真剣に俺は平穏に生きたい!   作:volcano

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今回の話は一話にしたらかなり長くなったので分割しました。

※感想にてリメイク版が好評のようでうれしいです。





最強の男の噂

『東西交流戦』

 

日本が誇る武士学校の二校「川神学園」と「天神館」の生徒同士が繰り広げる大決闘祭である。普段は険悪なクラス同士が結託し友情を深めるだけでなく、未知の武術を体感し見聞を広める絶好の機会でもあった。

 

交流戦は川神学園がある川神市で行われた。場所は大財閥「九鬼財閥」が保有している廃工場。対戦は一年生、三年生、二年生の順で始まった。対戦のルールは各学年に一人いる代表者を先に倒した方が勝ちというシンプルなもの。それ以外は何をしても大丈夫というハングリーなルールに各校の智将はそれぞれ必勝の策を練った。

 

最初の一年生の部では、川神学園の期待の新星、かの剣聖・黛十一段の娘「黛由紀江」の活躍が目覚ましかった。その卓越した剣閃は迎え来る敵を次々となぎ倒し、まさに一騎当千を体現していた。しかし彼女の活躍は土壇場で台無しとなる。川神の一年生の代表が何を血迷ったのか無謀にも一人で特攻し、文字通り袋叩きにあい、一年生の部は天神館の勝利となった。

 

次の三年生の部はまさに流星のような速さで決着がついた。川神が誇る世界最強の武人、「武神」を打倒すべく、天神館は全生徒が一つとなって完成する秘奥義「天神合体」をくり出すも、武神の強大な一撃にあっさり敗られた。

 

最も接戦し手に汗握る展開だったのは最後の二年生の部だった。西国の有名武家の子孫が集まった「西方十勇士」に川神学園は苦戦をしいられた。西の代表・石田三郎の強さも本物で、次々と川神学園の猛者をなぎ倒していった。勝利は目前だった天神館。だがあと一歩というところで勝利を逃してしまった。川神学園が温存していた秘密兵器「武士道プラン」の転入生によって石田は倒されてしまったのだ。

 

よって、東西交流戦は2-1で川神学園が勝利をおさめた。天神館も負けはしたものの、全力を出し切っての敗北だったからか、その顔に悔いは無く晴れ晴れとしたものだった。この対戦を立案した両校の学長の思惑通り、この東西交流戦は生徒達にとてもいい刺激になったのだ。

 

 

 

しかし、今回の東西交流戦。最近その存在が確認された西国最強と謳われる噂の人物は、終ぞその姿を見せなかった。何故件の青年は現れなかったのか。体調が悪かったから? 興味がなかったから? それとも、所詮噂は噂にすぎずそんな人物などいなかったのだろうか?

いずれにせよ、小さな謎を残し東西交流戦は幕を閉じた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『風間ファミリー』

川神学園でその名を知らぬ生徒はいない。二年生「風間翔一」をリーダーとした学生グループ。九人の少数メンバーだが、内五人が武に長けていて街のゴロツキ程度なら一捻りするほどの戦闘能力をもっている。学園内だけでなく、地元川神でも幅をきかせているグループである。

先の東西交流でも、目覚ましい活躍を残した九人。内メンバーの二年生、「直江大和」、「島津岳人」、「師岡卓也」、「川神一子」、「椎名京」、「クリスティアーネ・フリードリヒ」の六人は今日も仲間と楽しく談笑していた。

 

 

「この間の交流戦、やっぱMVPは俺様だろ? この筋肉で何十人もぶっとばしたんだぜ。」

「討伐数で決めるなら、自分も負けてないぞ!」

「アタシもよッ! アタシはなんたって、あの西方十勇士の一人を倒したんだからッ!」

 

「あの三人は相変わらず元気ねぇ。京は参加しないの? 京も十勇士の一人倒したって聞いたけど。」

「しょうもないから参加しない...」

 

 

みんな先の交流戦での自分の活躍を競うように自慢しあっていた。他のクラスのみんなが静観しているところを見るに、このようなやり取りは日常茶飯事なのだろう。

自分はこうだ、私はこうだと言い合う中、その輪に参加せず携帯電話をいじっている者が。先の交流戦では戦略参謀を務め、「軍事」と呼ばれるほど卓越した頭脳を持つ「直江大和」だ。

