よう実世界に転生した畜生系主人公が神室真澄に心を打ち抜かれる話   作:サンディエゴ

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畜生系主人公が神室真澄が無人島試験を折り返す話

 

 

 

 

 黒猫の声が――夜の闇の中に残響する

 

 

 

「……ふぅ」

 

 そんな夢を思い出しながら、オレは川の水で顔を洗っていた。

 

(さすがに少し、キツいな……)

 

 身体が重い、疲れが出ているのだ。

 

「あら、おはよう綾小路くん。とても眠そうね?」

 

「堀北か。少し疲れが出てきていてな」

 

「鍛え方が足りないわよ。少しは普段から身体を動かすことね」

 

 そんな堀北の言葉にオレは肩をすくめて答えた。

 彼女はオレの疲れの原因をサバイバル生活のせいだと判断したようだが、実際はそうではない。

 

 この程度のことで音を上げるくらいならホワイトルームでやっていくことなど不可能だ。

 

 では、何故疲れているのかと言えば毎夜ごとにやってくる黒猫のせいだ。

 

 

(高円寺が居てくれて助かった。そうでなければ厳しい相手だ)

 

 

 夜の闇に溶け込むような黒い身体、音を殺しながら走る歩法、こちらの動きを読みながら戦術を変える知性、視覚や聴覚だけでは捉えきれないと気配を読もうとすると引っかけてくる気配のコントロール。

 

 

(ホームズ――外の世界のとっておきの未知)

 

 

 そのことを思い出すだけでゾクゾクとした感覚が走った。

 あの黒猫をどう捕えようか、そのことだけに頭を回転させ、神経を尖らせ、身体を酷使する――なんと楽しい時間だろう。

 

 

 一分一秒ごとに得難い経験を経て、自らが成長していくのを感じる。

 そして、成長したこちらに対応するようにあの黒猫もまた動きを洗練していく……その繰り返し。

 

 

(やっていることはただの「追いかけっこ」というやつなんだろうな)

 

 

 子供の遊び、大抵の子供なら遊んだことのある遊びらしい。

 オレにはそんな経験はなかったが……。

 

 

(とはいえ、さすがに毎夜はキツい。昼間はクラスの一員としての仕事もあるし、かといって黒猫のことは言えないからな)

 

 

 楽しい時間なのは間違いないが、黒猫との戦いはいろいろと疲れる。

 運動するのだから体力的な消費があるのは当然なのだが、どちらかというと精神的な消費の方がキツい。

 

 ろくな光源のない夜という空間はあまりにも向こうに有利だ。

 ホワイトルームの訓練で夜間戦闘のスキルも得ているが、所詮それは同じ人間相手にうまく戦える程度のものでしかない――とオレは学んだ。

 

 

 知性を持った獣、いや怪異を相手にするには人間の五感はあまりにも……。

 

 

(あれに対応できる高円寺がおかしいんだ。反応もどんどんよくなるし……。あれが本物――天然物の天才というやつなんだろうな)

 

 

 高円寺六助という男のスペックを見ることができたのも幸運だった。

 規格外というかポテンシャルの塊と言うべきか、あの男の存在もまたオレの学習を満たしてくれる。

 

 

「どうしたの? ボーッとして」

 

「いや、なに……高円寺が居てくれてよかったなと」

 

 

 特に理由があったわけでもないが自作したハンモックで寝ている高円寺を見ていると堀北に尋ねられたので、オレはそう答えた。

 

「そうね、すぐに船に戻ってしまうのかと思っていたけど。なにか心境の変化でもあったのかしら? これでクラスの仕事をしてくれたら更に嬉しいのだけど」

 

「自由人の高円寺にそこまで求めるのは無理だろう。-30CPされないだけマシだろ?」

 

「試験に普通に参加しているだけじゃない」

 

「一応、島を回ったときに見つけた食料の場所を教えてくれたじゃないか」

 

 苛立たしそうに高円寺を見る堀北を宥めるようにオレは言った。

 彼女にとって自由気ままに振る舞っている彼の存在が許せないのだろうが、下手に突いて機嫌を損ねられてもいろいろ困る。

 

(まあ、高円寺も黒猫相手にリベンジに燃えているようだからそう簡単に船に戻ることはないと思うが……念のためな)

 

 今回の試験において高円寺はまず戦力にならないだろうと想定していたので、嬉しい誤算というやつだ。

 

 変にケチをつけて貰いたくない。

 オレとしても好きに食べて、好きに休憩して、好きに運動をして暇を潰している高円寺に思うことがないわけではないが……。

 

(くそっ、オレは寝不足だっていうのに十分な睡眠を取りやがって)

 

 そこら辺は心の底に閉じ込めておく。

 話を逸らすようにオレは試験についての話題を振った。

 

