ダンジョンに強者面(ビビり)が来るのは間違いだ!   作:パーカス

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重荷と冒険者(サポーター)、そして提案

クロ・ユート

 Lv.1

 力:G219→B725

 耐久:I16→E400

 器用:I26→F323

 敏捷:G206→B708

 魔力:I0→G200

 

 

「「上がり過ぎッ!!」」

「お、おう」

 

ヘスティアとベルが帰宅し、ラケシスとの自己紹介を済ませ、一夜過ごした次の日。クロは早速ステイタス更新をして貰ったのだが、二神のロリに詰め寄られていた。

 

「異常も異常だよ!?何したらこんなにも上がるのさッ!」

「無茶な事しないって約束しただろ!?今回は何をやらかしたんだいッ!!」

 

「「説明ッ!!」」

 

切羽詰まった顔で詰め寄られ、かと言って自分でもどうしてこうなったか説明など出来る訳もなく、初めて更新してもらったあの日から今日に至るまでの事を思い出す。

 

「冒険してモンスターを倒した、位しか思い付かねぇが……」

「だとしても1週間も経たない内にここまで上がる訳ないだろ!?まさか勝手に中層部まで行ったんじゃ……」

「そんな訳……」

 

クロは思い出す。

オッタルの視線から逃げ出し、ダンジョンで迷子になった事を。

パニックで周りのモンスターを殲滅しまくっていた事を。

もしや、自分が迷子になった場所は……

 

クロは自然と視線を逸らす。

 

「あぁー!今目を逸らしたね!正直に話したまえッ!!」

「そうだぞ!今話した方が身のためだぞ!」

 

一神(ひとり)はツインテールで攻撃し、もう一神(ひとり)からは拳が飛んでくる。しかもかなり力の入った拳だ。この身体じゃなければ蹲る程の威力だ。いや、力入れ過ぎだろ。

 

ベルは更新を終えた後、あ、長くなるなと察したらしく先にギルドの方へ向かい、エイナに報告しに行った。

後でダンジョン前の大広場で集合と約束して。

 

しばらくしてゼェ、ゼェ、と荒い呼吸を繰り返す二神(ふたり)。長い間攻撃を続けていたが、頑として話そうとしないクロに呆れ混じりの嘆息(たんそく)をつき、問い詰めるのを諦める。

 

「全く……本当に無茶だけはしないでくれよ?」

「勿論だ、大佐」

「誰が大佐だっ!さては全く反省してないなぁ〜?」

 

冗談を挟みつつ、また二神(ふたり)の暴走が再熱する前にクロは拠点(ホーム)から出て行く。

 

「行ってらっしゃい」

「気を付けてね〜」

 

二神(ふたり)が笑顔でお見送りしてくれる。

クロは振り返り、手を上げる。

 

「あぁ、行ってくる」

 

クロは早足でベルが待つ大広場へ向かった。

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

「さて、眷族(子ども)が行ったから話をしようじゃないか、ラケシス」

「そうだね。互いに情報交換も大事だしね」

 

二神(ふたり)拠点(ホーム)の中へ戻り、面と面向かい合って話し合いを始める。

 

話し合いの議題は、クロのスキルについて。

 

「1回クロのスキル見せてもらってもいい?」

「別にいいけど……はい、これだよ」

 

サンキュ〜と感謝を告げ、羊皮紙を受け取り拝見する。

クロを転移前に設定したスキルがしっかり刻まれているのを確認し、そして問題のスキルを探す、が。

 

「これだけかい?」

「これだけって、3つある時点で凄いことなんだぞ?」

 

ヘスティアは何か隠している。

恐らく知った上で、誰にも話さない様に自分で口を閉ざしている。そう考え、ヘスティアには悪い事をしたなと反省し、その重い荷を一緒に背負う為に問い詰めた。

 

「……もう1つ、あるんでしょ?」

「な、何を言ってるんだい?そんな訳───────

 

「……『黒龍伝説(ミラボレアス)』」

「ッ!?」

 

彼女は驚愕し目を見開き、ラケシスに動揺を見せる。

 

「ど、どうしてそれを!?」

「……ごめんね、面倒事を押し付ける形になっちゃって」

 

理解出来ず、どういう事だい?と疑問をぶつけるがラケシス自身、嘘であってほしいと願っていた。あの時、送り出す直前で見たものが見間違いであってほしいと。

 

「……結論から言うと、彼に刻まれた‘’黒龍”の名は、この世界にいる‘’黒竜”とは違う」

「まさか、黒竜はやっぱり2体ッ!?」

 

焦り興奮するヘスティアに首を振り否定する。

 

「こことは別の世界の黒龍だから大丈夫だよ。……まぁ正確に大丈夫とは言えないけど」

 

ラケシスは羊皮紙を机に置き、椅子に身を任せ脱力する。

 

「……ボク、見たんだ。彼に刻まれた‘’黒龍”を」

「えっ?」

 

