メダリストはエゴイスト   作:モリブデン42

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世界一可愛い

 美玖が演技を終えると万雷の拍手で会場は包まれた。

 

「美玖・・・」

「あー洸平くん・・・ごめんね?」

 

 何を、とは言わなかった。洸平も察しているのか些か気まずそうだ。

 

「どうだった?」

「え?」

「今日演技してみてどうだった?」

 

 その問いには何の含みもない。ヒーローインタビューのような演技を終えた者への純粋な問いかけ。

 

「楽しかった!」

 

 美玖あっけらかんと答えた。

 

「なら良し!」

 

 そうして洸平と美玖はハイタッチを交わす。

 

 

 

『十南町レイクFSC 亜昼美玖さん 112.11 現在の順位は1位です』

 

 

 

 

「金の卵が孵化したか・・・」

 

 蓮華茶FSCヘッドコーチ亀金谷が呟く。

 

「美玖はんえらい変わりはりましたなぁ」

「すず、なぜいる・・・分析は私がやると・・・」

「もしかしたら美玖はんの滑りが見れるん最後かもしれへんやろ?うちなら他人(ひと)の演技観ても崩さんどころかむしろ上がるわ」

 

 そう言って笑うすずに亀金谷はため息をつく。

 

「ならいい。じゃあ聞くが今の演技を見てどう思った?」

「ん?えらい可愛く飾り付けしとったなって」

「そうだ、よくわかってるじゃないか」

 

 亀金谷が頭をなでると、すずはふんと胸を張り、直後に髪が乱れるといって手を振り払った。

 

「お前の言うとおりだ。他の観客は4回転トウループに目が行ってるが、あれは構成的にはむしろない方が良かった」

「あのジャンプだけアンダーローテーションやったからなぁ。それもギリギリ。美玖はんなら他の3回転で加点取った方が高かったで。まああのジャンプのおかげで後の演技が生まれたって感じするから。跳んで良かったとは思っとるで」

「ああ、あのジャンプで雰囲気が変わった。この高得点はジャンプの難易度よりむしろ演技構成点がでかい。加えてステップシークエンス、あれは素晴らしかった」

 

 ちらりとすずの方を見る。臆してる様子はない。確かにこれなら見ていて良かったかもしれないとひとりごちる。

 

「すず、構成を変える」

「そうくると思っとったわ」

 

 確かに高得点だったが、それはすずが負ける所以にはならない。相手が高得点を取ってくるなら、それを上回る対応をするまで。

 亀金谷が演技構成を変えることは珍しくない。元々、他クラブの公開練習を見てから決めるほどの臨機応変ぶり。勿論、選手への信頼あってこそであるが。

 亀金谷は思考する。すずのコンディション、技量、過去の練習、そこから導き出せる最高得点。

 

「すず」

「何や?」

「お前3回転アクセル2回跳べ」

「は?」

 

 どんな言葉も覚悟していたすず、しかしコーチの言葉を聞いて一瞬固まった。

 

「何言うてるか分かってんの?」

「ああ、ルッツは単独で良い。3回転アクセルにコンビネーションをつける。今日のお前なら出来るだろ」

「はは」

 

 思わずすずは乾いた笑みを漏らす。

 

「怖いか?」

「何言うてんのや」

 

 歯を噛み締めると、すずは獰猛に笑う。

 

「わくわく100%や」

 

 

 

 

 

(美玖のあんな演技初めてだ)

 

 美玖の演技を見ていた唯は人知れずそっと息をのんだ。優等生らしからぬ人の裏をかくような演技はツボを突くような気持ちよさがあった。

 

(でもあれは多分、急に出てきたものじゃなくて今まで積み上げてきたものの総合演技って感じだな)

 

 天邪鬼さはあれど彼女の演技は全て技術を突き詰めて明確な理屈の上で成り立つものだった。

 

(だとすればインプット型か)

 

 前に編み出した選手の区別、そこに当てはめて考える。

 

