とある愚兄の偽造神格   作:夢見ぬ猫様

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今回でちょっとだけ主人公の過去が明かされます。
ほんのちょっと、ですけど。


美夜
7.鳥籠


 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『い、いたいいたいいたいいたいいたい・・・・・・ッ!』

『やめて! こないで! い、いや、いやああああああああああ!』

『お母さん、助けてぇ痛いよぉうええええええん!』

 

蝋燭の灯と狂気でぎらついた昏い目だけが空間を照らす薄暗い石造りの密室。そこでは絶え間なく子供達の悲鳴が鳴り響いていた。

 

子供達の人種は様々で、白人もいれば黒人も、当然黄色人種もいる。しかし、皆10歳以下の女の子で、一様に悲嘆と絶望の入り混じった生気の欠けた瞳を揺らしていた。

 

絶望を与えている側―――服装のいたるところに魔術的意味のある紋章を綴った大人達の目は、子供達と対照的に喜悦と興奮、捻じ曲がった使命感に染まっている。そう。彼らは自分たちのしていることを間違っているとは思っていないのだ。そして、永遠に思うこともないのだろう。彼らの大半は、これが正しいことで最高に素晴らしい行いであると信じ込んでいるのだから。

 

こういう人間は他人が何をしたところで『マトモ』になることはない。こういう人間に関わってしまった人間は、似たような狂気に染まるか自ら正気を捨てて泣き叫び続けるしかないのだ。

 

『不死化実験開始。対象は被検体No.72。我らが神を復活せしめんが為に』

『我らが神を復活せしめんが為に』

『我らが神を復活せしめんが為に』

 

1人の狂信者が唱え、他の2人がそれを復唱した。

 

目を向けるのは寝台に寝かされた茶髪の少女。猿轡をはじめとした様々な拘束具のせいで身動きこそ取れないが、意志の強そうな眼はしっかりと抵抗を見せている。この少女とて、実験を受け始めて2年。痛み、苦しみ、悲しみや喪失を数えきれないほど感じてきたというのに、だ。

 

しかし、少女がいくら鋼の意志で抵抗を示そうと、死の可能性が実験という形で歩み寄ってくる。

 

今日も少女の苦渋の声が鳴り響いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

          〈シルエット〉

 

 

 

 

 

俺は今、学園都市の地下施設、そのいくつもある部屋の1つ、『被検体収容室』と書かれた扉の前にいる。

 

地下施設の名称は『希少能力者研究室』。なんでも、分類さえできないほど珍しく特殊な能力者を非合法かつ非人道的な方法で研究している暗部組織らしい。さっきチンピラの1人をわざわざ捕らえて拷問したのはこの場所のヒントを得る為だったのだ。それにしても、今のチンピラは随分と危ないところに繫がっているものだ。世も末なことこの上ない。

 

ちなみに、ここにはもう施設の被験者を除いてもう誰もいない。掃除はもう終わってる。だから被検体収容室なる部屋の前にいるのだ。『シャドウ』新メンバーの勧誘と、ついでに可哀想なモルモット達を解放してやる為に。

 

ぎいいと重苦しい音を立てて金属製の扉が開く。

 

その先にあったのは概ね予想通りの光景。広さ1畳ほどの牢がいくつも並んだ殺風景で閉鎖的な空間。牢にはみっしりと少年少女達が囚われている。・・・・・・なるほど。既視感がありすぎてもはや懐かしさすら湧いて出るぜ。ついでに反吐が出そうだ。あそことの違いなんざ科学か魔術かってことくらいしかねぇじゃねぇか。

 

研究員を殺している途中で手に入れた牢のマスターキーで俺は次々と錠前を外していく。・・・・・・ちっ。全員『皆』と同じ目をしてやがる。俺の一番嫌いな目を。

 

 

 

さて。全員解放したぞ。皆牢から出て来やしねぇがな。多分状況を理解できていないんだろうぜ。それとも心が死んでいるのか。

 

・・・・・・いや、全部じゃなかったな。今まで気づかなかったが、奥から2番目の誰もいない牢の中。その右端の壁に鍵穴のようなものがある。隠し扉とは、これまた凝ったことを。

 

とりあえず鍵穴にマスターキーをさしてみるが・・・・・・開かないな。特別な鍵がいるんだろう。探しに行くのも面倒だ。

 

切り開こう。

 

 

 

 

 

          〈???〉

 

 

 

 

 

私の名前は被検体番号73。本名はよく覚えていません。名字が2文字、名前が3文字の日本人らしくも少し変わった名前だったような気もします。とはいえ、私はハーフだったらしいのですが。

 

だった、というのは、私の体はもはや人間とはいえないものになっているからです。数々の研究所をたらい回しにされる内に、血液型も変わってしまったし、身体能力も人体に出せる限界を軽く超えてしまっています。

 

私の能力は大変珍しく貴重なものらしく、どこへ行ってもコストと費用の高い実験ばかり受けさせられてきました。今いるこの研究所でもその例に漏れず私は特別扱い。食事は少ないながらも安全なものを出され、牢屋も隠し扉の奥に作るという徹底ぶりでした。

 

しかし、私を隠し捕らえておく為の重厚な隠し扉は、今打ち破られようとしている。

 

白い扉に黒い靄のような線が何本も走り、黒い線に囲まれた場所は一瞬で黒く浸食されて、そこには元々何もなかったとでも言うように消え去ります。まるでパズルのピースが外れていくように扉の向こう側が露わになって行くのです。

 

数秒かかってようやく扉のほとんどが消え去った時、私は驚愕に目を見開くことになりました。

 

扉の先にいたのは、私より3,4歳年上の女の子だったのです。夜闇を思わせる黒髪と不思議な魅力を放つ紅い目が印象的な美少女。とてもではないけど、このような施設にいるような人間には見えません。

 

しかし、どうしたことでしょう。私はこの人に始めて会ったような気がしない。まるで、私自信を見ているようなそんな気がしてならないのです。だからでしょうか? 私はこの人を――――――――――――

 

 

 




今回も短い・・・・・・。
くそう・・・・・・くそう・・・・・・。
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