よう実世界に転生した畜生系主人公が神室真澄に心を打ち抜かれる話   作:サンディエゴ

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幕間
畜生系主人公が神室真澄に秘密にしているお仕事の話(いんたーるーど)


 

 

 

 

 

 この学校の制度にはまだまだ問題が多い。

 常々、俺はそう考えている。

 

 

 

 たしかに、ただ純真培養に育てればそれがいい人材になるのか問われればそれはノーだろう。

 時にはダーティーな手段が必要になることもあるし、そのような手段に対する自衛の手段を覚えるのも社会に出てから必要になるとは思う。

 

 

 だからこそ、正攻法の手段以外で目的を達成することを学校側が実力の一つとして認めて評価するのは理解できる。

 

 

 できるが、やはりやり方はもう少しあるのではないかと常々俺は思っている。

 

 

「……さて、異論はあるか?」

 

「あ、ありません」

 

「では、すべて認めるんだな?」

 

 

 生徒会室の中、俺の言葉に力なく小さく頷いた男は二年の男子生徒だ。

 

 

「学校内にいくつものボイスレコーダーを設置、常習的な盗聴行為を行っていた。そして、とある女子生徒の秘密を知った。そのことを脅迫材料としてポイントの譲渡と関係を迫っていたこと……それらを認めるんだな?」

 

「…………」

 

「処分は追って通達する。それまでは部屋の中で謹慎するように」

 

 

 項垂れながら部屋の外へと出て行く男子生徒の姿を眺めながら、俺は重々しくため息をついた。

 

 

「やれやれだ」

 

 

 生徒が起こした問題を裁定するのは生徒会の役目の一つだ。

 この学校では問題がよく起こる。

 

 ポイントという実質的な金銭を誰もが所持していること。

 クラス間の抗争が行われるため対立構造が起きやすいこと。

 そして、何よりも学校側がそういった事柄に対して寛容な姿勢を示しているのが原因だった。

 

 弱みを握って相手に言うことを聞かせる。

 それはこの学校では別に非難されるような手段ではない。

 

 俺自身もまたそういった手段で相手を牽制したことがないわけではない。

 時には必要な手段だと割り切っているし、割り切るときも大事だというのも理解している。

 

 

 だからといって、それを好んでやりたいかというと話は別だが。

 

 

 特別試験を経た二、三年ともなればそれなりに悪知恵が働くようになるものだ。

 ボイスレコーダーによる盗聴も、件の女子生徒に対する脅迫もバレないように工夫がなされていた。

 

 

「去年の……一年の段階では普通の品行方正な学生だったはずなのだがな」

 

 

 はあ、とため息をついて資料を閉じる。

 この学校が彼を変えてしまったのではないか、と思うと少しだけやるせない気持ちになる。

 

 この手の人間は残念ながらこの学校には多い。

 盗聴や弱みを握っての脅迫、嘘をつくことなど当たり前のように手段の一つとして選択肢に入ってくるのが高育の環境だ。

 

 そして、学校側はそんな環境を是としている。

 やろうと思えばもっと目を光らせることができるはずなのに、だ。

 

 電子マネーである以上、ポイントの動きなど簡単に把握できるわけで不自然な動きがあれば簡単にマークできるはずなのに――学校側はそれをしない。

 

 生徒会にもポイントの動きの把握はかなりの制限がかけられている。

 だから、実態としてどんな暗躍が行われていても把握することは難しい。

 

 

 脅迫されてポイントを脅し取られていたとしても被害者が声を上げない限り、決してバレないようにこれではむしろ学校側がその隠蔽に助力しているようなものだ。

 

 

 

「学校側が干渉が強すぎては学生側の行動の自主独立性に影響が出る……それもわかるがな」

 

 

 

 学校側の言い分に一定の理解を示しながらも、やはりやり方には疑問や改善の余地を考える。

 

 真の意味の実力とはなんだろうか。

 優れた人材の育成とはなんだろうか。

 

