「……どうかな、2人とも?」
「…最高だった。先生がこんなギターを弾けるなんて知らなかったよ」
ある日の貸しスタジオの1室。
私、鬼方カヨコともう1人の生徒は、先生に呼ばれスタジオに集まった。
私たちが来た時にはすでに先生は、白いエレキギターを肩から掛け、ペグをいじり音を調節していた。
先生が楽器を弾いている姿なんて見たことがなく、新鮮な姿に心奪われていると「実はトリニティでバンドを組む生徒がいてさ。私もちょっと弾きたくなったんだ」と話した。
普段の優しい温和な雰囲気とは違い、激しさを前面に出した曲調。
ヘビメタ好きの私も音のボリュームや歪みなんかは、私がよく聞きに行くバンドと同じくらいの満足感を得ていた。
「先生、昔からやってたの?」
「うん。それこそ学生の時には、友達と一緒にこればっかりやってたね。…まぁそのおかげでこれ系の音楽しか弾けないんだけど」
懐かしさを覚えながらも少し遠い目をしながら話す先生。
「でさ、君たちがよければ一緒に弾かない?カヨコと…あの、さっきから喋らないけど大丈夫?」
私は一緒に呼ばれた隣の生徒を見る。
その生徒は手を合わせ目をつぶり動く様子がなかったが、先生の問い掛けではっと目を開き話した。
「ふふっ。すみません。余韻に浸っていました。そうですね…なにか言うのであれば、これはまさしく――『ロック』。そのものでしょう」
▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼
―――♫ッ!!!
ほんと最高だよ先生。前奏が始まった瞬間から即興の速弾き。
前から先生の演奏はそうだったよね。ベースもキーボードもドラムも置いてきぼり。
ギター至上主義の自分勝手な弾き方。でも不思議とみんなを惹きつけるような不思議な演奏。
普段は楽曲全体を支える役割のベース。
だけど先生の演奏はもっと自分らしく弾けと言ってくるようだ。
うん、わかってるよ。……だから私も!!
あはは!
やっぱりご主人様は面白いなぁ。
こんな演奏初めて!
ご主人様といるとやっぱり楽しいことばっかり!
だったら少しでも恩返ししなくちゃね。
私ご主人様に出会えてよかった!
うそうそ!?
しょっぱなからアレンジ!?
こんなロックアレンジ聞いてないけど!?
なんかカヨコちゃんはノリノリでついて行ってるし…。
メイドの子も最初驚いてたけど、今は嬉しそうにドラム叩いてる…。
先生のせいで曲に入り損ねたしどうしよ!?
急いで修正して入り直さないと!?
あ…キーボードの音がずれたから先生がこっち見てる。
どうしよ…どうしよ…。
え…?先生が口パクでなにか言ってる…。
えっと……「こ・の・て・い・ど?」
……へぇ。ちょっとカチンときちゃったなぁ。
いいよ。追いついてあげる。
根性だけなら誰にも負けないんだから!!
ははは!ミカにも火がついたかな?
相手は聞かせることで人を操る、いわば音のプロ。
生半可な曲で対抗するには厳しいだろう。
だったら…最初からフルパワーで、クライマックスで弾き続けるのみ!!
さぁ!私たちの音楽で暴れてる奴の脳をぶっ壊すぞ!!
「さぁ…ぶちかますぜ!!野郎ども!!!」
・
・
・
「おいおい…まるで嵐じゃねぇか!」
「周囲の建物が音圧で揺れていますね…!」
「なんて激しい音なんだ…」
あたしたちが放送機器をぶっ壊している間、リオに聞いた作戦通りMDに対抗すべく屋上から音楽が鳴り始めた。
いや音楽なんて生易しい物じゃない。
例えるなら音の暴力。
こんな時じゃなきゃすぐさま騒音で現場に赴き、強制的に止めるであろう爆音での演奏。
「だけどいいなぁ!!気持ちが上がってくぜ!!」
やっぱりクラシックなんて性に合わねぇ!
あたしたちはこんな激しい音楽を待っていたんだ!
