ポケモンサービスの業務日誌   作:まがみん

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第12話 盗まれた秘宝! 怪盗姉妹登場・3

「キルリア、サイコキネシス!」

「ムウマ、ねんりき!」

「エーフィ、サイコキネシス!」

 

 マサト、ミナト、ザンナーは叫んだ。

 それぞれのポケモンの両眼が光り輝く。そして水面下からゆっくりと「剣と盾」が上がってきた。

 

「やった! 成功だ!」

 

 トオイは言った。

 

「プラッ」

「マイッ」

 

 プラスルとマイナンも鳴く。

 剣と盾はそのまま、川岸の芝生の上へと降ろされた。

 

「スピアー、レイ博士のところへ行くのよ! 剣と盾を引き上げることに成功したって……」

 

 だがそこで、リオンが動いた。

 彼女は背後からツキホの腕を掴み、引き寄せると、その首元にナイフの先端を当てた。

 

「姉さん、お宝が手に入ればいいんでしょ?」

 

 とリオンは言う。

 

「『剣と盾』は渡してもらうわ」

「う……裏切ったのね!」

 

 ツキホは言う。

 

「裏切るも何も、私たち……お嬢さんたちの仲間になったつもりはハナからなかったんだけど……」

「く……」

 

 ミナトとマサトはムウマとキルリアにねんりきとサイコキネシスを止めさせた。エーフィのサイコキネシスにより、剣と盾はふたたび空中に浮かび上がる。

 

「駄目よ! 諦めちゃ!」

 

 ツキホは言った。

 

「私のことなんて……どうでもいいから! 剣と盾は渡さないで!」

「どうでもよくなんてない! 人の命には変えられないよ! ましてやツキホは……僕の大切な仲間なんだから!」

 

 ミナトは言い返す。

 

「坊やの言う通りよ、お嬢さん」

 

 リオンは言う。

 

「それじゃあ私たち、退散するとしましょ。姉さん」

「えぇ……そうね」

 

 ザンナーは少し何かを考えているようだったが、やがて頷いてリオン、ツキホ、そしてエーフィと剣と盾と共にその場から去ろうとする。

 だがそこで、ツキホは腰に向かって手を伸ばした。そしてリオンに気付かれないようにジュンサーさんのサイン入りプレミアボールを手に取ると、真ん中のスイッチを押して大きくする。

 そして相手が見ていない隙をついてそっと投げる。プレミアボールからシャワーズが飛び出してきた瞬間、ツキホは叫んだ。

 

「シャワーズ、みずのはどう!」

「シャワッ!」

 

 シャワーズは口から水流を放った。エーフィはそれをかわすために後方に飛び退く。エーフィの集中力が途切れ、剣と盾が芝生の上に落下した。ツキホはリオンの一瞬の隙をつき、その腕を脱した。

 

「あくまでも戦うっていうのね。いいわ、アリアドス!」

 

 リオンは黄色くリペイントされたモンスターボールを投げる。そこから出てきたのはアリアドスだった。

 シャワーズはアリアドス、エーフィと睨み合う。

 スピアーがシャワーズに加勢した。

 

「クチート、ムウマも加勢して……」

「必要ないわ」

 

 ツキホは言う。

 

「正義の名にかけて……この銀河の美少女、名はツキホ。戦わせてもらうわ!」

「『銀河は言い過ぎ』って……言った方がいいのかな」

 

 とミナトは言う。

 

 *

 

 ポリゴンに跨ったレイ博士はラルースシティの路地裏へとたどり着いた。行き止まりとなっている壁を背にし、レイ博士は追ってきたザシアン、ザマゼンタと向き直った。

 

「グルルルルルル……」

 

 ザシアンは唸り声をあげる。

 

「ここまで来れば……」

 

 とレイ博士は言った。

 

「誰に見られる心配もないだろう。ザシアン、そしてザマゼンタよ……」

 

 レイ博士は銀色の腕輪を二匹のポケモンに向けて言った。

 

「存分に……その力の限り、暴れてくるといい」

 

 腕輪から紫色の光が迸った。

 

 *

 

「アリアドス! どくばり!」

 

 リオンの指示で、アリアドスは口から無数のどくばりを発射した。

 

「スピアー! かわしてミサイルばりよ!」

「スピ!」

 

 スピアーはアリアドスの攻撃をかわすと、両手の槍から無数の針を発射した。

 

「アリアドス! ねばねばネット!」

 

 アリアドスは口から無数の糸の塊を発射した。糸の塊は空中でネット状に広がり、スピアーのミサイルばりを防ぐ。

 

「エーフィ! サイケこうせん!」

 

 ザンナーの指示で、エーフィは額の宝石からサイケこうせんを放った。

 

「シャワーズ、ハイドロポンプ!」

「シャワ!」

 

 シャワーズは口から水流を放つ。サイケこうせんとハイドロポンプがぶつかりあった。

 その時だった。

 どこからか爆発音が聞こえてくる。

 

「今のは!?」

 

 ミナトとマサト、トオイが顔を見合せた。

 

「街の方から聞こえた……みたいだけど」

 

 とトオイは言う。

 

「関係ないわ。私たちはお宝をいただくだけ……」

 

 リオンは言う。だがザンナーは街の方に目を向けた。

 

「でも……今の音があの二匹のポケモンによるものなら……」

「よるものなら、何よ」

「私たちはまた……私たち自身の手には負えないお宝を狙ってしまったのかもしれないわ」

 

 それからザンナーはエーフィをモンスターボールに戻す。

 

「エーフィ、戻るのよ」

「姉さん、どうするつもり?」

「街へ向かうわ。私たちが狙ったお宝が、本当はどういう代物なのか、見ておくのよ」

 

 そう言うとザンナーはひらりひらりと崖の上に上がっていく。

 

「姉さん……」

 

 リオンもアリアドスをモンスターボールに戻した。そして姉に続く。

 

「あっ、逃げるのね!」

 

 ツキホは追いかけようとする。

 

「僕たちも……街の方に向かおう。何か嫌な予感がするんだ」

 

 ミナトはムウマをモンスターボールに戻した。

 ツキホもスピアーとシャワーズをそれぞれに、ボールへと戻す。

 

 *

 

 ラルースシティの街の中を、二匹のポケモンが疾駆していた。しかしそのポケモン、ザシアンとザマゼンタは体色を漆黒に染めている。両眼は赤く光り輝いていた。

 そして二匹は、額からはかいこうせんを放ち、街を破壊していく。ガードロボットたちがそんな二匹を止めようと、無数に飛んでくるが、それらは爆発に阻まれて二匹の所へたどり着くことができない。

 

 *

 

「逃げてください!」

 

 サクヤは炎に包まれていく街の中で、避難所となっている研究所へと人々を誘導していた。

 

「エリキ!」

「ブイ!」

 

 その肩にはエリキテルとイーブイ所長が乗っている。

 だが逃げようとする人々の上に、ビルから剥がれ落ちたコンクリート片が落下してきた。

 

「まずい……!」

 

 サクヤがそう言った次の瞬間、コンクリート片の落下は空中で止まった。

 振り返ると、そこにはフーディンを従えたナツメが立っていた。フーディンは両目を光らせ、サイコキネシスを使っている。

 

「確か……あなたもポケモンサービスの子よね」

 

 ナツメは言った。

 

「避難誘導、私も協力するわ……」

「あんた……」

 

 サクヤはナツメをじっと見つめた。本当に信用していいのだろうか。そう考えていた。

 だがすぐに頷く。

 

「わかりました。お願いします」

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