「クックックッ…。では端的に…。我々ゲマトリアの知識、そして成果が何者かに盗まれました」
「なに?慈愛の怪盗でも現れた?」
「クックックッ…。彼女はここ最近活動はしていませんね」
黒服は不敵に笑いながら、語りかける。
「我々ゲマトリア…、と言ってももうすでに解体済みですが、先生を生き返らせる手段の手がかりを探して以前のアジトを訪ねてみたところ、何者かに荒らされた形跡がありましてね」
「ちゃんとヴァルキューレに連絡した?ついでに犯人と共にお前も捕まってこい」
「クックックッ…。相変わらず手厳しいですね先生。それで荒らされた箇所なのですが、今回のユスティナ聖徒会、デカグラマトン、それとマエストロの作品の資料も盗まれていました」
「盗まれすぎじゃない?防犯どうなってんの?」
「クックックッ…。お恥ずかしい限りです。なにぶん我々にとっては貴重なものですが、知見が無い者にとってはゴミ同然。多少セキュリティが甘かったのを認めざるをえません」
「なんか面倒なことになって来たな…」
「それと今回の騒動を起こした隊長と呼ばれる生徒ですが…」
「あぁそうだ。正実の報告では気付いたらいなくなってたんだっけ?」
「いなくなったでも違っていませんが、彼女はバルバラを倒した瞬間に消えたのですよ」
「消えた?」
「ええ。彼女の正体は、改造されたユスティナ信徒。今回のバルバラ同様、盗まれた技術で作られた存在ということです。バルバラを倒したら他のユスティナ信徒が消えたように、その時に一緒になって消えたのでしょう」
「命を作り出す…か…」
「ところで先生。ゲヘナ、トリニティときて、お次はどちらに行かれる予定ですか?」
「え…?次は、そうだなぁ。ミレニアムかな?」
「クックックッ…。そうですか」
「なに?助言でもしてくれんの?」
「クックックッ…。では1つだけ。ミレニアムではあまり先生の情報を出さない方がいいでしょう」
▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼
翌朝、トリニティ正門前。
ミレニアムへ出発する為、正門に集合すると、以前ゲヘナで見送られたように、ヒフミとハナコ、放課後スイーツ団、ティーパーティーが見送りに来てくれた。
「アイさん、イロハさん!今回はありがとうございました!」
「本当にトリニティの危機を救っていただきありがとうございます」
「なにかあったらまた来るといい。その時はぜひ力になろう」
「こっちこそ協力してくれてありがとうね。ヒフミ、ナギサ、セクシー」
「ミカさんもこう言ってはなんですが、楽しんできてください。帰ってきたら馬車馬の様に働いて貰いますからね」
「くれぐれも迷惑を掛けないようにな」
「も~わかってるってば」
「アイちゃん…、行ってしまうんですね」
「ハナコ。そうだねやることもあるしね」
「…また噴水前でお話を聞いてもらえますか?」
「その時は土産話をたくさん用意しておくよ」
「ふふふ…その時を楽しみにして待ってますね♡」
『ボス』
「放課後スイーツ団のみんなも来てくれたんだね」
「私たちのボスだからね!見送りぐらいはするわよ!」
「なんだかんだで世話になったしね」
「新たなる旅立ちに見送りは必要不可欠なんだよ」
「それに渡したい物もありますし!」
「渡したい物?」
そうアイリが言うと、持っていた銃を私に渡してくる。
「はいボス!ボスの持っていた銃が壊れてしまったので、こちらをさしあげます!」
「でもこれってアイリの銃じゃ?」
アイリがくれたのは、チョコミントのアクセサリーがついたサブマシンガン。爽やかチョコミントだった。
「アイリの銃がボスが使ってた銃種と一番近かったからね。私たちからの餞別よ」
「みんな…。うん、ありがとう。大事にするよ!」
「アイリの銃なんだからね?壊さないでよね!?」
「なに?貰っていいの?ダメなの?」
「カズサちゃん……」
「カズサは最後まで抵抗してたからね…。だけど持って行ってくれ。助けになると思うから」
「ははは…。ありがたく受け取っておくよ」
私はアイリから爽やかチョコミントを受け取る。
「ではボス!」
『行ってらっしゃい!』
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トリニティのみんなと別れ、ミレニアムに向かうため電車に揺られる。
ゲヘナでは私1人、トリニティではイロハと2人、これからはカヨコとミカも加わり4人。
