ポケモンサービスの業務日誌   作:まがみん

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第13話 進め! ポケモンサービス・4

「なっ、なんでこんなことを! と聞かれたら」

 

 と気球に乗り、さっきまでの新聞記者風のファッションとは違った服装になったムサミが言った。

 

「答えてあげるが世の情け」

 

 と同じく新聞記者の格好から衣装替えしたコタロウが言う。

 そしてムサミとコタロウは交互に口上を述べ始めた。

 

「世界の破壊を防ぐため」

「世界の平和を守るため」

「愛と真実の悪を貫く」

「ラブリーチャーミーな敵役」

「ムサシ!」

「コジロウ!」

「銀河を駆ける、ロケット団のふたりには」

「ホワイトホール、白い明日が待ってるぜ!」

「ニャーんてな!」

 

 小男改めニャースが言った。

 

「ソーーーナンスッ!」

 

 ソーナンスがモンスターボールから出てきて言う。

 ムサシはそれをすぐにモンスターボールに戻した。

 

「ポ、ポケモン泥棒だったのね!」

 

 ツキホは拳を握りしめ、言った。

 

「許さないわっ、正義のために!」

「で、でも僕たちのポケモンはみんなあいつらに盗られちゃって……」

 

 とミナトは言う。

 

「いいや、まだエリキテルがいるさ!」

 

 サクヤは言った。

 

「やーい、やーい、ここまでおいでー」

 

 ロケット団のふたりは気球の上でそう言っている。

 

「エリキ!」

 

 エリキテルが窓枠に立った。

 

「エリキテル! でんきショックだ!」

「エリキッ!」

 

 エリキテルは全身から雷撃を放つ。

 だがニャースはパラボラ型のアイテムを手に持ち、その攻撃を跳ね返した。

 

「ニャハハハハハハ! 対電気技用パラボラだニャ! ジャリボーイのピカチュウ用に開発したものだったけど、まさかここで役に立つとは思わなかったのニャ」

「くっ……エリキテルでも駄目だなんて……!」

 

 ミナトは言う。

 そこで、イーブイ所長が前へと飛び出した。

 

「ブイッ」

「所長!?」

 

 イーブイ所長は窓から外へと飛び出し、気球に向かって跳躍する。

 

「進化前のイーブイなんて、何をやっても無駄無駄ぁ」

 

 コジロウは言った。

 

「イ〜ブイ!」

 

 イーブイ所長は気球の表面に飛びついた。そして前脚で気球の表面をかき分け始める。

 

「あれは……」

 

 とサクヤが言った。

 

「イーブイ所長の『あなをほる』だ!」

「な、なんか……」

 

 ムサシは上を見上げた。

 

「嫌な予感……」

 

 コジロウも言う。

 やがて気球の表面に穴が空いた。そこから空気が漏れ、気球は大空へと飛ばされていく。

 

「ブイッ」

 

 イーブイ所長は窓枠に戻った。気球の下にぶら下がっていたネットがはずれ、そこに捕まっていたポケモンたちは中庭に落下する。

 

「クチ!」

「ジョンドォッ!」

「ザグザグッ!」

 

 ポケモンたちはそれぞれに着地をする。

 

「よし、いいぞ。エリキテル! もう一回でんきショックだ!」

「エリキッ!」

 

 エリキテルは電撃を全身から放った。

 

「しびれびれぇぇぇぇぇぇっ!」

 

 ロケット団は悲鳴をあげる。

 そして空高く飛ばされていった。

 

「やな感じ〜っ!」

「あんた、やるわねぇ」

 

 ツキホはエリキテルを見て言う。

 

「エリキ」

 

 エリキテルは得意げに鳴いた。

 

「でも……なんだったんだろうな、さっきの人たち」

 

 ミナトは言う。

 

「なんでもいいんじゃないか? 俺たちの今までの活動も振り返ることができたんだしさ」

 

 サクヤは言った。

 

「そうだね」

 

 ミナトはにこりと笑った。

 

