真剣に俺は平穏に生きたい!   作:volcano

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プロローグ1

武士。それはかつて日本に存在していた者達。素手で、あるいは武器をもって、己の信念のもとに闘い、己を磨く。時代の移り変わりとともに姿を消していった彼等だが、完全にいなくなったわけではない。名を残す名家の子孫達がほとんどだが、現代にも武士は存在していた。

 

現代日本。武士という存在は減少していく一方であり、激動の時代を生き抜いた老人達はそれを嘆いた。老人達は若き素質のある武士のタマゴを育てるべく、『武士学校』を設立した。東に『川神学園』。西に『天神館』。

この両高はレプリカではあるが武器の携帯が許されていたり、「決闘」という生徒同士の対決が校則として認められていたりと、設立後世界中から注目を浴びた。世界の名家の子息や、古くから伝わる武術道場の跡取りなどが多く入学し、時に決闘したり、時に手を取り合ったりと、青春を謳歌していた。

 

この両校のうち、知名度が高いのは川神学園の方と言える。何故か? それは世界最強と言われる通称「武神」がいるからだ。いわくその拳は一発で数千の大群を吹き飛ばすという。いわくその脚は大地を砕き宙を翔けるという。ある国では核より恐ろしいとされる存在、それが「武神」である。

他にも川神学園には日本三大名家「不死川」と「綾小路」が生徒と教師としているほか、世界最大の財閥「九鬼財閥」の跡取りまでいる。他にもキリがないほどの有名人の子息が多く在籍している川神学園。これでは比べられる天神館が可哀想というものだ。

 

しかし、川神学園は、世界は知らない。西に、天神館にはあの「武神」に比肩するとまで噂される男がいることを。その男は、圧倒的な強さで西の頂点に立ち、西国の武勇が結成した「西方十勇士」なる集団を従えているという。西では知らぬ者はいないとまで言われるその男。彼の名は...

 

 

 

 

 

 

side:---

 

その日、福岡にある武士学校『天神館』はいつもに増して賑わいでいた。誰かが決闘をするのか? そんなことは日常茶飯事だ。では誰か有名人でも来ているのか? それは半分当たりである。

今、天神館に設けられている決闘場には、世界的に有名な格闘家「カラカル兄弟」がウォームアップをしていた。彼等はテレビの撮影に来たわけでも、知り合いに会いに顔を見せに来たわけでもない。彼等は決闘しに来たのだ。

 

 

「ヘイ! ゲイツ! ワタシの今日のConditionはドウですカ!?」

「Brawn、Walking ability、共にMaxだヨォ、兄サン!」

 

 

大柄な体型と鋼のような筋肉。その顔を知らぬ格闘ファンはいないだろう。彼こそ全米格闘チャンピオン「カラカル・ゲイル」である。その隣でノートPCを操作しているエリート風な男性。彼の名は「カラカル・ゲイツ」、ゲイルの弟であり彼のマネージャーでもある。

 

兄弟の来日理由はとても単純なものであった。全米制覇したカラカル兄弟は、さらなる強敵を求め日本に来たのだ。そして彼等の相手は、かつて兄弟が闘った北米王者を上回る極上の相手。

 

 

「しかし、今だにシンじられマセんね。あの”MOMOYO”と同格のhigh‐school studentなんテ...」

「ボクもイロイロ、データを収集したんだケド、該当するhigh‐school studentはいなかったんだヨネ。でも、此処のHeadmasterは「ウチにいる」って言っているンダヨネ。あの人が見栄っ張りトカデ、Liarを言っているとハ思えナイしね。」

 

 

兄弟の相手。それは世界各国でもまことしやかと噂されている存在。ある先進国では核兵器よりも恐ろしいとされている武人「武神」。それと同格の強さを持つと言われている高校生がいると噂が広まったのはまだ新しい。カラカル兄弟はいち早くその情報の出所を探し当て、件の高校生が此処、天神館にいると聞いて来たのだ。

しかし、兄弟はまだ信じられないでいた。あの「武神」と同格の強さを持つ存在というからいは、何かしらの記録が残っているはず。だのに件の人物は、何処にも記録らしいものがなく、それ故まことしやかにされている。兄弟も戦闘準備をしているものの、心の片隅に不安があった。