 

 

「どうしたの、大和? 何か難しい顔してるね。」

「もしかして性のお悩み? それなら私が発散させて...!」

 

「結構です。...別にたいしたことじゃないんだけど、ちょっとね。」

 

 

そういうと携帯電話を閉じて、ポケットにしまう。

 

 

「実は交流戦で新しくできたメル友を介して、情報収集してたんだけど、思ってたより成果がでなくてさ。」

「情報?」

「ほら、三年生の試合に参加してなかった「噂の奴」だよ。」

 

 

直江大和が調べていたのは、今じゃ川神学園中で知らぬ者なしと言えるまで広まった噂。「西国最強」とまで謳われる一人の男についてだった。

 

名前は『柳竜』。天神館の三年生。現在分かっているのはこれだけだ。この人物の名が爆発的に有名になったのは数週間前のこと。あの全米チャンピオン「カラカル兄弟」に勝利したことからだ。

”表世界”のとはいえ、世界一の称号をとった男に勝利した。しかも、たった一撃のパンチで倒したというのだから、武に精通するここ川神学園では大きな話題となった。何せその当時、数日後に東西交流戦が開催される予定であったので、その件の男が「武神」と闘うのではと期待されたのだ。

しかし、実際には男はただの一度も姿を見せず交流戦は終わった。そのせいでか、川神学園での男の心象は少し悪い。

 

 

「なんだ大和。”ドタキャンチキン野郎”のことなんか調べてんのかよ。」

「こら岳人! 知らない人をそんなふうにバカにしちゃいけないわ!」

「うん、ワン子の言う通りだぞ!」

 

 

話を聞いていたのか、先程自慢大会をしていた「島津岳人」と「川神一子」、「クリスティアーネ・フリードリヒ」が参加してきた。

ちなみに、島津岳人が言った「ドタキャンチキン野郎」川神学園生徒がつけた柳竜のあだ名である。もっぱら、彼は川神学園ではこの名で通っている。

 

 

「で、途中からしか聞いていなかったが、あの件の人物がどうかしたのか?」

「いや、俺が個人的に気になったから調べてただけって話。まぁ、ほとんど収穫はなかったけど。」

 

「はッ! まさか大和、遂にその道に...!」

「違うから、そんなんじゃないから。」

 

 

ギラリと目が光った「椎名京」を速攻で断じる。そんな彼女の手には二つのアルファベットが書かれたピンク色の本が。

 

 

「単純に、”姉さん”と同じくらい強いって噂されている人だから、どんな人か興味がわいたんだよ。」

「で、収穫が?」

 

「ほとんどなし。唯一分かったのは、西方十勇士全員と勝っているってことぐらいだ。」

「え、あの十勇士に!?」

 

 

川神一子が声を上げて驚くのは無理もない。彼女は交流戦で十勇士の一人と対峙したから、その実力の高さをよく知っている。その十勇士の一人に勝つだけでもスゴイのに十人全員に勝つなんて相当な実力者でないとできない業績だ。

 

 

「じゃあ、噂通りその人物は強いのではないか?」

「それが、十勇士に勝ったっていう”記録”はどこにもないんだよ。多分公式に行ったものじゃないんだと思う。」

 

「う~ん..よく分かんないけど、つまりどういうことなの?」

「つまり、この人の戦歴は信憑性が薄いんだよ。闘った当人が立証しているから十勇士のことは本当だろうけど。」

 

 

そう、直江大和の言う通り、これこそが柳竜がその存在がまことしやかとされていた理由だった。

彼の経歴はほとんど謎であり、唯一の公式記録が先日のカラカル兄弟との一戦だ。それまでは一切の記録を持たない与太話の人物とされていたし、兄弟との一戦後もたった一つの戦歴が全米チャンピオンに勝利したという荒唐無稽な話であるため、今だに彼の存在を否定する意見も存在する。

ちなみに、直江大和が十勇士の情報を得られたのは、彼の言うメル友が何を隠そう西方十勇士のメンバーの一人「大友焔」であったからだ。

 