「ちょうどみんなもモンスターボールから出てきてるし……お昼ご飯にでもしよっか」

 

 それからしばらくの後、ミナトとクチートの姿はヤマブキシティの市街地にある公園にあった。

 公園の噴水傍にあるベンチに、ナツメが座っていた。

 ナツメはミナトの姿を見つけると、顔を上げた。

 

「ナツメさん、どうしたんですか? こんな所に僕を呼び出して」

 

 とミナトは言った。

 

「クチ……」

 

 クチートは何故か少し警戒したような目つきでナツメを見つめている。

 

「この前……言ったでしょ。いつか……借りの返し方を言い渡すって」

 

 ナツメはベンチから立ち上がる。

 

「あ、じゃあ……」

 

 ミナトはごくりと唾を飲み込んだ。

 

「でも、本当にどこへ行くのにもクチートと一緒なのね」

 

 ナツメは言う。

 

「はい。だってクチートは僕の相棒ですから」

「本当にそれだけ?」

「それだけって……なんですか?」

「女の子でしょ? そのクチート」

「はい、そうですけど……」

 

 ミナトはキョトンとする。

 ナツメはため息をついた。

 

「気づいてあげないと駄目じゃないの」

「気づく……って、何にですか?」

「なんでもないわ。そういうことは、自分で気がつくべきだから……」

 

 それからクチートの方に目を向ける。

 

「ミナトくん、今日この一瞬……クチートをモンスターボールに戻せるかしら?」

「え?」

「クチ!」

 

 クチートは目を見開き、ナツメを見つめた。

 

「だってさ、クチート。モンスターボールに、戻れるかな」

 

 ミナトはモンスターボールを取り出す。

 

「チ〜ト」

 

 クチートはミナトの方に目を向けた。

 

「ちょっとだけ……この中に、入って貰える?」

 

 ミナトは言う。

 

「チト〜」

 

 クチートは目を細めた。

 

「うーん、やっぱり嫌だ?」

「クチ!」

 

 クチートはミナトに抱きついてくる。

 

「ごめんなさい、ナツメさん、やっぱり……駄目みたいで……」

「そう、そうなのね……」

 

 ナツメは視線を落とした。

 

「それなら、仕方ないわ。私も……諦めることにするわよ」

「えっ、諦めるって……何を……」

「ミナトくん。こんな所まで呼び出して悪いんだけど……やっぱり……この前の貸し借りの話は……なしにしようと思……」

「ナツメさんはそれでいいんですか?」

「え?」

「ナツメさん……僕になにかして欲しかったんじゃないですか? だから、この日までそれを取っておいて……それなのに、急に諦めて手を引くなんて、ナツメさんらしくないですよ」

「ミナトくん」

 

 ナツメはため息混じりに言った。

 

「私は時々ミナトくんのことがわからなくなるわ。鋭いんだか鈍いんだか……。でも、そうね、わかったわ。そこまで言われたのなら私……言うわ」

 

 それからナツメはすっと息を吸った。

 

「今度……私とふたりで、どこかにお出かけしないかって……そう言いたいのよ」

「ナツメさんとふたりで……ですか?」

「えぇそう。ふたりで、ふたりっきりで……」

「クチ!」

 

 クチートが慌てたようにミナトとナツメの間に立った。

 

「でもそれって……ミナトくんのクチートにとって、すごく酷いことをしてるっていうのもわかるから……」

「え……?」

「ミナトくんが決めてちょうだい。私の頼みを、受けるのか、受けないのか……」

「えーっと……それは……」

 

 ミナトは口を開いた。




【次回予告】

ミナト「ツキホが森の中で出会ったのは、カントーリーグ制覇を続けて旅を続けるタクトさんだった。タクトさんの手持ちのポケモンは……なんとあの伝説のポケモン、ダークライとラティオス! でも、そのポケモンたち二匹は、ポケモンハンターKに狙われていて……。次回『ダークライ使いタクト! ポケモンハンターKの魔の手』をお楽しみに!」
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