イナイレ×ウマ娘 イナウマ!   作:飯谷

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 書けたので2作目、某掲示板でスレ立てした時に投げられてた、『風丸と円堂と幼馴染のケイエスミラクル概念』です。
……2作目から他人の概念を使っていくスタイル。

 どうでもいい話なんですが、実はイナイレに個別のキャラソンがあった事を最近知りまして、執筆中に聴いてみました。

 すごく良かったでやんす。

 風丸のキャラソン、『舞い上がれ!』っていうんですけど、かっこよかったです。(小並感)執筆中ずっとリピートしてたでやんす。


疾風と奇跡の誓い!

「──それでさ、染岡も半田もずっと練習付き合ってくれるからさ、すげぇ熱入っちゃって!特に染岡のシュート、良いシュートだったなあ……!アイツのシュートの威力、まだ手が覚えてるぜ!」

「ははっ、相変わらずサッカー熱心だな、円堂。……っと、そろそろ病院だな、今日は円堂はどうするんだ?」

「あー、オレは今日はパス。この後母ちゃんから頼まれた物買ってかないとだからさ。母ちゃん待たせちゃったら悪いし、怖いし……」

「そうか。じゃあ、また明日な!」

「おう!また明日なー、風丸!」

 

 そう言って円堂と別れた俺は、そのまま目的地の稲妻総合病院に向かった。ここは、この稲妻町で一番の病院、それと、俺のもう一人の昔馴染みが入院している病院だった。

 

「あいつ、また無茶しようとしてなければ良いんだけどな……」

 


 

 病院に入った俺は、すぐにその昔馴染みが居る2階へと上がり、彼女の居る病室のドアを開けた。ドアを開けてすぐ、あいつが目の前のベッドに座っているのが見えた。

 

「あ、風丸。今日も来てくれたんだね」

「ああ、今日も来たぜ。ケイがまた、無茶しようとしてないか心配でな」

 

 病室に入った俺に声を掛けてきた、芦毛のウマ娘のケイエスミラクル。近所に住んでいて、親同士の付き合いも多かったということで、俺たちも必然的に会話する事が多かった。……主に病院内で、だけど。

 

「無茶なんて…。おれは、早くみんなに恩を返したいだけだよ」

「だからって無理にリハビリ頑張らなくても良いって。無事に走れるようになってくれるだけで、俺達は嬉しいんだからさ」

 

 ───ケイは、昔から体が弱かった。思うように脚を動かせず、身体を激しく動かすような運動はもちろん、軽い程度の運動でも下手をすれば命に関わるという虚弱体質、更に食も他のウマ娘は愚か、俺達みたいな人間よりも細く、そんな状態のため病院にかかりきりの毎日だった。俺が中学に上がる少し前には、生死をさまよう状態まで陥ったこともあった。

 

「だからだよ、風丸。母さんにも父さんにも、先生達にも、風丸にも、おれは助けられてばっかりだったから。……風丸も、陸上部に入ったの、おれの為でもあるんでしょ?」

「やっぱり分かってたか。……ケイが頑張って生きててくれたんだ、俺も頑張って良いとこ見せないとな」

 

 だけどケイは、奇跡を起こした。容体が回復し、体の状態も良好になった。そして今はその状態を維持しながら動けるように、時々俺と円堂も手伝いながら軽いリハビリから始め、昔よりは少しずつ動けるようになってきた。時々指示された分より動こうとする時もあったらしいが。そして、ケイがレースを走るウマ娘に憧れるようになったのを見て、俺も改めて陸上部に入部する決意を決めた。自分がどこまで速くなれるか確かめるだけじゃない、俺の走る姿で、ケイに勇気を与える為に。

 