 

「それにしても……今年は妙な感じだ」

 

 

 ふと手元にある資料――既に終わった裁判の資料に目を通しながら俺は呟いた。

 

 

「どういうことですか会長?」

 

 

 そんな俺に橘が声をかけてきた。

 

 

「ああ、来ていたのか」

 

「遅くなっちゃって、すいません。会長にだけやらせることになって」

 

「構わない。ただの報告だけだったからな」

 

「全て認めていましたからね」

 

「裁判にまでならなくて助かった。……まあ、こんなものがあるなら仕方ないがな」

 

 

 そう言って机の引き出しから取り出したのは何の変哲もない小型のボイスレコーダーだ。

 件の男子生徒が脅迫してる現場を押さえた代物で、これを突きつけた結果、男子生徒は素直に自身の行為を認めた。

 

 それはそうだろう、驚くほど明瞭に記録されていたのだ。

 これほどの証拠はそうないだろう。

 

「裁判は色々と大変ですからね。準備とか……手続きが簡単に済むのは助かります」

 

「事件が起こらないのが一番だがな」

 

「それはそうですね」

 

「だが、まあ助かったのは事実だ。できればこの証拠を生徒会室に置いていって告発してくれた相手に謝礼でも配りたいものだが――」

 

 

 その相手がわからない。

 

 

 この証拠となったボイスレコーダーは生徒会室にいつの間にか置かれていたもので、誰のものか不明なのだ。

 

 

「不思議ですよね」

 

「ああ、そうだな」

 

 

 橘の言葉に俺は同意した。

 

 別に証拠を提出した告発者が自身の素性を隠していること、それ自体は変な話ではない。

 面倒なことに巻き込まれたくはない、と考えるのは自然なことだからだ。

 

 それは橘も理解している。

 だから、彼女が言っているのはそこではなく――

 

 

 

「これで六件目ですよ」

 

 

 

 六件目。

 橘が言ったとおり、実はコレが初めてではないのだ。

 

 いつの間にか生徒会室に置かれていたボイスレコーダー、その中身を確認するとそれは明らかに罪の告発する内容だった――というのが六件。

 

 当然、出所が不確かなため生徒会の手で確かめた上で事実だと認定し、俺は関係者を処罰した。

 七月に入るまでに六件、迅速に被害を発見して対処した俺たち生徒会には賞賛が送られたが協力者――告発者が居たことを知る人間は少ない。

 

 

「いったい、誰なんでしょうね。こんなに事件を見つけてきて告発してくれるなんて……」

 

「さてな。どういった人物で、そしてなにが目的なのか……」

 

「目的はやはり事件の告発なんじゃ」

 

「治安の向上を目的としているのなら、是非とも生徒会に来て欲しいものだ」

 

 

 生徒会長などと偉そうな役職に居たとしてもできることは限られる。

 今回の事件もそうだ、早い段階で防ぐことができたからいいものの放置していればどれだけエスカレートしていたことか。

 

 俺の目が届かなかった案件を六件も見つけ出し、その証拠を渡してきた存在。

 正直に言えば喉から手が出るほどに欲しい人材だ。

 

 

「やっぱり、同じ人なんでしょうか?」

 

「手法が同じだからな。いつの間にか生徒会室の机の上にボイスレコーダーを証拠として置いていく」

 

「たしか、三番目の事件の時に提出したボイスレコーダー。処罰が終わったあとで机の上に置いていたらいつの間にかなくなってたんですよね?」

 

「相手がわからないから返すわけにもいかなかったからな。置いていくなら回収するのではないかと考えたんだが……」

 

「本当に持って帰ってまた再利用されてたんですよねー」

 

「まあ、いちいち用意するのは経済的ではないだろうからな」

 

 

