ペンは剣よりも強し!   作:みかんフレーク

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第38話 メカニカルタクティクス

「悪いけど、何も言わずついてきてくれ」

 

「え…!?あの…!」

 

返事を貰っている暇は無い。強引にイヲリの手を引き上げ廊下へ飛び出す。

 

「担任の先生、イヲリは早退にしといてよ!」

 

それだけ言い残し、廊下を駆ける。階段で下に降りようと思ったが、イヲリもいることだしなかなかに面倒くさい。それならーー。

 

「しっかり掴まってて」

 

「え、ちょ、何する気!?」

 

イヲリの背中と膝裏に手を回し、人生初のお姫様抱っこ。こいつ軽いな…ちゃんと食べてんのか。

 

「スカートはごめん」

 

「は…!?」

 

言うやいなや、開けておいた窓から俺たちは飛び立つ。眼下に広がる校庭との距離がちょっとずつ縮まっていく。イヲリは白目を向いて気絶をしていた。絶叫系苦手なのかな。郎さんと杢さんが久々李と剣を交わしている。斗斗とかいう女は見当たらない。

 

「ミナト!!無事か!!」

 

「何とかね!!アンタの作戦さえなければ!!」

 

「言っとくけどまだ作戦は終わってないからな。炭ちゃんはこの先だ」

 

「OK!」

 

作戦的にはこのままイヲリを炭さんにパスし、バイクで彼女を匿える場所まで運ぶ。ひとまずの目標はそれだ。

 

「ミナトくん」

 

「炭さん!おいイヲリ、寝てる場合じゃねーぞ、起きろ!」

 

「へぁ…っ!?ここはどこ!?私はだれ!?」

 

「よーし元気そうだな。じゃあ投げるね」

 

「な、投げる?どこに…?ってきゃああああ!!!」

 

有無を言わさず投合。野球ボールのように飛んで行ったイヲリを、炭さんが体を張ってキャッチする。さすが学生時代はキャッチャーをやっていただけのことはある。

 

「酷いことするわね」

 

「あ、アナタは…?綺麗な人…」

 

「躾がなってて良いわね、親御さんの育て方が良かったのかしら。…意外とね」

 

「…?えーと…」

 

「少し待ってて。あなたを逃がす為の道具がある」

 

「炭さーん、俺のもある?」

 

杢さん達を尻目に、投げ飛ばしたイヲリと炭さんの方へ駆け寄る。

 

「私とイヲリちゃんが乗るのがこのバイクで…残念、ミナトくんのは家に置いてきたわ」

 

「えぇ!?今から京都なんとかホテルってとこまで行くんでしょ?走っていける距離なの?おれ丸腰よ!?」

 

「可哀想ね」

 

「先代の巻墨ィ!!後継者選びミスってんぞ!!」

 

それだけ言って炭さんはイヲリとバイクで走り去っていく。俺はその背を見つめることしか出来なかった。

 

「刳雲ォ!!」

 

悪寒が走る。

 

咄嗟に飛び上がると刀を振るう久々李が、さっきまで俺がいた場所に飛んできていた。

 

「刀を抜け!!」

 

「ごめん、無い!!」

 

「じゃあ俺のをやる」

 

首を傾げたのも束の間、久々李から刀が飛んできた。キャッチし鞘から刀身を抜く。

 

「斬り合うぞ、少年!!」

 

「一瞬で永久に大人しくさせてやるよ!!」

 

刀に玄力を込め、勢いよく久々李に振りかぶる。甲高い鉄の音が響いた後、俺の握っていた刀が一瞬にして砕けてしまった。

 

「おま、不良品渡したな!!」

 

「違う、一気に玄力を流し過ぎだ。それでは刀が耐えられないのも当然だ」

 

「急にそれらしいことを言う!!」

 

「勉強不足だぞ。お前も感覚派とは言わんだろうな」

 

「バーカ。俺の座右の銘を教えてやろうか」

 

刀が壊れても武器はある。学ランの胸ポケに常備しているこいつが。

 

「"ペンは剣よりも強し"だ」

 

「シャープペンシル…!?馬鹿にして…!」

 

「だからそう言ってるだろ」

 

シャーペンの芯を伸ばすためにカチカチ連打。これで刃渡り2億センチだ。おまけにこいつに玄力を流し込んで、と。

 

「2度同じ轍は踏まないよ」

 

「剣術を舐めるなァ!!」

 

抜刀モーションでシャーペンを横薙ぎに払う。久々李も対抗して刀を振るってきた。

 

「見誤ったね」

 

次の瞬間、刀とシャーペンがぶつかり合い、刀身が折れて宙に舞ったのはーー。

 

「ば、馬鹿な…」

 

久々李の刀の方だった。

 

「それ作った職人に確認しといた方がいいよ。まだ返品対応してくれますか?ってね」

 

刀がシャーペンに負けて呆然とする久々李の顔面にミドルキック。地面をバウンドしながら飛んで行ったのを確認し、手に付いた埃を払う。

 

「いっちょうあがり」

 

「おーい、ミナト。自転車が沢山落ちてたから拾ってきたぞ。これで炭ちゃん達を追うぜ」

 

「レンタサイクルって言うのか?便利な世の中になったな。まさかこの学校でそんなビジネスをしてたとは」

 

「これ怒られるのは神奈備でいんだよね?」

 

3人で自転車をコキコキして学校から逃げた。

 

途中でチヒロを乗っけて、炭さんとイヲリが向かった場所へ行くことにした。

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