ポケモンサービスの業務日誌   作:まがみん

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第12話 盗まれた秘宝! 怪盗姉妹登場・1

 ザンナーとリオンの立体映像が消えると、アリアドスは人波を強引にかき分けてバトルフィールドの隅へと向かった。そして角からソーラービームを放ち、観客席を破壊する。そこに生じた穴に、アリアドスは飛び込んでいった。

 

「怪盗……」

 

 とツキホは言った。

 

「許せないわ。正義のために……捕まえなきゃ!」

 

 そしてツキホはモンスターボールを取り出す。

 

「また始まった……」

 

 肩にエリキテルを乗せ、両腕にイーブイ所長を抱えたサクヤはため息をついた。

 

「行くのよ! スピアー! あのアリアドスを追いかけて!」

「スピ!」

 

 スピアーはモンスターボールから出てくると、アリアドスが開けた穴に向かって飛び込んだ。

 

「ミナト、サクヤ! 私たちも追いかけるわよ!」

 

 ツキホは駆け出す。

 

「えっ、僕たちも!?」

「当たり前でしょ! 泥棒を捕まえてこの街のジュンサー様に引き渡す……それが市民の義務なんだから!」

「う、うん!」

 

 ミナトはクチートを抱え上げると走り出した。

 

「お、おい、待てって!」

 

 サクヤもそれを追いかける。

 

「なんか……すごい人たちだね」

 

 トオイは言った。

 

「プラッ」

「マイィ」

 

 プラスルとマイナンも同意する。

 

「うん、昔の……色んな冒険を思い出すよ」

 

 マサトも言った。

 

 *

 

 アリアドスが逃げ込んだ穴の中には配管類が伸びていた。照明は無く、真っ暗だった。

 ミナトはモンスターボールを取り出すと、投げる。

 

「ブラッキー、フラッシュ!」

 

 ブラッキーが出てきて、額の黄色い輪っかから光を放射した。

 ブラッキーの先導で、三人は太い配管の上を慎重に進んでいく。

 しばらく進んでいくと、ツキホはスピアーの姿を見つけた。スピアーはアリアドスの糸で、壁に拘束されていた。

 

「スピアー!」

 

 ツキホはスピアーに駆け寄った。

 

「ス……スピ……」

 

 スピアーは申し訳なさそうに鳴いた。

 

「今、助けるわ」

 

 ツキホは両手を使って、スピアーを拘束していたアリアドスの糸を引き剥がし始める。

 

 *

 

 バトルタワーに隣接する研究所に、ロンド博士、ユウコ、そしてカズキとドガースが集まっていた。

 

「博士、ジュンサーさんへの連絡、終わりました。もうすぐ到着するものと思われます」

 

 携帯電話を下ろして、ユウコは言った。

 

「ご苦労だった。しかし怪盗は……どこからどうやって『剣と盾』を盗み出し、そして今はどこに……」

 

 その時、部屋の自動扉が開き、紫色の髪にピンク色のメッシュが入った男が現れた。

 

「レイ博士」

 

 とロンド博士は言う。

 

「件の剣と盾には、私が独断でGPSを取り付けておきました。居場所は……わかっております」

「なんと……」

 

 レイ博士はタブレット型の端末を取り出して続ける。

 

「GPSによると……まだラルースの市街地を移動していないようですね。今から追いかければ間に合う距離にあります」

「そうか……」

 

 とロンド博士は言う。

 

「では、追跡を任せて構わないか?」

「はい」

 

 レイ博士はそう言うと、部屋を出ていった。

 廊下に出ると、そこにはプラスルとマイナンを肩に乗せたトオイが立っていた。

 

「君は……確か、トオイくんといったね」

 

 レイ博士はトオイに話しかけた。

 

「はい。たまたま会話が……聞こえてきたので……」

 

 とトオイは言う。

 