 とはいえ、あの時は少し笑ってしまった。

 いつの間にか現れる証拠が録音されたボイスレコーダー……ちょっと怪談じみていたこともあり、橘は怖がっていたが普通に回収して再利用したあたりに妙な所帯じみさを感じたからだ。

 

 

「名乗り出て欲しいんですけどね」

 

「難しいだろうな。俺としても勿体ないとは思うが」

 

 

 相手は何も悪いことをしていないのだ。

 無理に正体を明らかにしようとするのはいささか問題があるだろう。

 

 

 とはいえ――

 

 

「どうやって生徒会室に出入りしているかは気になるところだがな」

 

「あっ、それ私も思いました。部屋の入り口のカメラには誰もそれらしい人は映っていなかったのに……」

 

「それを言うなら、どうやって録音をしていたのかも気になるところだ」

 

 

 事件に関して裏取りも兼ねて調べた。

 犯行はカメラを避けて行われているので犯行が行われている現場、それ自体はカメラを調べても写っていなかったが行われた時間の近辺のカメラの映像は調べられる。

 

 

 だが、それらしき人物の痕跡は映っていなかった

 

 

「うりうりー! どうしたのかにゃー? またお菓子を食べにきたの?」

 

「にゃー」

 

 

 強いてあげるならば――

 

 

「……何をやっているんだ」

 

「いや、ホームズくんが可愛くて……つい」

 

 思考を妨げる声に思わず振り向くとそこには黒猫――ホームズと遊ぶ橘の姿が目に入った。

 

 

「何をやっているんだ」

 

 

 黒猫のホームズ。

 一年生の女子生徒の飼っている猫。

 

 

 四月の時点で学校の制度を見抜き、多額のプライベートポイントを手に入れたことは俺の耳にも入っていた。

 

 なかなかに見所のある一年生が入ってきたものだ、と感心したものだ。

 

 その後、100万ポイントを使ってまで猫を学校に連れてきたことについては、なんともいえない気分になったが。

 

 

 黒猫の瞳がこちらをジッと見ている。

 そんな気がした。

 

 

 だが、それは気のせいだ。

 ホームズは橘と楽しげに遊んでいた。

 

「ほどほどにしておけ」

 

 俺はそう橘に釘をした。

 本来なら自由に学校をうろつける権利があるとはいえ、猫が生徒会室に入ってきたのなら追い出す方が正しいだろう。

 

 

 だが、ホームズは大人しい猫として有名だった。

 資料を汚したりはしないし、備品を壊すわけでもない、無駄に動き回ったりもしない。

 

 餌を強請ることもあるがそれぐらいだ。

 祖母の家では猫が飼われていたので知っているが、その猫と比べると驚くほどに物静かな猫だった。

 

 

 だからこそ、俺は釘を刺すだけで許したのだ。

 

 

「はーい、会長」

 

 

 許可を得たと更にホームズと遊び始める橘の姿にやれやれといわんばかりに首を振った。

 

「それにしても本当に可愛い……。高育で猫をこうやって可愛がれるなんて思いませんでした」

 

「長い歴史を見てもペットのために100万ものポイントを使い込んだのは神室真澄ぐらいだろうな」

 

「神室さん、すごいですよね」

 

「優秀ではあるのだろうな。少々、その方向性には驚くが」

 

「神室さんだけじゃなく今年のAクラスはなんていうか……ひと味違いますよね。この間の裁判の時だって」

 

「Aクラスは組織的にあの事件が起きることを察して、色々と事前に手を打っていたのだろう」

 

 

 事件を予測していたことも驚きに値するが、クラスとして組織的に対応していたことも個人としては評価したい。

 それだけもうクラスとしてまとまって動くことができているということだからだ。

 

 

「それに例の職員室での話……聞きました?」

 

「ああ、どうやら無人島の試験についても気づいているようだな」

 

「そんなことってできるんでしょうか?」

 

「事実、出来ているのだから仕方ない。今年のAクラスはなかなかにしでかしてくれそうだ」

 

 