『C&C、聞こえるかしら?』
「あぁん!?なんだよ!?今いい気分なんだ!!手短に言えよ!!」
耳につけた通信機が鳴りリオからの通信が聞こえる。
『わかってるわ。アイたちが作戦を開始したわ。幸いなことに作戦は成功したようね』
あたしがふと周りを見ると、こっちに向かってきていた生徒は、全員頭を抱えうずくまっていた。
『その様子を見るに、これから曲が終わる約3分間はMDの影響を受けた生徒は動けないはずよ。その間に学園の放送機器を壊してちょうだい』
いつものような無茶ぶり。このでけぇ学園にいくつあると思ってんだ。
だけど…なぜか今は。
「はっ、いいぜ!!今ならなんでも出来る気がするからなぁ!!…行くぞお前ら!!」
「はい!」「ああ!」
「ところでリーダー。さきほどからアスナ先輩が見当たらないんだが…?」
「ああ!?あいつこの忙しい時にどこ行きやがったッ!?」
▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼
全員が激しく身体を揺らし演奏は激しさを増していく。
その様子を屋上の端からイロハさんと一緒に見守る。
アイたちの激しい演奏の音は、私の周りの空気を揺らし、私の髪を揺らし、そして私の脳を揺らした。
先ほどリオ会長から連絡があり、作戦は成功。MDにかかった生徒は頭を抱えうずくまって動けないそうだ。
もともとMDは脳に作用する音楽。なのでアイの神秘を込めた演奏が効いているということは、彼女の演奏も少なからず脳に影響するのだろう。
だからなのか…。アイの演奏を間近で聞いている私も影響を受けているのか、さっきから頭の中でピシリ…ピシリ…と何かがひび割れ、崩れるような音が鳴る。
思わず私は空いている手で自分の頭を抑えた。
「あの…大丈夫ですか?」
私の姿を見て手を握ってくれているイロハさんが私に心配の言葉をくれる。
「ええ…大丈夫で…ッ!?」
心配掛けまいと笑顔を作りイロハさんの方へ向く。
しかし私は見えてしまった。
先ほどまで当然だった、私の繋がれた手を。
その時、頭の中の靄は霧散し、完全にひび割れた向こう側には…。
貴方が映った。
▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼
その日は散々な日だった。
朝は家具に服を引っ掛け破け、通学中には銃撃に巻き込まれ、セミナーの業務では言わずもがな。
朝から不幸続き。だけど午後からはシャーレの当番がある。
一緒にいて心地いい人。私を私として見てくれる大人。………私の大事な人。
私はユウカちゃんの気持ちを知っているから、この気持ちは伝えられないけど。
それでも貴方のそばにいたいから。
まだ時間はあったが、私は小走りでシャーレに向かう。
しかし、シャーレに向かう間にも、今日の不幸なことが頭の中で反芻する。
忘れたくても忘れられない。
子供のころから高かった記憶力も、成長するにつれ良いことだけではないのだと実感していた。
今日の出来事。アリスちゃんの事件。そして、赤い空。
目を閉じれば、良いことも悪いことも瞼の裏で鮮明に思い出される。
「……ッ!!」
今のであの時の異常な空を、思い出してしまった私は少し気持ち悪くなってしまい、近くにあった道端のベンチに深く腰掛ける。
何度か深く呼吸した私は、徐々に落ち着きを取り戻していく。
私は忘れられない。解決法はない。今後もこの個性との付き合い方を考えるだけだ。
・
・
・
シャーレに着いた私の顔を見て先生はすぐに、どうしたの?と聞いてきた。
即座に生徒の顔色を理解するなんて流石だなと思いつつも、なんでもないですよと答える。
そんな私の様子を見て本当に?と、訝し気に聞く先生。
最初は言い渋っていた私も、今日の不幸の連続での気の落ち込みもあってか、半分愚痴のように相談してしまった。
忘れたくても忘れられない。
そんなこと先生でもどうにかできるわけないだろうに。
お互い椅子に向かい合って座り、話を聞いた先生はしばらく「んー」と考え込むと、こう言った。
「デートに行こうか」
頭にはてなマークを浮かべた私を他所に、先生は出かける準備をすると私をせかした。
気になっている人からのデートのお誘い。
疑問を抱きながらも、特に断る気はなかったので私も出かける用意をする。
その日は、もう午後であったがそれからは充実した時間だった。
ゲームセンターに行き、休憩でクレープを食べ、その後は私が先生の手を引いてショッピングをして過ごす。
そんな楽しい時間は体感早く過ぎ、気付くと夜になり別れの時間になっていた。
