ポケモンサービスの業務日誌   作:まがみん

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第8話 戦えニューラ! 必殺のれいとうパンチ・4

「何かって……」

「わからない。でもいいことでないのは確かね」

 

 その時、木立を抜けて無数のオニスズメの群れが飛び出してきた。

 

「オニスズメ……!?」

 

 ミナトは目を見開く。

 直後、木立の間から鋼鉄製のネットが飛び出してきた。ネットはオニスズメの群れにかぶさろうとする。

 だがそこでナツメがモンスターボールを取り出し、投げた。

 

「エーフィ! サイコキネシスよ!」

「エフィッ!」

 

 エーフィは地面に立つと、両目を光らせた。ネットは空中に浮き上がり、そしてゆっくりと地面に向かって落下した。オニスズメたちは逃げていく。

 

「あーあ……邪魔が入ったみたいだねぇ……」

 

 一人乗りのライドメカに乗った男が、梢の間から姿を現した。

 

「ポケモンハンター……K!」

 

 ミナトは相手を睨みつける。

 

「クチ!」

 

 クチートも同様だった。

 

「ポケモンハンター?」

 

 ナツメが言う。

 

「野生のポケモンを私利私欲のために利用しようとする、悪い奴らです!」

「それはそれとして……」

 

 とKはミナトに目を向けた。

 

「君のその格好はなんなんだ?」

「えっ、あっ、これは……っ!」

 

 ミナトは自身の格好を思い出して顔を赤らめる。

 

「とにかく……森のポケモンたちを苦しめているのがあなただっていうのなら、私は許さないわ。エーフィ!」

「フィ!」

 

 エーフィが前に進み出た。

 

「これ以上……ポケモンに手を出させない! クチート!」

「クチ!」

 

 だがクチートが前に進み出るよりも先に、ニューラがミナトの前へと立った。

 

「ニュ〜ラ」

「ニューラ?」

 

 ミナトは言う。

 

「もしかして……マニューラとのリベンジを……」

「ニュ」

 

 ニューラは頷いた。

 

「なるほど……この前みたいに、僕のマニューラにこてんぱんにされたいってことか。望み通りにしてあげるよ!」

 

 Kはハイパーボールを取り出した。

 

「行けっ! マニューラっ!」

 

 ハイパーボールからマニューラが出てくる。

 

「ニュッ!」

 

 ニューラが地面を蹴って走り出した。

 

「いいわ、ニューラっ! 特訓の成果を見せてあげるのよ!」

「なんでナツメさんの方が僕よりも熱くなってるんですか」

「い、いや別に私は熱くなんて……」

 

 ナツメは少し顔を赤らめた。

 

「マニューラ、シャドークロー!」

 

 マニューラは両手の爪に漆黒の闇を纏わせ、ニューラに向かって振り下ろしてきた。

 

「ニューラ! かわしてメタルクローだ!」

 

 ニューラは身軽な動きでマニューラの攻撃をかわし、銀色に光らせた爪を振り下ろす。ニューラの爪とマニューラの爪がお互いにぶつかり合った。

 

「む……前の時と動きが違う……」

 

 Kは言った。

 

「厄介だな。まぁいいさ、司令塔を潰してしまえば……」

 

 Kはハイパーボールを取り出すと、投げた。

 

「行け! ブースターっ!」

「そこにいるガキに向かってかえんほうしゃだ!」

「ブーッ!」

 

 ブースターが口から炎を発射してきた。その炎はミナトに向かってくる。

 

「えっ……」

「エーフィ……!」

 

 ナツメはエーフィに指示を出そうとするが、間に合わない。

 

「うわっ……!」

 

 ミナトは尻もちをつき、右腕炎にかざして身を守ろうとした。しかし、一向に炎は襲ってこない。恐る恐る右腕を下ろすと、炎を受けて、コクーンが宙に浮いていた。

 

「コクーン……? ってことは……」

 

 背後でバイクの停まる音がした。バイクに跨っていたのはジュンサーさん、そしてサイドカーにはツキホが乗っていた。

 

「ポケモンハンターが暗躍しているって聞いて来てみたら……案の定あんただったのね!」

 

 ツキホはサイドカーから降り、ヘルメットを脱ぎながら言った。

 炎を受けたコクーンがミナトの腕の中に落ちてくる。ミナトはそのコクーンを受け止めた。

 

「ツキホ! でも、コクーンが……」

 

 コクーンは炎を受けて黒焦げになっていた。

 

「ノープロブレムよ! コクーンの『かたくなる』は炎くらいなんてことないわ! それに……そろそろ始まるって踏んでるのよ」

「始まるって……何が?」

 

 ミナトがそう言った瞬間だった。コクーンの身体は銀色の光に包まれ始める。そしてその身体は宙に浮き上がり、形を変え始めた。

 やがてコクーンはスピアーへと変身を遂げた。

 

「スピ!」

「スピアー……! 進化したんだ!」

 

 ミナトは言う。

 

「ブースターの相手は、スピアーと……」

 

 と言ってからツキホはナツメとエーフィに目を向けた。

 

「ナツメさん、協力してくれるわね」

 