「久しぶりやなぁ、唯はん」

 

 思考に耽っている唯にすずが声をかける。

 

「すず・・・何やってんの?」

「何って、私の可愛いを皆にばらまいてんのや」

「相変わらずだね・・・」

 

 すずとは合宿だけでなく、大会で良く会う仲であった。

 

「ほんまは唯はんと喋りに来たんやけどな」

「何?」

 

 すずの言葉を聞いて唯が疑問符をあげる。

 

「美玖はんの演技観る余裕あるんならうちのも観れるやろ?」

「まあ観れるね」

「だったら観とってや、唯はんもいのりはんも美玖はんも4回転なんて結構な飛び道具持ってきてくれたけど、それで勝負が決まるわけやないからな」 

 

 宣戦布告のように毒づくすずだが可愛い顔は決して逸しない。

 

「ずっと2位で、こないだは3位まで落とされた」

 

 すずは笑顔だ。されどその言葉には笑顔には見えない含蓄があった。

 

「今日トップをもらうんはウチや」

「・・・楽しみにしてるよ」

 

 

 

 

 

 

 鹿本すずは世界一可愛い、本人がそういうからそうなのだ。

 

(世界一可愛い私はスケートでも世界一であるべきや)

 

 すずにとってスケートは単なる競技ではない。自分の可愛いを証明するための手段だ。世界一可愛いのは既に決まっているからスケートを通してそれを証明するだけ。

 

(私はスケートをしてる瞬間が一番可愛い!)

 

 今日も可愛い自分を皆に振りまくため、鹿本すずは滑る。

 

「さあ、はじめよか」

 

 

 

 

 

 

 

 

 鹿本すずの演技が始まった。

 

 楽曲 バレエ組曲《くるみ割り人形》 Op71aから「花のワルツ」

 

 それを観客席にて蛇崩、絵馬子弟と加護親子が見ている。

 

「へえ、何ていうんでしょう。演技派なのはもちろんなんですが、振り付けの時点でこの子の上手さがわかりますね」

「そうなんです、すずは確かにジャンプすっごい得意やけど本質はこの演技のセンスや」

 

 すずの演技が目にうつる。

 音楽に合わせた雄大な滑り、振り付け。

 それらが総合芸術となって、会場を魅了していく。

 音楽に対する表現の答え、緩やかな動きと激しい切り返しの緩急が演技の楽しさだけでなく彼女の実力を伺わせる。

 

「確かにジャンプを跳んでないのに実力差が分かるっていうか、こうも違うものですかね?」

 

 すずの演技は他者の滑りよりも頭一つ抜けていた。そのことに耕一が疑問を呈する。

 

「確かにすずの演技の秘訣は単なる『上手さ』だけやありません」

 

 その質問に蛇崩が頷く。

 

「すずはな、ええ耳しとるんです」

「耳?」

 

 一見スケートに関係なさそうな要素に耕一の謎は深まるばかりだった。

 

「何も聴力がずば抜けてるとか、異様な聞き分ける能力があるとかそんなんじゃないですよ。ただすずは音楽を捉えるセンスがあるんです」

「なるほど?」

「すずねえの家は音楽一家だったから、ちっちゃいころから音楽に触れたのも影響してると思います」

 

 絵馬が補足をいれたことで、耕一はその一端を理解する。

 

 つまり、音楽を聴いて解釈する教養があるということだ。

 

「一見、スケートには関係なさそうに思えるかもしれません。でも演技表現において音楽を聴けるっていうのは凄い才能なんです」

「確かに、スケートには音楽がかかってますからね!表現する上で通ずるものがあるってことですか」

「勿論それもあります。ただ一番のメリットは演技に没頭できることなんです」

 

 蛇崩は自分の解釈をなんとか耕一に伝える。

 

「すずが言うてました。音楽がかかると体が一緒に乗り出すって。音楽からフィードバック受けて、演技に繋げられる。何よりも凄いんがすず、曲がかかると技の成功率が上がるんです」