 

「でも十勇士に勝っているなら、やっぱり強いんじゃない?」

「そうか? あんな連中俺様達の足元にも及ばないぜ。実際交流戦で勝ったの俺様達だし、大したことねぇ連中なんじゃねえの?」

 

 

島津岳人は十勇士のことを軽視しているが、そんなことはない。西方十勇士は西国の古い武士家系の子孫達が集ったエリート集団だ。個々の戦力は高く、もし島津岳人が一対一で闘ったとしたら、まず負けるだろう。

しかし、彼等には致命的な欠点があった。連携力が非常に低いのだ。先の交流戦でもその連携力の低さが勝敗を決めたといっていい。とはいえ、交流戦では負けとなったが個人の実力は本物だ。その十勇士全員を倒したというのは、決して侮れない戦歴なのだ。そのことは、直江大和も重々承知している。

 

 

「実際闘ったのって、京とクリスと一子じゃないか。岳人何もやってないでしょ。」

「んだと、モロ! てめぇは俺様のスーパーな活躍を忘れたのか! このやろ、くらえ! 俺様スリーパー!」

「ぎゃあぁあ! 痛い痛いッ! 骨折れるぅ!」

 

「モロ、そこで左腕を後ろに回して襟をつかむんだ!」

「そしてそのまま背負い投げよ!」

 

「できないよッ! 見てないで助けてぇえええ!」

「しょうもない...」

 

 

こっちの話などそっちのけで馬鹿騒ぎを始める旧友達。まぁいつものことだ放っておいて、今一度直江大和は携帯電話を取り出し、目当ての文面を画面に映す。

映し出された内容は先程話していた『柳竜に関するプロフィール』だ。詳細はさっき話していたのと何も変わらない。

 

 

「(ほんとうに、何者なんだ? どこの流派にいたかも、誰に師事をうけたのかも、どんな武術を使うかも、一切分かっていない。なのに「西国の強豪を根こそぎぶちのめした」とか「天神館館長と一昼夜の死闘をくりひろげた」とか、荒唐無稽な伝説がたくさんある。もしカラカル兄弟が実際に当人と闘ったって言わなかったら、さすがに俺も信じなかった。)」

 

 

画面をスクロールしていくと、一枚の写真が現れる。写っていたのは特徴のない顔立ちの男の写真。

天神館のメル友に交渉して入手した、「柳竜の顔写真」であった。その底が見えない無表情な相貌を見つめ、直江大和は未知の危険度の男に、返答のない問いかけをする。

 

 

「お前の真実(正体)は、何なんだ? 柳竜...」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「大和。今のは昔の病気の再発?」

「ち、違う! 断じて違うッ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

同時刻。福岡県某所、天神館の区域にあるとある浜辺。

 

 

「ヘックショォイッ! あぁ、寒ッ! クソ、普通生徒を海に突き落とすか? 体罰で訴えるぞ、クソジジイ。」

「これぐらいここ一年の特訓(・・・・・・・)の中じゃあヌルイほうだろうが。文句言ってっと明日から練習量倍にすんぞ。」

 

 

遠い地・川神で話題にされている男、柳竜は今ブルブルと震えながらたき火にあたって濡れた体を乾かしていた。

その近くでは、鍋島正が葉巻をふかしている。彼等がいるのは天神館が所有している浜辺の一角。辺りに他に人はおらず、静かな波音と二人の会話だけが響いている。

 

 

「しっかし、まぁ。一年鍛えてようやくこの程度か。お前、本当に才能ねぇな。」

「悪うござんしたな。っつっても、普通の人間はこんなもんだよ。氣とかいう無茶苦茶なモン使っているアンタ等化け物の物差しで測んじゃあねえよ。」

 

「操氣術なんざぁ、一定のランクになれば普通はできるもんだがな。俺から言わしたら、”氣も使わずにあんなパンチ打てる”テメェのほうが異常だぜ。」

「...何度も言ってっけど、俺だって何であんな威力がでるのか分かんねぇんだよ。ただひたすら正拳突きをやりまくってたらできてたし、案外誰でもできるんじゃあねえか?」