 

「試験のことでも話そう。これからの戦略についてだ」

 

「戦略……?」

 

「ああ、そうだ。一週間のサバイバル生活も折り返しに入ってきたからな。そろそろ動き始めることになる」

 

「動き始めるって……」

 

「Cクラスがリタイアしただろう?」

 

「ええ、そうみたいね。本当に試験に放棄するなんて――「なぜそう思う?」……えっ、何故って」

 

 オレの言葉に堀北は困惑したような表情になった。

 

 

「Cクラスの浜辺の拠点には誰も居なくなっていて。Cクラスの生徒もいなくなった。それにCクラスの生徒が船に戻ったのは間違いない事実よ?」

 

「そうだな。だが――全員が本当にリタイアしたのか、その根拠はあるのか?」

 

「根拠って……まさか」

 

「ああ、恐らくはそれはフェイクだ。Cクラスの大半がリタイアしたのは事実だろうが、恐らくは全員じゃない。わざわざ豪遊を見せびらかしてリタイアすることを公言していた理由……もうわかるんじゃないか?」

 

「全員がリタイアしたように見せかけて油断を誘うため?」

 

「試合を放棄してリタイアしたと見せかけて島に残る理由は?」

 

「一人でも残っているならリーダー当てはできる! 外したとしても既に0ポイントだから引かれるポイントもない」

 

「つまりは外したときのリスクはゼロ、やるだけ得ってわけだ。やらない手はないだろう?」

 

 堀北は考え方が硬く、視野も狭いが決して馬鹿ではない。

 オレの言葉をすぐに理解して考え込んだ。

 

「Cクラスはそれを狙って……」

 

(恐らくは主目的はそこじゃないだろうがな。それにしてもAクラスとBクラスの動きがオレの想像通りなら……Cクラスは厄介だな)

 

 

「とにかく、現状をまとめる必要があるのはわかったか? ここからどう動くかで試験の流れは変わると思う」

 

「……わかったわ。綾小路くんの意見を聞きましょう」

 

 

 現状をまとめる。

 

 今回の試験、Dクラスにはクラス単位での戦略が欠けていた。

 それ以前の問題としてクラスをまとめるのが大変だったからだ。

 

 不良品扱いされるだけあり、光るものがないとまでは言わないが基本的には協調性の低い生徒の多いDクラス生徒、そして絶対的なリーダーの存在がないこと。

 

 集団を空中分解しないようにまとめ、サバイバル生活を熟すだけで精一杯だったのだ。

 

 そんな状態で戦略など立てられるはずもなく、リーダーに立候補した堀北によって大筋の方針が決められた。

 

 方針と言っても、最初の300CPはできるだけ節約して、スポットも狙って加点を狙うと言った具合程度のものだ。

 

 そこに細かな戦略などはない。

 

 現在、占有しているスポットは四カ所。

 残っているCPは210CP。

 

「リーダー当てのことを考慮から外すと……このまま順調にいけば72+210で282CPほどになる予定だ」

 

「そうなるわね」

 

「ただ、この数値はあくまでもリーダー当てを当てられなかった場合だ。一クラスでも当てられたら、スポット分は消滅。210CPから50CPを引かれて160CP……半分とまでいかないが厳しいことになる」

 

「リーダーに関してはバレないように努めているわ。どこかの誰かさんは迂闊なことを言っていたけど」

 

 堀北が言っているのはCクラスの拠点に行った時のことだろう。

 あそこでオレはなにか時間に追われているようなリアクションで堀北を急かして去った。

 

 まるでなにかを思い出したかのように――まあ、要するにスポットの更新のことを思い出したかのようにだ。

 

 わざとらしくなく、隠すように。

 だが、ヒントをまいて堀北に疑惑の目が行くように。

 

「あなたがバーベキューに残るから、変な去り方になったじゃない」

 

「それについてはすまなかったと謝っただろう?」

 

(まっ、オレとしては堀北がリーダーであると気づいて貰った方がありがたいわけだが……)

 

 リーダーの交代策――それが体調不良な様子の堀北を見て思いついた策だった。

 本来は変更できないリーダーを正当な理由で変更し、リーダー当てを回避し誤爆させるのを狙った作戦。

 

 現状、クラス単位で動くことが難しいDクラスでオレが動ける範囲でやれる策としては効力が高いものだと考えていた。

 立ち回り次第では他のクラスのCPを削りつつ、自クラスのCPを守ることができると……と。

 

 

(だが、このままじゃダメだな。Cクラスの伊吹を引き込んでいるし、龍園も恐らく撒いた餌には気づいたはず。だから、Cクラスをはめることができるだろう)

 

 