「え!?それは凄い・・・」

「ええ、曲に合わせようとすることで失敗が多くなるんが普通なんですけど・・・すずは違う。あの子の音楽という能力は本番にめちゃくちゃ有利なんです」

 

 絵馬がふんふん、と首を縦に振る。

 

「こればっかりは練習やら特訓で身に着くもんやない。生まれ育った環境が与えた教養という、才能なんかよりもよっぽど貴重な資質や」

 

 

 

 

 

 

(やっぱスケートはええ)

 

 すずは常に感じていた。

 

(私が一番可愛く見える瞬間や)

 

 自分の可愛い瞬間。それが彼女がスケートをする理由だ。

 

(この音楽、このリンク、この振り付け、この舞台・・・全部ウチのもんや)

 

 リンクで滑っている瞬間、その場にいる人間すべてが自分に注目する。それが気持ちよくてたまらない。

 

(ウチには分かる、自分が一番可愛く滑ってるときの『感覚』が)

 

 すずはあらゆる全てを可愛いに注ぎ込む。朝起きた瞬間から寝るまで、いや寝てる間すら自分が可愛くあることを意識し続ける。

 

(足先から指先まで余すことなく『可愛い』を体現する)

 

 そして一番可愛いものが、表彰台の頂を手にするのだ。

 

 だからこそ、許せない。

 

(1番可愛いのはウチやなかった!その座をとられたんや!)

 

 表彰台でずっと見上げていた。

 

(光はんに負けた)

 

 下に落ちる。

 

(唯はんに負けた)

 

 這いつくばるまで落ちる。

 

(もう・・・負けたくない!)

 

 京都では負けなしだった。エリアを広げてもそれは変わらない、そう思っていた。

 いともたやすく、狼嵜光に負けた。

 気づけば潔唯に追い抜かれていた。

 それは自分が1番でないということ。そしてそれを納得せざるを得ないほどまざまざと見せられた。

 光の演技は綺麗で繊細だ。氷の上では彼女が最強だ。だから可愛い。

 唯の演技は彼女の闘志が込められていた。その情熱だけでとどまらない技術は観客を魅了する。だから可愛い。

 自分より上だと認めてしまった。しかし、1番可愛いのは自分であるべきだ。だからその座を奪われることは我慢ならない。

 

 闘志が漲る。打倒光、打倒唯。今まで意識してこなったライバルへの激情がすずを熱くさせる。

 

 跳ぶ。

 

 誰より高く。

 

 跳ぶ。

 

 誰より上手く。

 

 跳ぶ。

 

 

(違うな)

 

 

 我に、返る。

 

(ウチのスケートは競うことやない。魅せることや!その本質だけは変えたらあかん)

 

 激情のまま跳ぶことをすずはやめた。

 彼女にとってスケートは、闘争するものではないからだ。

 スケートの競技性は言うまでもないことだ。誰もが少しでも点を上げるためにその身を削って努力している。そうして培った己の全てを大会という舞台でぶつけ合うその様はまさしく魂と肉体の闘争だ。

 しかしそれにかまけていると大事なスケートの本質を見失う。

 

(スケートは芸術なんや。魅せてなんぼ。勝つことは結果論に過ぎひん)

 

 すずは闘争に身を置くことで己を変革させてきた選手たちを知ってる。

 

(でもウチのここだけは変えへん。そしてその上で負けるつもりもない!可愛く魅せること!誰にも譲らへんウチの『美意識(エゴ)』や!)

 

 さあ跳ぼう。

 直前で変更した高難易度ジャンプ。

 

 まずは曲を捉える。染み付いたリズムと溢れ出すインスピレーション。

 表現だけじゃない。ジャンプにすら音楽は作用する。

 

 曲を掴めば『感覚』が掴める。

 ジャンプの『感覚』、すずが最も可愛く輝く『感覚』。

 

「つかんだ」

 

 3回転アクセル+3回転トウループ 着氷

 

 第一ジャンプにして超高難易度ジャンプに歓声が湧く。称賛が雨なってすずに降り注ぐ。

 

(集・中!)

