とある愚兄の偽造神格   作:夢見ぬ猫様

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前回の予告通り例のウニ頭が出てきます!
でもそっちが主役ではないかあらお気を付けを!


5.邂合

 

 

 

 

          〈上条当麻〉

 

 

 

 

 

人生には良いことと悪いことが半分ずつあるっていうけど、その言葉に俺はいつも疑念を持っている。

 

紛争地域の子供や仕方なく身売りしたような人などがわかりやすい一例だと思うし、かく言うこの俺だってどちらかというと幸運よりも不運な出来事の方が多いんだから。

 

例えばそう、ちょっとお金をおろそうと立ち寄ったコンビニの帰り道に猫が車にひかれそうになっているところを間一髪で助けたと思ったら、転がった先がヤンチャなお兄さんの集団でその1人に激突、盛大にぶつかられて怒ったお兄さんは仲間共々俺に襲い掛かって来た。1対1ならなんとか勝てて2対1なら危うくて3対1なら迷わず逃げる程度の俺は全力で走って逃げるけど、運の悪いことに入った裏路地の行き止まりに追いつめられてしまった。

 

ここまでくれば叫んでいいはずだ。やっぱり俺は―――――

 

「不幸だ―ッ!」

「って言う奴ほど案外幸せなんだぜ?」

「!?」

 

一体今のは誰だ?

 

突然降って来た声の方向、つまりは上を見上げると14歳ほどの女の子が高い塀の上に座っていた。切れ長の楽しそうな紅眼がやけに印象強い、有体に言うと美少女だ。

 

突然の闖入者に俺はおろか俺を追ってきたチンピラ達まで唖然として立ちすくんでいる。

 

当の女の子は依然と楽しそうな表情を浮かべながら、塀から飛び下りていた。体操の選手かなにかと見間違えるような見事で余裕たっぷりな着地。降り立った場所は俺の目の前。ちょうどチンピラ達に立ちふさがるような形だ。

 

そして俺の方に振り向き、

 

「なぁ少年。御取込み中悪いが、俺もこいつらに用があるんでね。ちょいと獲物を分けてもらうぞ」

「い、いや。俺の獲物ってわけじゃない。ていうか、お前は一体―――」

「そうかい。サンキュー少年!」

 

俺に礼を言うのが早いか、飛び出したのが早いか。余りの速さに判別できなかったが、気づくと女の子はチンピラの1人の腹に拳をめり込ませていた。溝にでも直撃したのか、チンピラはなすすべもなく一撃で気絶する。

 

・・・・・・いやいやいや。それでもあんな女の子が一撃で大の男を沈めるのはおかしい。それに、そんなことより、

 

「女の子1人にそんなこと任せられるか!」

 

俺は未だ驚愕から立ち直っていないチンピラに頬を拳で撃つ。何の警戒もしていなかったそいつはまるで漫画のように1,2メートルほど吹っ飛んでいった。

 

それを見た女の子は、感心したような顔で手を打ち鳴らした。

 

「おお。やるな少年」

「テメェらよくもタクとユウタをッ!」

 

そう言ってる間にチンピラ達は復活し、彼等から見た弱そうな方―――女の子へと一斉に殴りかかった。

 

危ない! と俺が飛び出そうとした瞬間、代わりにチンピラが2人が宙を舞った。

 

「焦んなよわっぱ共。相手はちゃんとしてやるからさ」

 

どうやら回し蹴りを喰らったらしい。本格的にこの女の子が謎に思えてきた。明らかに少女の筋力じゃない!

 

残っているチンピラも流石に実力差を察してじりじりと後退を始めている。

 

「おいおい。逃げんな。用があるって言ったろ?」

 

また1人、とても強そうには見えない小さな拳で沈黙させられた。

 

そして、それが硬直を崩すきっかけとなった。

 

「こ、この女! 覚えてやがれ!」

「ただで済むと思うなよ!」

 

ありきたりでお約束の台詞を吐きながら、チンピラ達は全力で壊走を始める。今時あんな台詞使う奴いたんだなー。上条さんも驚きですよ。

 

だがしかし。異常事態はこれだけでは終わらなかった。

 

一応は助けられたのでお礼を言おうと女の子の方を向いたところ、

 

「なんで全員パンツ一丁になってんだ!?」

 

女の子は消えて、代わりにあったのは何故か身ぐるみを剥がされたチンピラ達。どうやらさっきの女の子がやったらしい。

 

