Gun Breaker in Star rail   作:クロウト

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最初の部分はまんまifです。こうなってくれたら嬉しいよね


氷結の序曲(プレリュード)

 

進むなら、護り抜け。

 

人との共存を目指した竜の言葉が心の中で反芻する。

たった小さな一言にも過ぎないそれは、やがて光の戦士の心の中に深く刻み込まれる言葉になる。

 

光の戦士はエオルゼアに降り立った時からあまりにも多くの偉業を成し遂げた。やがてその偉業はエオルゼアだけに留まらず、異世界や月に至るまで彼は守り抜いた。世界の破滅、終焉を謳うものとその刃を交わした果てにはいつだって救済がそこにはあった。

 

ーーー光の戦士は、己の身体が朽ち果てるまでただエオルゼアの剣であり、盾であり続けようとしたのだ。

 

 

そして、エオルゼアが光の戦士の活躍によって終末から救われたことから幾星霜の時が流れた。

 

エオルゼアは平和を謳歌していた。長らくの間、エオルゼアの主都市であるグリダニア、ウルダハ、リムサ・ロミンサ、と敵対していたガレマルドを主都市とするガレマール帝国軍は先の終末の災厄で最も被害を受けた一つでありガレマルドも甚大な被害を被ったが、今では皇都イシュガルドやオザーム小大陸のドマやアジムステップを引き込んだガレマルドへの派遣団であるイルサバード派遣団の援助もあって着実に復興が進んでおり他都市に避難していたガレアン族の難民の受け入れも既に始まっている。

 

終末が終わったことでガレマール帝国は改めてエオルゼア各国との国交回復の為に動き始めており、今後は王が統べる政治ではなくイシュガルドと同様に民主政治を取り入れた議会制政治が取られるかもしれないという声も上がって来ている。

 

 

長らく敵対してきたガレマルドとエオルゼアの和平条約。これが確実なものとなればエオルゼア全体の絆がより堅実に確固たるものになるだろう。

 

 

...だが、そんな平和の礎が作られようとしている時、和平条約が目前に迫ろうとした時にエオルゼア全体を震撼させる大事件が発覚した。

 

 

 

 

 

 

なんと、我らが英雄である光の戦士が()()()()になっていたのだ。

 

 

事が発覚したのはモードゥナに天高くそびえ立つクリスタルタワーと呼ばれる建造物の中、シルクスの塔でのことだった。

 

なんでも、クリスタルタワーの調査をしている聖コイナク財団によるとシルクスの塔の最頂部、ザンデ始皇帝がいたとされるクリスタルの玉座の間にて突発的に異界への入り口に繋がるヴォイドゲートらしきものが観測されたというのだ。しかもそのヴォイドゲートらしきものは通常の妖異が跋扈するヴォイドと呼ばれる世界に繋がっているものとはそもそもの構造が違う様にも見えたという。聖コイナク財団によるとそのゲートはまるで()()()()()()()様だと形容しており、虚無の名を冠するヴォイドゲートとは真反対という。

 

 

そして財団がそのゲートの対処に手を焼いていると、同じくクリスタルタワーの調査を経験している光の戦士がそのゲートの対処をしよう、と名乗りをあげた。財団は光の戦士の数多くの偉業を知っているしクリスタルタワーの件でも光の戦士によって大いに助けられた実績から財団は光の戦士にそのゲートの調査、可能ならばその対処を依頼。光の戦士はこれを快諾。光の戦士はそのゲートの調査に赴いた。

 

 

ーーーーーーそこで、彼の消息は途絶えた。

 

 

 

財団は数日後に光の戦士の消失を確認、すぐに調査団を結成してシルクスの塔に向かわせるがそこにあったのは煌々と光る星のゲートだけであり、光の戦士の存在はそこになかった。後にその星のゲートに知的好奇心を示し、財団と一時的な協力関係を結んだ自らを暁の魔女と語る魔導士の見解によれば、そのゲートはどうやらヴォイドとは繋がっていない可能性が極めて高いという。ヴォイドというのは闇の氾濫によって崩壊した世界であり、そこには微細な光はあれどこんなにも強い光の力を持つゲートはヴォイドにはあり得るはずがないという事らしい。