 

 すずは愛してやまない自身への賛美を一切聞いていなかった。

 まだ、山場は残っている。

 それを薄々察しているスケート関係者たちが息をのむ。

 

(3回転アクセル!もう一本!)

 

 曲を捉える。『感覚』を掴む。先ほどと同じ、流れを切らさない。

 

 3回転アクセル 着氷

 

 ただでさえ3回転アクセルは難しいジャンプだ。だからノービスでは多くの選手が挑戦を避ける。避けたうえで、ルールとしてアクセルジャンプを入れなければならない。だから2回転アクセルを跳ぶ。

 その時点で3回転アクセルの使い手は他の選手よりも基礎点においてアドバンテージを持っているのだ。

 その上で、さらに基礎点を上げるべくすずは3回転アクセルを2回跳んだ。

 字面だけでもその難易度が窺えるが実際はそれ以上の問題がある。

 全日本ノービスにおいて、3回転のジャンプを2回跳ぶことにはとある制約があるのだ。

 それが2回のうちどちらかをコンビネーションジャンプにすること。

 すずは3回転アクセルを2回跳ぶために3回転アクセルをさらに難しくして跳ぶ必要があった。だから3回転ルッツに付けるはずだったトウループをアクセルに付けた。

 他の選手たちに格を見せつける演技、そして本人にその自覚はない。

 

 

 

 

 

 亀金谷は言う。

 

「あいつが1位に上がれないどころか、3位に落ちた時だ。あいつが殻を破ったのは」

 

 地元では負けなし。故にどこかハングリーにかけていたと亀金谷は語る。

 

「狼嵜光に負けたことですずはハングリー精神を手に入れた。勝ちたいという闘志を手に入れた」

 

 そしてそのまま潔唯に追い抜かれた。

 

「3位になったとき、すずはきっとショックだったろう。でもその敗北によってあいつは完成した。闘争心をもったまま、再び原点に立ち返ることが出来た」

 

 もしかするとそれは自分をブレさせないための逃走だったかもしれない。しかし結果として彼女は自覚することになる。

 

「耳の良さ、音楽を聴く力に気づいたのはそれからだった。あれは誰にも真似できない彼女の強みだ」

 

 勝っていた経験、敵わなかった経験、追い抜かれた経験。どれかが欠けていれば順序が違えばまた違った結果になったかもしれない。

 

「すずはようわかっとる。スケートの本質は芸術だと」

 

 誰もが理解しているようで、実はしっかりと意識できていない。

 

「スケートは確かに競い合うもんやけど、本当に向き合わないけんのは自分なんや」

 

 亀金谷は確信している。すずは天に愛されたスケーターであると。

 

 

 

 

 

 

 すずは音楽一家に生まれた。

 両親は音楽関係者、姉たちも両親によって音楽の英才教育を受けていた。

 すずにもその未来はあり得た。

 しかし姉たちの音楽の中で一人軽やかに舞う姿を見て、両親は何かが違うと思った。

 そうして両親が与えた自由の結果が今のフィギュアスケートだ。

 タイプが違っただけだ。すずはしっかりと音楽一家の血を引き継ぎ、生まれた時から音楽に触れる環境にいた。

 そして、その音楽の才はスケーターを続ける中で磨かれてきたのだ。

 曲を聴く能力、そこから生まれる『何か』が、すずにスケーターとしての『感覚』を与えた。

 誰にも真似できない培った教養という唯一無二の才能。

 それは同時にすずにある答えを与えた。

 

 スケートは芸術、それがすずの揺るがないスケートへの美意識となった。

 

(ウチはウチのまま勝つ!闘争や競争は勿論やけど、そこばかりに意識する気はない!魅せるという本質を曲げて勝ってもそれはもうウチやない)

 

 誰かに勝つこと。誰かと競う事。素晴らしいことだ、何も間違っていない。

 だがどれだけ競い合っても行っているこてゃ芸術なのだ。

 

(一番見なきゃいけないのは自分や!)