忘れもしない。彼女の瞳に映るあの時の光景。

黄金の(まなこ)に、漆黒の鱗、一目で分かる‘‘龍”の姿……。

 

「忘れらないな〜アレは。結構怖かったもん」

「そんな呑気に言ってる場合かい!?」

 

ヘスティアの気持ちも分かる。

こちらの世界に居ないとはいえ、こちらに()()()()とは一言も言っていない。来る可能性は充分有り得る。寧ろアレだけの事をしておいて来ない訳が無い。

 

ラケシスは自身の無力さに嘆く。分かってて止められず、来ると理解しても何もしてあげれない。

彼女はただ、運命の糸を巻くだけ。

 

「……けど、大丈夫な気がするんだ」

「どうして?」

 

ラケシスはもう一度羊皮紙を手に取り、ヘスティアに見せびらかす様に紙を指で挟む。

 

「スキルには刻まれていない。けど、ボクを知ってる。いや……ボクは()()()()。彼の背中を支える英雄(ハンター)の姿を」

「はんたー?」

 

彼女は思い出す。

彼の背後に突如として現れた狩人(ハンター)を。

全員が笑い、彼の背中を支え、そして応援し合ってた。

 

「ふふっ」

 

思い出し笑いが出てしまう。

あれ程彼が憧れた英雄が、まさか自分の背後にいて更には支えてたなんて、どこぞの喜劇かな。

 

「ボク達はただ見守り、そして帰りを願うだけさ。いつもと何も変わらないよ」

「……確かにその通りだね。ボクも信じるさ、ベル君とクロ君の道を」

 

彼女達は目を瞑り黙祷する。

 

 

願わくば、彼らに災なく平和にいつまで暮らせますように

 

 

「さて、居候するならキミにも働いてもらうよ!」

「えぇ〜!ぐ〜たらな生活じゃだめ〜?」

「ダメに決まってるだろ!ほら!ボクと一緒にバイトしに行くよ!」

「うへぇ〜」

 

 

ロリ神(ヘスティア)ロリ神(ラケシス)を連れ、今日も働きに出掛けるのだった。

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

大広場の方に辿り着き、ベルを探し辺りをキョロキョロ見渡す。特徴的な白髪を目印に探していると、それらしき人物を見つけた。

どうやら、誰かと話し込んでいるみたいだった。

 

「ん?アイツは……」

 

近付くに連れて、そのシルエットは明確になり、ベルと話し込んでいる正体を見つけた。

 

「リリ?……ッ!?」

 

クロに電撃が走る。

心が訴え掛けてくる、今目の前で原作が進行している、と。

笑みを浮かべ、2人に気付かれないようにこっそり近付き、そして─────

 

「では、その方が来られてから出発ですか?」

「はい、なので後ちょっとだけまっ───「待たせたな☆」

 

ベルとリリは唐突に現れたクロに悲鳴を上げ、仰け反る。尚、脅かした張本人は一発ネタが決まり満足気だった。

 

「ク、クロさん、いつからここにっ?」

「遥か昔からだ」

「ダメだ話が通じない……」

 

ベルのナイスツッコミを貰い、そしてリリの方を向きを変える。

 

「昨日ぶりだな、リリ」

「おはようございます、クロ様!」

 

リリは満天笑顔で挨拶を交わし、ベルとクロを交互で見合う。

 

「お2人って、同じファミリアだったんですね」

「そうだな。何か不思議か?」

 

い、いえ!と否定し、リリは昨日見た大きなカバンを背負い、早速ダンジョンへ行きましょうと先導する。

 

 

エイナの許しが下り、七層目で荒稼ぎする事にした3人は片っ端からモンスターを倒して行っていた。

 

「流石ベル様!なんであんなにお強いんですか?」

「ふっ、ベルは俺が育てた」

「だからお強いんですね!」

 

「やめて!恥ずかしいからもうやめてッ!!」

 

2人による茶番に羞恥心を覚え、ベルは絶叫する。

流石にこれ以上茶化すとベルが沸騰するので、これ位でやめる。

 

「ステイタスが上がったからか前より動きがよくなったな」

「はい!まだクロさんには及びませんが……」

「ゆっくりでいい。焦って頑張った所で意味がない。まずは自身の力量を測ることが大事だ。そこから何が足りないか、何を伸ばそうか考えていけばいい」

 

ベルは元気よく返事を返し、魔石回収を終えたリリが報告に来る。

 

「回収終わりました!」

「よし、ならそうだな……今日はこの辺りで切り上げるか」

 

クロの判断にベルとリリは賛同し、換金しにギルドへ向かった。

 

今回、合計金額……36000ヴァリス!!