 ナツメは頷いた。

 

「ブースターは私とナツメさんのエーフィが食い止める。だからミナトはニューラとマニューラの戦いに集中して!」

「う、うん! ありが……」

「ところで……ミナトくんのあの格好……」

 

 とここでジュンサーさんが口を挟む。

 

「ジュンサー様、気にしないでください。あれはミナトの趣味ですから」

「あぁ……いっそ殺してくれ……」

 

 ミナトは両手で顔を覆い、地面に膝をついた。

 

「エーフィ、サイケこうせん!」

「スピアー、ミサイルばりよ!」

 

 エーフィ、スピアー、ブースターは戦いながら、ミナトの方から遠ざかっていく。それを追ってツキホとナツメも移動していく。

 ミナトは顔を上げ、睨み合うニューラとマニューラを見据えた。

 

「マニューラ、シャドーボールだ!」

「マニュ」

 

 マニューラは両手を組み合わせ、漆黒の球を生成し始めた。

 そしてそれを発射してくる。

 

「ニューラ! でんこうせっか! それからメタルクロー!」

 

 ニューラは素早い動きでシャドーボールをかわし、銀色に光らせた爪をマニューラに向かって振り下ろす。

 

「確かに前よりも動きは良くなったが……それで僕のマニューラに勝ったつもりか? マニューラ、至近距離からシャドーボールだ!」

「ニュッ!」

 

 ニューラの身体にシャドーボールが命中した。ニューラは後方に投げ出され、地面を転がる。

 

「ニューラ!」

「ニュ……」

 

 ニューラはふらつきながらも、マニューラをしっかりと見据えて立ち上がった。

 

「何度やっても、ニューラがマニューラに勝てるはずないんだよ……」

 

 Kは言う。

 

「マニューラ、トドメを刺してやれ。あくのはどうだ」

「マ〜ニュ!」

 

 マニューラは口から黒色と紫色の光線を吐き出した。光線はニューラに迫ってくる。

 

「ニューラ……こんなことでやられるような君じゃない。僕は君のこと、信じてるよ。だから……」

 

 ミナトはすっと息を吸った。

 

「特訓の成果を見せてやるんだ! ニューラ、れいとうパンチ!」

「ニュ……!」

 

 ニューラは踏み込んだ。そして右手に氷を纏わせ、マニューラのあくのはどうにぶつける。マニューラは歯を食いしばりながら、あくのはどうを斬り裂いていく。

 その様子を、少し離れた場所から見たナツメは言った。

 

「ニューラ……。れいとうパンチを完成させたのね!」

 

 ニューラはあくのはどうを引き裂き、そしてマニューラの顔面に向かって氷に包まれた拳を叩きつけた。

 

「マニュッ!」

 

 マニューラの身体は後方に向かって投げ飛ばされた。

 

「よし!」

「クチ!」

 

 ミナトとクチートが同時に拳を握った。

 

「マニューラっ!」

 

 Kは言う。

 

「特訓の成果……だと? そういうの……僕は嫌いだね。興が冷める」

 

 それからKは舌打ちをしてハイパーボールをふたつ取り出した。

 

「戻れ、マニューラ、ブースター。面白くないね……」

 

 そして二匹をモンスターボールに戻し、ライドメカを上昇させた。

 

「あっ、待ちなさい!」

 

 ジュンサーさんはそれを追いかけようとするが、Kは飛び去っていった。

 

「ニューラ……おつかれさま」

 

 ミナトはかがみ込み、ニューラに視線を合わせると言った。

 ニューラはしばらく黙って下を向いていたが、やがて顔を上げ、笑顔になった。

 

「ニュ〜ラッ!」

「なんかわからないけど……一件落着みたいね」

 

 ツキホは言った。

 

「スピ!」

 

 その傍にスピアーが飛んでくる。

 それからツキホはエーフィをモンスターボールに戻していたナツメに声をかけた。

 

「あなたも……私が思ってたみたいな悪い人じゃなさそうだし」

 

 ナツメはそれには答えず、ミナトの方に向かって、歩いてきた。

 ミナトはニューラをモンスターボールにしまったところだった。

 

「ナツメさん……?」

 

 ミナトは立ち上がりながら言う。

 

「頑張ったわね、ニューラも、それにミナトくんも」

「え……あ、はい!」

 

 ミナトはにこりと笑った。

 

「でも、ジムリーダーをポケモン探しに使った借りは……いつか返してもらうわ」

「えっ、それは……」

「言ったでしょ、高くつくって」

 

 ナツメはそう言ってから少し笑みを浮かべるとミナトに背を向けて歩き始めた。

 

「クチート、僕……時々ナツメさんのことがよくわからなくなるんだけど……」

「クチ……」

 

 クチートはナツメの背中をじっと見つめていた。




【次回予告】

ミナト「僕たちを乗せた船が大爆発を起こしてしまった! そして僕たちはクチートたちポケモンと離れ離れになって……。そして、クチートたちはある島に漂着する。そこには人間に捨てられたバンギラスの親子が住んでいて……。次回『ポケモン漂流記! バンギラスの島』をお楽しみに!」
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