 

暫くすると、兄弟がいる決闘場に壮年の男性が歩いてくる。白いスーツにハットを被った伊達男、天神館・館長「鍋島正」だ。

 

 

「おぅ、待たせちまって悪ぃな。ちと引っ張ってくんのに手間取っちまってよ。」

「イエイエ。おかげで入念にWarming upがデキました。ワタシのエンジンはFull回転ですよ!」

 

「そいつは結構だ。じゃぁ、お望みの奴を紹介してやんぜ。おぉいッ! 出番だぜェ!」

 

 

鍋島の言葉と共に、一人の生徒が決闘場に上がってきた。同時に、生徒を讃える拍手喝采が飛び交う。どうやら随分と生徒達に慕われているようだ。カラカル兄弟の目つきが変わる。そして遂に、件の人物は姿を露わにした。

 

 

「.......」

 

 

無口で現れたのは背丈は百七十前後ほどの中肉中背の青年。短い黒髪に彫りの薄い顔立ち、THE・日本人という風貌をした青年が二人の前に現れた。

 

 

「紹介すっぜ。ウチで一番強ぇ、「柳竜」ってもんだ。おら、全米チャンピオンの前だぞ? 挨拶ぐらいしろや。」

 

「.....どうも。」

 

 

やや低いテンションで挨拶をしてきた。どうやら彼が噂の人物らしい。が、カラカル兄弟は眉をひそめた。

 

 

「(Watts? このBoyが噂の?)」

「(どう見ても...そこら辺にいる普通のhigh‐school studentじゃあないか。)」

 

 

カラカル兄弟は全米チャンピオンにもなった強者だ。相手の力量は一目見ただけで把握できる。

兄弟が噂の人物・柳竜を見た感想は「普通すぎる」の一言であった。一定以上の強さをもった者というのは、何もしなくても佇まいや雰囲気に”覇気”がにじみ出ているものだ。だが目の前の青年からはそれが感じられない。では隠しているのか? だが兄弟は否と考えた。青年から感じる雰囲気はとても自然体で、見繕ったものじゃあないと判断したからだ。

いったい何者なのだろうか。兄弟は懸念する。かつてこれほどまでに”読めない”相手はいただろうか。だが、リングに立った以上後退の二文字はない。

 

 

「OK...ヘイ、Boy! 準備はデキていますか!?」

「.....おぉ。」

 

 

相変わらず低いテンションの挨拶をしてくる。少し癪に障るが大人の余裕を見せるため気にしないそぶりをとる。

両者が決闘場の真ん中まで来ると、観戦に来ていた天神館生徒達の喝采が鳴り響く。全米チャンピオンと、自分達の学校で最も強い男。両者の対決に生徒達は手に汗を握る。

 

 

「ゲイツ! ワタシの勝率ハ!?」

「九十九.九九%だよ、兄サン!」

 

 

弟が割り出した勝率が外れたことがない。ゲイルは不敵な笑みを浮かべて、対戦者の前に立つ。やはり噂は噂でしかなかったのだと判断した。

大体、あの「武神」と同格の武人が今まで知られていなかったといのが可笑しい。どうやら自分達は一杯喰わされたらしい。そう判断するとゲイルは腕を広げて、対戦者に挑発をした。

 

 

「ヘイ、Boy! Youにハンデを上げまショウ。ワンパンチ...打ってきなサーイ!」

「......いいの?」

 

「遠慮は、無用デスッ! さぁ、思いっきりきなサーイ!」

 

 

ゲイルは例え一撃喰らっても、倒れない自信があった。改めて見てみても、目の前の青年からは強者の”覇気”が感じられない。さらに近くで見ると、青年の体つきがよく分かる。一般人よりは鍛えられているが、スポーツジムにでもいけば、これぐらいの肉体をした人はゴロゴロいる。

いたって普通の青年だ。ならばこの青年から放たれるパンチの威力を想定するのなんてわけない。どう転んでも、かつて自分の肋骨を壊した北米王者以上のパンチなんて繰り出せるわけがない。

 

