ポケモンサービスの業務日誌   作:まがみん

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第4話 走れツキホ! ポケモンハンターK登場・3

 やがてたどり着いたのは空き地だった。

 そしてツキホはそこに広がっていた光景に目を丸くする。

 

「酷い……酷すぎるわ……っ!」

 

 空き地には大きな鉄の檻が置かれていた。そしてそこに、無数のむしポケモンたちが閉じ込められていた。

 スピアーにモルフォン、そしてバタフリーにパラセクトといった面々だ。

 鉄格子には電流が流れているようで、ポケモンたちの身体が鉄格子に当たる度にスパークする。

 ポケモンたちは皆、苦しげな表情をしていた。

 

「ミュ〜ン」

 

 ビードルが鉄の檻に向かっていった。

 

「仲間のスピアーを助けたいのね! でも駄目よ! 檻に近づいたら!」

 

 ビードルの身体が檻に触れると同時に電流が流れた。

 ビードルは電流を受けて後方に投げ出される。

 ツキホはそんなビードルの身体を受け止めた。

 

「こ、こうなったら……」

 

 ツキホはビードルを片手に抱えたままモンスターボールを取り出した。

 

「行けっ! ロコン!」

「コンッ!」

 

 ツキホのモンスターボールからロコンが飛び出した。

 

「みんな! 鉄格子から離れて! ロコン、ほのおのうずよ!」

 

 むしポケモンたちはツキホの意思をくみ取ったようで、鉄格子から離れる。

 ロコンが口から竜巻状の炎を吐き出した。

 炎は鉄格子にぶつかった。

 鉄格子は赤熱するものの、すぐに元の色に戻る。

 

「溶かせない……っ!」

 

 ツキホは言った。

 

「ミュ〜ン……」

 

 ビードルがツキホの腕の中で心配そうに鳴いた。

 

 *

 

 ジュンサーさんは森の中から聞こえてきたポケモンの鳴き声の方角へと向かった。

 そして見つけたのは鉄のワイヤーによってがんじがらめにされた一匹のストライクだった。

 ストライクの硬い表皮は、ワイヤーによって擦れ、何本もの擦り傷ができていた。

 

 

「酷いわ……」

 

 ジュンサーさんは地面に倒れているストライクの元に屈んだ。

 

「シャ……シャアァ……」

 

 ストライクは力なく鳴いた。

 

「す、すぐに外してあげるわねっ!」

 

 ジュンサーさんはワイヤーに手をかけた。

 

「シャ……シャアァッ」

 

 ストライクは鳴いた。

 

 *

 

「ロコン! もう一度ほのおのうずよ!」

「コンッ!」

 

 ツキホは指示を出した。ロコンはふたたびほのおのうずを放つ。しかし結果は変わらなかった。

 

「だ……駄目ね……どうすれば……!」

「ミュ〜ンッ!」

 

 その時、ビードルがツキホの腕から抜け出した。そして頭の角を銀色に輝かせ、檻に向かって突進する。

 そして電撃を浴びてふたたび後方に跳ね飛ばされた。

 ツキホはビードルを受け止めた。

 

「駄目よ! そんな無茶をしちゃ……」

「ミュ、ミュ〜ン! ミュン!」

 

 ビードルは何かを訴えるように鳴いた。

 

「な、何を言いたいの……?」

 

 ツキホはビードルに問う。そしてハッと気がついた。

 

「もしかして……」

 

 ツキホは新たなモンスターボールを取り出した。

 

 *

 

 むしポケモンたちを捕まえた檻がある場所からさほど離れていない洞穴の中だった。そこに、三人の人物の姿があった。ふたりは凶悪そうな顔をした男、そしてもうひとりは、やや華奢な体型をした男だった。三人目の男の顔は影になっていてよく見ることができない。

 凶悪そうな顔をした男が、タブレット型の端末を見て言った。

 

「おい、俺たちが空き地に置いておいた檻に……誰かが外から攻撃を加えてるみたいだぜ」

「無駄なことを。普通のポケモンの技じゃあの檻は破れないようになってるのにな」

「でもまずいんじゃないか? 誰かに見られるのは……」

 

 それからふたりの男は洞穴の奥に顔を向けた。

 

「どうする……K」

「どうって……」

 

