した。引きずりまわされ屋上から逆さ吊りにされたことを。

 

モモフレンズのグッズを高額転売していた不良は思い出した。今目の前にあるクルセイダー戦車で、組織が蹂躙され壊滅したことを。

 

不良たちは思い出した。この裏社会には逆らってはいけない、伝説の存在がいるということを。絶対の恐怖を!!

 

「ふぁ…ふぁうすとは…引退したってきいたぞ…!いまさらあんたの言うことなんて聞けるか……!」

 

「おいっ…バカ!やめろ!!」

 

恐怖に駆られながらも抵抗する1人の不良が、命知らずにも嚙みつく。

 

噛みついた不良の声をファウストが聞くと、コンコンと車体を叩き、内部の者と話し始めた。

 

「イロハさん、聞こえますか?」

 

「はい。聞こえますが」

 

「撃ってください」

 

「え?」

 

「聞こえませんでしたか?撃ってください」

 

「いえ、聞こえてましたが…。相手は生身の生徒なのですが…」

 

「撃ちなさい」

 

戦車の砲身が徐々に動き、さっき噛みついた不良生徒に向けられる。

 

「い…いや…。やめっ…!」

 

「おい!急いでコイツから離れろ!!」

 

ダァンッ!!!

 

放たれる榴弾。

 

当然、先ほどの不良は着弾と共に声も出さずに沈んだ。

 

「私がいない間に随分好き勝手していたようですね?」

 

もう不良たちは、すでに散った仲間の姿を見ている。

 

当然逆らう気力など残ってるはずもなく、不良たちはただ震えることしかできなかった。

 

「あはは…楽しかった時間は終わり。………跪きなさい」

 

 

『わあぁぁぁぁぁ!!!』

 

クルセイダー戦車が到着し、中から誰か現れ不良たちと何か話してると思ってたら、突然後ろから雄たけびを上げながら、不良たちがユスティナ信徒達に突撃していった。

 

「なに!?なに!?」

 

「何が起こってるんですか!?」

 

私たちが現状に戸惑っていると、後ろから赤モフが現れる。

 

「イロハ!」

 

「ごきげんようアイ。ありがたいことにみなさん、戦闘に協力してくれるそうですよ」

 

「助かるけどみんな自爆特攻みたいな顔で突っ込んで行ってんだけど…」

 

「まぁ彼女らはあの程度の処置で助かったとありがたがるでしょう。それよりもアイ」

 

そう言うと、イロハは何かを思うように空をあおいだ。

 

「…トリニティの将来は明るいですね」

 

「本当に何があったの?」

 

「アイさん!」

 

「あ、やっぱりあの戦車ヒフミだったんだ」

 

「はい!よく気付きましたね?」

 

「まぁなんとなくね。それにしてもよく不良たちが協力してくれたね?」

 

「誠意をもって、お話したらみなさん快く協力してくれましたよ!」

 

 

▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼

 

 

私はバルバラを殴り、コハルちゃんとの間に立つ。

 

「ミカ様……」

 

コハルちゃんは訳が分からないような目をしていたが私は微笑んだ。

 

「よく頑張ったねコハルちゃん。大丈夫、応援も連れてきたから☆」

 

『トリニティのスーパースターここに参上!!!』

 

ここに向かっている間に、迷ってたらしいから連れてきたけど、もう向こうでドンパチやってるや。

 

ユスティナ信徒の方はしばらく任せても大丈夫そうかな。

 

「コハルちゃんは休んでて。ここから先は私の出番だよ」

 

そう。その目だ。先生と同じ目。自分の進む道を決めた目。

 

あはは…やっぱり、この目は眩しいなぁ…。

 

んーん。今はそれどころじゃない。

 

あのバルバラって奴を倒さないと。

 

私がバルバラに目を向けると、さっき殴り飛ばした奴はもう立ち上がろうとして体制を整えようとしている。

 

タタタッ!

 

私は追撃とばかりにバルバラに銃弾を撃ち込んだ。

 

しかし撃ち込まれたバルバラはよろめきこそしたが、よろめいただけでまるでダメージがないように立ち上がる。

 

「わーお☆最初の1撃で思ったけど貴方相当頑丈じゃんね」

 

銃撃だからといっても私の銃の銃撃。

 

こんなよろめくだけで、平気なはずないんだけど。

 

ただ頑丈なだけ…?