 

「ケッ! できてたまっか。 んな簡単にできたら、俺の今までの数十年の修練は何だったんだってことになるじゃねぇか。」

「知らねぇよ。老人ホームにでも行けば努力賞とか貰えんじゃね?」

 

「...おぅし、そろそろ服乾いたな。特訓再開といこうか。」

「はぁ!? 今日の分はもう終わっただろ!?」

 

「師匠を罵倒した罰だ。ついでにこれからの練習量も三倍に増やす。目上の人を敬わねえからこうなんだよ。館長直々の社会科授業だ。ありがたく思えや。」

「思うか、クソジジイぃいいいいいッ!」

 

 

その後。柳竜は嫌がらせのように何度も何度も海に叩き落とされた。日が沈み、冷え切った海に落ちながら「いつか絶対あのジジイ、ぶっ飛ばす」と彼は固く決意したのであった。

 

 

柳竜が鍋島正に師事をうけるようになったのは、今から一年前の春の頃からだ。

そもそもの始まりは一年前、柳竜が西方十勇士に勝ってしまった(・・・・・・・・・・・・・)ことから始まる。本人は偶々時と場所と運が味方しただけと主張したが、既に全校中に広まりつつあったその武勇は、そんなことでは色褪せることはなかった。

何しろ西方十勇士、特にリーダーである「石田三郎」の実力はあまりに有名だった。その実力は武人ランクの最高峰『マスタークラス』に入るとさえ言われるほどだ。数々の大会にも優勝し、名のある武術家を多く倒してきた実績もある。十勇士の長をつとめるに相応しい強者だった。

 

その石田を、柳竜は一撃で倒した(・・・・・・)のだ。それも多くの生徒が見ている中、卑劣な手など一切使わず、正々堂々・真正面からぶつかり合い、倒したのだ。

それだけでも十分な武勇だが、彼の武勇伝はまだ終わらない。その後立て続けに挑んできた他の十勇士のメンバーも、一撃でのしたのだ。病弱だと思われていたが、実は十勇士真のナンバーワンであった「大村ヨシツグ」も同じだ。熟練された古流体術も、柳竜の不敗の拳の前に敗れ去った。

 

このことをきっかけに柳竜の立場は大きく変わる。平凡な一生徒から非凡の天才になってしまった。そしてここは天神館。血気盛んな武士のタマゴが集まる場所。当然、柳竜に決闘を申し込んでくる生徒の数は十や二十では収まりきらなかった。

もちろん、柳竜はその申し込みのどれにも承諾はしていない。何故なら申し込んできた生徒の中には致死性ではないものの毒を扱う者や、実弾ではないがライフルを扱う者までいた。さすがにそんな連中と決闘なんざやってられないと、彼は全て断ったのだ。幸い、西方十勇士を撃破したという実績のおかげでとやかく文句を言ってくる者はいなかった。

とはいえだ。彼に決闘を申し込む生徒がゼロになったわけではない。ありもしない虚像に憧れの視線を向け続けられ、年のわりに老成した性格の彼もさすがにまいってしまった。

耐え切れなくなった彼は学長である鍋島に全てを打ち明けたのだ。自分は噂されているような人間じゃあない、本当は才能なんてないし、できるのも正拳突きだけの凡人だと。

だからどうか、自分を助けてくれと。彼は必死に懇願した。

 

全てを聞いた鍋島はコクリと頷き、柳竜の訴えを聞き入れた。

 

 

そして、

 

 

彼を自分の弟子にした。

 

 

 

え? 何で? 聞いてなかったんですか? 俺もうこんな生活嫌だって言いましたよね? コリゴリだって。え、なのに何で? 何で俺、館長の弟子になっちまってるんですか?