俺の悲鳴にも似たツッコミが空しくこだました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

          〈シルエット〉

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

さてさて。ウニ頭の少年も助けたし。チンピラ集団のリーダー張ってるっぽい奴も気絶させたし。いよいよ待ちに待った収穫タイムといきますか。

 

倒したのは5人。どいつも遊び慣れてそうな感じがする。いいねぇ。たんまり金持ってそうだ。

 

1人目ー。ジャケットの右ポケットに財布発見! 中身は約2万円とポイントカード類。現金とクレジットカード、あとパンツ以外の衣類とバッグを剥ぎ取ってポイ。

 

2人目ー。財布の場所は1人目と大体同じ。でも懐は若干暖かかった。3万円。もちろん衣類、バッグ、クレジットカードも頂く。

 

3人目ー。シルバーアクセサリーとかをごちゃごちゃつけてる割には財布の中身は5千円しかなかった。クレジットカードもない。まぁ、アクセサリー持ってるからいいけども。もちろん衣類、バッグ(以下略

 

4人目ー。こいつが一番潤ってた。現金30万円にクレジットカード2枚、加えてマネーカードまで入ってやがった。マネーカードの額は3万円ほど。多分コイツが集団の財布係だったんだな。かわいそうに。でも衣類とバッグ(以下略

 

5人目ー。十中八九こいつがリーダー格。1人だけかなり服装に金をかけていたし、動きや筋肉量が他とは段違いだった。ま、一般人レベルの話だけども。さらに言えば、俺の登場時にチンピラ達の視線がわずかな間こいつに集中したからな。・・・・・・リーダー様の懐はあんまり暖かくないみたいだな。財布ごと持ってなかったぜ。財布係がいるから必要ないのかもしれんが。そして、衣類(以下略

 

取るものを取った後、リーダーの男だけを担いでそそくさとこの場を離れよう。直感だが、このウニ頭の少年は長く関わると面倒なことになる気がする。

 

 

 

 

 

衣類とバッグは質屋で合計1,2万で売れる。クリーニング代を差し引けばあんまりいい金にはならないだろう。もっといい服着てろよなぁ。

 

シルバーアクセサリーはそういうのが好きな知り合いにそこそこ格安の値段で売りつける。多分2万は下らないはずだ。ついでに恩も売れるしな。

 

クレジットカードは数万ずつ使ったらその辺に捨てよう。使い過ぎると足がつく。

 

マネーカードは即現金に換金だ。そっちの方が楽。

 

さて。お金のことを考えていたらいつの間にか人気のない廃棄された地下施設まで来ちゃったわけだが。当然予定通りであるし、今から始めることも予定の内だ。

 

俺は引きずってきたチンピラリーダーを下して、特別製のとっても固くてとっても細いワイヤーで縛り上げる。

 

「・・・・・・うっ」

 

その痛みが原因だろうか。チンピラリーダーはうめき声を上げて、さして見栄えもよくない瞼を持ち上げた。

 

ところでここで質問だ。もし目が覚めたら糸状の何かに拘束されていたらどうする? 慌てずに辺りを観察する? それとも糸状の何かの正体を探ってみる?

 

このどちらかを選んだ人は冷静で賢い、非常に理性的な人だ。でもそういった人間はあまりいない。と、いうよりほとんどいない。

 

じゃあ、普通ならどうするか? 状況を掴めず呆然としているか、わけもわからずもがいて脱出を試みるか。

 

前者なら大事にはならずいずれ落ち着いて状況を把握できるだろう。光明も見えてくるかもしれない。

 

だが後者なら?

 

その答えが

 

「ぐガぁッっ!」

 

この悲鳴である。

 

チンピラリーダーを縛っていたワイヤーは、拘束していた対象が無駄に動いたおかげで肌にめり込み、肉を裂いた。自分で仕掛けておいてなんだが、あれは痛い。めっちゃ痛い。

 

俺の嗜虐行為には必ず理由がある。つまり今回も必要だからやるのだ。

 

では、またまたここでクエスチョン。相手を虐めて虐めて虐め倒す必要がある行為とは?

 

答えは、そう、

 

 

 

 

 

拷問だ

 

 

 




2話連続でグロ方向に行ってる気がします。
いや次の話もだから3回連続か?
うわー、苦手な人いたらどうしよ。
苦情があったら言ってください。配慮しますんで。


ちなみに主人公君は金に関わると情け容赦一切ありません。窃盗だろうが強奪だろうが、リスクよりリターンが大きければ平気でやります。だって、大量殺人しといて今更、ねぇ?
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