 

そう考えているとバルバラは私に向かって掃射の構えを取る。

 

「……ここにいたらまずいか。コハルちゃん」

 

「はい?…わぷっ!?」

 

私はコハルちゃんを片手で持ち上げ、道の端に投げた。

 

ちょっと雑だけどここにいると危ないしね☆

 

私は流石に回避する時間はなかったので、掃射の餌食になってしまったけど、ちょっと痛いぐらいでそこまで問題ない。

 

「ミカ様!?」

 

「大丈夫大丈夫☆こんなのかすり傷だよ」

 

アリウスでのダメージとおんなじくらい。

 

だけどアリウスでのバルバラ、あんなに硬くなかったんだけどなぁ。

 

進んで掃射は食らいたくないので何とか避けながら、掃射の合間に私も撃ってみる。

 

……うん、やっぱり。手ごたえはあるけどなんかおかしい。

 

「ならもっと近くで…!」

 

私にはボスのような速さはない。

 

なので、迫りくる弾丸の雨をまっすぐに突き進む。

 

銃弾が当たりながらも、バルバラに近づき、

 

「せーの!」

 

マガジンの弾を出し切るように全弾の弾を撃ち尽くした。

 

バルバラは2歩3歩と後ろによろめくが、こんだけ撃っても致命的なダメージにはならないようだ。

 

それどころか銃身を振り回し、こちらに反撃を行ってくる。

 

避けようとするも、私の腕に攻撃が当たり、持っていた銃がはじき飛ばされた。

 

「いたた…あっやば…」

 

「ミカ様!!」

 

流石のピンチに戸惑うと、視界の端から飛んでくる手榴弾が見える。

 

その手榴弾にバルバラが気付くと、振り回す攻撃を止め、私と思い切り距離をとった。

 

そのせいか手榴弾はバルバラに当たらず、私の近くで爆発する。

 

「きゃっ!?……なーんだ回復だったんだ」

 

「すいませんミカ様!」

 

「ぜんぜん!ありがとうコハルちゃん!」

 

 

下江コハルは考える。

 

なんであのデカ物は、今の私の手榴弾を回避したの…?

 

ミカ様の攻撃を避ける様子もなかった…。

 

ミカ様が突っ込んでくるとわかっても、その場にとどまり続けた。

 

そういえば最初もそうだった。

 

あのデカ物が現れるとあいつは、最初動かなかった。

 

………私を警戒していた?

 

いやありえない。例え私を警戒してもミカ様を警戒しない理由にはならない。

 

ならなんで…。

 

『わーお☆最初の1撃で思ったけど貴方相当頑丈じゃんね』

 

私の攻撃が効いて、ミカ様の攻撃が効かない…。

 

いや…そんなまさか……!

 

 

「ミカ様!!そいつは!!」

 

「なに!?コハルちゃん!?」

 

「そいつは…軽装備です!!」

 

ドガァッ!!!

 

コハルちゃんの声を聞いた私は、飛ばされた銃を拾おうとした手を止め、代わりにバルバラの横っ面に拳を叩き込む。

 

「なーんだ、そうゆうこと☆」

 

私の攻撃タイプは貫通。アリウスの戦いでのこいつは特殊装甲だったから、今回もそう思っちゃった。

 

トリニティに攻め込むってことは私かツルギちゃん対策で改造でもしたのかな?相手が軽装備なら私と相性悪いかもね!

 

今の攻撃もひるむだけで、あまり通ってないっぽいし。

 

「ミカ様!やはり私も戦います!」

 

「大丈夫。そこで私の本気を見ていて…」

 

私はひるんだバルバラに向かって、1発、2発、3発とどんどん拳をその身体に撃ち込んでいく。

 

ダンッ!

 

「軽装備?トリニティの対策?なめられたものだね。こんな小細工で私に勝てるとでも思ったの?」

 

ダンッダンッダンッ!!

 

『………!!』

 

今まで回避も防御もしなかったバルバラは、次第に状況を理解し始めたのかなんとか抵抗しようとして、その砲身で反撃してくる。

 

「貴方の軽装備?相性不利?」

 

ダンッダンッダンッダンッダンッ!!

 

「私は相性不利なんてちゃちなものを吹き飛ばす女!!」

 

ダンッダンッダンッダンッダンッダンッダンッダンッ!!!

 

「真正面からの殴り合い…!しかもミカ様のあの攻撃…、1発1発が全部ミカ様の攻撃力1540%分の攻撃……!!

