とある愚兄の偽造神格   作:夢見ぬ猫様

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どれくらい続くかわかりませんが! よろしくです!


潜入
1.再会


東京都の残っていた森林部分をバッサリ切り開いて作られた学園都市という科学都市がある。

 

そこは外よりも数十年分文明が進んでいて、物語だけに許されてきた超能力という幻想が実現された異世界とも呼ぶべき空間。事実、この都市は日本にありながら日本政府の干渉をほとんど受けていない。ある意味で隔絶された都市国家ともいえるのだ。

 

そのほぼ中心にある異質なビル。多少背が高いだけならば、異質などとは言えない。それこそただの『大きなビル』とでも表現すればよい。ただ、そのビルには窓がなかった。窓だけではない。扉も、通気口も、何もないのだ。

 

通称『窓のないビル』。異様なものの多い学園都市でも七不思議に挙げられるほど異常な存在感を放っている。

 

その『窓のないビル』の中には、現在2人の『人間』がいた。

 

 

 

 

 

 

「やぁ、『シルエット』。直接会うのは初めてだね」

 

最初に声を出したのは、巨大なビーカーのようなものの中で逆さに浮かぶ『人間』。男にも女にも、老人にも子供にも見える『人間』だった。

 

「電話とか、映像でなら何回かあるけどな『魔術師』。で、今回はどんな依頼だ」

 

ぶっきらぼうな男のような口調でそれに答えたのは、夜闇のような黒髪と紫色の瞳が特徴的な12、3歳ほどの少女。女の姿を持つ男。『人間』の形でいるだけの『ナニカ』。

 

口ぶりからして『ナニカ』は『人間』の依頼を引き受けに来た格好のようだ。それも、初めてという様子ではない。

 

「君にはボディーガードのようなものをやってもらいたい」

「誰の?」

 

単刀直入に問う。話をせいでいるように見えるのは気のせいではない。『ナニカ』はこの『人間』を嫌っている。否、正確には苦手としている。

 

「御坂美琴」

 

『人間』の口からとある少女の名が出た瞬間、『ナニカ』の心の奥で何かが小さく騒いだ。まるで、その名前を以前から知っていたように。まるで、その名前の主が自分にとって大切な人だったように。

 

「この学園都市の能力者の頂点、LEVEL5は知っているだろう?」

「・・・・・・ああ。確か7人しかいないんだったか」

 

LEVEL5の存在は学園都市外においても有名である。彼らは多くの場合、嫉妬や憧憬、畏怖の対象になる。それだけの存在が公にならないはずがない。・・・・・・第6位という特異分子を除いて。

 

「御坂美琴はその内の1人、序列で言うならば第3位に位置する少女だ。彼女はLEVEL5の中でも特に有名でね、その分いらぬ危険が降りかかってくる。故に君に護衛を依頼したいのだ」

 

数いる能力者の中で3番目に高い能力を持つ少女。ならば多少の危険など無意味ではないか。そう考えるかもしれないが、万が一ということもある。『人間』はその時の為に自分を雇いたいのだろう。『ナニカ』はそう解釈することにした。依頼主に怪しいところを感じても、詮索は無用。それがルールである。

 

「なお、対象に護衛されていると感づかれないようにしてほしい。彼女はそういうのを嫌うのでね。君もそれで仕事がやりづらくなるのは面倒だろう?」

「それより期間は?」

「期間は4年としよう。ちょうど御坂美琴が高等学校を卒業するまでだ」

 

長い、が報酬如何や待遇によっては引き受けてもいいかもしれない。そうまでしても金を得なければならない理由がある。

 

「報酬は?」

「前金で2000万、全うした暁にはその20倍でどうだろう?」

「乗った」

 

即答であった。法外な報酬に怪しむことも一切なく即答。

 

「『Libertas308』。この魔法名に誓って達成して見せよう」

 