一方余裕を見せるゲイルを前に、対戦者・「柳竜」はどこかホッとした顔をして、鍋島の方に視線を移した。視線の先では、鍋島が親指を立てて此方に腕をつきだしている。

 

 

「じゃあいくけど...後で俺のこと恨むなよ、おっさん。」

「HAHAHA! 面白いJokeですね。ワタシの首より細い腕で、ワタシを倒すというのデスか?」

 

「先に一発ぶち込んでいいって言ったのはおたくだからな...」

「いったい何を.....!」

 

 

瞬間、ゲイルの顔から笑みが消えた。青年が構えをとったからだ。たかが戦闘態勢にはいっただけで全米チャンピオンが動揺したりはしない。では何故ゲイルは笑みを凍らせたのか?

 

 

それは、青年の構えがあまりに美しかったからだ。その構えは空手の正拳突きの構え。ゲイルもかつて空手の達人と闘った経験があるのでその構えは知っていた。

しかし、かつて闘った達人とは比べものにならないくらい、青年の構えは美しかった。一瞬目の前に、ミケランジェロが彫った彫刻が現れたのかと思ったと後にゲイルは語った。

 

 

青年・柳竜が正拳突きの構えをとってからすぐの出来事だった。

 

 

 

音を置き去りにして、彼の姿が消えた。

 

次に起こったのは雷鳴のような爆裂音と共に彼方に吹き飛ぶゲイルだった。

 

 

「..........ホゥ!? ニ、兄サ~~ンッ!!」

 

 

数秒後、ようやくブルースクリーン状態から再起動した弟のゲイツが急いで兄のもとへ駆けつける。いったい何が起こったのか。格闘家ではないゲイツには何が起きたのかさっぱり分からなかったが、兄があの青年に敗北したという事実だけは理解できた。ゲイルは白目をむいて気絶しており、気のせいか胸元が握り拳分へこんでいる。

 

 

「オゥホぅ!? マママママサか! こ、こんなコトが!?」

「…どうやらこの勝負、ウチの柳の勝ちのようだな。」

 

 

鍋島の言葉を合図としていたのか、観戦していた生徒達が皆拍手で讃える。自分達の誇りである最強の男を。

 

 

「すっげぇ! 全米チャンピオンを一撃かよ!」

「さっすが柳先輩! 俺達にできないことを平然と成し遂げる!」

 

「「そこに痺れる、憧れるぅッ!」」

 

「フッ! さすがはこの俺がライバルと認めた男、鮮やかな勝利だ。」

「何度見ても凄まじいですな。あれが”ただの正拳”でしかないとは。」

 

「美しい...圧倒的な強さとは、こうも華となるのか。」

「ゴホ、ゴホ...俺ももう一度、手合せしたいものだ。勝率はかぎりなくゼロだろうがな。」

 

 

彼の強さに憧れる者、彼の強さに挑もうと意気込む者、形は違えど皆彼を褒め称えた。

ゲイツは悟る。自分達の収集したデータは誤りだったことに。全米チャンピオンの兄を一撃で倒すほどの実力。しかも特殊な技などではなく、ただのパンチで。にわかに信じられなかった噂だったが、信じざるをえないだろう。

 

 

「ほ、本当に...あ、あのBoyは、あの”MOMOYO”と同格だと言うノカ!?」

 

 

気絶している兄を介抱しながら、ゲイツは決闘場に立つ彼を見る。登場した時と変わらず普遍的な佇まいだが、その姿はどこか神々しく見えたと、後にゲイツは語った。

 

 

 

 

全米チャンピオン・ゲイツとの決闘後、件の青年柳竜は天神館館長室にいた。来賓客用のソファーにどっしりと座っている鍋島の前に立ち、眉間にはしわがよっている。もし、この様子を何も知らない第三者が目撃したら、青年と鍋島の関係は悪く今にも取っ組み合いをしそうな雰囲気だと勘違いを起こすだろう。

しかし、実際の彼等の関係は違う。その事を知る人間は、とても少ない。

 

 

「.....おい、どういう事だ?」

「あ? 何がだよ。」

 

 

柳竜が少し怒気を混ぜた声色で鍋島に話しかける。それに臆することなく鍋島は応える。

 