 

「貴方がどんな相手でも!沈むまでこの手を止めなきゃいいだけじゃんねっ!!!」

 

ダンッダンッダンッダンッダンッダンッダンッダンッダンッダンッ!!!

 

『……ッ!?……ッ!?』

 

「あのデカ物の身体が崩れて…!!」

 

「やっと底が見えたね☆だったらさっさと退場しなよ!!」

 

ダアァァン!!

 

私は最後にとどめとばかりに、バルバラを殴り飛ばす。

 

私の連打で、限界だったのか身体は次第に崩れ、バルバラは最後に塵となって消えた。

 

バルバラを倒したおかげか、周りのユスティナ信徒も音もなく塵になり始め、数秒経った頃には跡形もなく消えていった。

 

私は、勝利を実感すると、いまだバルバラの攻撃で動けないコハルちゃんへと駆け寄る。

 

「ミカ様…大丈夫ですか!?」

 

「コハルちゃん。あはは、本気を出したのは久しぶりだったからね…。ビナーだったら2,3で済んだけど、思わず100発以上撃ち込んじゃったよ☆」

 

 

▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼

 

 

トリニティの倒壊した校舎。

 

私は自分が壊した校舎を散歩するように、歩き回る。

 

私がバルバラを倒すと、他のポイントでも次々に、ユスティナ信徒が消え始めたらしい。

 

怪我人も多かったけど、誰一人欠けることなく勝利を収めることが出来た。

 

救護騎士団辺りは忙しいだろうけど、今頃みんなで勝どきを上げて喜んでいるだろう。

 

だけど私はそこにいなくていい。

 

今回の事件もそもそもの原因は、私が校舎を壊してトリニティが弱体化したから狙われたんだ。

 

みんなには悪いと思ってるし、それと同時に合わせる顔がないこともわかってる。

 

「本当はコハルちゃんにも会うつもりじゃなかったんだけどなぁ」

 

まったく…。ボスに乗せられてまんまと守りに行っちゃった。

 

バルバラを倒したあの後も、コハルちゃんに何を言えばいいかわからなくて黙ってさっちゃった。コハルちゃん困ってなければいいけど。

 

だけどもういいんだ。最後にコハルちゃんにも会えたし、こうしてトリニティ総合学園を散策出来た。

 

ここを去るには十分だ。

 

ナギちゃんとセイアちゃんには…会えそうにないかな。

 

きっと会ったらまた縋っちゃう。ここにいさせてと、私のそばにいてと。

 

だけどそれは過ぎた願いだ。

 

「あ、やっと見つけた」

 

「……もう、なんでこんな時に来るのかな」

 

「なぁに。黄昏てる女の子に声を掛けるのは優しさだろう?」

 

「それ余計なお世話とも言うんだよ。デリカシーないって言われない、ボス?」

 

「不思議なことに凄い言われる。本当に不思議」

 

突然現れたボスは、壊れた校舎をゆうゆうと歩くと、私のすぐそばの瓦礫に腰をおろした。

 

「……ミカはトリニティを去るつもり?」

 

「ふふ…わかっちゃう?」

 

「わかるさ。よく見てるからね」

 

「私ね。嫌われるのが嫌。ちょっと違うかな。私が好きな人に嫌われるのが嫌。ナギちゃんやセイアちゃん。もちろんコハルちゃんも。最近じゃスイーツ団の子たちもそうかな。……そして先生にも」

 

「………」

 

「ボス。……いや、先生、なんでしょ?」

 

「流石にわかっちゃった?」

 

「あそこまでヒント出されちゃったらね。…ねぇ先生。先生は私のこと嫌い?」

 

「嫌いじゃないよ」

 

「ふふ…好きって言ってくれないんだ?…いじわる。でもみんなはどうかわからない。私ね?ナギちゃんとセイアちゃんに本気で嫌いって言われたら、それこそ生きていく事が出来ないと思うんだ」

 

「だから何も言わずに行くの?」

 

「うん。止めないでね先生」

 

「止めないよ、ミカが決めたことならね。……………そういえば」

 

「………」

 

「私が何でミカを探してたか伝えてなかったね?」

 

「それ、関係ある?」

 

「ミカに伝言を伝えてってお願いだったからね。いやぁ雑務はやっぱり末端に回ってくるんだね」

 

「はぁ…?」

 

「『ロールケーキ作って待ってますので早く来てください』だって」

 

「……!?」

 

「それと『今回は私も手伝ったよ。反省の意味を込めて太く甘くしておいた』だそうだよ」

 

「あはは…なにそれ…。絶対お仕置き確定じゃん」

 

もう無理だった。私のお友達の言葉に涙がこぼれてくる。

 

「これじゃ決意が揺らいじゃうじゃん……!」

 

なんでこんなダメな私に、いつも……!

