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イナイレ新作発売日&新情報発表でイナイレ熱再燃
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クロスのネタを考えるようになる
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某掲示板でスレ立て
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自分の考えたネタや投げられた概念から執筆してみよう!
という経緯で始まりました。小説・SS完全初心者の拙い文章ですが、読んでくださると嬉しいです。
夕暮れの河川敷、トレセン学園でのトレーニングが終わった後。
「はぁ……ハァッ……!」
アタシ、ナイスネイチャは、まだ自主練を続けていた。
普通ぐらいが丁度いいと思っていても、心の底では、1番になりたいと思っていて。
皐月賞に日本ダービー。出走していなかった2つのG1で勝利を収め、2冠を手に入れたトウカイテイオー。アイツに負けないぐらいキラキラした主役になる為に。
「──っ!はあぁぁぁァァァッ!!」
怪我が癒えたばかりの脚に更に力を込め、速度を更に加速させる。
自分の中の闘志や憧れを、走る力に変えるように。
「……ン?」
「…ふう。そろそろ休憩しますかね~」
走り終えた後、目安にしていたベンチに腰掛け、置いておいた水筒を取る。
「──ぷはぁ。……らしくもなくアツくなっちゃったな」
なんて言って、自分を落ち着かせようとした時だった。
「なあ嬢ちゃん、こんなとこで何やってんだ?」
「はい?──ヒィッ!?」
後ろから声を掛けられ振り返ったアタシは、その後ろの声を掛けた人の姿に一瞬ビビってしまったが、正直許してほしい。だって、アタシの後ろに立っていたのは、白スーツに白ハット、それにサングラスを付けた姿をした、明らかに普通の人じゃない見た目をしていたから。
「オイオイ、そんなビビんなくてもいいじゃねぇか…いや、こんな姿じゃしょうがねえか」
「ス、スイマセン…それで、えっと、どなたでしょうか…?」
「おっと、自己紹介がまだだったな」
アタシが尋ねると、その男の人はサングラスを外して自己紹介を始めた。というかこの人、どこかで見たような…。
「オレは染岡、染岡竜吾だ。染岡って呼んでくれ」
「はぁ、染岡さんですか……って、染岡ぁ!?」
その男の人がそう名乗ったのを聞いて、アタシはまた驚いてしまった。だって、染岡さんって…。
「染岡って、元イナズマイレブンで、今はイタリアで活躍してるって、あの染岡さん!?」
「なんだ、結構知ってるじゃねぇか。そう、その染岡だ」
男の人がとんでもない人だと知って、アタシは大層驚いた。小さい頃からテレビでしか見たことないような人が、目の前に居るなんて…。
「えっと、そんな人が、なんでアタシなんかに声を?」
「そりゃあ、お前が必死に頑張ってたからだな。…そういやそっちの名前、まだ聞いてなかったな」
「あ、アタシ、ナイスネイチャって言います。それで、アタシが必死に頑張ってたって、どういう…?」
「おっと、ちゃんと話さねぇとな。…実を言うと、昔のオレを少し思い出しちまってな」
「昔の?」
「ああ。…なあ、ナイスネイチャ。お前には、目標にしてるような奴とかは居るのか?」
「目標…とはちょっと違うかもだけど、居ます。超えたいって思っている子が」
「そうか。…やっぱり、なんとなく似たものを感じたのは、合ってたみたいだな」
そう言いながら染岡さんは、何かを思い出すように空を見あげた後、改めてアタシの方を向いてきた。
「お前なら話しても良いかもな。…オレも昔、そういう感じだったんだよ。自分より凄いやつが突然現れて、そいつを超えたいって必死になってたんだ」
「えっ…」
驚いた。アタシなんかより凄い活躍してる人が、そんなふうに必死になってた時期があったとは。よく考えたら、同じ『競技』である以上、そういう時期があってもおかしくはないけれど。
「そのときは大分焦っててな、同じチームのキャプテンに言われるまで、オレは自分のプレイも忘れて足掻いてたんだ。あいつに負けたくねえ、オレもすごいシュートを撃ってやる、ってな」
「…そう、なんですね。ちなみになんですけど、その相手っていうのは?」
「そこまで知りてぇのか?まぁ良いけどよ。…豪炎寺、っていうんだ。こっちは知ってるか?」
「確か…染岡さんと同じ元イナズマイレブンで、今はサッカーの協会か何かの会長、でしたっけ?」
「そうだ。確か、日本少年サッカー協会だったか?まあそれはいいか。とにかく、豪炎寺が同じサッカー部に入ってから、オレはあいつを超えようと思ってた。雷門のエースストライカーはオレなんだ、ってな」
自分より凄い人から、こんな話が出るなんて。いわゆる「人間臭い」話に、アタシは興味を惹かれていた。
「でも、それだけじゃだめだった。…質問だ、ナイスネイチャ。」
「えっ?」
すると、突然質問を投げかけられた。当然想定していなかったアタシは、思わず変な声を上げてしまう。
「並びたい、超えたい相手がいるとして、そういう時に自分はどんなふうに動けば良いと思う?」
真剣な顔だった。その様子に、アタシは少しの間必死に考えて、
「…レースの話になっちゃいますけど、まず、相手の走りがどんな物か、一緒に走って確かめる、とかですかね?」
自分なりの結論を出した。すると染岡さんはその表情を緩め、