 

 

魔導士はヴォイドとは別の世界、下手をすれば次元の狭間に入る過程で原初世界に連なる鏡像世界にすら入り込めず、その光の力が光の戦士を次元の狭間の外に連れていかれる可能性すらあるのだ。

 

 

我々にできることは光の戦士の帰還を待つこと、それ以外に出来る事は無いと魔導士は言っていた。まるで()()()()に連れ去られた様だと魔導士は形容した。

 

 

暁の魔女の助言を受けた聖コイナク財団は暁の魔女と星のゲートの解析を進めることを決定。同時にシャーレアンの賢人を何人か招集し、魔法学やエーテル学の観点からもそのゲートの解析を行うことにした。エオルゼアに真なる平和が訪れてからの大口の調査案件であることからも財団は今ある勢力を総動員させてもゲートの解析を推し進めるらしい。

 

 

英雄の失踪、それは多くの人に驚きを与えつつも、多くの人のやる気を燻らせた。ということなのだろう。

 

 

光の戦士の帰還を一刻でも早める為に、財団は今日も星のゲートの解明に勤しんでるが...成果はあまり芳しくない様だ。

 

 

 

 


 

 

 

---いつ頃から気を失っていたのだろうか。ふわふわとした何かに包まれながらぼんやりとした意識を覚醒させていく。頭からつま先まで失っていた感覚を徐々に取り戻すしていく。そしてある程度まで眼や頭が冴えてきた頃、突然顔全体を覆う様な冷気に襲われた。その冷気で一気に眼が冴えたからか、冒険者の両目はすんなりと開いた。

 

冒険者の視界に映り込んだのは、一面を覆うほどの純粋な白がそこにあり、よく見てみると彼の両手にもその白と同じようなものが付着していた。冷たい、だが不思議と氷のような硬さはなくその白は彼の体に沿う様にその形を変えていた。

 

冷たく、それでいてふわふわとした感触、冒険者は自身を覆うように積もっているそれが雪であると気づくのにそう時間は掛からなかった。

 

 

そして光の戦士を覆う雪の冷たさを感じながら、冒険者は自分を覆っている雪をかき分けながら立ち上がった。

 

 

ボフン、という積雪が落ちる音と共に光の戦士が見たのは猛烈な吹雪の嵐で前方が全く見えないほどに白銀に染まった世界がそこに広がっていた。

 

顔に冷気を纏った風が針の様に突き刺さり、痛覚を刺激するも冒険者はゆっくりと歩み出す。

 

 

 

その白銀の世界は自然を最も容易く壊してしまいそうな吹雪の元で育っている。道中で見かけた木々は枯れ果てて燻んだ薄茶色の樹皮が凍りついている。木々にあったはずの緑も、地面に優雅に育っている大地の息吹も今はただ一つの白銀が全てを殺している。

 

肌身に感じる冷気がもはや痛みになるほどの大吹雪が冒険者を絶え間なく襲い続ける。途中、雪に足を引っ掛けて姿勢を崩すことが多々あったが冒険者はその白銀の世界に敷かれた雪の獣道を歩き続ける。

 

 

冒険者は突き刺すような冷気にはいつまでも耐えられないと判断したのか歩く速度を上げてゆく。雪の隙間から覗かしている湿った土の獣道が指し示す様に、ここはおそらく人里から遠いところなのだろう。道路の整備などが行き届かない山嶺なのかもしれない。

 

 

なぜ、そんな辺鄙な場所でいっちょ前に気絶していたのかは分からないが冒険者はとにかく誰でも良いので人と出会いたかった。

 

 

人と会うことで環境までは手に入れられないものの、村や集落の情報ぐらいは手に入れられる筈だ。そこで傭兵なり雑用なりをすればとりあえず大丈夫なはずだ。と、考えるもののこの吹雪では遠くから人影は見えるはずもないので冒険者の計画は土台からボロボロ、という事となる。

 

冒険者は寒さに身体を震わせながらどうしようかと頭を悩ませていると......。

 

 

 

 

 

 

だっ、誰かぁっ...!!!助けてくれぇええっ!!!