 

「私また戻れるかなぁ…!」

 

「それは…どうだろうね?流石に2回目だしね。でも…それでもミカのそばにいてくれると思うよ」

 

「ナギちゃん…セイアちゃん……!」

 

「それとねミカ」

 

先生は私に近寄ると、手を伸ばし私の涙を拭ってくれる。

 

「ミカはダメな子なんかじゃないよ」

 

それは私が言われたかった言葉。

 

聞きたかった言葉を聞いた私は、子供のように泣きじゃくるのだった。

 

 

▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼

 

 

「ミカ。あなたクビです」

 

「アイちゃん…話が違うんだけど…」

 

救護騎士団のVIP室。豪華な部屋で待っていたナギちゃんは、私達を見るなりそう言った。

 

親指で首を勝っ切るようなジェスチャーを添えてだ。

 

「ナギサ。もうちょっと説明しないとゴリ…ミカには理解できないよ」

 

「セイアちゃんも結構だよ?…いや私が悪いんだから何言われても受け入れるけど」

 

「ナギサ説明をお願いしたいんだけど…」

 

「申し訳ありません。こんな見苦しいところを…。貴女がヒフミさんの言っていたアイさんですね。この度はうちのミカさんがほんっっっっっとうにご迷惑をおかけしました」

 

「まぁ…そうだね!!」

 

「もういいよ…みんな好きに言えばいいじゃん……」

 

「もちろん言いますとも。ですが先ほどは言葉足らずでしたね。つまりミカさん。貴女にはしばらくの間、トリニティから離れていてほしいのです」

 

「やっぱり…それってクビ、だよね?」

 

「いえ、離れて欲しいとは言いましたが、広い意味で言えば姿を隠してほしいということです」

 

「その通り。これから私たちはどこかのお姫様がやらかしたことの後始末で手一杯なんだ。校舎の立て直しはヒフミが何とかしてくれたが、ここからは私たちの出番。まぁいつものような隠蔽工作とでも言おうか」

 

「セイアちゃんそれって…」

 

「はい。今回の事件の後始末。カバーストーリーの作成。関係者への口止め。色々とやるためにはミカさんの存在が、邪魔なんですよ」

 

「ナギちゃん、でも…それって大丈夫なの…?」

 

「ふふミカさんは面白いことを言いますね」

 

ナギちゃんは、ベッドから起き上がり、笑顔で私に近づいてくると、

 

「大丈夫な分けないでしょミカ!!!」

 

「痛い痛い痛いーーー!?」

 

後ろに回り込みコブラツイストをきめた。

 

「どれだけのお金と人員が必要になるかわかってるんですか貴女は!?」

 

「なんでみんな私にプロレス技掛けるの!?最近流行ってるの!?」

 

「ほほう?楽しそうだね?3カウントでも数えるかい?」

 

「そんなのいいから助けて!?」

 

その後私はナギちゃんの気が済むまでプロレス技を掛けられた。

 

「はぁ…はぁ…。とにかくそういう理由です。わかりましたねミカさん」

 

「……身体が悲鳴を上げるように痛いけどわかった」

 

「ふぅ。そしてアイさん」

 

「あ、はい」

 

「貴女、今様々な学園を周っているようで」

 

「そうだね。ちょっと諸事情があってね」

 

「理由は深く聞きません。できればでいいのですが、ミカさんをお願いしてもよろしいでしょうか?」

 

「え!?」

 

「わぁ。だから私も呼ばれたのね」

 

「はい。放課後スイーツ団を乗っ取り、ミカさんの手綱を握っていた貴女にこそ頼みたいのです」

 

「まぁ……いいかぁ」

 

「本当にいいのですか…?」

 

「いいよ」

 

「絶対に暴走しますよ?」

 

「……うん」

 

「絶対に他校に迷惑を掛けると思うが大丈夫かい?」

 

「任せたいの?任せたくないの?どっち?」

 