 だが、問題があるとすればAクラスとBクラスだ。

 どちらもうまくリーダー当てを誘導できるかは厳しい相手だとは思っていたが……。

 

 

 

「結論から言えば――恐らく、AクラスとBクラスは組んでいる」

 

「っ!? どういうことなの綾小路くん」

 

 

 

 何度も考えたがその結論しか出てこなかった。

 そして、これが事実ならリーダー交代策で誤爆を狙うのは不可能だ。

 

 どちらも十分すぎるほどのCPを稼いでいる上位クラス。

 +50CPを得るために-50CPを負うリスクのある「リーダー当て」は当然、慎重になる。

 

 少しでも怪しいと思えばそもそも「リーダー当てをしない」という選択をするだろう。

 

 

 これでは最大の効力を発揮するのは難しい。

 だから、オレはこの策を捨てることにした。

 

 

「根拠を聞かせて欲しいわ」

 

「根拠と言うには乏しいかもしれないが怪しいと思ったのはAクラスとBクラスの態度の希薄さだ」

 

「希薄さ?」

 

「ああ、普通に考えて近いクラスのことを気にするものじゃないのか? Aクラスなら2位のBクラス、Bクラスなら1位のAクラス。共に上位クラス同士、もっと意識しあってもいいはずだ。だが、Bクラスと話し合いをしたときAクラスの話を聞いたか? AクラスはCクラスの拠点に赴いたり、Dクラスにはバーベキューの場で話をしてきたわりにBクラスへは無関心だ」

 

「それは……たしかに」

 

「だから、オレはその2クラスの間には何か繋がりがあり、それについて知られたくないから話題に出さなかったんじゃないかと疑った」

 

(もっとも……Bクラスはともかく、Aクラスはどうかな。あの坂柳とかいう女子生徒、黒猫と仲がいいだけあって相当に優秀だ。むしろ、あえて見せている範囲で無関心を装っていたのだとしたら――)

 

 その理由も想像がつく。

 こちらの動きをコントロールするためだ。

 

 問題があるとすればその理由だとするともはや今回の試験、勝ち目がないということだが……。

 

「今回の試験、内容から察するに協力関係を結べる余地はある。それは堀北もわかっているだろう?」

 

「……ええ、そうね。今回の試験で最もネックなのは「リーダー当て」の存在。それを封じるために、例えば互いにリーダーを指名しないみたいな契約を結べば互いの利益になる」

 

「Bクラスに提示されたけど断ったやつだな」

 

「Bクラスのリーダーを知るチャンスが得られたら、その機会を逃すことになるもの。そこまでは協力体制は築けないわ。Aクラスを目指す以上、Bクラスは所詮敵でしかないもの」

 

 堀北の言葉は正しいが……正しいだけだ。

 

 

「いつかは……な。今のDクラスはそのレベルにも至っていない」

 

 

 オレはこの試験で自クラスと他クラスの実力を把握することに努めるつもりだった。

 Dクラスはクラス内の問題を解決するので忙しく、どうしても外の情報収集は欠ける。

 

(茶柱からある程度情報を引き出せたが所詮はデータ上のものだった。龍園は思った以上にオレに近い思考回路をしているし、一之瀬も想定していたよりも強かだ。どちらも求心力があり、柔軟性に富んだ頭脳を持っている。それによって方向性は違えどクラス内の統制に成功している)

 

 Dクラスとは大違いだ。

 平田や櫛田、軽井沢、堀北とそれなりにリーダーの資質がある人物はいるが現状では問題も多く能力を発揮できていない。

 

(そして、Aクラス……。やはり、ここが一番の脅威だな。能力の高い生徒も多く、リーダーが二人の体制で安定している。クラスとしての団結力も高く、隙がない)

 

 基礎的な能力が高く、目的意識、団結意識もDクラスとは比べものにならないほどに高い。

 

(現状のままではDクラスが勝てる見込みはないな)

 

 クラスとしての質を上げなければまともに戦うことはできないだろうというのが今のオレの見解だ。

 

 オレや高円寺が矢面に立てばある程度は戦えるかもしれないが――

 

(黒猫に封じられるとどうにもならんな)

 

 せめて、平田と堀北がちょうど葛城や坂柳のような立場に育ってくれればオレとしても暗躍の余地が出てくる。

 

 と、そう考えている。

 

(育てて戦うか……どうにも黒猫もそうやっているようだし、そういうのも面白い――か)

 

 

「綾小路くん?」

 

「……いや、なんでもない。少し考え込んでいた。話を戻すとしよう」

 

 

 堀北の言う通り、この試験で同盟を結んで取り決めをする契約なんて「互いにリーダー当てをしない」ぐらいだろう。

 

 

