キヴォトス三千年の歴史 奇跡の始発点- in |If κιβωτός《存在しない世界線》- 作:その辺のホタテ
先生「私は皆を導く立場として、大人の責任を果たす為に」
先生「戦争を止めるよ」
“大人のカードを使う”
その瞬間カードに亀裂が入る、きっと限度を超越した願いが叶えられた為だろう。
先生「ごはっ...」
リン「先生!」
先生は血を大量に吐いて倒れる。僕と代行は慌てて救急チームを呼んで先生に呼びかける。
リン「先生!しっかりしてください!」
先生「ご...めん...大丈...夫だよ...」
「先生は黙って!医療班早く来ないのか!」
その時先生の手が僕の肩に乗せられる。そして
先生「遥輝..君...後は頼むよ...」
「先生...?先生!」
そう言って意識を手放した先生、その後駆けつけた医療班に運ばれて何とか一命を取り留めたが集中治療室で意識を失ったまま生命維持装置でなんとか命を繋いでいる状態だ。
僕は取り敢えずシャーレに帰されて破局した講和会議の事後処理と連邦生徒会による戦争介入の工作準備などなど色々と業務に追われていた。
~~~3日後 連邦生徒会庁舎 会見室~~~
リン「我々連邦生徒会はゲヘナ・トリニティ戦争で窮地に立たされている一般市民の救出と保護、そして戦争の早期終結及び治安回復を目的として戦争への介入を決定致しました」
そう代行が言い放った瞬間記者たちの凄まじい質疑応答の要求が始まる。そしてその記者の中から1人選ばれた。
記者「キヴォトス報道局の涼宮です、戦争への介入と言いましたがその戦力はどこから来るんでしょうか?」
その質問に代行はこう答える。
リン「連邦生徒会は本日を持って新たに連邦治安維持軍を結成致しました。その為戦争介入での戦力は連邦治安維持軍が担当致します」
そう言って記者が次の質問をしようとした時、側近が代行の傍に行き何かを伝える。そして伝え終わったと思ったら代行は閣僚達を連れて会見室を出ていってしまった。
僕はその後を追いかけて廊下に出る。
「ちょっと代行!我々シャーレには何も伝えられていないんですけど」
僕がそう問うと代行は
リン「えぇだって伝えてませんから、これは我々で解決すべき問題です」
リン「シャーレ...いえ、貴方達大人の力はお借りしません」
その返答に僕は納得がいかない、これまで散々僕たちを頼っておいて要らなくなったらポイですか。随分と舐められた物だな。
「僕は納得がいきません!」
リン「そうですか、それでは」
そう言って足早に離れようとする代行一行、僕はその背中に向かって叫ぶ。
「そっちがその気ならこっちだって出るとこ出ますよ!」
だけど、その声は響くことなく消えていく。僕は苛立ちを抑えながらシャーレに帰る。
それからは地獄のような毎日だった、先生はまだ意識を回復しないし連邦治安維持軍の介入によって戦争は泥沼化、既に死者が出たとの報告も入っている。(その情報は連邦生徒会によって秘匿されているが)
「あぁくそ!」
それよりも戦争が拡大しキヴォトス全土に戦火が広がらないよう僕は動いていた。山海経とミレニアムを筆頭とした学園連盟の結成、ゲヘナ・トリニティ・D.U.に繋がる全ての一般交通網の緊急閉鎖などなどとにかく忙しい。
「まったく連邦生徒会は...!」
弱音や愚痴を吐きながらもキヴォトスの為に、生徒達のために働き続ける。そして気づいたら真夏の8月に入っていた。それで今までの働きが功を奏したのか幸い戦争の火種は拡大せずゲヘナ・トリニティ・D.U.のみで収まっているし一般人の犠牲者は出ていない(生徒の犠牲者は別)
だけど生徒の犠牲者は既に500人を上回っている。それにトリニティでは正義実現委員会が戦力の過剰消耗と委員長であるツルギが戦死した為ティーパーティーの意向により解散となった。
「連邦生徒会は早期終結させるんじゃなかったのかよ!」
既に連邦生徒会への不信と不満はキヴォトス各学園で充満しており、改革派が革命運動を起こして暴動が絶えない、その為ヴァルキューレが治安維持出動している様はもう日常風景に溶け込んでしまった。
実際僕も連邦生徒会への不信感が高まっている。だから暴動に対処する気は無いしむしろ心の隅で応援する気持ちがある。
そんな時、電話が鳴る。
「もしもし...」
電話に出る、掛けてきた相手はアビドスの小鳥遊ホシノだった。
ホシノ「もしもし助手君?ちょっとアビドスまで来て欲しいんだけど」
「はい、わかりました...すぐ向かいます」
僕はそう答えて電話を切る。そして直ぐに外出の準備をしてシャーレを後にする。
~~~アビドス高等学校~~~
ホシノ「うへぇ、いつも通り早いね」
「生徒の頼みだからね...」
僕は30分ぐらいでアビドスに着いた、そして高校に入って屋上へと行く。
「それで、用は何かな?」
ホシノ「先生のことなんだけど...」
先生の事?先生ならいま意識失って生命維持装置で生きてるぞ。と答えてさっさと帰りたかったがそういう訳にも行かない。
ホシノ「先生が私の彼氏なのは知ってるよね?」
「あぁうん、知ってるよ」
知ってるよ、だっていつも先生に自慢されてたからな。そう、小鳥遊ホシノと先生は付き合っている。馴れ初めは知らんが気づいたら付き合っていた。
ホシノ「そこでさ...なんで先生が意識不明になったか教えて欲しいんだ...」
「え?それは連邦生徒会が公表した通り不慮の事故で...」
僕がそう答えるとホシノはそれを遮るように食い気味で反論する。
ホシノ「それは嘘だって分かってるよ!本当の理由を教えてよ!」
「...」
僕は黙り込んでしまう、本当の事を教えるのは代行から口止めされている。いくら対立したからって金掴まされている以上、破る訳には行かない。
「それは答えられないよ...」
ホシノ「なんで!?なんで答えられないの!?」
「それは...」
「とにかく無理なんだ!ごめん!」
そう言って足早に去ろうとした。だけど、腕を掴まれてお願いされる。
ホシノ「じゃあさ...先生に会わせてよ...」
僕はそのお願いを渋々了承した。そして中央病院から移転した先生の元に会いに行く。