大所帯になってきたがこれはこれで楽しくなりそうだ。
そんなこれからの旅に思いを募らせている時のこと。
「というかゲヘナ率高くない?」
と、突然ミカが話を振ってきた。
「え?」
「だってイロハちゃんも、カヨコちゃんもゲヘナでしょ?先生は学園に所属してないし。トリニティって私だけじゃん☆」
「なに…?ゲヘナ差別?」
「まぁゲヘナの生徒ならばそう思われるのも、避けられないことでしょうが」
「ミカはやっぱりゲヘナのこと苦手?」
「昔より苦手意識はないんだけど…。やっぱりさ…、いいイメージがあんまりなくて。ゲヘナとは色々あったからさ」
「ミカの思っていることはわかるけど、2人はそうじゃないよ。それにミカ。初対面の人を悪く言うのは感心しないな」
ミカの言いたいこともわかる。それにミカはトリニティのトップの人材だ。
他の生徒よりもゲヘナ間でのいざこざに巻き込まれたのだろう。
巻き起こした立場でもあるが…。
それでも、ほとんど初対面の人に言うことではない。
なので友達だろうが仲間だろうがいけないことはちゃんとたしなめる。
「う…。ごめん先生。2人ともごめんね」
「いいけど」
「私も平気です。私もゲヘナではそこそこの立場にいますからね。ミカさんの言いたいこともわかりますよ」
「ミカも突然知らない人に嫌なこと言われたら嫌でしょ?」
「うん…」
「突然知らない人に魔女とかゴリラとか言われたら嫌でしょ?」
「嫌だけどなんでディティール深めてきたの?」
「突然知らない人にトリニティの殺戮ブルドーザーとか伝説のポケモンミカギガスとか言われたら嫌でしょ?」
「わかったからごめんって!?私が悪かったから止めて!?とゆうか私陰でそんな事言われてたの?なら素直に魔女って言われてたほうがまだいいんだけど!?」
「では我々の絆を深めるため、1つゲームでもしますか」
イロハもミカの事が多少なりとも気になるのか、ポン、と手を叩き提案する。
「ゲーム?」
「ええそうです。そうですね…この場で出来るとなれば。古今東西とかどうでしょうか?」
「暇つぶしにはいいかもね」
「私もいいよ☆」
「懐かしいね古今東西。私も昔結構やったよ」
「では最初のお題は提案者の私から。古今東西…」
「イエーイ」「イエーイ☆」「いえー」
「先生の嫌なところ」パンパン
「待って?」
「どうしました先生?まだ始まっていませんよ」
「え?これ私も参加するの?」
「先生。トリニティとかこれまでで疲れたでしょ?ミレニアムについたら起こしてあげるからそれまで寝ててもいいよ」
「ありがとうカヨコ、やさしいね。でも今その優しさはいらない」
「では改めて古今東西…」
「イエーイ☆」「いえー」
「先生の嫌なところ」
パンパン
「デリカシーがない」
パンパン
「職務質問されがち」
パンパン
「ゲームにすぐ課金しちゃう☆」
パンパン
「女の子をすぐ口説く」
パンパン
「釣った魚に餌をやらない」
パンパン
「ここぞってとこで距離を取る☆」
パンパン
「ここまで聞いておいてなんだけど、よく君たち私についてこようとしたね?」
ちなみにミレニアムについて電車から降りたミカが言ったのは、
「私あの2人と仲良くなれそう!」
だった。
よかったね。このやろう。
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電車での古今東西によって結束力が深まった(私を除く)我々は、早速ミレニアムサイエンススクールに向かうための道のりを歩き出す。
「そういえば、ですが。今回ミレニアムではアポは必要ないと言っていましたが、なにかあてがあるんですか?」
「そうだね。トリニティでセクシーから手紙を貰ってね」
『アイ。これからミレニアムに行くのだろう?ならこれを持って行ってくれ。C&Cの部長にこれを持って行けば話を聞いてくれるはずさ』
「ってね」
「確かにセイアちゃんミレニアムに行ってたからね。そこでのコネなのかな」
そんなこんなで特にいざこざもなく無事に、ミレニアムサイエンススクール前まで来れたのだが。
「みんな気付いてる…?」
『?』
「今私たちがここまで歩いてきたけど、なんと……」
私は不思議そうな顔をしながら、皆を見渡す。
「なんと…街も学園も変化ないんだよ…」
「………それが普通なんだよ先生」
「いやいや、カヨコ。街や人も特に変わってないし、特にこれまで絡まれてないし、学校も崩れていないんだよ」