結局このデートは何だったんだろうと思い、先生に聞いてみると隣を歩いていた先生は答えた。
「ノアと楽しい思い出を作りたかったんだよ」
「楽しい思い出、ですか?」
「そうそう。悪い記憶が忘れられないんだったら、良い記憶も忘れられないって事だよね?だから、さ。楽しい記憶をノアといっぱい作りたかったんだよ。悪い記憶を思い出す余裕もないぐらいね」
逆転の発想。目から鱗。でもそんなことより。
ああ。どうして貴方はこんなに私のことを考え、思ってくれるのか。
「……でしたらまだ足りませんよ。ふふ…なのでまた私を連れ出してくださいね?」
「もちろん。次はどこに行こうか?」
「次はユウカちゃんも誘ってみましょう」
私は嬉しさのあまり、ショッピングの時のように先生の手を取り、笑顔で歩き出す。
大人の男性の私よりも大きな手。
「……今気付いたのですが」
「どうしたのノア?」
「私、どうやら先生と手をつなぐのが好きみたいですね。なぜか安心するんです」
「…それは嬉しいね」
「あれ?照れてるんですか先生?…18時12分32秒、先生が私とのデート中に手を褒められ照れた」
「記録しないでぇ…。」
「ふふ…これから、一緒に悪い記憶に負けないぐらい、楽しい思い出を作りましょうね?」
最後に私は約束ですよ?と先生に微笑む。
その後の私は、照れている先生を満足するまで記録した。
『今日午後4時45分。シャーレの先生が戦闘に巻き込まれ、背後から銃撃されました。その後速やかに救護騎士団によって運ばれましたが、意識が戻ることなく18時12分、死亡が確認されました』
毎日フラッシュバックするようにニュースのテロップが脳裏に映し出される。
先生…何でいなくなってしまうんですか。
楽しい記憶を作ってくれるんじゃないんですか。
次の約束も決めたじゃないですか。
先生…せんせい……まだ、ぜんぜんたりませんよ。
▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼
曲調がよりいっそう激しくなり、私ははっと自分の世界から戻される。
どれだけ時間が過ぎたのかわからないが、聞くに曲のラストスパートに近いのだろう。
演奏をする皆さんも激しさを増し、必死で、それでいて全員楽しそうに音をかき鳴らしていた。
特に今回の作戦の要であるアイは、体中から青い火花のようなものを発しながら満面の笑顔でギターをかき鳴らしている。
そんな彼女の姿を見て、私の目から涙がとめどなくこぼれる。
全てを思い出した私はあの人が先生なのだと理解した。
安心感を覚える声が。
私を思う笑顔が。
ずっとつないでくれた温かい手が。
貴方が先生だと私に告げてくれる。
……そこにいたんですね、先生。
ラストスパートを迎え演奏も最高潮。
ついに各々が全力を出し切り、演奏が終了する。
演奏していたみなさんは、まるで長距離を走ったかのように疲弊し、汗だくで肩で息をしている。
その様子をしばらく見ていたが、アイは私の視線に気付くとニッとこちらに笑顔を向ける。
「先生…!」
思わず感情が抑えきれなくなった私は先生の下へ向かおうと走り出す。
しかしその時。
演奏を流していたスピーカーが急に光だし、屋上が爆発した。
▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼
白い天井、白いシーツ。
薬品の匂いが香るミレニアムの保健室。
私とカヨコとミカは、超大型スピーカーの爆発によって保健室のベッドのお世話になっていた。
「ウタハ先輩から連絡です。君の神秘は流しすぎると壊れると言っただろう。話を聞いてなかったのかい?だそうです」
「ええ、耳が痛いですね。…でもあの場では最適解だったから」
「そうだったのでしょうけど…無理をしすぎですよアイちゃん。ですがそのおかげで無事にC&Cは全ての放送設備を破壊し、被害を食い止めることができました。ありがとうございますアイちゃん」
私が寝ているベッドの傍らでは、ノアが座っていて屋上の爆破後の事件のその後を話してくれる。
私は気にしないでっと言って少し笑い、話を流すとお互い無言になってしまい少し重たい空気が流れた。
気まずいというよりは単に会話が途切れただけ。
何か話題を、と思いノアの方を見てみると。
「………ッ!!」
聡明で美しい彼女は、唇を噛みながら涙を流していた。
「ノア!?ちょっとどこか痛い!?爆発に巻き込まれた!?」
「…違います!私怒っているんですからね先生!!」
「あ、思い出したんだねノア」
「そんなことはどうでもいいんです!!」