 Aクラスの生徒が大挙として職員室に押し入った一件は一般生徒にこそ知られていないが、生徒会にはさすがに耳に入ってきている。

 

 南雲もかなり派手な存在だったが、今年の一年もなかなかの存在らしい。

 

 とくに学校を共通の敵としてクラスをまとめるなどという手法は恐れ入った。

 そんな発想は俺にはなかったし、やっているのが理事長の娘というのもなんとも面白い。

 

 

「一年生はAクラスが独走でしょうかねー? 正直、かなりクラスとして強いですよね」

 

「ああ、この時期にあそこまでクラス単位で結束できたクラスはそうないからな。それも個人として優秀なAクラスが……だ。他の三クラスは厳しい戦いを強いられるだろう。だが……」

 

 

 俺が思い出すのはこの間のCクラスとDクラスの裁判だ。

 あれは両クラスに処罰を加えることで終わるはずだった。

 

 干渉したAクラスもその予定だったはずだ。

 だが、結果は変わってしまった。

 

 

「そう上手くいくかどうか……」

 

 

 Dクラスの代表として動いていたのは妹である鈴音だったが、間違いなくあの展開を描いたのは彼女ではない――それだけは間違いない。

 

 そして、恐らく裏で動いていたであろう人物には心当たりがあった。

 実力のほどは未知数だがあるいは……。

 

 それに失敗したとはいえ積極的に策謀を巡らせていたCクラスも侮れない、というのが俺の評価だ。

 

 

 

「……まあ、問題を起こさずに健全に競い合ってくれるなら生徒会としてはいいさ」

 

「それもそうですね。最近は少しずつですけどトラブル案件の処理も減っているような気がしますし」

 

「「生徒会長の目」と呼ばれる存在が居るらしいからな。……そのせいだろう」

 

 

 

 「生徒会長の目」とやらはボイスレコーダーという物的証拠を置いていく謎の存在のことだ。

 

 彼、あるいは彼女か。

 その助けを借りる形で六件もの案件をスムーズに処理した生徒会の手腕から、そんな協力者を俺が手に入れたのではないか……と噂されているらしい。

 

 つまりは生徒会との繋がりを隠した監視者が誰かいるのではないか……と。

 

 その予想は全くといって良いほど外れ。

 協力者という意味ではそうだが、その存在の顔も名前も知らないのだ。

 

 

 つまりは根も葉もない噂だが、俺はその噂を放置していた。

 

 

 「生徒会長の目」とやらが居たとして、困るのは悪巧みをするような人間くらいなものだ。

 その噂がそういった存在の抑止力になるのであれば生徒会として好都合でしかない。

 

 南雲もどうやらその存在を気にしているようで探りを入れてきたりもするが、それは無駄な努力というものだ。

 これで大人しくなり、邪道のやり方ではなく正攻法で勝つやり方にシフトしてくれればいいのだが……。

 

 

「「生徒会長の目」は一年じゃないか……って噂もあるみたいですね」

 

「二、三年にめぼしい相手は思いつかないからな。これほど動けるのなら今まで動かなかった理由がわからん。だから、一年じゃないかと思うのはわからなくはないが」

 

 

 それにしては自由に動きすぎだろうというのが俺の感想だ。

 学校にも慣れてきた時期とはいえ、それでも一年がここまで広く動いて情報収集を行えるのかという疑問があった。

 

 

「……わからんな」

 

「会長にもわからないんですか?」

 

「俺にだってわからないものくらいある」

 

 

 生徒会の協力者について、何度もその正体を掴もうと考えたがどうにも結論が出ない。

 

 

 六件もの隠された事件を察知して、その証拠の録音データを記録し、生徒会室にこっそりと提出して去っていく……現状でわかっているのはそれだけだ。

 

 

 

 生徒会でも察知できていない事件に気づくあたり、そのアンテナはかなり広いことが窺える。

 

 そして、そいつはかなり自由に動いている。

 