「先生が巡ってきた前2校が異常すぎたんですよ。これが通常です」
「……そうなのか」
犯罪撲滅活動で街並みと人が以前と180°変化したゲヘナ。校舎が瓦解し不良のオンパレードになってしまったトリニティ。
この二つを周ってきたせいか、他の学校も同じ感じなのかと思っていたがどうやら違うらしい。
改めてミレニアム学園を観察しても、以前の記憶と遜色ない景観が広がっている。
黒服がいうには大小はあれど、周ったところを除いてミレニアム、アドビス、百鬼夜行に行ってみた方がいいと言っていた。
なのでここも何かしらの問題を抱えていると思うのだが。
といってもここで考えても仕方ないため、ミレニアムを調べるため私たちはミレニアムに入る。
「それで早速どこ行くの?もうC&Cに行っちゃう?」
「んー?それも大事だけど、その前に解決しておきたいことがあるんだよなぁ」
「解決しておきたいこと?」
「うん。電車で言ってたことなんだけどさ。みんなと違って私は今学園に所属してないんだよ。今後も怪しまれるのは減らしておきたいんだよね」
「まさか…ミレニアムに入学するのですか?」
「入学…そうだね。だけど今から試験は受けられない。入学するには時期は違うし、編入するにもそんな時間はない」
「じゃあどうするの!?先生だからコネはあるんだろうけど今正体隠してるんだよね!?」
「裏口入学をします」
「流石だね先生。で、作戦は?」
「カヨコさん?」「カヨコちゃん!?」
ギヴォトスきってのアウトロー集団の一員、鬼方カヨコ。
こうゆう時にノリがいいの本当に好き。
「生徒に片棒を担がせるわけにはいけないからね。私一人でやるけど…作戦は」
私は作戦を伝えるために、その場でクルッと一回転する。
私の回転に合わせ、長い銀髪と派手な法被も同時に宙を舞う。
「どお?」
「どお…とは?」
「私、可愛いでしょ?」
「確かに可愛いけどさ…」
「加えて今の私の身長は150㎝と小柄。そして可愛く喋れば……これは妹属性と言っていいのでは?」
「先生大丈夫?ミネ団長呼ぶ?」
「No thank you。作戦はこうだ。私が妹になって、セミナーの会計の妹になる」
「セミナー?セミナーの会計って確か…」
「カヨコの思っている人だよ。早瀬ユウカ、一緒にウトナピシュティムに乗ったよね」
「あの人か…」
「でもなんでその人の妹になると入学できるの?」
「正確には妹ってより可愛い小柄な女の子であることが大事なんだけど、それはユウカが………いや、本人の名誉のために黙っておこう」
「いえ、もう作戦の時点で彼女の性癖が、あらかた予想がついてしまったのですが…」
「ん…?あ、先生あれって」
私の作戦説明の間に、カヨコが何かを見つけ私に教えてくれる。
その先には件の人物。
ツーサイドの青い髪。きっちりと着こなした制服。そしてブルアカを代表する太もも。
早瀬ユウカだ!!
「目標は幸いなことに一人!まさに好機!じゃぁ行ってきます!…ユウカおねえちゃーーん!!!」
私は彼女を大きな声で手を大げさに振りながら、子供のように駆け出した。
数刻。
「まぁざっとこんなもんよ」
私のスーパー妹プレイによって得た戦果。
ミレニアムの学生証が私の手に握られていた。
「もうこの学園も終わりですね」
・
・
・
「うう…とんでもないことをしてしまったわ」
ミレニアムで最近起きている事件の調査をしていると、私に突然妹が出来た。
うん。私も何を言っているのかはわからない。
だけど気付けばヴェリタスに依頼して妹の学生証を作っていたし、依頼している最中も抱きしめられながら、「ユウカおねえちゃんは凄いんだね」「いっつもセミナーのお仕事頑張ってるんだ!」と言われながら、頭を撫でられていた私はとてつもない多好感に支配されていたと自分でも思う。
おかげで日々の疲れなんか完璧に吹き飛んだし、何徹でも行けるほどにやる気にみなぎっている。
「でもとんでもないことしちゃったかも……」
元気は有り余っているが、やってしまったことの後悔で肩を落としながら歩いていると、
「あら、どうしたのユウカ」
後ろから声を掛けられた。
後ろを振り返るとよく知った人物。
セミナーの先輩、今回の偽造…としての先輩でもあるけど、ある日ふらりと帰ってきた我らの生徒会長。
「なにかあったなら話聞くわよ」
「……リオ会長」
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一口メモアカ
アイ
キヴォトスで転生した元先生。