「そっか。……おれなんかの為に、ありがとう、風丸。それで、今日の学校はどうだったの?」

「今日も大変だったさ。数学の時なんか何回も俺が指されて、問題解くハメになった」

「ふふっ、風丸は勉強もできるもんね」

「人並みにできるだけだよ。…でも、もちろん良い事もあったぜ。陸上部のみんな、またタイム縮められたんだ」

「へえ、すごいなあ。風丸はどれくらい縮んだの?」

「俺は0.4秒だな。ちなみにこれ、1番縮んだタイムなんだぜ」

「やっぱり速いなあ、風丸は。そういえば、円堂くんは?」

「円堂は今日はキーパー練習してたらしい。染岡のシュートが凄かったって言ってたぜ」

「そうなんだ。円堂くんも風丸も楽しそうで、おれ、嬉しいよ」

 

 そんなふうに、俺達は会話を楽しんでいた。この瞬間も、ケイがトレセン学園に行く前の、思い出の1つになったら嬉しいなと、そんな事を考えながら。

 

 そして時間は過ぎていき、そろそろ家に帰らないといけない時間になった。

 

「……っと、やべ、そろそろ家帰らなきゃ。またな、ケイ。リハビリ頑張れよ!」

「うん。またね、風丸」

 

 こうしてケイと別れた俺は、帰路に着いた。円堂とケイ、2人の幼馴染との友情を噛み締めながら。

 


 

 そんな俺の日常に変化が訪れたのは、2年に上がってからの事だった。宮坂を始めとした有望な1年も加わり、練習がより活気づいていた頃だった。

 

「──へえ、帝国との練習試合、ねえ」

 

 円堂からサッカー部に力を貸してほしいと言われたのだ。聞けば、1週間後にあの帝国学園サッカー部との練習試合をする事になったらしい。それで円堂は学校中を駆け回って新入部員を募集し、今は俺に白羽の矢が立った、という事だった。

 

「ああ!風丸、確か一流プレイヤーと競ってみたいって言ってただろ?その機会が来たんだ!」

 

…どうやら円堂の中では、俺はサッカープレイヤーと競いたいと言ったことになっていたみたいだ。

 

「もしやる気になったら、いつでも言ってくれよ!放課後は鉄塔広場で──って、そういえば風丸にはミラクルがいたんだっけか」

「えっ?あ、ああ…」

「そしたら、ミラクルと話し合って、それから決めてくれていいぜ!それじゃ、もし力貸してくれるなら、鉄塔広場に来てくれよー!」

「……一流ってのは陸上のことだぞ、円堂……?」

 

 あっという間に円堂は去っていってしまった。あいつのことだ、これからまだまだ勧誘を続けるんだろう。……本当に円堂は、帝国と本気で戦うつもりらしい。そして、そんな円堂が、俺に力を貸してほしいと頼んできた。

 

「……あいつの気合、応えてやりたいな。話してみるか、ケイと」

 

 親友である円堂の力になりたい、でも、もう一人の親友であるケイにとっての希望になってやりたいという思いも、捨てるわけには行かない。なら、その本人のケイと話し合って、それから決めても良いんじゃないか。そう考えた俺は、ケイに話す覚悟を決めた。

 


 

「よう、ケイ。今日も元気そうだな」

「風丸。うん、もうすぐ軽く走れるか確認するって言われたから、張り切っちゃって」

「そりゃ良かった。早く見てみたいぜ、お前の走り」

 

 放課後、俺はケイの下に向かった。1年経って、ケイのリハビリは順調に進んでいた。長い間立って動いても生活に支障が出ないまでに体調も安定してきた。今のケイは同じ様に入院している年下の子供たちとも良く交流していて、俺も見舞いに行った時に何回かその場面を目撃した事がある。……ケイって、いつの間にかピアノも弾けるようになってたんだな。

 今日はもう交流は終わっていたらしい。俺はケイにあの事を話し始めた。

 

「なあ、ケイ。今日は話したいことがあるんだ。いいか?」

「うん?どうしたの、風丸」

「実は今日さ、円堂に頼まれたんだ。サッカー部に入部して、力を貸してほしいってさ」

「円堂くんが?何があったの?」

「どうやら1週間後に、あの帝国学園のサッカー部と練習試合をするらしくてさ、それで部員を捜してるって事らしい」

「帝国学園……」

「ああ。円堂も凄いとこの練習試合引き受けたもんだよなぁ……。それで、ここからが本題なんだけどさ。……俺、あいつに力を貸してやりたいんだ」

「……そっか」

 