「相手を知るってことか。良い答えだ。オレも、相手に並んで、超える為には、相手を良く知る事が重要だと思ってる」
プロの選手に近い答えを出せた事に一瞬喜ぶが、すぐに気を取り直して続きを聞く。
「豪炎寺が入ってすぐの練習試合の時だ。相手が妙な技でシュートを止めるやつでな、一度入ったオレのシュートが全部止められちまった。その時豪炎寺は、冷静に相手のからくりを見破ってたんだ」
「試合しながらですか!?凄いですね…」
その妙な技というのも気になるが、それにタネがあると見抜き、更に対処まで試合中に考えていたという豪炎寺さんの冷静さに驚いた。
「だろ?それを知った時、オレはアイツがただ才能があるだけじゃないって痛感した。そして思ったんだ。ただ強くなろうとするだけじゃ駄目だ、相手が何を思っているか、何をするつもりなのか、良く見ないといけないってな」
「そうなんですねぇ。それで、そこからどうなったんです?」
「その術は相手の手を見ると食らっちまうってことでな、必殺技を豪炎寺の方に撃って、そこに豪炎寺が更に必殺技を重ねる、フェイントを入れた合体技を決めたんだ!」
「えっ」
やっぱりこの人才能あるわ、なんですか一緒にやったことほぼ無い相手と合体技使うって、それ凄く強いパスを相方がシュート撃てるように出したって事じゃないですか、やっぱりアタシと全然違うじゃないですか…
「そこからアイツを認めて、その上で──ってオイ、ちゃんと聞いてるか?」
「──ハッ、ス、スイマセン!」
なんて考えてたら、顔にも出てたらしく注意されてしまった。
「まったく…。まあとにかく、そっからアイツと一緒に強くなって、今に至るってわけだ。長い昔話をしちまったな。──なあ、ナイスネイチャ」
「はい」
今度はうまく返事ができた。
「お前は、その超えたい相手を、自分で良く知ってると思うか?」
「…良く、知ってます。アイツは強くて、走り方もちゃんと板についてる、凄いウマ娘です」
「なんだ、そこまで分かってるじゃねえか。それなら、お前は絶叫、その相手に並べる、いや、超えられる奴になれるはずだぜ」
「…はい!ありがとうございます!」
…体が軽くなるような、胸の中が熱くなるような、そんな気がした。伝説のイナズマイレブンって、ホントに凄い人なんだ…。
「そういえば、アタシの超えたい相手の名前、まだ言ってませんでしたね」
「そういえばそうだな。オレも豪炎寺の事を話したし、そいつの名前を聞かせてもらうか」
「そうですね~。トウカイテイオーって言うんです、その子」
「へえ、お前といいそのトウカイテイオーってやつといい、良い名前じゃねえか」
「いやいや、テイオーはともかくアタシは名前負けしてますよって」
「いいや、お前は絶対その名前にふさわしい強いやつになれるぜ。オレが保証してやる!」
「ア、アハハ…」
「──っと、長く話しちまったな。…そうだ」
「どうしました?」
染岡さんは何かを閃いたかのような顔をすると、おもむろに隣に置いていたバッグを漁り、サッカーボールを取り出した。そして足でボールを踏むと、
「よし、お前も少しやってみようぜ、サッカー」
「えぇ!?アタシがですか!?そんなプロ選手となんて──」
「いいからやってみろよ!そら、オレからボールを奪ってみな!」
「──あーもう、こうなったらやってやりますよ!」
「ほら、ボールはこっちだぜ!」
「くっ、まだまだぁ!」
「うぅ、こんのぉ!」
「これでもプロなんでな!まだまだ取られるつもりはないぜ!」
「今度はここだ!」
「うぅ、うおおおっ!」
「うおっと!?」
「はぁ…はぁ…やった…!」
「ハァ…ハァ…へっ、取られちまったぜ…やっぱすげぇじゃねえか、お前」
ボール、取れちゃった…。アタシ、ここまで出来るんだ…。
「ありがとう、ございます…って、スーツ汚れちゃってるみたいだけど、大丈夫ですか?」
「あー、別に構わねえさ。後で出せばいいだけだしな。っていうか、やっぱりサッカーやれるぜ、お前!一回ホントにやってみねえか?」
「か、勘弁してくださいよ、アタシレースもあるのに…」
「冗談だよ。…どうだ、今の気分は?」
「…凄い、スッキリした気分です。ホントに」
ここまで気分がスッキリしてるのは、多分初めてかも知れない。ホント、この人と話せて良かったな…。
ふと空を見ると、空は夕暮れを通り越して暗くなろうとしていた。
「って、もう時間ヤバいかも、すみません、そろそろ寮戻らないと、門限がヤバいんで!」
「そうか、じゃあそろそろ別れないとだな。…そうだ、ナイスネイチャ」
「どうしました?」
「そのトウカイテイオーってのは、お前と友達なのか?」
「友達…。まあ、プライベートなら、良い関係だとは思いますケド」
急に聞かれたので、取り敢えずそう答えると、
「そうか。…なら、もしそいつに何かあったら、お前が力を貸してやるんだ。良いな?」
「わ、分かりました。でも、それってどういう…?」
「いや、豪炎寺と一緒に強くなる事が出来なかった時があってな。お前らにはそんなふうになって欲しくなかったんだ。…おっと、暗い話するとこだったな」
その時の染岡さんの顔は、なんだか悲しそうだった。だから、その話にはあまり触れないようにした。
「それじゃあな。お前の活躍、期待してるぜ!」
「はい!」
そう言って、染岡さんは背を向けてその場を去っていく。その背中に、アタシは今日の感謝を込めて、
「──あの!今日は、ありがとうございました!」
その精一杯の感謝に、染岡さんは言葉の代わりに右腕を上げて答えた。
染岡さん→愛されてる
ネイチャ→愛されてる
つまり染岡さん=ネイチャ…?(超次元脳)