生前生徒と関わることで、色々なことを習得している。
本気を出すことによって、ハイパー妹タイムを繰り出すことが出来る。
棗イロハ
旅のお供1号。
今回は、アポ、調整、指揮の補助など秘書のような業務を行う。
先生との2人旅だと思っていたが、急に人数が増えたため、打ち上げの時はお局のように先生を責めた。
先生のことはしっとり好き。
聖園ミカ
旅のお供2号。
と同時に今回事件を起こした人物。
いつもは流せる言葉も、先生の死によるメンタル崩壊でプッツンしてしまい、衝動で校舎を破壊した。
先生が女の子になったことに戸惑いはあるが、同性になって話しやすくなって嬉しい。
先生のことはやっぱり好き。
鬼方カヨコ
旅のお供3号。
彼女に目をつけられた者はもう逃げられない。
あらゆる手を使ってでも追いつめられるだろう。
先生とCatに強い。
先生のことはじっとり好き。
鷲見セリナ
隠れ旅のお供1号。
奴はお前をいつも見ているぞ。
阿慈谷ヒフミ
ナギサの体調不良で代わりにトリニティの生徒会を任される。
意外にも本人の優しさ、ハナコの政策、アズサの戦闘と各要人からは評判がいい。
裏でも表でも無意識にカリスマを発揮するタイプ。
浦和ハナコ
トリニティには失望しているが、ヒフミの為ならと補佐を務める。
噴水の前で誰かを待つ姿は少女そのもの。
本当は旅に同行したかったが、頻繁に先生にモモトークを送りつけることによって満足する。
白洲アズサ
今回出番が極端に少なかった子。ごめんね。
役職はティーパーティーの護衛隊長。
下江コハル
異例の成長を果たした人物。
成長した姿を先生と補習授業部に嘆かれる。
実力はイチカ以下だが正義実現委員会では上澄みの実力。
ちなみにエッチなものはエリートになるまで我慢しているだけで卒業したわけではない。
正義実現委員会のみなさん
先生の死後、ギスギスしていたが、コハルの努力の姿を見て立ち直る。
みんなコハルのこと好きすぎじゃんね。
桐藤ナギサ
体調不良から、ヒフミに一旦ティーパーティを任せ入院する。
復帰してからは、ヒフミとセイアと協力してティーパーティーを運営していく。
入院中はカフェイン中毒とも診断されたため、紅茶をしばらく飲めないでいる。
百合園セイア
コードネームは『セクシー』。敵組織に単身で潜入し、情報を盗む。
ヤバくなるとすぐに相棒のヤンキーを他校から呼ぶため、その度にブチギレられる。
そしてナギサは彼女が潜入していることを知らない。
美甘ネル
優しく頼れる可愛いヤンキー。自分の学校も大変なのに、呼ばれると律儀に来てくれる。そしてキレる。
今回は、捕まったセイアを助ける、ツルギと共闘、周辺の雑魚を掃討と、やることが盛りだくさんだった。
杏山カズサ
先生の死後、自暴自棄になって暴れてたところ、ミカと出会う。
その後、スイーツ部と共に放課後スイーツ団を発足。
同じ不良と喧嘩したり賞金首を倒したりしていて、基本一般人には手を出さないようにしている。
今回の事件後、また放課後スイーツ部に戻る。
カヨコには勝てない。
栗村アイリ
放課後スイーツ団の一員。
活動は結構楽しい。
先生の壊れた武器の代わりに、自分の武器を渡した。
主力武器は金属バット。
伊原木ヨシミ
放課後スイーツ団の一員。
君、ワイルドハントのレナと似すぎてない?
柚鳥ナツ
放課後スイーツ団の一員。
先生に2度飛ばされる。
少しトラウマになった。
守月スズミ
仲間にいれたかった。
宇沢レイサ
今回バルバラ戦で少し登場。
カズサが不良になったことに寝込み、トリニティに戻ったことでも寝込んだ。
陸八魔アル
便利屋68の社長。人の脳を焼くことに定評がある。
あと最近あるって打つと自然にアルって文字変換されるので地味にやめて欲しい。
浅黄ムツキ
便利屋68の室長。気に入ったお客さんにアルちゃんエピソードを語ることでアル教を増やしていく。
メガネっ子が好き。
伊草ハルカ
社員が多くなっていたことで、係長に昇進。
朝礼でアル様を称える10箇条を唱和させることで、アル教を増やしていく。
アリウススクワッド
先生の死後彷徨っていたところを、アルちゃんに保護される。
大変だけど、やりがいのある仕事に満足している。
転生先生、嘯く 16話目
これにてトリニティ編終幕。ちょっと駆け足で進んでいますが、ミレニアムも駆け足でいきます。
アドビス編が終わったら、全部見直して大編集する予定。
拙き作品ですがよろしくお願いします。