 

「ゆ、夢じゃないよね!?こんなにお金が入るなんてっ!?」

「ベル様すごぉい!おひとりでレベル1の5人パーティを上回る額を稼いでしまいましたぁー!」

「ほぼベルが狩ってたしな。よくやった、ベル!」

 

ベルは照れながらも、興奮しているのかよく分からん事を口にする。

 

「いやぁ、ほら、兎もおだてりゃ木も登るっていうじゃない?それだよ、それ!」

「全く訳がわかりませんが、今日の所は便乗しときます。すごぉ〜い!まだまだ上を目指せますよ!」

 

本当に何言ってるか理解出来なかったが、まぁいっかと納得し、ベルが山分けしていく。

ベルに12000、リリに12000、クロに12000といった分割に渡していった。リリは戸惑い、反対にベルはこの金でどうするか思い馳せていた。

 

「べ、ベル様!なんでリリにまで山分けなんか……」

「え?どうして?」

 

ベルは疑問に思い、嘘偽りなくストレートに告げる。

 

「僕1人じゃこんなに稼げなかったよ。リリがいてくれたからでしょ?」

 

ありがとうと感謝を告げ、これからもよろしくと笑顔を向けた。

 

「……変な人」

「それがベル・クラネルという男だ」

 

ボソッと呟いた事が聞かれ、勢いよく振り返る。

クロは手に持つヴァリスが入った袋を持ち上げる。

 

「俺なんて今日何もしていない。なのに俺にまで渡してきやがった。アイツはそういう奴だ」

「……いえ、クロ様はベル様に色々とアドバイスを飛ばしていました。何もしてない事はないと思います」

 

まさかの自分に慰めの言葉を飛ばしてくるとは思わず、目を見開く。彼女とはまだ完全に心を通わす程仲良くはまだなれていない筈、そう思いながらも素直な感想に嬉しく思い、頭を撫で回す。

 

「ちょ、クロ様!?」

「アッハッハッ!!」

 

 

 

 

リリとは別れ、2人揃って拠点(ホーム)に帰宅する。

 

そこは、地獄絵図だった。

 

「あ、やっと帰ってきた〜。ヘスティアを止めて〜!」

「うぉぉぉ!ボクのベル君だぞぉぉ!」

 

見て分かった。

完全に酔っ払いの挙動だった。

 

ラケシスはヘスティアを頑張って宥めてはいたが、遂に我慢の限界を迎え─────

 

「「あ」」

「へ?」

 

ヘスティアは虹色の光(ピー)をラケシスに向けて、吐いた。

 

 

「ぎゃああああ!!」

 

 

神の悲鳴が、廃教会(ホーム)に響き渡った。

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

翌朝。

 

二日酔いで寝込むヘスティアをベルに任せ、服が汚され着る服を失ったラケシスはしくしくと泣いていた。

 

「昨日はいきなり働かされ、そして服を失った……散々だよ〜」

「確かに、昨日は散々だったな……」

 

流石のクロもあまりにも可哀想すぎて、掛ける言葉が見つからず、どうしたものか悩んでいた。

 

ふと閃く。

 

「ならば、一緒に服を買いに行くか?」

 

資金も丁度潤ってるし、それに恩返しはしときたいしな……

 

 

その提案に、ピクっと固まり彼女は泣き顔で振り返る。

 

「……ホントに?」

「本当に」

「ホントにホントに?」

「二言はない」

 

彼女は飛び起き、クロに抱き着く。

先に言おう。今の彼女は、裸同然の格好だ。

 

「やったぁあ!!ありがとう、クロ!」

「とりあえず出掛ける服を貸してやる」

 

冷静に言っているが、クロの心は心臓ドキドキの顔が真っ赤っかだ。

装備収納(インベントリ)』から重ね着として女物の服を適当に見繕って渡す。

ブラチカグラス、クリークスーツ&アーム、チャタコイル、クリークシューズ

 

「おぉ〜、これもいいね〜」

「着用者に合わせてサイズも変わるのか……」

 

ラケシスの着替えが終わるタイミングで、ヘスティアが猛スピードで現れる。

 

「ラケシス昨日はごめん!ってなんだいその服っ!?」

「ふふ〜ん、クロがボクの為に用意してくれたんだ〜。今回はこれでチャラにしてあげるよ」

 

てかどしたの?とラケシスが聞くと、今度はヘスティアがドヤ顔を見せ、

 

「今日ベル君とデートをするんだ!羨ましいだろ!」

「わぁ〜お、あの子も中々大胆だね」

 

じゃ!と猛ダッシュでどこかへ駆けて行ったヘスティアの後ろ姿を見送っていると、今度はベルが姿を見せる。

 

「神様は?」

「どこか走って行ったぞ」

「キミも大胆な事を言うんだね〜」

 

ベルは顔を赤くしながら、約束の時間までダンジョンへ稼ぎに向かった。

 

 

「よし、ならボク達は今から行こうか〜!」

「そうだな」

 

 

クロはラケシスと共に、買い物(デート)しに出掛けた。




ラケシスとのデートを楽しむクロ。
しかし、そんな彼らに思いもよらぬ出会いがッ!?

次回、神様とのデート。再会せし小人(パルゥム)







すみません。
何度目か分かりませんが、また不定期に戻ります。
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