悪魔払いの祈祷師:Zoe   作:zaq2

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Oboれ Ta モNo

 見知った存在が側車の船から飛び降りては、続けざまに二発三発と発砲音を響かせせる。

 

 "這いよってきていたナニか"は足を止めたかと思えば、次の瞬間には脳天に響く奇声を上げた。

 

 

「ぐ、何だ、この」

「あ、頭がっ」

 

 

 それは、耳をふさいでいても頭に直接響いては目を開けられないほどのものでもあり、相棒も頭を抱えては、起き上がることもできずに悶えていた。

 

 

「五月蠅い!この※〇×▽□風情がっ!!」

 

 

 だが、そんな中でも見知った存在は続けざまに銃声を鳴らす。

 それが功を奏しているのか、その弾丸が命中する度に脳天に響く声が静かになってはいったが、数発の銃声が鳴り止んだ後

 

 

「ちっ、リロー!」

 

 

 状況を確認すべきと視線を上げた時には、どこからか飛び出してきたクリップ弾丸の束を空中でつかみ取っては、手早くねじ込んでは再び構える。

 

 だが、その瞬間を逃さなかった"這いずるナニか"は、その場から驚くべき速度で後退するかの様に逃走を始めては藪の中へと飛び込んでいった。

 

 

「逃すかっ!メアリー、その二人の対処!私はアレを追う!」

「はい、お嬢様」

 

 

 そうして、一瞬の出来事であったが、見知った存在は"這いよっていたナニか"を追う形で藪の中へと消えていった。

 

 一瞬の出来事に、呆然とせざる得なかったが、次の言葉で現実へと連れ戻された。

 

 

「落ち着くために、まずは水をどうぞ」

「あ、あぁ、すまない……」

「こちらの方は……先程の声でやられた様で、急ぎ対処するべきですね」

 

 

 隣では、気を失って……否、口から泡を吹き出しては白目をむいていた。

 

 

「お、おい!しっかりしろ!」

 

 

 触れてみれば……呼吸もしていない!?とくれば、さしもの自分でもこの状況は不味いとわかる。

 どうするべきかと思った矢先、そこに手が差し込まれた。

 

 

「ここは、おまかせを」

 

 

 そうして心臓マッサージと人工呼吸、それらを見事な手さばきで行っていった。

 ただ、その傍で立ち尽くしながら眺める事しかできなかったが……

 しばらくすると咳き込む声と共に意識をもどした相棒。

 

 

「お、おい、無事か?」

「ゲフッ、ゴホッ、け、警部、いったい……」

「これで大丈夫そうですね?では、まずはこれを」

 

 

 そう言っては、タオルを渡されては、顔についた汚れをふき取っていた。 

 とりあえず、命は助かったと思えば、再び遠くで銃声の音が一つ二つと木霊していた。

 

 

「ええっと、警部、この銃声は?あと、この方は」

「一つづつにしてくれ、この方はメアリーさんだ。お前の救命をしてくれた人だ。お礼言っとけ」

「え、あ、ありがとうございます」

「お気になさらず」

「そして、さっきの銃声はエクソシストの嬢ちゃんだ」

「エクソシストがなぜ銃声?」

「知らん」

 

 

 その後も、テキパキといった感じで、手当を受けていたが、そのメイドのメアリーは側車についている鞄からモノを取り出し……

 

 

「それとお二人とも、動かないでください」

「えっ?」

 

 

 そう言われたと思えば、相棒と自分に向かって瓶の液体をぶちまけた。

 

 

「うわぇ?!」

「な、何だ?」

「目を付けられない様、一時的な"匂い消し"的な処置を」

「どういうことだ?そもそも、さっきのアレは何なんだ?」

「アレ、ですか?……そうですね、端的に言うならば"害獣"の類です」

「害獣?」

「はい、"害獣"です」

 

 こんどは周囲の地面に何かを書き始めた。

 

「念のための目くらましも行います。この円からは出ないでください」

「一体全体なんだったんだ?そもそも害獣っていうのは……」

「警部様は、あの様な"害獣"をいくつか"経験"されていたと思いますが?」

 

 

 這いずってくるナニか、たしかに、獣の様なものでもあったが……はっきりとは見てはいないが、たしかに四つ足(以上?)で這い寄ってきてたナニかではあった。

 そして、何とも言えない気持ち悪さと、なぜか分からない恐怖心にさいなまれた経験が無いわけでもないが……

 

 

「ああいう類なんぞ認識したことはねぇ……アレは本当に"害獣"なのか?」

「そうですね。一応、"害獣"というものに相違はありません」

「だが、あんな奇声を上げるのがいるのか?」

「自己防衛をする際に、声を荒げる"ケモノ"はいます。その類でしょう」

 