 

 

その当然の疑問に、鍋島は応える。

 

 

誰がテメェみたいな”おもしれぇの”逃がすかよ。やっと川神の爺さんを顎が外れそうなくらいびっくらこかせられる奴を見つけたんだ。それに、今から俺がテメェを鍛えりゃあ、噂も本当になるし堂々と生活できるだろ? 一石二鳥だな、こりゃ。

 

 

 

その瞬間、柳竜の中で鍋島の呼び方はクソジジイで固定された。

 

こうして柳竜は鍋島正の弟子になった、いや、ならされた。

鍋島には密かな野望があった。それはいずれ自分が育てた生徒が川神学園の生徒を負かし、師である川神学園学長の「川神鉄心」に一泡吹かせてみたいという野望。

しかし天神館が創立されてより今日まで、鍋島の目にかかる生徒はいなかった。さらには川神学園に世界最強と謳われる「武神」が入学してからは、その野望はいっそう遠い夢になってしまった。

そんなおり現れた柳竜という極上の大魚を、鍋島が見逃す道理などなかった。本人は自分を凡人と言うが、そんなわけがない。というより、普通凡人は音速を超える正拳突きなんてできない。この時点で彼は超人なのだ。

確かに彼が供述した通り、攻撃力以外はからきし駄目だったが、ならば今から鍛えればいいと鍋島は判断した。幸いなことに、柳竜には本人でさえ気づいていない「ある能力」があり、そのおかげかここ一年ちょっとの特訓で柳竜の戦闘能力はかなりのものとなった。

 

かくして、柳竜は自身が望まぬ武力を身につけた。

鍋島はほくそ笑む。自分が育てた馬鹿弟子が、あの「武神」と対峙するその時を思い描いて....

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「バァクショイッ! ぅぅおぁ! 絶対これ風邪ひいたぞ。チックショウ、あのクソジジイ...間違って葉巻のみ込んでむせろ。」

 

 

特訓が終わる頃には日は完全に沈んでいた。散々海に落ちて冷え切った体に冷たい夜風が当たる。ブルブルと震える体をこすって温めながら、自分の部屋である天神館の寮に向かう。

 

暫く歩くと寮が見えてきた。もう大分夜遅いが、寮の明かりは消えていない。さすがは高校生、夜更かしは美容の大敵という言葉なんて彼等の前では無力のようだ。

さすがに今からあの輪に入る気力と体力はない。この凍えた体を風呂で温めてさっさと寝ようと決め、寮の入り口を開け中に入ろうとして、動きを止める。普段なら無視している寮生が個別に持っている自分専用ポストに目がいったからだ。珍しいことがあるものだと彼は思った。なにせ自分のポストに今まで手紙が入っていることなんてなかったからだ。(祖父とは電話でやり取りしている)

 

 

「なんだ、これ? 手紙か?」

 

 

自分のポストに挟まっている茶色の封筒を手に取り、中身が紙であることから手紙だと推測した。裏側に書いてある差出人の名前を確認しようと封筒をひっくり返して、彼の顔は凍り付いた。

そこに書かれてあった名前は、もう二度と会いたくないと思っていた人物の名前だったからだ。

 

思い出すのは半年前の出来事。鍋島との特訓の最中に、その人物は突如として現れ、彼に勝負をふっかけてきた。

勝負の最中の事は殆ど覚えていない。なにせ、勝負を引き受けるうんぬんを言う前にいきなり殴りかかってきたのだから。対処するのにいっぱいいっぱいで、正直あの時どんな結果に終わったかなんて記憶になかった。

ただ、あきらかに当ったら即死するような攻撃ばっかりしてきたことは覚えている。そのせいか印象は最悪だ。

 

 

「な、なんでこの人が...!?」

 

 

できれば金輪際関わりをもちたくないと願っていた。だが、現実は非常だ。いったい中の手紙の内容はなんなのか? もしかして決闘状かなにかではないかと身震いをする。

 

紙面に書かれてある名前をもう一度確かめてみる。何度見ても書かれてある字に変化はない。

紙面にはこう書かれてあった。

 

 

 

 

 

柳竜殿 近況報告

 

差出人 『橘 天衣』

 

 

 

 

 

 

 




次回は半年前、柳竜と橘天衣がどのようにして邂逅し、どんな勝負を書きます。ご期待ください。

PS.タグに「勘違い」と打ちましたが、当サイトで投稿されている他の勘違いものの作品のようなクオリティのものではありませんので、過度に期待はなさらないでください。
正直、これが勘違いできているかどうかも微妙なできなので。


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