 覚悟を決めて、俺は自分の思いを話した。だが、ケイは俺の予想と違って暗い表情は少しも見せず、明るいままだった。

 

「……ねえ、風丸。陸上部のみんなの様子は、どんな感じなのかな?」

「陸上?……ああ、みんなしっかりしてるよ。俺が居ないときでも、自分達で練習内容決めたりして、協力してやってる。それにみんな前よりも速くなってるし、1年も見所あるやつばっかりだ」

「それは良かった。……なら、円堂くんの力になってあげてよ、風丸」

「……いいのか?ケイ。俺、走るんじゃなくて」

「うん。風丸と円堂くんは、親友でしょ?なら、円堂くんが困ってるなら、風丸が助けになってあげて欲しいんだ。おれのことは、気にしないでさ」

「気にしないでって、親友なのはお前もだよ、ケイ。お前と円堂、どっちかを選ばないなんて、俺、出来ないよ」

「それこそ、おれの方が贅沢だよ。風丸がおれのために頑張ってくれてる事自体、おれには相応しくない事だから」

「そんな事無い、俺は絶対、ケイが強いウマ娘になれるって信じてるさ」

 

こういう時、ケイは自分を無意識に下げてしまう。もしかしたら俺よりも相当責任感が強いんじゃないかと感じるほど、ケイは自分よりも他人を優先する気質があった。またその気質が強く出てきてしまったんじゃないかと不安に思った時、

 

「──だったらさ、こうしようよ。おれは絶対、トレセン学園に入ってもう一度、奇跡を起こしてみせる。だから風丸には、サッカーで、おれ、いや、みんなにとっての風になってほしいんだ」

「──え」

 

 ケイから、そんな話が出てきた。まさかケイが、俺に何かを頼んでくるなんて思わなかった。珍しいケイの様子に面食らいながらも、俺はケイにその意図を尋ねた。

 

「ケイにとっての風って、どういう事なんだ?」

「そもそもおれにとっては、風丸はいつでも『光』だったんだ。風みたいに軽やかで、それでいて誰かが困っていたら迷わず力になる。そんな風丸に、ずっと憧れてた」

「……そう、なのか」

 

 良く恥ずかしがらずに言えるな、そんな事……。

 

「だから風丸には、みんなを支える風のままでいて欲しいんだ。風丸がどんなスポーツでも頑張ってる姿を見るだけで、おれ、嬉しいからさ。今度は円堂くん達にとっての、風になってあげてよ」

「ケイ……」

 

 そうだったのか。ケイは、何も俺が走るだけじゃない、何かに一生懸命になってる姿を見るだけでも励みになると言ってくれた。……なら、やるべき事はもう決まった。

 

「──よし、決めた!俺、円堂の所に行ってくる。あいつと一緒に、帝国学園と戦ってくるぜ!」

「うん、分かった。頑張ってね、風丸」

「ああ!ケイも、リハビリ頑張って、絶対トレセン学園に入れよ!約束だ!」

「──うん!」

 

 そう言って俺は病院を後にし、さっきよりも随分と前向きな気持ちで円堂が練習しているであろう鉄塔広場へ向かった。円堂も円堂で間違いなく無茶な特訓してるはずだ、俺が付き合ってやらないと。

 

 

 

 なあ、円堂、ケイ。

 

 

 

 

 

 

俺達3人、何があっても、ずっと親友だぜ。

 

 

 

 

 

 




 この短編書くために風丸とミラクルの事改めて調べてたんですけど、2人って意外と合うんじゃないかって思ったんですよ。見た目以外でも。
 あと、この世界の風丸、結構重いです。円堂や仲間たちだけでなく、ミラクルの事も気にかけてるんで。
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