えぇ…どうでもはよくないと思う…。
感情が高まったのか、ノアはボロボロと涙を流しながら、私の腕を力いっぱい掴む。
「私とたくさん思い出作るって言ってたじゃないですか!?なのになんで死んでしまうんですか!?そんなに私とお出かけしたくないんですか!?」
「そんなことない!?そんなことないよノア!?」
「私、怖かったんですからね!?先生との楽しかった記憶が、どんどん辛い記憶に変わっていって…!このままでは先生のことを嫌いになってしまうんじゃないかって!!」
「ごめんってノア!?」
私は普段の冷静なノアからは考えられない、自分の気持ちをむきだしにした彼女に圧倒され、謝ることしかできない。
「本当に!本当に!……本当に、怖かったんですから」
「……うん、ごめんねノア」
私はいまだ流れる彼女の涙を拭おうと、ノアの目元に手を近づける。
しかしその手はノアの目元に行く前に、彼女の手によって捕まってしまった。
「約束してください」
「約束?」
「そうです。約束を破る悪い先生には酷な事だと思いますが」
「凄いチクチク刺すじゃん…」
「あたりまえです。では小指を出してください」
私は彼女に促され、差し出されたノアの小指に自分の指を絡める。
「約束です。今度は勝手に私の傍から……いなく、ならないで……」
縋るように、小さくなっていく彼女の約束にはもちろんこう答える。
「約束するよ」
・
・
・
保健室。
あの後泣き疲れて、私のベッドにもたれて眠ってしまったノアを優しく撫でる。
無理な体制で眠る彼女を、自分のベッドに寝かせてやりたかったが、屋上で神秘を短時間で流しすぎた私は、そんな事も出来ないぐらい身体を動かす事ができなかった。
ベッドで寝ることしかできない私が今出来るのは、ノアを撫でて労いながら、彼女の髪の感触を味わうぐらいだ。
まぁ、それはおいといて…だ。
今は保健室。スピーカーの爆発に巻き込まれた私、カヨコ、ミカはこの保健室で、並んでベッドで寝ている。
つまり例えカーテンで仕切られていても。
そんなカーテンがシャっと開かれ、
「随分と熱いご様子でしたね」
イロハが現れた。カーテンが開かれた向こう側ではカヨコとミカも起きていて、にやにやしながらこちらを見ている。
うん、まぁそりゃぁ聞こえてるよね。
「先生怒られてタジタジになってたね」
「先生可愛かったよ」
「なに2人とも、いくら欲しいの?」
「金銭でどうこうするつもりはありませんが、まったく…どれだけの女の子を誑しこんでいたのですか先生は」
「私が年がら年中女の子を誑しこんでるみたいに言うのやめてよ…」
ちょっと。何でみんな一斉にえ?自覚無いの?みたいな目で見るの?
「はぁ少しはご自分の影響力を考えてください」
「そうかな…?そうかも…」
私がアイとして生まれ変わった日のことを考える。
イロハ、ヒナ、ハナコ、カズサ、コハル、ミカ、アスナ、ノア。
…………………………。
「ねぇみんな」
「なに先生?」
「いや本当に今更なんだけどさ」
「どうしたの先生?」
「もしかして、さ」
「はい?」
「……………私が死んだことって結構ヤバい?」
「よーし!イロハちゃん。1発きついのいれちゃって!!」
「久しぶりに頑張りますよー」
「私今身体動かないんだって!?」
「先生…流石に擁護出来ない…」
「病人だから!?病人に暴力ふるうのかイロ…ぐはぁ!?」
▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼
保健室で1夜を過ごし翌日。
話したいことがあると言われ、リオに呼び出された私はセミナーに赴むいた。
「来たようねアイ。……どうしたの?なぜそんなシナシナになっているのかしら?」
「気にしないで……」
昨日3人から、私が生まれてきてから、かつて類を見ないほどの説教を受けた私は、シナシナしながらリオの近くにあった椅子に腰掛ける。
「早速本題なのだけど、まず昨日の一件にお礼を言うわ。ありがとう」
「それこそ本当に気にしないで」
やったことは1曲演奏しただけ。
下で混乱を収めいたC&Cには負ける。
「それでその際にこちらでも手持ちのパソコンで、放送の逆探知をして見たのだけれど」
「あれ?逆探知ってデータセンターが破壊されて出来ないんじゃなかったっけ?」
「そうよ。だからミレニアムの回線を使わずにしたの。その分10分の1程度まで落ちるのだけれど。ダメもとでやったのよ。そしたらこれ…」
リオが持っていたノートパソコンをこちらに向けると地図が映っており、その地図の1点が赤く表示されていた。
