2話目
約1900字
喜び勇んで『達成項目』を押す。
そして出て来た達成内容はというと。
──『カストロと知り合う』だった。
念能力は、僕という人間の性質が大きく反映される。
だから『知り合う』の定義は、互いに名前を教え合って、顔と名前が一致すること、になると思う。
そのためにはカストロさんに興味を持ってもらい、僕の顔と名前を覚えてもらって一致させてもらう必要があったと推測できる。
「うん……! これで僕の能力の性質も少しわかって来たね」
僕はポチポチと押してポイントを貰う。
得られたポイントは、やはり1ポイントだった。
「なるほど〜。難易度を問わず得られるポイントは1なのかな? ……リスクを避けたい僕の性格が反映されてるね」
僕は、高難易度のミッションをクリアして大量ポイントを一度にゲットするよりも、手頃なミッションを多くこなしてポイントを得ることを好むタイプの人間だ。
ロマンよりも現実を追い求めると言ったらいいのかな。でもだからこそ逆に、ロマンに惹かれる気持ちもあるんだけど。
──でも、今はそんなことよりも大事なことがある。
それは『念』のことだ。
ぶっちゃけ、おかしくないか?
1週間足らずで念を自力習得する。
僕の知る限り、それはありえないと言ってもいいくらいの出来事だ。
何故なら主人公であるゴンとその相棒であるキルアが念を自力習得できるであろう想定期間が、そのくらいだからだ。ただ彼らは物語で強制的に念を起こしたので、実際のところ、彼らが自力で念を習得できる期間は不明だ。でも今回重要なのはそこじゃない。
その期間での自力習得を、1000万人に一人の才能と、ゴンとキルアの師であるウイングさんがそう評した事にある。
これだけでも僕の才能が異常だということはわかると思う。
……そして、まだ話してはいなかったけど、僕の才能はそれに留まらない。
作中屈指であるツェリードニヒは僅か数秒足らずで念を知覚した。
──僕も、瞑想を始めた後はそんな感じだった。
つまり、『贈り物』でアンロックされた僕の念能力の才能は信じられないくらい性能が良い。
素人が死ぬ気で努力して、死に物狂いで天空闘技場を登った結果、ようやく得られた1ポイントで得た『念』ではある。僕もすごく苦労したから、リターンが大きくても良いとは思う。
……でも。
これほどの才能とは、まるで釣り合っていない。
リスクとリターンの関係が、制約と誓約が破綻してる。それも、信じ難いほどに。
「たぶん、初めに感じた所感に間違いはない。……
漫画の世界に転移する。
よくよく考えれば、
そのどちらとも、次元の壁に阻まれている
次元を越えたことが重要なのではない。次元を超える必要がある制約を作り、達成していることが重要だ。
──その結果が、僕の凄まじいまでの念能力の才能なのではないか。
「……さすがに、そこまで都合が良い話はないかな? 現に僕が念能力を作ったのは転移後だ。転移前じゃない。……それに、そこまで凄まじい覚悟を持って作ったかと言われると、疑問が残るし……。半ば本能的に作ったから、制約と誓約も曖昧だし……」
理性的に考えれば、そうだ。ありえない。妄想の類と失笑されても文句は言えないし、僕もそうだねと苦笑いするしかないだろう。
でも『
作ったのは転移後でも、作られた念能力の制約が、読者視点のままだったとしたら──。『天空闘技場50階突破』も『カストロと知り合う』ことも、常識では測れない制約となっている可能性があるなら。
それによって得られる1ポイントに、何が起こっても不思議ではない──かもしれない。
「……読めないな」
でも結論は出ない。妄想だと言われても否定できる材料がない。何かヤバそうな空気は感じるし、何が起こってもおかしくはないとは思うけど……。
正直手詰まりだった。これはもう念能力を使い続けて、ようやくわかるレベルの話だと思う。
困り果てながら、得られた1ポイントで何を獲得するべきか、贈り物の一覧をスクロールしていく。
「……まあ。これを見た時に、チートすぎない? とは思ったけど……」
ずらっと並んでいる1ポイントで獲得できる『贈り物』の念能力の欄には、びっしりと、原作に登場した念能力の名前が記されていた。
それこそ全てだ。
──ゴン=フリークスの『ジャジャン拳』から、メルエムの『念能力者を食べてオーラを増す能力』まで。
全てが、
続きは明日午前8時に更新予定です。
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