 

「さっきの決闘のことだよ。話が違うじゃあねぇか。」

「あぁ? どこがだ。「アメリカから強ぇのが来るから、それと闘え」って言ったじゃぁねぇか。」

 

 

鍋島は先日柳竜と交わした会話の内容を思い出す。今言った通り、アメリカから柳竜と闘いたいという申し出をしてきたカラカル兄弟の挑戦を承諾し、それを彼に伝えた。彼もそれを了承し、今日今さっき決闘が行われた。何も問題のない流れだ。いったい何が不満だというのだろう。鍋島は謎だった。

次の瞬間、館長室が轟くほどの大声で、柳竜は鍋島に吠えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「カラカル兄弟が相手だなんて一言も言ってねぇじゃあねぇかぁあああああああ! アンタ言ったよな!? 「アメリカで今ちょっとデカい顔してる青二才が相手」って! どこが青二才だ!? どこが二歳!? 貫録たっぷりの筋肉ムキムキの全米チャンピオンのどこが青二才だッ!? 緊張しまくって顔面麻痺してたけど、内心ヒヤヒヤもので死にそうだったんだぞ、クソジジイぃいいいいいいいいいいいいいいいッ!!」

 

 

今、先程の決闘を観戦していた生徒達と、当事者であるカラカル兄弟がこの場にいたら、こう思うだろう。

 

誰だ、コイツ。 と...

 

 

「俺からしたらあんな若造、青二才よ。データ戦法だがなんだか知らねぇが、ンなモンで勝てるほど、世界は甘くねぇって事を教えてやろうと思ってな。」

「じゃあアンタがやれよ! 何で俺!? 一介の高校生が何で全米チャンピオンと闘わなきゃあならねぇんだよッ!」

 

 

柳竜の言葉に、はぁ..とため息をつきながら鍋島は言う。

 

 

「お前のどこが一介の高校生だよ。普通の高校生はな、全米チャンピオンをワンパンで倒したりしねぇよ。」

「それは偶々! あのおっさんが先に一発打ってもいいって言ったからできたわけで! 何度も言っているけどな、俺はアンタ等化け物共と違ってちょっと一芸が得意なだけの一般人(・・・・・・・・・・・・・・・・)なんだからなぁッ!」

 

 

お前のような一般人がいるか。と鍋島は言ってやりたくなったが、それをのみ込んだ。

彼は確かにカラカル兄弟を倒しはしたが、事実...彼の言う通り、彼は一芸に秀でただけの武道家、いや、武道家と言っていいのかも曖昧な男なのだから。

 

 

「つってもお前、俺が稽古つけてやってからだいぶマシになってきただろうが。」

「マシっつたって、素人のグダグダ回避術がちょっとキレイになっただけだろうがッ! それ以外は何にも変わっちゃいねぇよ! 筋力も、体力も、氣とかいうインチキドーピングだってできやしねぇ。そんな俺がなんで...」

 

「でもそんなお前は全米チャンピオンに勝ったし、西方十勇士の連中にも勝ってみせた。そんな奴は、普通じゃぁねぇな。」

 

 

ぐぬぬ..といった表情で柳竜は黙り込んでしまう。言い負かせたので、鍋島は悪ガキのようにニシシと笑っていた。

 

 

「...と、とにかくッ! 勝ったんだから”約束”は守ってもらうからなッ! 条件通り、俺は今度の『東西交流戦』には参加しねぇぞッ!」

「あぁ、わぁったよ。しっかし、もったいねぇなぁ...あの爺さんをビックラこかせる良いチャンスだと思ったんだが。」

 

 

それは柳竜がカラカル兄弟との決闘を承諾する際に出した条件だった。

 

『決闘は受ける。ただし、その代わりに今度開催される東の川神学園との交流戦には参加しない』

 

その条件をのんでしまった以上、今更白紙に戻す訳にはいかない。鍋島は残念に思いながら、先程自分で煎れた緑茶をすすった。

 

 