 

 

---中年ぐらいの男の悲鳴が静謐な白銀に響き渡る。

 

冒険者はその悲鳴にいち早く反応してその声の方へと走り出した。冷風を切り裂いて積もった雪をかき分けながら全力で走る。その声の主の方へと近付くと、冷気とは違った肌をピリつかせる様な怪物の邪気が体にまとわりつく。冒険者は背中に背負っている()()に手をかけ、白銀の霧を払う。

 

そして、冒険者が声の主のもとにたどり着くとそこには異様な光景が広がっていた。

 

 

「あ...ぁああっっ.....」

 

 

蒼色の鎧に身を包んだ兵士らしき男が後退りをしながら目の前にいる()()から逃れようとしている。一方で男の恐怖の対象であるその脅威は冒険者の目には異質な背格好に見えた。

 

全身を炎や氷で纏った鳥の様な怪物を従えているのは黄金の枝葉が身体の様に伸び、常に宙に浮かび上がっている女性とも男性とも取れぬ背格好をした怪物だった。

 

「さ、最悪だっ...こんなところで()()()()と鉢合わせるなんてっ..ここは後方戦線じゃなかったのかよぉ....!!!!!!」

 

何やら男が気になる言葉を溢したが、冒険者にとってはもはやその単語の真意を考えることは1秒たりともなかった。

 

 

 

 

 

冒険者は背中の武器を引き抜いて、即座に怪物と兵士の間に割って入った。突如の出来事に奇妙な怪物は兵士の命を奪おうとするのを一瞬戸惑ってしまう。男の方も既に心の中で死を覚悟していたからなのか突然の冒険者の出現に同じ様に困惑を示したが。

 

「っっ...あんた..はっ..」

 

その声色は先ほどの絶望に染まった様なものとは違い、絶望の中に一筋の光が見えた様な歓喜が入り混じった様な縋り付く様に震えている声色だった。

 

ーーー【あとは任せて】

 

冒険者は深く聞くつもりも聞かせるつもりもなかった。兜でよく見えないがその兵士の声は明らかに助けを求めていた者の声、奇妙な怪物云々よりもまずは人命救助が優先だろうと判断し、冒険者は兵士に向かってそう一言しか云わなかった。

 

 

「...本当にすまないっ...恩に着るっ...!!!」

 

 

兵士はそう言うと、後ろにあった枯れ果てた大木の裏にへと隠れようと走り出した。冒険者はその兵士を守る様にして武器を構えて怪物たちの攻撃を真正面から受けるつもりでいた。

 

冒険者の乱入によって戸惑っていた怪物も、やがて段々と冷静になり目の前の冒険者は良い餌になるだろうと見定めた後、黄金の枝葉の怪物の隣にいた炎の鳥が攻撃を仕掛けようと冒険者に狙いを定めた。

 

ゴォオオォッ!!!!

 

炎の鳥はその身体から焰を作り出し、それを一つの弾丸の様に丸め固めて形を強固な物にすれば轟音を出しながらその火球は発射された。

 

しかし冒険者はその迫り来る火球を目の前にしても微動だにせず、ただ自分の()を構えていた。

 

 

 

 

 

ーーー後に、冒険者の戦いを垣間見た兵士はこう語る。

 

曰く、その剣は奇妙な造形をしていた。冒険者が握っていたのは大振りな銀色に煌めく片手剣だった。だが兵士が見た剣の機構はそれだけではなかった。

 

曰く、冒険者の持つ剣には普通の剣には付かないはずの()()()()があったという。剣の持ち手の部分、そこは普通なら使用者が剣を握る為だけの持ち手の機能だけが備わっているはずが、その剣には何かを弾く機構も同時に備わっていたというのだ。

 

そして兵士は、剣の刃の部分には長身の()()があったのも見たという。それは片手剣というよりかは銃と剣が合体した一種の新しい武器の類にも見えた。

 

 

 

 

 

だが兵士が見た闘いの記憶はそれだけではなかった。

 

 