 

 高難易度ジャンプを跳ぶことは、すずにとっては過程に過ぎない。どう魅せるか、それが大事だ。

 

 曲を捉える。ワルツ特有の軽やかさがある小刻みのテンポ、踊りたくなるような楽し気な雰囲気。そこに難しいからと言って重々しくジャンプを跳んでは雰囲気が崩れる。

 今はどれだけ難しくても、観客が軽やかだと思うように。

 軽く、こつくように。されどしっかり勢いはつける。

 

 3回転ルッツ 着氷

 

 観客はすずの背に羽を幻視した。それほど軽やかに跳んでいた。

 

(スピン、これこそ曲との絡みがめっちゃ大事)

 

 すずは回転をコントロールする。

 タイミングだけではない。スピンの装飾や雰囲気は勿論、表情といった他者には見えない部分も彼女は意識する。

 

 足換えコンビネーションスピン レベル4

 

 曲の雰囲気が変わるとすずもまた変わる。

 

(ワルツは3拍子、最初の一発目にアクセントがつくから振り付けはそこを強調するように・・・曲の雰囲気に合わせて、素早く振るうか、ゆっくり見せるか使い分けながら・・・って考えてるようじゃあかんねん!)

 

 振り付けと曲との関りを意識しながら、それを思考でなく『感覚』として処理する。

 ステップを織り交ぜながら、リズムと曲調に体を乗せる感覚。

 

(くるみ割り人形、この花のワルツはおもちゃと戯れる子供の夢や。なら曲の楽しさを前に出さなあかん)

 

 その楽しさの表現を言語化しない『感覚』でやってのけるのがすずの培った能力。

 スケートはバレエとは違う。その物語の内容を観客に理解させる必要はない。

 

(でもこれに関しては解釈一致や)

 

 曲が盛り上がるなら、演技も盛り上げていく。スピードを上げる。勢いを上げる。

 ジャンプに入るが曲の表現のために多少の無茶は織り込む。

 

 3回転フリップ 着氷

 

(得意なフリップやから勢いそのままでもなんとかなったわ!)

 

 ジャンプ、スピン、ステップを消化していき終盤に差し掛かる。

 

(この曲、可愛らしくてウチも好きなんよな・・・)

 

 まだ、没頭できる。

 

 観客は無意識の内にすずの作った世界に引きずり込まれていた。

 おもちゃの舞う子供の夢の世界、童話のようにファンシーで、おとぎ話のように可愛い。

 

(どうや、可愛ええやろ?)

 

 もっと可愛くできる。

 

 後半にコンビネーションジャンプを入れる。それも3回のジャンプコンビネーション。リスクの高い勝負。ここで失敗すれば今までの演技が全部おじゃんになる。

 しかし、音楽にさえ乗っていればミスる気がしない。

 すべては曲が体を運んでくれる。

 

(行くで。軽やかに。楽し気に)

 

 それは演技のための笑顔ではない。曲に入り込むと勝手に笑みがこぼれる。曲が楽しいから、それに乗ってる自分も楽しいのは当たり前だ。

 

(ああ、ほんまに体が軽いわ)

 

 3回転フリップ+3回転トウループ+2回転トウループ 着氷

 

(うん、やっぱウチ可愛い)

 

 曲が終わりに近づくと意識も浮上してくる。

 この切なさもたまらなく好きだ。

 

(でも、もっと見てほしいな可愛いウチを)

 

 今日どれだけ伝えられただろうか、伝わっただろうか。

 

 このスピンで最後、演技は終わる。

 

 天に愛された世界一可愛い少女がリンクを舞う。

 だれもが魅了され、呆然と見つめていた。

 

 微睡む夢のようなひと時だった。

 




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