「いえ…お任せしたいのですが…。それほどミカさんは取り扱い注意というか…」

 

「どちらかと言えば猛獣注意というところだが」

 

「本当に散々いうじゃん」

 

「ミカの事はよく知ってるから大丈夫だよ。それよりもミカはいいの?」

 

「え!?あの…その…お願いします…」

 

 

▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼

 

 

「というわけで、明日からミカがパーティにミカが加わるから」

 

「…………………………はぁ」

 

場所はトリニティ。放課後スイーツ部の部室。

 

私は本日頑張ってくれた放課後スイーツ部とミカ、そしてイロハを呼んで打ち上げを行っていた。

 

テーブルには所狭しと並べられたスイーツ。

 

そしてナギサからの差し入れの紅茶。

 

そして冷たい目でこちらを見るイロハ。

 

「長い間があったなぁ!?」

 

「いえ、アイが決めたならそれでいいのですが」

 

「貴女がイロハちゃん?よろしくね!」

 

「はい。よろしくお願いしますね」

 

「ほら!イロハ!コーラがあるぞぅ!」

 

「ありがとうございます。デリカシーのないアイ」

 

「なんか怒ってるじゃん!?」

 

「貴女が女心をわからないから怒ってるんですよ」

 

私が必死でイロハを宥めていると、部室の扉が開いた。

 

「ごめん遅くなった」

 

「カヨコ!ヘルプ!」

 

「なに…?どうしたの?」

 

「イロハにさっき女心がわかってないって言われて…」

 

「うん。私もそう思う」

 

「あれ?味方がいない感じ?」

 

「それで?イロハは何を怒ってるの?」

 

「いえ、カヨコさんには関係ないことですが…。ただ明日から私たちの同行者が一人増えるだけです」

 

「あぁ…そうなの。」

 

「ええ。それだけです」

 

「じゃあ私と一緒だね」

 

「は?」

 

 

打ち上げが終わった私はフラフラになりながらトリニティ総合学園を歩く。

 

どうやらカヨコ。溜まっていた有休をアルに出したらしい。

 

案の定、いつもの顔でなんですってーー!?と言っていたらしいが、社員が育っていること、やりたいことがあることを説明するとすんなり許可が降りたらしい。

 

そこまでされたら私も許可を出さざる負えないわけで。

 

その後の打ち上げでの私のポジションは、ひたすらイロハのご機嫌とりだったのは言うまでもない。

 

明日からイロハとの2人旅から4人旅の始まりである。

 

大変だがなんだか楽しそうだ。

 

私は顔が緩みそうなのを抑えると、人目のつかないトリニティの体育館裏にやって来た。

 

そこには、

 

「クックックッ…。お待ちしてましたよ先生」

 

笑みを浮かべる黒服。

 

そんな黒服を私は、

 

「オラァ!!」

 

殴り飛ばした。

 

殴った勢いで地面にヘッドスライディングした黒服に、たたみかけるように腕ひしぎ十字固めをきめてやる。

 

「なんだテメェ!いきなりユスティナ信徒が出てきてんだけど!?きちんと鍵付きの金庫でも買って管理しとけやぁ!!」

 

「クックックッ…痛いです。痛いですよクックックッ…先生!」

 

「こっちは生徒に被害出てんだよ!!謝罪は形で示せオラァン!!」

 

「クックックッ…先生。本当に折れてしまいます。ギブです」

 

「なーにがクックックッ…、だ!不気味な笑い方しやがってからに!だからこの作品の評価で、なんで黒服がいっつもクックックッ…って言ってんの?って評価されんだろテメェ!!」

 

「クックックッ…それは本当に私のせいじゃないです」

 

 

「クックックッ…。まったく先生は容赦ない」

 

「あぁその笑い方まだ続けるんだ」

 

「アイデンティティですから…。ええそれよりも先生、説明しますとも」

 

黒服は服を払うと、こちらに話を続けてくる。

 

こいつも結構頑丈だな。

 

「ユスティナ信徒の出現、原因は我々の落ち度なので恥ずかしくあまり言いたくはないのですが…」

 

「はよいえ」

 

「クックックッ…。では端的に…。我々ゲマトリアの知識、そして成果が何ものかに盗まれました」

 




転生先生、嘯く 15話目
ついに次回トリニティの編完結。新しい仲間を引き連れミレニアムへ…
拙き作品ですがよろしくお願いします
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