昭和レトロMMO(仮)   作:700pack

6 / 24
風邪のため、いま少し投稿ペースが落ちるかもしれません


将軍登場

毒々しい照明に目が慣れると、ちょっとしたホールほどの空間に無数の人影がいるのがわかる。

全員チュートリアルと同じマスクとタイツの黒ずくめで、会話したり、あたりを見回したり

手持ちぶさたにたたずんでいたりしている。

そうした視線の先を追うと、またよくわからないパーツが(つた)のように絡みついた、巨大なモニターがこちらを見下ろしている。

 

<ダ・ベルベラ!>

視界を覆う分厚いブラウン管に、高々と右手を掲げた軍服の男が映し出される。大きな「V」を

あしらった軍帽をかぶり、暗い緑の詰襟(つめえり)胸元には『作戦本部 ベルマン将軍』の文字(テロップ)が出ている。

<どうした、聞こえんぞ‼ ダ・ベルベラ‼>

大半のPCが静まり返る中、「ダ・ベルベラ」と何人かが敬礼を返すと、将軍は満足したように

腕をおろした。

<敬礼は団結の証であると同時に、我々とそれ以外を識別する合言葉でもある。ゆめゆめ

忘れることのないように>

 

合言葉を大声で触れ回るのか、と一瞬よぎったものをすぐどこかへ追いやる。気にしても無駄だ。

<先日の作戦完遂により、われらの目的にまた一歩大きく前進した。作戦本部においては

この成果に甘んずることない、諸君らのさらなる活躍を期待するものである>

ばちり、と手袋をした指が鳴ると、将軍の姿は消え「極秘」と印字された封筒が大写しになる。

<現在計画中の作戦は三つ。諸君らはここから希望するものを選び、これに従事することになる。

選択期限は本日正午。作戦の概要及び詳細については作戦担当者によって行われるので、

各人傾聴し判断の材料とするように>

 

ぶつん、とモニターが消える。その余韻の消えぬ間に、にわかにあたりがざわつき始めた。

「え、終わり?」「うそやん」「全然わかんないけど」など聞こえよがしの声が響く。

無理もない。自分も似たような感想だったし。

 

《作戦に参加する場合は、設定された期限までに作戦担当となる改造人間(かいじん)に参加の旨を伝えれば、作戦への参加が決定します》

「期限までに作戦を選ばなかったら?」

《製品版での仕様は未定ですが、本テストではランダムに参加作戦が決定されます》

作戦は強制参加…テストプレイならば当然ということかもしれない。

左腕の時計に目を落とす。時刻は午前9時47分。

 

「なんだ。ここにいたか」

ジムとのやり取りが終わるのを見計らったように、おっさん改め黒ずくめの戦闘員645号が

背後に立っていた。

「話は聞いたな。あんたはどうする?」

選択を促すようにこちらを見つめる645。 実際、最初の分岐はここだった。

 

 

 

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。