とある愚兄の偽造神格   作:夢見ぬ猫様

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さて。恐らく、これが年末ラストのアップになります。
ちなみに前回登場の少女、美夜はもう一人の主人公にあたります。出番はどちらかというと科学サイドが多いかと。


9.能力

 

 

 

 

 

 

          〈美夜〉

 

 

 

 

 

美夜。

 

それが、全てをなくし代わりに力を得た私の最後の名前になりました。つけてくれたのはシルエット―――呼び捨てでいいと言われました―――で、加えて私に居場所と生き方のヒントをくれました。

 

新しい居場所は『シャドウ』という彼がリーダーを務める裏組織。そして、彼のそば。

 

私の新たな生き方。それは『彼の隣で、私として生きること』。

 

そんな彼は最初の任務ということで柵川中学への入学を私に命じました。任務の目的は、裏以外の世界を知ること。見聞を広めて経験を得よと、そういうことだと思います。入学手続きは彼がやってくれました。

 

そして、今日がその柵川中学への編入の日。私は今、1年生の教室の前にいます。

 

しかし転校生が来るというのはどこでもこうも盛り上がるものなのでしょうか? シルエットから予備知識は頂いていましたが、ここまでとは思いませんでした。私が教室に入る前だというのにすでに興奮気味な雰囲気が感じ取れます。何も大声で騒いでいるというわけではないのですが。

 

さて。決心はできました。扉を開けますか。

 

 

 

私が見たことのない世界、それを見る為に。

 

 

 

          ★  ★  ★

 

 

 

初めてみる表の世界の感想は・・・・・・正直疲れました。

 

教室に入って自己紹介をし、ホームルームが終わったと思ったら、教室の皆さんが一気に集まってきて、質問・自己紹介の雨霰。世の転校生は皆こんなにも苦労しているのでしょうか。シルエットも最近学園都市に来て常盤台中学に入学したそうです。でも彼も同じ苦労をしたと思うと、どうしてか少し嬉しいです。

 

ちなみに、私は今誰もいない個室で1つの鉢植えと向き合っています。鉢植えには背の高いヒマワリが植えてあり、今が満開といった様子です。

 

何故私がこのような奇妙なことをしている理由は、能力検査です。この学園都市の能力者は規模を数値化されて、LEVEL0~5に分けられています。能力検査はその数値を測る、通常の学校でいうテストのようなものです。

 

とは言っても、私の能力のレベルはすでにわかっています。2日ごとに施設で能力検査を受けていましたから。だから私としてはこの行為に意味を感じることができません。やらない方が非効率的だと理解しているのでやりますが。

 

ヒマワリを視界の中心に収め、それの周りの空間に意識を集中します。そして、全てが回帰するイメージを作り出します。ここまでが0.01秒。そして、0.04秒後、能力が発動。さらに0.05秒、現実が書き換わります。

 

ヒマワリは蕾に戻り、急速に背を縮めていきました。やがて双葉になり、土に消えました。視覚で確認していませんが、ヒマワリは種に戻ったのでしょう。

 

これで能力は終了。結果が放送で流れてくるはずです。

 

『測定終了』

 

予測通り天井にあるスピーカーから機械的な音声が流れてきました。

 

『記録。能力発動から物質の時間回帰まで0.03秒。目標誤差3.2cm。総合評価――――――』

 

速度が以前よりかなり早まっています。これも彼に会った影響の1つに違いありません。能力は能力者の精神の影響を強く受けるのですから。

 

速度は早まっているという事実からわかる通り全力でやりましたが、制度に関しては大きく手を抜きました。『今は目立ち過ぎるべきじゃない』という彼の指示です。本来なら1mmも誤差を作りません。それを踏まえた能力評価は――――――

 

『―――LEVEL4』

 

といったところでしょうね。

 

これくらいなら教室やクラス単位で目立っても、学園都市全体で見たら騒ぎ立てるほどでもないはずです。・・・・・・本当のレベルは統括理事会に知られているでしょうが。実験施設のデータは全て彼らに送られていましたので。

 

 

 

 

「すごいじゃない!」

 

力場を観測することに特化している為か無駄なものの少ない測定室から出ると、観測室で待っていた担当の教師から開口一番褒められました。教師の顔は本当に感嘆しているもので、手を抜いたことを考えると少しだけ申し訳ない気持ちになります。

 

「LEVEL4なんて当校始まって以来よ! それに時間を巻き戻す能力なんて、非常に稀有だわ!」

 

稀有だから私は施設で実験材料になっていたわけですが。それに、私の能力は時間を巻き戻すのではなく、時間を操るのです。能力者の情報を扱うバンクには、操る方で登録されているはずです。

 

「能力名は確か・・・・・・」

「LEVEL4の『自由歳月(タイム・トリップ)』です」

 

バンクにもLEVEL4で載っています。

 

「そうそう! 素敵な能力よね! それで先生も若返らせてくれないかな?」

「いいですけど・・・・・・」

「?」

「人間にやるのは初めてなのでどうなるかわかりませんよ」

 

一瞬場が凍ったような気がしました。

 

ちなみに、人間にやるのは初めてだというのは嘘です。その程度のことならうんざりするほど施設でやらされてきましたし。やられた人間がどうなったか? 大体の場合受精卵にまで戻って死にました。

 

「じょ、冗談よ。それよりほら! 先生報告書出してくるから! それじゃ!」

 

教師は慌てて部屋から出て行きました。なるほど。冗談に冗談で返すとこうなるのですね。覚えておきましょう。

 

 

 




今回も短い!
もう何回同じことを後書きで書いたことか・・・・・・。
反省はしているんですよ? 多分。
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