 華奢な男は右手に持ったロケットを開いて言った。ロケットの中には銀髪の女の写真が入っていた。濃い青色をした瞳の美しい女だ。

 

「追い返すに決まってるだろう? ねぇ君たち」

 

 華奢な男は一歩前へと進み出た。太陽の光が彼の顔を照らし出す。ロケットの女とよく似た銀色の髪の男だった。顔つきはまだ少年らしさを残している。濃い青色の瞳が残酷そうにきらりと輝いた。

 

「行ってきてよ。君たちの実力、僕にも見せて欲しいからさ」

「あ、あぁ……」

 

 男ふたりは少し萎縮したように後ずさった。

 

「ふふ……」

 

 Kと呼ばれた男はふたたびロケットに目を落とした。

 

「姉さん、僕は姉さんを超えてみせる……よ」

 

 *

 

「ロコン! ほのおのうず!」

 

 ツキホは指示を出した。

 

「コンッ!」

 

 ロコンが口から炎を吐き出す。

 

「それから……」

 

 ツキホは新たなモンスターボールを手に取った。

 

「行け! コジョンド! 鉄格子が冷めないうちに、とびひざげりよ!」

「ジョンドォ!」

 

 コジョンドがモンスターボールから飛び出すと、赤熱した鉄格子に向かって膝蹴りを浴びせた。

 鉄格子が砕ける。

 

「やった! みんな……逃げて!」

 

 ツキホは言う。

 スピアー、モルフォン、バタフリー、パラセクトたちは傷ついた身体を引きずりながらも檻の外へ出ていった。

 

「やっぱりいつの世も正義は勝……」

「勝たれちゃ困るなぁ」

 

 そんな声が聞こえた。

 振り返るとそこにはふたりの男が立っていた。いかにも凶悪そうな顔つきをした男たちだった。

 

「あなたたちが……ポケモンハンターね!」

「コンッ!」

「ジョンドォ!」

 

 ロコンとコジョンドがツキホの前へ庇うようにして進み出る。

 

「ミュ〜」

 

 ビードルが怯えたようにツキホへと身を寄せた。

 

「小娘一匹、俺たちのポケモンで!」

ふたりのポケモンハンターはモンスターボールを取り出した。

 

「行けっ! オニゴーリ!」

「行け! ヤジロン!」

 

 ふたりはそれぞれにモンスターボールを投げる。

 光とともに、オニゴーリとヤジロンが現れた。

 

「オニゴーリ! こおりのつぶて!」

 

 オニゴーリが口から無数の氷の塊を放ってきた。

 

「ロコン! かわしてかえんほうしゃよ!」

「コンッ!」

 

 ロコンはこおりのつぶてをかわすと口から炎を放った。

 

「それからコジョンド! あなたはみだれひっかき!」

「ジョンド!」

 

 コジョンドの両足の爪が銀色に光り輝いた。そしてヤジロンに向かって蹴りを放つ。

 

「ヤジロン! こうそくスピンだ!」

 

 ヤジロンが回転を始める。コジョンドはヤジロンにより弾かれ、地面を転がる。

「コジョンド!」

 

 ツキホは叫んだ。

 

「ヤジロン! サイケこうせんだ!」

 

 ヤジロンは身体の真ん中から極彩色の光線を発射した。

 

「ロコン! ほのおのうず!」

 

 ロコンはコジョンドを庇うように前へ立つと、口から火炎の竜巻を放った。

 炎はオニゴーリとヤジロンを巻き込んでいく。

 

「コジョンド、続けてはどうだんよ!」

 

 コジョンドは間髪入れずに両手を組みあわせて光球を放った。

 炎と光の球がオニゴーリとヤジロンに命中する。

 オニゴーリとヤジロンの目は渦巻き模様と化し、戦闘不能になった。

 

「な、何ぃ……」

 

 ふたり組の男は歯ぎしりをした。

 

「みんな、逃げなさい!」

 

 ツキホは傷だらけのむしポケモンたちに言う。

 だがその時だった。ふたりの男の背後から笑い声が聞こえてきた。

 

「くっくっく……やるねぇ、熟練のポケモンハンターふたりを倒しちゃうなんてさぁ。でも、どうかなぁ、この僕が相手だとさ」

「男の……子?」

 

 現れたのは銀髪の小柄な男だった。

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