昭和レトロMMO(仮)   作:700pack

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第2回 方針決定会合

 ラボを切り上げ戻ってきたスナックの個室に、サラリーマンがいた。

背広にメガネに七三分けの、それはもうサラリーマンとしか言いようのない風体で、こちらに手を振っている。

「待たせて申し訳ない。ちょっと手間取ってね」

「……村井か?」

 面くらいつつも問いかけると、サラリーマンはうなずいた。

「正確には武藤っていうらしいけど、ややこしいから村井ということで」

 自分としては見た目の違いよりも、口調のほうに引っかかったが、それを解消するには至らなかった。

「変身!」とだし抜けに村井が叫んだからだ。

 声はひとしきり部屋を反響し、消えた。

 

「この通り、別人になって能力もなくなってる。ま、残ったところではあるが」

 額に落ちる前髪を払いながら、村井は言った。

「で、これからどうするの。束になっても勝てなさそうって話だけど」

 村井を待つ間、何度も話にのぼった現時点でのイ号についての認識を、尼野がぶつける。

「そこは同意だな。確かに数やチームワークでどうなる相手じゃない」

「じゃあ『完全なフラグ』は撤回するわけ?」

「個人的に撤回の必要は感じないが、こちらが追い詰められつつあるのは間違いないな。プランも()()()()残ってないし」

「ほとんど」におかれた明確なアクセント。確かに外見は変わっても、中身に変化はない

らしい。

「この期に及んで勿体つけるからには、よほどのプランが残ってるみたいね」

 本題に入り始めたとみるや、村井に尼野が切り込んだ。

「勿体つけてるわけじゃない。ただ真っ先にやられた人間から、仲間に偉そうに指図するような作戦は切り出しにくくてね」

「偉そうに指図するようなアイデアしかないわけ?」

「なにせこっちはほぼ戦力外だ。どうしても自分以外に頼よらざるを得ない」

 こちらを向いた尼野と目が合う。

 おまえも何か言え。こいつを黙らせる対案はないか。

 感情(エモート)のかけらもないアイドルな表情が無言の圧をひしひしと伝えてくる。

 

 実のところプランはあった。特に創意や工夫を凝らすでも、画期的なひらめきを洗練させるでもない。ここまでの経緯とゲームの仕様、その他諸々の条件を考慮し消去法的に突き詰めていけば、おのずとたどり着くであろうシンプルな結論。

「聞いてから決めればいいんじゃないかな。とりあえず」

 それを口にせず発言を促したのは、予感があったからだ。

 戦闘員にヒーローを倒す方法があるとすれば、それは。

 

「変身前を狙えばいい」

 案の定、村井は言った。

 

 

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