 

 そう言いながら、「追加のお水はいかがですか?」と問われては、相棒は水をもらって一息ついては

 

 

「警部、自分はアレを見たのですが、アレは一体なんなんだったのでしょうか……」

「俺にもわからん。クリーチャーという言葉が当てはまるのか、それとも……」

 

 瞬間的に見えた内容は確かに獣。

 だが、その獣のガワを被っているナニかだったとしか言いようがない。

 

 思い出している中、静かになっていたハズの空間に、銃声音と共に再び耳に響く奇声が聞こえては、静まり返る。

 その次に聞こえてきたのは、"まるで噛み砕いているような音"でもあったが……。

 

 

「今度は何が起きてる……」

 

 

 こう得体のしれないモノという感じがしたと言おうとしたとき、先程きえていった藪から一人の見知った少女が現れる。

 

 

「おかえりなさいませ、お嬢様」

「ああ、戻った。クッソ不味い。水をくれ水。あと、コイツの処理を頼む」

「はい、わかりました」

 

 

 その手に持ってたのは一匹の黒ずんだキツネ。

 先程ちらりと見えたモノとは似ているようで、だが、その下にあったタコ足の様な物というか、そういうものが無くなっては一般的な動物といえるモノだった。

 

 

「キツネ……ですね」

「ああ、その様だな……」

「しっぽが多いですね」

「……突然変異か?」

 

 

 そうして、その時に気付いたとでもいう風に、こちらに向き直った見知った顔の少女といえば

 

「おやおやおや?これはこれは……警部さん。ごきげんよう」

 

 

 それは見事なカーテシーであったが、あまりにも「あざとすぎる」動作であったが

 

 

「……いまさらだなエクソシスト。貴様がこんな所に来るなんてよっぽど暇していたんだな」

「ええ、えぇ、私も暇で暇でお仕事がなければ、この地に赴く事もなかったでしょうが、そんな折に偶然も偶然、警部さんにお会いできるとは、これも何かの縁でございましょう」

 

「どの口がいう。そもそも頼まれ事というのは何なんだ?こんな片田舎に来るほどのよっぽどの事なんだろうな」

「いえいえ、片田舎だからこその頼まれ事ですよ?そう、"害獣"駆除ですよ"害獣"駆除。ここらを荒らしまわってる"害獣"の駆除、それ以上でもそれ以下でもありません」

 

「嘘をつくんじゃねぇ」

「嘘など一つもついておりませんよ?現に、そこに害獣の証拠があるではないですか」

 

 

 視線で指し示す先はといえば、布袋に詰められる黒ずんだキツネが一匹。

 

 

「さて、私のお仕事は終わりました。警部さん、麓までお送りしましょうか?」

「いらん、それよりもだ……」

「警部!」

 

 

 ふと、相棒から声がかかる。

 いつのまに電話にでていたのか、あわてた様子でこちらにスマートフォンを差し出す。

 

 

「緊急の連絡です!」

「あん?なんだ?ちょっとまて」

 

 

 エクソシストに視線を向ければ、どうぞ、というジェスチャーを行っては、側車の方へと足を向け、一定の距離離れた事を確認した後にスマートフォンを手に取る。

 

 

「私だ、どうした?」

「警部!緊急事態です!」

 

 そこから聞かされる内容といえば……

 

 

「遺体が消えた……だと?」

 

 

 完全に死体と認識されていた物が、忽然と消えたという連絡であった。

 ただ、その場所からは濡れた足跡があるために、歩いて出て行ったとでもいえる内容でもあったが、監視カメラにはそんなものは写っていないとも……

 

 

「わかった、詳細は戻ってから聞く。状況をまとめ……」

「け、警部!あれ!」

 

 

 視線を向けた先、そこには先程消えた遺体が藪の中から歩いて出てきていた。

 ただ、その足取りは、B級ホラー映画の動く死体とでもいった様な動きで。

 

 

「いや、何でもない、また連絡する」

「な、なんで歩いて……まさか、ゾンビ」

「わからん、わからんが……」

 

 

 歩く死体とでもいうのか?

 そんなB級ホラー映画の様な事が実際に起きてるとでもいうのか?

 何もわからないままでいると、不意に隣から

 

 

「歩く死体(ウォーキングデッド)?お散歩なのでしょうかね?」

 

 

 いつの間にか、円の中に入ってきていたエクソシストがそう答える。

 

 

「何を言っている、エクソシスト」

「少々場を和ませようかと思いまして。それよりも、あれは"コチラの案件"という事でよろしいので?」

 

 

 視線を歩く死体へと向けていたが、その目は、何かしら面白そうだと笑っていた。

 

 

 

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