 証拠となる会話、それらが録音された場所は様々で一定の範囲で記録されたものではないことは判明しているからだ。

 

 六件の犯人はともに人気のない場所を選んでいたはずなのに、どうやってその場所を見つけてしかも気づかれずに録音できたのか。

 六人ともにバカではない、周囲に第三者がいないか注意をしていたはずなのにどうして誰も録音されていたことにすら気づいていなかったのか。

 

 

 謎は深まるばかりで答えは出てこない。

 

 

「そういえば六人の中には部屋のベランダに不審なメッセージがあったみたいな話ありませんでしたっけ?」

 

「……ああ、たしかベランダに小石が並べられて「罪ヲ自白シロ」という文字になっていたとか。妙に怯えていたな」

 

「ホラーチックですよねー」

 

「だが、あれは結局は作り話ということで決着がついた。なにせ寮の外側のカメラには誰も映っていなかったからな。作り話をすることで有耶無耶にしようという魂胆だったんだろうが――」

 

 

 

 そう……その件でも結局、カメラには誰も写っていなかった

 

 

 

「まるで幽霊みたいですよねー。知ってます? 「生徒会長の目」は幽霊だという説も」

 

「「生徒会長の目」自体がそもそも噂の産物でそこから更に幽霊ときたか」

 

「夏も近いですからねー、この頃は深夜に外を彷徨う髪の長い女子生徒の幽霊の七不思議とかもありますし。怖いですねー? ねー?」

 

 

 それはただの深夜徘徊をしている女子生徒ではないか、と思いつつも楽しげにホームズ――黒猫に語りかける橘の様子を見て、なにか思考の隅で疼くものを感じた。

 

 

 幽霊……いや、幽霊のはずがない。

 幽霊なんて存在がボイスレコーダーで録音なんてして提出しては来ないだろう。

 

 だが、その存在は写っていてもおかしくはないカメラを見ても影も形も写っていなかった。

 

 何度も見たから間違いない。

 誰も写ってはいなかった。

 

 

 そう――()

 せいぜい映っていたものがあったとすれば、それは……―――

 

 

 

 黒猫の声が聞こえる。

 

 

 

 ふと、橘にあやされているホームズがなぜか俺は無性に気になった。

 賢く、大人しいそれだけの黒猫。

 

 

 猫、そうだ猫だ。

 いつだったか何かの本で読んだことがある。

 

 

 バステト、という神が居るらしい。

 猫の神であり、その神は人を罰する役目があるらしいとかなんとか。

 

 

 何故、そんなことが俺の頭に過ったのか、それは自分でもよくわからなかった。

 

 

 

 ただ、唐突に――ホームズを見てそんなことを思い出した。

 

 

 

 何故だろうか。

 あるいはカメラの映像のことを考えていたからかもしれない。

 

 

 誰も映っていなかったが強いて言うなら――そこには黒猫が映っていた。

 

 

 まあ、黒猫が居るのは当然のことでなんら不思議ではないことだから……特に関係はないに決まっているが。

 

 

 それにしても幽霊のような協力者の正体はいったい何者なのか。

 白日の下に晒したいとまでは思わないが――個人的には気になるのも事実だ。

 

 

 

「……仕事を始めるぞ、いつまでも遊んでいるな橘」

 

「は、はい! 会長。それじゃあね、ホームズ」

 

「まったく、いくら気に入っているといっても生徒会室に連れ込むのはどうかと思うぞ」

 

 

 

 思考を打ち切り、職務を果たすべく切り替えながら俺は橘にそう苦言を呈した。

 だが、彼女は不思議そうに小首を傾げた。

 

 

 

「なにを言っているんですか会長? ホームズは私が来たときにはもう中に居ましたよ? 会長が入れたんじゃないんですか?」

 

「……なに?」

 

 

 

 気づくと黒猫はいつの間にか消えていた。

 

 

 

 

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