「追いかけるんですか。怪盗姉妹を」

「あぁ、そのつもりだ。安心したまえ、すぐに剣と盾は取り戻し、あのふたりは捕まえてみせる」

「あの……僕も一緒に行って……いいでしょうか。いえ、正確には『僕たち』と言った方がいいかもしれませんけど……」

「君が……?」

 

 レイ博士はさっき出てきた扉の方に目を向けた。

 

「君に何かあったら、ロンド博士に……」

「大丈夫です。僕にはプラスルとマイナンがついてますから」

「プラッ」

「マイッ」

「わかった。ついてきたまえ」

 

 レイ博士は言った。

 

 研究所の建物の外で、ミナト、クチート、マサト、キルリア、ツキホ、サクヤ、イーブイ所長、エリキテルは待っていた。

 

「こんなにいるのか……」

 

 レイ博士は言った。

 

「イ〜ブイ」

 

 所長が鳴いた。

 

「え、所長は待ってるんですか?」

 

 サクヤが言う。

 

「ブイ」

「じゃあ……俺も待ってます。ミナト、ツキホ、後は頼んだぜ」

「うん」

 

 ミナトは頷いた。

 

「あそこに止まっているのが私の車だ。急ごう」

 

 レイ博士は駆け出し、車に乗り込んだ。トオイはプラスル、マイナンと共にその助手席に乗る。

 ミナトはクチートを抱え上げると後部座席に乗った。マサトも同じようにキルリアを抱え、後部座席に乗る。そこにツキホが続いた。

 

「剣と盾は……ラルース市街地の外へ向かっているようだ。奴らがラルースから出ないうちに間に合えばいいのだが……」

 

 レイ博士がアクセルを踏み、車は発進した。

 それと並走するように、空中をキューブ型のメカが飛んでくる。

 

「あれは……」

 

 ミナトが言う。

 

「ラルースシティのガードロボットだよ」

 

 トオイが説明した。

 

「街の警備を担当しているんだ」

「でも……ってことは、ガードロボットもザンナーとリオンを追いかけてるってこと? レイ博士のGPSを知ってたって……」

「私がさっき呼んでおいた」

 

 マサトの言葉に、レイ博士は答えた。

 

「我々は地上から、そしてガードロボットたちには空中から怪盗姉妹たちを追跡してもらう」

 

 見ると、ガードロボットは二機ほど、車の周囲を飛んでいた。

 やがて、ラルース市街地を走る幹線道路へと出ると、前方に紫色に輝くスポーツカーが見えてきた。その後部座席には幌をかけられた大きな物体が乗っている。

 

「あれだな……」

 

 レイ博士は言った。

 

 *

 

「追ってきてるわ……」

 

 車を運転する、銀髪の女、リオンは言った。

 

「普通の車じゃ、追いつけっこないのに」

 

 助手席に乗っていた金髪の女、ザンナーが言う。

 すると、追っ手の車に並走するように飛んでいたキューブ型のロボットがこちらへと向かってきた。

 

「止マリナサイ、止マリナサイ」

「邪魔ね……。エーフィ!」

 

 ザンナーは黒くリペイントしたモンスターボールを投げた。

 エーフィが飛び出し、トランクの上に着地をする。

 

「エーフィ、サイケこうせんよ!」

「エ〜フィッ!」

 

 エーフィの額の宝石から極彩色の光線が放たれる。光線はロボットに命中した。ロボットは煙を上げ、その場でクルクルと回転を始める。そしてお互いにぶつかり合い、路傍に落下した。

 

 *

 

「ガードロボットがやられた!」

 

 レイ博士が叫んだ。

 

「だったら……」

 

 ツキホはモンスターボールを取り出す。

 

「空からなら、ポケモンだって!」

 

 そして窓を開け、モンスターボールを外に投げる。

 

「行くのよ! スピアー!」

 

 ミナトもそれを見て、モンスターボールを取り出した。

 

「だったら僕も……。行け! ムウマ!」

「スピ!」

「ム〜マッ!」

 

 スピアーとムウマが空中に飛び出した。

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