「なぁ、何がそんな嫌なんだ? 今のお前なら、いい勝負すると思うぜ? あの『武神』と。」

「そ・れ・だ・よ! 『武神』と闘うのが嫌なんだよ! つか今更だけど何だよ、『武神』って! そんな馬鹿みたいな存在が世界共通の危機問題って、それで大丈夫なのかこの世界はッ!」

 

 

もし今の発言を武神が聞けば、柳竜はぶん殴られるだろう。だがそれほど彼は、武神を嫌って...いや、恐れているのだろう。

 

 

「まぁ、でも...事は遅かれ早かれだな。その内嫌でも闘うことになるだろうぜ。」

「は、はぁ!? どどどどどど、どういうことだよジジイッ!?」

 

「お前、頭良さそうに見えっけど、やっぱ抜けてんなぁ。お前は今日誰を倒したと思ってんだ? 全米チャンピオンだぜ。噂はいっきに広まるだろうよ、「全米チャンピオン敗れる。噂の強者、実在していた」とな。そうなったら、いずれ嗅ぎつけるだろうさ、噂の人物の正体がお前だってな。」

 

「ちょ、噂ってあれ、アンタと”燕”と、後十勇士の馬鹿共が尾ひれつけまくったデマじゃあねぇかッ!」

「でも事実もちゃんとある。お前が十勇士の連中を倒したことも事実だし、表のチャンピオンとはいえカラカル兄弟を一撃で倒した。そうだろ?」

 

「ぐ...で、でも、それで武神が俺に喰いつくはずが...」

「喰いつくさ。あの”嬢ちゃん”、最近手ごたえのある相手を探しまくってるらしいからなぁ。噂の人物が実在していると分かれば、もしかしたら押しかけてくっかもしれねぇぞ。」

 

「まぁッ!?」

 

 

顎が外れそうなほど柳竜は大口を開けて驚愕する。言われて気づいたのだ。確かに噂の一部の通り、自分は西方十勇士を倒した。しかしそれがあくまで噂にすぎなかったのは、それらの闘いが全部非公式のものであり、記録には残っていなかったからだ。

しかし、自分は目先の利益に惑わされ、失敗を犯してしまった。全米チャンピオンとの決闘はお互い了承して、正式な手続きをふんだうえでの公式なもの。記録には当然残る。

カラカル兄弟は帰国したら、いや下手をしたら今もう言っているのかもしれない。自分達を倒したのは噂の人物だと。全米チャンピオンの言葉には信憑性がある。それが武神の耳に入って、鍋島の言う通りになったら....

そんな悪夢を想像した柳竜は、大急ぎで館長室を後にしようとした。

 

 

「あぁ、カラカル兄弟に自分の事言わないでくれって頼みに行くなら無駄だぞ。アイツ等負けた後さっさと帰っちまったから。」

「早ッ! まだ五分ちょっとしか経ってねぇよ! もう帰ったのあの二人! もっとゆっくり観光とかしていけよ! 何しに福岡に来たんだよッ!」

 

「お前と闘うためだろ?」

「そうだけど...ッ! まさか....ジジイ。テメェこうなること分かってあの条件をッ!?」

 

 

柳竜の言葉に、鍋島はニヤリと笑う。

 

 

「さ、詐欺だぁああああああ! 弁護士は何処だッ!? ここにいたいけな青少年を騙して悦にいたるクソッたれボケジジイがいるぞぉおおおおッ!」

「何被害者面してんだよ。ウチに入学しちまった以上、”平穏”に暮らせるわけねぇだろうが。」

 

「が、が、が、......あぁぁぁぁああああああああッ!」

 

 

 

 

「どうしてこうなったぁぁあああああああああああああああああああッ!」

 

 

 

 

 

 

 

これは勘違いから始まった物語。

一人の少年が見せた予想だにしない特殊な”才能”が、めぐりにめぐって創られた物語。

はたして彼は稀代の天才なのだろうか。それとも大ふらふきのペテン師なのだろうか。

それともそのどちらでもない、ただの幸運な、いや、不幸な青年なのか。

 

この物語は、青年・柳竜が盛大に人生の選択を誤ったことから始まる物語である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 




大幅にストーリーが変わった。これはもはや別物といってもいい。

それでも、私は、こっちのほうがおもしろそうだと思ったんだ。


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