「おぉ!成功したの!?」
「ええ。だけど以前はどんなに試してみても無駄だったのに…。これじゃぁ」
「誘われてるってことかな?」
「その通りよ。それでアイ。貴女、今各地の学園を周っているのよね?」
「周ってるけど…。話したっけ?」
「セイアからの手紙に書かれてたのよ。それでお願いがあるの」
「いいよ。その場所の捜査でしょ?」
「そうよ話が速くて助かるわ。後で地図を送るけれど、場所は……」
『アビドスよ』
・
・
・
「アイちゃん!!!遠くに行ってもお姉ちゃんの事忘れないでね!!!」
「わかったよ…お姉ちゃん…すごく苦しい」
私は全力でユウカに抱きしめられながら答える。
恒例の見送り。
ミレニアムの校門には、ユウカ、ノア、リオ、ネル、アスナ、ウタハが集まってくれた。
「ユウカ!次私も!私もご主人様ギュ~ってする!!」
「どれどれ…なら私もやっておくかな」
「せめて順番で来て!?」
その後もアスナ、ウタハとハグをし、別れを告げた。
「おうアイ!楽しかったぜ!」
「あぁ…ネル。ネルもハグするの?」
「するわけねえだろ!!」
「アイ」
「リオちゃん。リオちゃんもする?」
「いえ…私も遠慮しておくわ。それよりもアイ。アビドスについたらまずは協力者に会ってちょうだい。学校で向こうの生徒に協力しているはずだわ」
「わかったよ」
向こうの協力者か…。
あっちに着いたらまずはその協力者を探さないとな。
「アイ…ちゃん」
「ノア。ノアもハグする?」
「はい」
意外にもバフッと勢いよく抱きついてくるノア。
「先生」
ノアは抱きつくと、周りに聞こえないように私の耳元で小声で話す。
「私も先生と一緒に行きたいのですが…今ミレニアムの仕事で手一杯なので行けそうにありません。なので、全てが終わったら迎えに来てください」
「…これも約束?」
「当然じゃないですか」
彼女はそう言うと笑顔で顔を上げる。
「私…待ってますから!」
その顔は、朝日のように晴れやかな顔だった。
▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼
一口メモアカ
早瀬アイ
キヴォトスで転生した元先生。
今回ミレニアムで学生証を作るにあたり、苗字が早瀬になった。
学生時代からロックを嗜んでいるが、そのせいで音楽系はロックしか出来ない。
そんな彼の神秘を用いた演奏は、味方の状態異常解除・味方に確率でバフ付与・敵に確率でスタンになっている。
棗イロハ
旅のお供1号。
今回バンドを組むにあたり、仲間外れにされ不機嫌になった。
現在ギターの購入を検討している。
聖園ミカ
旅のお供2号。
ミレニアムでは、トリニティにはないエンジニア部の活動に興味津々。
先生の趣味に影響されてかロボット系が結構好き。
鬼方カヨコ
旅のお供3号。
ホテルではじゃんけんで勝利し、先生と一緒に寝た。
先生からの寝心地の評価は5段階中、10。
鷲見セリナ
隠れ旅のお供1号。
今も当然ついてきており、屋上での爆発の際には颯爽と現れ、全員の治療を行った。
当然演奏を見守っていたイロハとノアは引いた。
早瀬ユウカ
突然できた妹に戸惑いながらも、溺愛の様子を見せる。
叶うならずっとお世話してあげたい。
今回の旅に無理やりついて行こうとしたが、リオとノアに止められた。
生塩ノア
セミナー書記。高い記憶力を持つが故、先生に死に深く苛まれた人物。
続くフラッシュバックが辛くなり、自分から暗示による記憶の封印を提案した。
記憶が戻ってからは、先生が迎えに来るまで、外堀を埋める手段を記録する。
調月リオ
合理主義の生徒会長。ただし幼児。
早くケイの身体を作り直してやれ。
美甘ネル
優しく頼れる可愛いヤンキー。
内も外も厄介ごとばかりで、最近はマジでどうにかしてほしい。
一之瀬アスナ
C&Cのメンバー。
先生の死で心神喪失していてもしっかりと任務はこなす。
敵の目にはものすごい冷たい目と、自分にまったく興味がない態度で制圧してくるため別の意味でネル先輩より怖いと噂される。
白石ウタハ
エンジニア部部長。
アイの神秘を解明するためなら解剖も辞さない。
ゲーム開発部
ミレニアムが危なく、さらに、絶対に落とせない大型案件が入った為、多くあるリオのセーフハウスの1つで缶詰中。
各務チヒロ
仕事とヴェリタスの後始末で爆睡中。アイが来たことも知らないしMDが解決したことも知らない。
転生先生、嘯く 10が2回の20話目!
ミレニアム編も今回で終わり、次回からアビドス編に移ります。
ロック最高!ということで、拙き作品ですがよろしくお願いいたします。