怪物の炎が迫る。それに追随して黄金の怪物が金色に光り出す。この極寒の地で日々裂界造物と戦ってきた兵士にはそれが周囲に強烈な痛みを伴った衝撃波の予兆であると認知するのに時間は掛からなかった。

 

危ないーー兵士はそれを言葉にすることができなかった。先ほどの命を怪物に刈り取られる瞬間に植え付けられた恐怖が兵士の口を抑制してしまう。心の奥底で冒険者に対する安堵と同時に素性も分からぬ者の実力が不明瞭なことによる不安がより恐怖を掻き立てていた。

 

しかし、この時から数刻後、兵士の恐怖は杞憂のそれだと知ることになるだろう。

 

 

 

黄金の怪物が光り出したと同時に冒険者が尋常じゃない速度で駆け出した。雪が舞い踊る音と青の軌跡を残して冒険者は炎の怪物の元へと接近する。が、それを許さぬ火球が冒険者の前へと立ち塞がる。轟々と燃え上がる火は冒険者の身体を焼こうと銀色の世界には似合わぬ赤をそこに映し出す。迫り来る火球、それを目前にした冒険者が取った行動は兵士の予想の範疇を明らかに超えていた。

 

 

 

 

ーーー冒険者が駆け出した刹那、兵士の視界は燃え上がる赤に包まれた。

 

直後、周囲を焼き尽くすような爆発が起こる。赤は雪を溶かし、凍りついた木々をも溶かす。周囲には灰色の煙幕と火種の霧で視界が不明瞭になり、冒険者はおろか怪物の姿まで見えない。朧げな視界の中、兵士が冒険者の事を案じていると.......。

 

 

キンッッッッ!!!!!!

 

 

一筋の紅蓮を纏った剣筋が煙を斬る。

 

先の炎の怪物とは比にならない様な周囲を覆い尽くすほどの赤を滾らせる。そしてその赤い剣筋は一刻と経たずに一閃、二閃、と暗雲の中でそれは迸る。

 

兵士は晴れた空の中から冒険者の姿を見ようと目を凝らした。紅蓮の剣筋で切り裂かれて尚、漂う灰色の煙の中に映るのは黒い残像のみ。だがその煙は烈しい雪風によって晴らされ、残像は姿を表すだろう。

 

 

「なっ.......。 」

 

 

兵士は絶句した。晴れた雪の中、そこで見たのは蹂躙とも死闘とも呼べぬ刹那の決着だった。

 

炎と雷光を纏った二匹の怪物は既に灰燼と化して虚へと消え去っており、もうどこにもいない。ならばその怪物を従えていたあの黄金の枝葉の怪物はどうだろうか。

 

その怪物は二匹の怪物とは違い、まだ姿形を保っていた。だがその怪物は冒険者の得物である剣がその怪物の腸を貫通しており、肉が裂ける音というよりかは石像が崩れ去る時の様な音にも似た奇妙な崩壊の音を奏でる。

 

そして冒険者はその怪物から剣を引き抜いた。するとその怪物も瞬く間に原型を留めずに崩れ去って何処かへと塵芥となって消え去った。怪物たちが支配していた魑魅魍魎の雪舞台に残されたのは一抹の黙だけだった。

 

 

「────あっ...あんたは...何者なんだ.... 」

 

 

兵士が少し怯えながらそう口にする。兵士が見たのは紛れもない強者の振る舞い、その一端。だが兵士の目の前にいるその強者は兵士が見てきたどの強者とも違い、異質や異端といった類に見えた。

 

だがそれでも、自分の命を救った恩人である事には変わりはない。強者である事には間違い無いだろうがせめて素性ぐらいは聞きたかったのだろう。それは恩返しか或いは強者のその力に魅せられたのか。

 

冒険者は兵士が出したその問いに、答えようとくるりと踵を返す。剣を肩に乗せて

大胆な構えを取り、少しの笑みを添え、兵士に向かって自信に溢れた口調でこう答えた。

 

 

───自分は、ただのガンブレイカー(冒険者)だ。

 

 

 

 

 

後に、吹雪く白銀の世界に煌めくこの銃刃(ガンブレード)がこの星の新たな英雄の象徴となる事はまだ誰も知り得ない運命の特異点である。

 




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