ポケモンサービスの業務日誌   作:まがみん

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第9話 ポケモン漂流記! バンギラスの島・2

「クチ……(それにしても困ったものね。ミナトには)」

 

 クチートは腕を組んだ。

 

「クチ〜ト(私たちとはぐれて迷子になるなんて、本当にどうしようもないトレーナーだわ)」

「パッチ〜(心配なんだねぇ)」

「クチ! (当然じゃないの! あんな頼りないトレーナー……)」

「パ〜ッ! (それに大好きなんだねぇ、ミナトのこと)」

「チト! (そ、そんなわけないでしょ!? いい? 私はね……)」

 

 クチートはパッチールに向かって一歩を踏み出しながら言った。

 

「チ〜ト! (あいつが頼りないから一緒にいてあげてるのよ! ミナトのやつ、私が見てないといっつも他のポケモンにいい顔ばっかりして……。あんな優柔不断男、私がしっかり見張ってないと、きっといつか悪い人に騙されるに決まってるわ。だから私は断じてあいつが好きだから一緒にいるとかそういうんじゃなくって……)」

「パ〜ッチ(はいはい、わかったよぉ)」

「チト! (わかればいいのよ、わかれば。あいつ、私がいないとダメダメだから、仕方なくいてあげてるのよ)」

「パ〜ッ! (でも、それだと余計に心配だねぇ。ミナトが今、どこでどうしているのか)」

「チ〜……(うっ……。と、というかこんな話どうでもいいでしょ? まずは私たちがここでどうやってミナトたちを待つのか考えないと)」

 

 *

 

 シャワーズとジグザグマは海岸から少し入ったところの森の中を歩いていた。

 

「シャワ(しばらく海沿いに進んで、同じ場所に戻ってきたらここは島、戻ってこなければここはカントー本土ということになる)」

「ジグザグ! (さすがですね、シャワーズ。こういう時にシャワーズが一緒にいてくれて、本当に助かりました)」

「シャワ……(しかし問題は、ツキホたちがどれくらいで俺たちのことを見つけてくれるのか……だ。彼女たちのことだ。必ず見つけてくれるとは信じているが……それ以前に、別の人間に俺たちが見つかった場合……クチートもパッチールもジグザグマもホウエンのポケモンだろう? 捨てられたポケモンと勘違いされて、ツキホたちに迷惑が及ぶかもしれない)」

「ザグ! (確かに、それは避けたいことですね)」

「シャワ〜ズ(まぁ、例え他のトレーナーにモンスターボールを投げられたとしても、俺たちの持ち主はツキホたちだから、弾かれるとは思うがな)」

 

 *

 

 しばらくして、クチートとパッチールが待っている浜辺にシャワーズとジグザグマが戻ってきた。

 

「シャワ(一周……できたな)」

 

 シャワーズは言った。

 

「ザグザグ! (ということは、ここは島だった……ということですね)」

「パッチ? (人はいたの?)」

「シャワ! (いや、今のところそれも見つからなかった。有人島ならば海岸に港が作られていそうなものだが、それもなかったから、無人島と考えた方が自然だろう)」

「パ〜(じゃあこれからどうする? ミナトたちのこと、待ち続ける?)」

「シャワ(あぁ、しかし俺たちはご飯の途中で流されてきちまった。腹が減ったな)」

「クチ……(それなら……)」

 

 クチートは森の方に顔を向ける。

 

「クチ〜ト! (食べ物探しに行くのもありかもしれないわね!)」

「パ〜(じゃあ僕はここで待ってるよぉ。だからクチート、行ってきてぇ)」

「ザグ! (僕も行きます)」

 

 クチートとジグザグマは森の中へと消えていった。

 

 *

 

 ミナトたちは救命ボートによって救助され、グレン島にあるグレンタウンへと戻されていた。

 三人とイーブイ所長はそこにある警察署を訪れ、ジュンサーさんにポケモンたちとはぐれてしまったことを相談した。

 

「えぇっと……迷子になったポケモンは……クチートと……パッチールと……シャワーズとジグザグマ?」

「そうです、ジュンサー様、探してくださいますか?」

 

 ツキホが身を乗り出し気味にそう言った。

 

「えぇ、当然よ。困っている人やポケモンを放っておくわけにはいかないわ」

「さすがです、ジュンサー様!」

 

 ツキホは両手を合わせた。

 

「でも……ジグザグマたちは潮流に乗ってどこかへ流されていきました。どうやって探せばいいんですか?」

 

 サクヤが訊く。

 

「潮流に乗って流されたのなら、捜索方法は簡単よ。その潮流を辿っていけばいいのよ」

 

 *

 

 クチートは大顎を伸ばして、木の上になっている木の実を取ろうとした。しかし届かない。

 

「チ〜……(た、高すぎて届きそうにないわね)」

「ザグ! (僕に任せてください!)」

「クチ? (任せるって……あなたは私より背が低いのに……どうやって取るつもりよ)」

「ザグザグ! (いいから! ちょっとどいててください!)」

「クチ……(わかったわ)」

 

 クチートは後ろに後ずさった。

 

「ザグ! (行きますよ! 僕のすてみタックル!)」

 

 ジグザグマは木の幹に向かって突進をしていった。そしてジグザグマの身体と木の幹がぶつかると、梢から大量の木の実が落ちてきた。

 

「クチ! (やったわ! あなた天才ね! ジグザグマ!)」

「ザグ……(あとはこの木の実をシャワーズたちのところへ運ぶだけですけど……)」

「クチ〜ト(それなら今度は私に任せて欲しいわ。大顎にできる限りたくさん木の実を詰めてちょうだい)」

「ジグザ! (わかりました!)」

 

 ジグザグマは木の実を運び、クチートの大顎に詰め始める。

 やがてほとんどの木の実を詰め終わると、ジグザグマは先に立って歩き始めた。

 

「ザグ! (じゃあ……戻りましょう。みんなのところへ)」

「クチ〜(わかったわ。でもこの木の実……ちょっと重いわね……)」

「ザグ? (僕がその大顎、下から支えましょうか?)」

「クト……(助かるわ)」

 

 ジグザグマはクチートの大顎の下に入り、支える。

 ふたりは浜辺に向かって歩き始めた。

 

 浜辺に戻ると、パッチールがふらふらと歩きながら大喜びで迎えてきた。

 

「パ〜ッ! (わぁ、ご飯だ。嬉しいなぁ)」

「クチ! (さっきのご飯の続きよ。じゃんじゃん食べなさい)」

 

 クチートは木の実を砂浜にばらまいた。

 

「シャワッ(ありがとう、クチート。これだけ木の実があれば最悪何日かはここでしのげそうだな)」

 

 ポケモンたちは木の実を食べ始めた。

 しかしその直後、島の中央から爆発音が聞こえた。次に、黒い煙が立ち上るのが見える。

 

「シャワ! (なんだ?)」

 

 シャワーズは顔を上げた。

 

「パッチ〜(なんか今日は爆発の多い一日だねぇ)」

「ザグ? (どうしますか? もしかしたら、僕たち以外にも、この島に誰かがいるのかもしれませんよ)」

「シャワ……(あぁ、無人島ではあるが……誰かが訪れているのかもしれない。しかし爆発を起こすようなやつだ。気をつけた方が……)」

「パ〜(でも、誰かがいるっていうのなら、僕たちの助けになるかもしれないよぉ。ほら、たとえばここで待ってるだけじゃなくって、ミナトたちを迎えに行けるかもぉ)」

「シャワッ(俺が見てくる。お前たちはここで待ってるんだ)」

 

 シャワーズはしっぽをサッと振ると歩き出した。

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