ポケモンサービスの業務日誌   作:まがみん

46 / 52
第12話 盗まれた秘宝! 怪盗姉妹登場・2

「ポケモンを出してきたわ……」

 

 リオンが言う。

 

「何が出てきても同じことよ。エーフィ、サイケこうせん!」

「フィ!」

 

 エーフィは額の宝石から光線を放つ。スピアーとムウマはその光線をかわした。

 

「ムウマ! パワージェムだ!」

 

 ミナトが叫ぶ。

 

「ム〜マ!」

 

 ムウマは首元の宝石から赤い光線を発射した。

 

「エーフィ、リフレクターよ!」

 

 エーフィの額の宝石が発光し、そこから光の壁が生じた。ムウマのパワージェムはリフレクターにより、防がれる。

 やがてザンナーとリオンの車は幹線道路を曲がり、公園沿いの道に入っていった。

 

「この先の道は行き止まりのはず……どうするつもりだ?」

 

 レイ博士は言う。

 やがて、怪盗姉妹の車は川へと面した崖上に、飛び出した。

 

「あぁっ!」

 

 マサトが目を見張る。

 このままだと、姉妹の車は川面に……。しかし、車は変形し、左右から翼が飛び出し、空中へと浮かび上がった。

 

「空を飛べるのか!」

 

 レイ博士は言った。

 

「そうか……奴らはそうやってこの街に……」

「どういう意味ですか?」

 

 ミナトが訊く。

 

「この街に、陸路で入る方法はモノレールただひとつだ。彼女たちがどうやって街に侵入したのかと思っていたが……なるほど、空を飛んで川を渡ったのだと考えれば合点が行く」

「感心してる場合じゃないですよ!」

 

 ツキホが言う。

 

「このままだと逃げられて……」

「いや……」

 

 レイ博士は目を伏せた。

 その時だった。怪盗姉妹の車の後部座席に乗っていた剣と盾を覆っていた幌が膨らみ、風になびいて飛んでいった。

 

「あれが……」

 

 崖の縁で停まった車から、怪盗姉妹の車の様子を見ていたミナトは言った。

 

「ガラルの剣と盾……」

 

 マサトも言う。

 それは、古い石でできた剣と盾とを組み合わせたような見た目をしたオブジェだった。

 

「かつて英雄と呼ばれたポケモンたちの力を封じ込めた遺物だ」

 

 レイ博士は言う。

 次の瞬間、剣と盾はスパークを始めた。

 

「何……何が起こってるの……?」

 

 リオンが言う。

 

「フィ……!」

 

 エーフィがトランクの上で身を伏せた。

 ムウマとスピアーは空中で静止する。

 次の瞬間、剣と盾から金色に光り輝くエネルギーが放出された。

 車の後部がそのエネルギーを浴びて爆発する。

 

「しまっ……!」

 

 ザンナーが目を見開いた。

 動力を失った空飛ぶスポーツカーは川面めがけて落下していく。

 

「飛び降りるわよ、姉さん」

 

 リオンが言った。

 

「わかったわ」

 

 ザンナーの胸元にエーフィが飛び込んできた。

 ザンナーはエーフィを抱えると空中に飛び出した。リオンもそれに続く。ふたりの背中から機械の翼が展開し、河川敷の芝生の上へと着地をした。

 川面に、剣と盾のオブジェごと、スポーツカーが飛沫を上げて落下した。

 その傍に、金色の光のエネルギーがふたつ、落下する。やがてそれは二匹のポケモンの形をなし始めた。

 

「あれは……」

 

 崖上の車からその様子を見ていたミナトは言う。

 

「ザシアンとザマゼンタ。ガラル地方の伝説のポケモンだ」

 

 レイ博士は説明した。

 

「もっとも……あの剣と盾に封じられていたのは二匹のポケモンそのものではなく、その力……なのだが」

「リオン……まずいわね……」

 

 ザンナーは二匹のポケモンに睨みつけられ、後ずさりながら言った。

 

「あの姿はれきせんのゆうしゃ……か」

 

 レイ博士は言った。

 

「分析してる場合じゃないですよ!」

 

 ミナトは車から飛び出していた。

 

「このままだと、警察が来る前にあの怪盗姉妹が……!」

「そうですよ! 悪者には法律がしっかりと裁きを下さないといけないのに!」

 

 ツキホも車から飛び出す。ふたりの傍に、ムウマとスピアーが戻ってきた。

 マサトとトオイもふたりに続いて車を降りる。

 

「でも、どうするつもりなの? 力だけだと言っても、あの殺気……」

 

 マサトは崖下の二匹のポケモンを見下ろした。

 