魔法名。それは己の信じるものの表現であり、聞いた者を滅ぼす為の殺し名。そして、絶対を誓う証。これに誓った魔術師は誇りと命を懸けて誓いを守る。

 

しかし、約10秒後『ナニカ』はこの宣誓を後悔することになった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

          〈御坂美琴〉

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

今日は妙に教室が騒めいていた。

 

なんでも新しく転校生が来るらしい。知らされてもいないのにどこからか情報を仕入れてきた子があっという間にクラス中に広めた為だ。

 

どんな人であれ、ホームルームの後皆にもみくちゃにされるのだろう。お嬢様が多く集まる常盤台といえど例に漏れず、女子中学生というのは新しいものに目がないのだから。

 

そんな同情を会う前から抱いていたのだけど、実際に目にした瞬間そんなことは思考から吹っ飛んでしまっていた。

 

なんというか、異質なのだ。

 

神社の巫女さんのように後ろでまとめられた黒髪。人形のように整った顔立ち。どこか眠そうな表情。ここまでは普通とはいえなくても、ただの綺麗な娘。しかし、切れ長のヴァイオレットカラーの目だけが、妖しい輝きを宿して、この子が異質であるということを証明しているようだった。

 

だというのに、どこか、とても、懐かしい。

 

まるで大切な何かを長い年月を経て再び見つけ出したような――――――――

 

「御坂さん?」

「―――あ、は、はい。何でしょう?」

 

どうやら私はちょっとぼーっとしていたようだ。気づけばホームルームも終わっている。いけないいけない。

 

先生は少しだけ心配そうな顔をしたが、すぐにいつもの表情に戻して再び口を開いた。

 

「笹宮鏡子さんの案内を頼めるかしら? 彼女、常盤台校舎はおろか学園都市に来たのも最近みたいなの」

 

笹宮鏡子。転校生の名前だ。

 

「もちろんです! 私の名前は御坂美琴。よろしくね。笹宮さん」

「はい」

 

私が手を差し出すと、彼女も微笑を浮かべて応じてくれた。その笑みに他意は感じられない。どうやら異質だと思ったのは考え過ぎで、思ったよりも朗らかな子なのかもしれない。

 

私たちの握手を見て先生も満足そうに笑う。

 

「やっぱり御坂さんに頼んでよかったわ。じゃあ、あとはお願いね」

 

先生の退出を見送って私は笹宮さんに向き直った。何度見ても綺麗な子だ。日本人離れしてるのに私よりも日本人っぽいというか。

 

「どこから案内しようか?」

「えっと、じゃあ――――――――」

 

 

 

 

 

「―――これで大体学校の中は見終わったかな」

 

今日は能力のレベルを測るシステムスキャンがあったから、早めに授業が終わって昼過ぎには解散になったはずなのに、もう空はオレンジ色になっている。自分が通っている学校ながら広いものだ。

 

「広いですねぇ。覚えるのに必死でした」

「大丈夫。すぐ慣れるよ」

 

学校を回りながらいろいろ話したけど、やっぱり笹宮さんは朗らかな人だった。たまにぼーっとしてたり、眠ってるんじゃないかって思ってしまうところも、可愛く思えてしまうのは彼女の人徳だろう。

 

でもそれより、

 

「笹宮さん、その口調無理してない?」

「え」

「なんというか、似合ってないなって。もしかしたら普段はもっと砕けた感じで話してるんじゃないかなって。言い方悪いけど、嫌々やってる感じがする」

 

これは、話しながらずっと思っていたことだ。正直もどかしくてしょうがなかった。

 

「会ったばっかりの私が言うのもなんだけどさ」

 

笹宮さんは黙ったまま俯いてしまった。どうしよう? やっぱりまずいこと言っちゃったかな。

 

幸い、彼女はすぐに顔を上げて、

 

「すいません御坂さん」

 

意を決したように言った。

 

「ちょっとついて来てくれませんか?」

 




短いでしょ?
でもこれが自分のデフォです!
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