悪魔払いの祈祷師:Zoe   作:zaq2

6 / 7
Oboれ Ta モノ

「ここか……」

「はい、この林道から見下ろせる場所との事です」

 

 遺体が発見された場所に案内されては、その場所へと歩み降りる。

 傾斜がそこそこあるが歩きにくいだけで、普通に歩いて降りる事が出来た。

 

 

「第一発見者は、この森林区画の管理人で、いつもの巡回中に発見したそうです」

「朝だったか?」

「はい、およそ8時ぐらいのいつもの巡回時間だそうです」

 

 そうして、通路の方へ視線を見やれば、たしかに、見下ろせる位置であると確認できる。

 

「発見者の話によると、この木に隠れる様に脚が出ていたそうで」

「滑落という線は……なかったんだったな」

「遺体の外傷がまったくなく、そして、あの道からここまでの範囲でも、衣類の類が見つけられてません。そもそも、遺体自身に上半身に衣類が無かったともいえますが……」

 

 下半身にのみ着用がみとめられていて上半身は裸。

 貴重品は確認がとれていたが、身分が証明されるものは一切なかった。

 

 この近隣ともいえる近場(といっても数kmは離れてはいるが)周囲の聞き込み調査でも、遺体の身元を知っている人はいないときていた。

 

 

「身元不明のご遺体が、なぜこの場所にいたかも不明と」

「はい。土壌調査で、遺体の足裏に付着していたものと一致もしています。少なくとも、この場所に"歩いてきた"という事はいえますが……」

「滑落じゃぁ無いと」

 

 周囲に争った跡などがあれば、血痕やらが残っている可能性もあるのだが、その痕跡すらない。

 外傷がないならば、少なくとも歩いて来たともいえるが……

 なら、それはどこから?道から?

 それでも自分たちは木々に手をあてて移動する必要が少なくとも数か所ある場所を?

 それならば、縦ではなく横とみるべきか……

 

 

「考えていても埒があかないな。少し歩くがついてこれるか?」

「ええ、それは構いませんが……いったいどこへ?」

「なんとなく、気になった処へだ」

「……?」

 

 そうして、遺体発見現場と頭の中にある周辺の地理の、とある場所を思い出しながら移動を開始した。

 

 

 

   *   *   *

 

 

「警部、ここは……?」

「ん?ああ、ここは跡地だな。中世時代の……確かちっさな教会跡地だっけか?」

 

 

 記憶にあった事件簿の中の一つ、この周辺の地理を見たとき、たしかここら辺だったなと思い出した場所である。

 

 中世時代かその付近の年代の名残といえる小さな遺跡の跡地。

 

 元は教会だったか修道院だったかの場所であるが、地元民で知る人ぞ知るというレベルのあまり有名ではない場所でもあるし、衛星写真からも木々でうまく隠されてもいる。

 

 時計をみてみれば、あれから3時間も経過はしてはいたが、それでも到達できる時点で、このポイントもありうる話となる。

 

 

「ま、こんだけ広い場所ならば、何かしら細工もしやすいだろう」

「では、殺害現場はココであると?」

「可能性の一つ、という事ではあるだろうな」

 

 

 そう、この遺跡後は、一応は車一台分の幅がギリギリな"道"がある。

 大がかりなモノを準備できる空間もある。

 地元の人もほとんどめったに来ない。

 

 何かをするには、適しすぎている場所でもある。

 

 

「何か、薄気味悪いところですね……」

「そりゃぁな、幽霊様が住んでいると噂された場所でもあってな、地元の子供たちの度胸試し程度の場所だそうだ」

 

 

 そういや、以前は人さらいの事件からココを知ったんだっかと過去を思い出す。

 聞き込みを子供たちにもしてみれば、暗黙の遊び場所とでもいうことで……

 

 その遺跡に何かなかったかを調べてみることにすると火を起こした後を見つける。

 煤や灰の状況からみて、少なくとも数週間以内か、一か月以上はかかっていない。

 

 

「雨で流されたとしても、新鮮すぎますね……」

「誰かがここで火をつけたのは確定だ。だが、誰が何のために?と色々とあるだろうが、他にも、今回の事件に関係するのか?という点もあるが」

 

 そう、まったく事件とは関係ないものである可能性もある。

 

 あるのだが、この森に入ってからチリチリと首筋にかかる嫌な予感が、このエリアに入ったとたんにさらに強めていた。

 

 

(嫌な予感が強すぎるんだよなぁ……)

 

 

 静かな森の中、廃墟となる跡地と木々が風に揺れる音に、鳥がさえずる声が……

 

 

(ん?聞こえない?)

 

 

 そう、先程から、風の音は聞こえるが、よくありそうな鳥の声が聞こえてこない。

 そして、吹いてくる風の中に、何か生臭い匂いが混じってきている。

 違和感という感情が、より一層警戒を深めろと言ってきたとき、

 

 

「け、警部……あ、あれ……」

「……ん、あ?」

 

 

 呼ばれて振り向いた先、そこは遺跡の扉があった場所。

 

 朽ちた扉があった場所であるのだが、そこから何かがこちらを"観察"している視線を感じたのを一瞬でとらえては、すぐさま視線をはずして周囲へと顔をそむける。

 

 

「おい、声を小さくしろ」

「えっ?」

「小さくしろと言っている。そして気づいていないフリもしろ。いいか?とにかく、相手に刺激を与える行動はとるなよ?話合わせろ」

「えっ、あ、はい」

 

 小さな声でとりあえずの合図を交わし、すぐに実行に移す。

 

「おい、何ぼーっとしてんだ?ほかに何か見つかったか?」

「え?い、いえ警部。ほ、他には何も見つかりませんでした」

「そうか。なら、ここでの収穫はこれ以上は無しだな、戻るぞ」

「えっ?あ、はい!」

 

 

 そうして、道のある方向へと歩み進めたとき、背後から感じる"嫌な感じ"は危険レベルへと膨れ上がった。

 同僚も、何かを感じ取ったのか、油汗をかいてはこちらへとどうすればいいかと目で訴え始めていた。

 

 

「くそっ、こうなりゃ後ろを見ずに走れ!走れ!!」

「な、は、はいぃ!!」

 

 

 だが、まともに足が動かなかったのか、その一歩目からもつれては転がっていく。

 

 

「ちぃっ」

 

 

 後ろを振り返るまでもなく、片腕で引き起こそうとするが、相方は後ろの何かを"見た"のか、歯をガタガタならして震え上がる。

 

 それでも、後ろを振り返らずにこの遺跡の跡地から道へと入り込もうとしたとき、エンジンの爆音とでもいう音とともに側車が藪の中から飛び出し来た。

 

「なっ?!」

 

 

 その側車と、スローとでもいう感じで交錯したとき、見覚えのある女性が操作しているその側車の船には、見たことがある人物がエンフィールド小銃を構えたままに不敵に笑ったかと思えば、「ぶちまけろや!」という声をともに銃声を轟かせていた。

 

 

 

 

 




   *   *   *
お嬢様
・小銃はLee Enfield No.4 Mk1 Custom
・射撃時にユーモアのあるセリフをと考えていたが、結局何も思いつかなかった。

 
メアリー
・いきなり急げと急かされたために、悪路を脅威的な速度で走りぬいた。
・パッセンジャーのお嬢様(主に影)のお陰ともいう
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。