「川の中に、剣と盾は落下して……。あの二匹をどうにかその剣と盾に戻せればいいんだけど……」

「四人とも」

 

 といつの間にか傍に立っていたレイ博士が言った。

 

「私はラルースの人間ではない。シルフカンパニーから派遣されてきた科学者だ。まさかこんなことになろうとは予想もしていなかった……。しかし、シルフカンパニーの名誉のためにも、ここで退くわけにはいかない。あの二匹は私が引き付けよう。君たちはその間に川の中から剣と盾を引き上げるんだ」

 

 そしてレイ博士はモンスターボールを取り出した。

 彼はモンスターボールを投げる。

 

「行けっ! ポリゴン!」

「ポリッポリィッ!」

 

 現れたのは直線的な身体のラインをしたポケモンだった。

 

「ポリゴンかぁ!」

 

 ミナトは言う。

 

「確か……人工的に造られたポケモンよね」

「あぁ、シルフカンパニー研究開発部で造り出した私用のポケモンだ」

 

 それからレイ博士はポリゴンに命じる。

 

「ポリゴン! ザシアンとザマゼンタに向かって、でんきショックだ!」

「ポリィ!」

 

 ポリゴンは全身から電撃を放ち、ザシアンとザマゼンタを攻撃した。

 すると二匹のポケモンはポリゴンを見上げ、その姿が変わる。ザシアンは口に剣をくわえ、ザマゼンタは首周りが盾のようになっている。

 

「グアァァァァァッ!」

 

 二匹のポケモンは咆哮した。

 

「けんのおうとたてのおうか……。こっちへ来い! 力だけの……伝説を模した存在よ!」

 

 レイ博士はポリゴンに跨る。

 そしてポリゴンは博士を乗せたままその場から遠ざかっていった。

 二匹のポケモンは崖を駆け上がり、ミナトたちの頭上を跳躍する。

 

「うわっ!」

 

 ミナトたちは身をかがめる。ザシアンとザマゼンタはその上を通り過ぎ、ポリゴンとレイ博士を追っていった。

 

「僕たちも……崖の下へ降りよう」

 

 ミナトは言った。

 ツキホ、マサト、トオイの三人は頷く。

 ミナトたちは慎重に崖の下へと降りた。

 

「な、なんだったのよ……今の」

 

 怪盗姉妹の妹、リオンはそう言っていた。

 

「伝説のポケモンの力よ。あなたたちが盗みなんてするから、あんなことに……」

 

 ツキホは言った。

 

「何よ……子供のくせに」

 

 リオンは言い返す。

 

「子供でも、悪の限りを尽くしているあなたたち怪盗なんかよりは遥かにマシだわ」

 

 ツキホの傍にスピアーが飛んでくる。

 

「へぇ……戦うの? 子供のくせに」

 

 リオンは黄色くリペイントされたモンスターボールを取り出した。

 

「当然よ」

「スピッ!」

 

 スピアーはツキホの前へと進み出た。

 

「ツキホ」

 

 ミナトはそんなツキホに言った。クチートを地面に下ろす。

 

「今はそんなことよりも……川に沈んだ剣と盾をどうにかすることを考えないと。あれがないと……伝説のポケモンたちは……」

「ポケモンといっても、所詮は力だけをコピーしたものだ。だから早く剣と盾に戻さないと、何が起きるかわからない」

 

 トオイが言う。

 

「それはそうだけど……」

 

 とツキホは言う。

 

「へぇ、私と勝負しないの? 逃げるの? お嬢さん」

 

 リオンは挑発をする。

 

「でも……泥棒は捕まえないと……」

 

 ツキホは拳をぎゅっと握りしめた。

 

「必ず捕まえるよ。でも、泥棒を捕まえることと、街の人たちを守ることを天秤にかけたら……」

 

 とミナトは言う。

 

「わかったわ。今は剣と盾を引き上げることにする。でもその後で……」

「うん、それは約束するよ。僕たちも協力するから」

「それで……どうやって川の中に沈んだ、あんな重そうなものを……」

「サイコキネシスよ」

 

 ザンナーが言った。

 エーフィが川岸に進み出る。

 

「私たちがあの遺物を車に運んだのも、エーフィのサイコキネシスを使ってだった。だから……」

「姉さん……?」

 

 ミナトたちに助言をした姉の行動に目を見開き、リオンは言う。

 

「リオン、私たちはお宝さえ手に入れればいいの。ラルースシティの破壊なんて……柄じゃないわ」

「サイコキネシス……か」

 

 マサトがキルリアを川岸に下ろした。

 

「ム〜マ!」

 

 ムウマもミナトの傍へと飛んでくる。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。