ポケモンサービスの業務日誌   作:まがみん

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第7話 ポケモン学校のミヤビ・3

「あの時は……本当に助かりました」

 

 回想を終えると、ミヤビはそう言った。

 

「い、いえ……俺は何も」

 

 サクヤは少し照れくさくなってそう言う。

 

「いいえ……私を庇ってニドランのつのでつく攻撃を受けるなんて……よほどポケモンのことが好きじゃないと、できないことですから」

「ミヤビさんこそ、こういうポケモン保護局やポケモン学校みたいな仕事……ポケモンのことを好きじゃないとなかなかできない仕事だと……思います」

 

 ミナトはラーメンを食べ終わり、ふたりの様子を、クチートとともに見守っていた。

 

「うん、やっぱりいい感じだね、クチート」

「クチ!」

 

 クチートも鳴いた。

 

 *

 

 ポケモン保護局から少し離れた森の木の上に、ひとりの男が座っていた。少年のような見た目をしたその男は、銀色の髪に深い青色の瞳を持っていた。

 その男、ポケモンハンターKは、双眼鏡を使い、ポケモン学校の建物に目を向けた。

 

「あれが……ポケモン学校……か」

 

 そして双眼鏡を下ろすと呟く。

 

「あぁ……強いポケモンがたくさんいるんだろうなぁ……」

 

 *

 

 ポケモン学校の建物の前をふたりの警備員が守っていた。

 そんなふたりの前に、Kが現れた。

 

「君は……」

 

 と警備員は言う。

 

「ここは原則として関係者以外立入禁止のはずだ。誰かから許可は貰っているのか?」

「許可? 別にいいでしょ、そんなもの取らなくてもさぁ」

 

 Kは言った。そしてハイパーボールを取り出した。

 

「なんだと……」

「僕は欲しいものがあってここに来た……。それだけでさぁ」

 

 Kはハイパーボールを投げる。

 

「行け! マニューラ!」

「マニュ〜ラッ!」

 

 マニューラがハイパーボールから飛び出してきた。

 

「マニューラだと!? させるか!」

 

 警備員のふたりもモンスターボールを取り出す。

 だがふたりがポケモンを出す前に、Kは言う。

 

「マニューラ! シャドーボール!」

「マニュッ」

 

 マニューラは両手を組み合わせ、そこに漆黒の球を生成した。

 そして球をポケモン学校の鉄扉に向かって放つ。

 

「うわぁぁっ!」

 

 鉄扉が爆発し、警備員のふたりは後方へと投げ出された。

 

 *

 

 食堂で、ミナトとクチートは顔を見合わせた。

 

「今の音は!」

「クチ!」

 

 ミナトとクチートは、サクヤとミヤビの方へと向かう。

 ふたりもテーブルから立ち上がっていた。

 

「ポケモン学校の方です! 行きましょう!」

 

 ミヤビは駆け出していた。

 

「ミヤビさん!」

 

 サクヤもそれに続く。

 ミナトはクチートを抱き上げ、ふたりに続いて駆け出した。

 

 ポケモン学校の建物の前へとたどり着くと、その重い鉄扉が破壊されていた。

 そしてその脇に、ふたりの警備員が倒れていた。

 

「大丈夫ですか!」

 

 ミナトは近くに倒れていた警備員を助け起こす。

 

「あ、怪しい男が……」

「怪しい男……?」

「お、おい、ミナト! これを!」

 

 破壊された鉄扉からポケモン学校に入ったサクヤは目の前の光景に目を見張って言った。

 

「何が……!?」

 

 ミナトもポケモン学校の建物内に入る。

 

「酷い……」

 

 ミヤビが言った。

 

「これは……!」

「クチ……!」

 

 そこに広がっていた光景に、ミナトとクチートは息を飲んだ。

 ポケモンたちの入っていた檻が破壊され、そこに入っていたポケモンたちは好き勝手放題に暴れ回っていた。ある者は他のポケモンを攻撃し、またある者は建物の中で四方八方に攻撃技を放っている。

 

「誰が……こんなことを!」

 

 ミナトは言った。

 

「誰が……?」

 

 そんな声が聞こえてきた。

 見ると、破壊されたバンギラスの檻の上に、銀髪の小柄な男が立っていた。

 バンギラスは部屋の隅ではかいこうせんを放ち、暴れている。

 

「僕の名前はK。ポケモンハンターだ」

 

 男はニヤリと笑みを浮かべる。

 

「マニュッ!」

 

 その隣に立っていたマニューラが鉤爪を光らせて、こちらを見据えた。

 

「ポケモンハンターK……! じゃあこいつ、ツキホの言っていた……!」

 

 ミナトはハッとして言う。

 

「チーッ!」

 

 クチートも鳴いた。

 

「なんでこんなことをするんだ!」

 

 サクヤは拳を握りしめて言う。

 

「ポケモンハンターは野生のポケモンを私利私欲のために狩る輩のはず。ポケモン学校のポケモンたちに……」

「今日ここに来たのは個人的な理由だよ」

 

 Kは答えた。

 

「この僕がカントー地方で本格的に活動するのに、強いポケモンを手に入れたい。そう思ってねぇ。聞けばポケモン学校はかつて僕のような人間に使われていたポケモンたちが集められているというじゃないか。きっとここには凶暴で……強くて……僕好みのポケモンがたくさん集まっているに違いない……。このカントーの地で、僕の即戦力になってくれそうなポケモンたちがねぇ!」

「悪いのは人間です!」

 

 ミヤビが言い返した。

 

「この子たちは……悪い人間と決別して、本来自分たちが歩んでいるべき道を行こうと頑張っている子たちです! それなのに……あなたは!」

「それが本当にポケモンにとっての幸せだと思っているのか? ポケモンはモンスターだ。モンスターは力を求めて然るべきだと、僕は思うけどなぁ」

「そんなの……お前が勝手に思っているだけだ!」

 

 ミナトは言い返した。

 

「クチ!」

 

 クチートはミナトの腕から飛び出していた。

 

「クチート、行くの……?」

「クチ」

 

 クチートは頷いた。

 

「よし、クチート、アイアンヘッドだ!」

「チトォ!」

 

 クチートは大顎を銀色に光らせると、マニューラに向かっていった。

 

「マニューラ、シャドークロー!」

 

 マニューラの両手の爪が漆黒の闇に包まれた。クチートの大顎とマニューラの爪がお互いにぶつかり合う。

 

「クチ!」

 

 クチートは後方に投げ出された。

 

「クチート!」

 

 ミナトはクチートを抱き止める。

 

「ち……邪魔なんだよ、お前たちは」

 

 Kは言った。

 

「マニューラ、シャドーボールでまとめて吹き飛ばしてしまえ」

「マニュ……」

 

 マニューラは両手を組みあわせてシャドーボールを生成した。そしてそれを何発も放ってくる。

 

「クチ!」

 

 クチートは前へと進み出て、大顎を銀色に発光させ、シャドーボールを弾く、だが、シャドーボールのうちの一個が、ミヤビの方に飛んでいった。

 

「ミヤビ! 危ない!」

 

 サクヤが咄嗟に動いた。彼はミヤビを庇って地面に伏せる。サクヤの背中にシャドーボールが命中した。

 

「ぐあっ!」

「サクヤさんっ!」

 

 ミヤビが叫ぶ。

 

「な……なんでも……ありませんよ……これくらい……」

 

 Kはポケモン学校をじっと眺め回した。ポケモンたちは好き放題に暴れたり、攻撃を逃れるために地面に伏せったりしている。

 

「さぁーて、骨のあるポケモンは、いるかな」

 

 Kは舌なめずりをした。

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