ポケモンサービスの業務日誌   作:まがみん

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第13話 進め! ポケモンサービス・1

「しゃかりきなりきりはりきりっ! みんなで進もうエブリーデイ!」

 

 ミナトはヤマブキシティの道を、買い出しの帰り道、ビニール袋を片手に歌いながら上機嫌で歩いていた。クチートもその隣を歩いている。そして、ポケモンサービスの事務所が入っているビルの前にたどり着いた時だった。

 ビルの前に、三人の人間が集まっていた。

 

「確か……この辺よね」

「あぁ……そう聞いている……が」

「お、誰か来たところニャ」

「なんだ……ただのガキンチョじゃないの」

 

 赤色の髪をした女、紫色の髪をした男、そして異様に背の低い男の三人組だった。みんな、ひと昔前の新聞記者のような格好をしている。

 

「あの……どうかされましたか?」

 

 ミナトは尋ねる。

 その時だった。どこからともなく壮大な音楽が聞こえてきた。

 

「どうかされましたかと聞かれたら」

 

 と女が言う。

 

「答えてあげるが世の情け」

 

 と紫髪の男が言う。

 ふたりは交互に口上を続けた。

 

「予算が尽きるの防ぐため」

「明日のバイト代を稼ぐため」

「愛と真実の取材を貫く」

「ラブリーチャーミーな新聞記者」

「ムサミ!」

「コタロウ!」

「新聞記事を駆けるバイト記者のふたりには!」

「ホワイトニュース、白い報道が待ってるぜ!」

 

 そして最後に、異様に小柄な男が付け加える。

 

「ニャーんてな!」

「ソーーーナンスッ!」

 

 どこからともなく現れたソーナンスが合いの手を入れた。

 

「いいから、あんたは戻る」

 

 ムサミと名乗った女記者はソーナンスをモンスターボールに戻す。

 

「てなわけで……あたしたち……ポケモンサービスの取材に来たんですけどー」

 

 とムサミは言った。

 

「あ、それなら僕が事務所まで案内しますよ。僕、そのポケモンサービスのメンバーなんで」

「クチ!」

 

 クチートも鳴いた。

 

「えぇ?」

 

 ムサミはコタロウに小声で言う。

 

「ほんとに大丈夫なの? こんなガキンチョ。ジャリボーイと大して変わんないじゃないの」

「まぁそう言わずに。こいつらを取材するだけでお金が貰えるんなら、こっちとしては儲けもんだろ?」

「それに運が良ければポケモンサービスのポケモンたちを捕まえてボスに献上できるかもしれないのニャ」

「何小声で話し合ってるんですか? 行きますよ、おばさんたち」

 

 ミナトは言う。

 

「お・ば・さ・んん!?」

 

 ムサミの頭に怒りマークが浮かび上がった。

 

「もう一度言ってみなさいよこのガキンチョ! キ〜〜ッ!」

「まぁまぁ……」

 

 コタロウがそんなムサミを背後から羽交い締めにして言う。

 

「許さない! 許さないわよ!」

「今はこらえるのニャ……。ニャーたちのバイト代のためにも……!」

 

 ミナトはイーブイを模したマークが描かれた扉を開けた。

 

「じゃーん、ここがポケモンサービスの事務所です!」

 

 ミナトは言う。

 

「王手」

「あぁっ、負けた! これで十三敗目よ!」

 

 サクヤとツキホは部屋の真ん中にあるテーブルに将棋盤を起き、遊んでいた。

 

「なんで将棋……?」

 

 ミナトが言う。

 

「いや、物置を整理してたら出てきたんだよ。前のテナントが置いてったものじゃないか?」

 

 サクヤが言う。

 

「ブイ」

 

 サクヤの肩の上で、イーブイ所長が鳴いた。

 

「あっ、紹介しますよ」

 

 ミナトはムサミとコタロウ、それに小男を前にして言った。

 

「ここにいるのがポケモンサービスのメンバー、サクヤとツキホ、そして所長のイーブイです」

「ジャリん子ばっかりじゃないの」

 

 ムサミが言う。

 

「というか……イーブイなのに所長?」

 

 コタロウが首を傾げた。

 

「あとはこのエリキテル。新しい持ち主が決まるまで僕たちが預かってて……」

 

 とミナトはエリキテルを手に持って言う。

 

「エリキッ」

 

 エリキテルは鳴いた。

 

「んん? ミナト、誰なんだ? そのおじさんたち」

 

 サクヤが言う。

 

「お・じ・さ・んん!?」

 

 コタロウの頭に怒りマークが浮かんだ。

 

「俺のどこがおじさんなんだっ! このジャリん子軍団!」

「い、今はこらえるのニャ……」

 

 小男が一生懸命にコタロウを抑える。

 

「実はあたしたち、市民のためにポケモンの力を使って頑張っている皆さんに取材をーと思いまして」

 

 ムサミがニコニコと笑って言った。

 

「なるほど……新聞記者か」

 

 サクヤは言う。

 

「そんなことなら……」

 

 とツキホは立ち上がった。

 

「この私にお任せ下さい! なんてったって私は、ヤマブキシティの正義を司る銀河の美少女、ツキホですから!」

「だーかーら、銀河は言い過ぎだっての」

「まーた変なジャリガールが出てきたものね」

 

 ムサミはコタロウに小声で言った。

 

「とにかくだニャ」

 

 と小男が指を立てて言った。

 

「ニャーたちにこのポケモンサービスの活動内容を話すのニャ」

「ニャ?」

 

 ミナトが首を傾げる。

 

「ヨシノ弁か?」

 

 サクヤが言う。

 

「ニャ? そうそう、ヨシノ弁だニャ」

「でも活動内容って言ってもなー」

 

 とミナトは言う。

 

「あっ、だったら最近あったことから話していけばいいんじゃないの?」

 

 ツキホが言った。

 

「最近……かぁ。うん、まずはあの事件からかな」

「ふむふむ、あの事件?」

 

 ムサミがマイクを近づけてきた。

 

「大金持ちの屋敷に怪盗エックスが予告状を送り付けてきた事件です。あの時は僕たちが活躍して、エックスを逮捕したんですけど……」

「そうそう、でもその時、私はあの憧れのジュンサー様とお近付きになることが出来たのよ!」

 

 ツキホは恍惚とした表情を浮かべて言った。

 

「あぁ、ジュンサー様。正義を追い求める、あの凛々しいお姿……」

「ジュンサーさんとはその後も、色々お世話になったよね」

「ポケモンハンターKとツキホが、初めて遭遇した事件とかか?」

 

 とサクヤは言う。

 

「ポケモンハンターK……」

 

 ミナトは拳を握りしめた。

 

「自分の欲望のために、ポケモンを利用しようとする悪いやつだ……」

「あぁ、そうだな。奴とはあの後も何度も遭遇した。二度目はミヤビのポケモン学校での事件、そして三度目はミナトのニューラが特訓をして、れいとうパンチを習得した時……」

「いつか……いつかよ」

 

 ツキホは言う。

 

「正義のために、あいつをジュンサー様に引き渡さないといけない。私はそう思っているわ」

「それから他には……ミナトが女の子の格好をしたこともあったよな」

 

 サクヤが言った。

 

「あっ、や、それは……!」

「メイド喫茶……だったっけか? あの時は、ルミエール・ド・ローズとかいう妙なやつも出てきて……」

「結局何者なの? ルミエールって」

「ただの変質者です」

 

 ミナトは即答した。

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