 普通ならば

 だが、恐らくAクラスとBクラスが結んだのはもっと踏み込んだ内容だ。

 

 

「Cクラスでバーベキューをしたとき、坂柳がヒントを出していたのは気づいていたか?」

 

「坂柳さんが? そんな素振りは……」

 

「リーダーを当ててみろみたいなニュアンスの言葉をこう……指で×印をしていただろう?」

 

「ああ、そういえばそんなことをやっていたわね。ただの挑発じゃないの?」

 

「あれは×(ばつ)じゃない。×(くろす)だ」

 

 

「――バツじゃなく、クロス? それって……」

 

(恐らく、あのことに関して龍園も気づいたはずだ。となるとやつはどうする? 元の作戦が破綻したことを認めて、妥協策に走ってくれればいいが……龍園の性格から想定するに面倒なことを起こす可能性がある。となると――潰すか)

 

 

 オレは作戦を修正し、試験終了までの道筋を定めた。

 今から打てる手は少ないがやれるだけやっておこう。

 

 

 

「とりあえず、堀北」

 

「なに?」

 

「お前、もう船に戻れ」

 

「……は?」

 

 

――

 

 

 

 つまるところ、リーダーを交換しあった。それがお前の策だったんだろう?

 

 

 俺は坂柳へと問いかけた。

 彼女はニコニコとした表情のままでこちらを見ている。

 

 

 AクラスとBクラスは互いにリーダーを立ててキーカードを渡しあった。疲れてるだろうから労いに行ってやろうと、拠点で鬼頭のところに向かおうとすると邪魔してくるからおかしいなって思ったんだよ。

 

 ようするにキーカードを見られたくなかったんだ。スポットを更新する鬼頭はたしかにリーダーでキーカードも持っているがAクラスのリーダーじゃない、BクラスのリーダーとしてBクラスのキーカードを持って、Aクラスのみんなとスポットを占有していたんだ。

 

 

「なるほど、なるほど……」

 

 

 ルールではリーダーを決めることと、リーダーにしかキーカードは使えないことしか定められているだけ。別に他クラスの生徒をリーダーにしてはいけない、というルールはないからな。というか普通は考えないというか……。

 

 この手法だとスポットを占有すればするほど、Bクラスが得るポイントが増えてしまうけどそんなものは契約でどうとでもなる。「試験で得た互いのスポット占有分のCPを試験後に交換する」とかなんとか文言を作って契約すればいいだけだもんな。それだけであとは占有すればするほど、試験後のCPを得られる。まあ、試験の中では相手にCPがいくから順位的には負けるかもしれないけど。

 

 

「一位になったら+でCP大量ゲット! みたいなルールだったら考えたんですけどねぇ」

 

 

 まあ、実利優先だよな。互いにリーダーを交換することによって二重の防御になる。キーカードを持っている人間を特定できても、正しいクラスを当てなければ失敗になる。普通にリーダーを当てるだけでも難しいのにこれじゃあまず無理だ。

 

 なにせ他クラスからすれば本当に交換しているのか、交換したふりだけをしているのかもわからない。だからこそ、交換策がバレるようにわざとヒントをばら撒いたな?

 

 

「Cクラスの拠点でDクラスに出会えて幸いでした。一度で伝えることができましたからね」

 

 

 デコイの中から本物のキーカードを持っている人間を見つけて、その上で交換しているのかどうかを当てなければ「リーダー当て」は成功しないなんて馬鹿らしくてやってられないな。

 

 

「自棄っぱちになってしまえば最悪四十分の一で当たってしまうのがリーダー当ての怖いところですね。ですが、それが八十分の一となればどうなるでしょう。現状、CPの少ない下位クラスにはそのギャンブルは困難です」

 

「最悪、-50CPを覚悟してやってきそうなBクラスは丸め込んだから安心っと」

 

「丸め込むなんて失礼な。ちょっとしたネゴシエーションというやつです。ともかく、正解ですよホームズ。よくできました花丸をあげましょう」

 

 

 くっ、なんて上から目線……虫が出てきて俺に泣きついた癖に! 「ほーむずぅ!!」って言った癖に!

 

 

「それは言わない約束でしょう! と、ともかく!! これが私の仕掛けた策です。リーダー当てさえ封じてしまえば、あとはどれだけCPを稼げるか――つまりはスポットが占有できるかの勝負になります」

 

「スポット占有は更新し続ければ奪われることはないから逆転は不可能、と」

 

「そういうことです。とはいえ、こちらとしても攻め手を緩めるつもりはありません。食料の方も十分に集まっていますのでそろそろ仕掛けに行きます」

 

「仕掛けって……」

 

「もちろん、狙いはDクラスです。最終日に向けて食料の貯蓄は進んでいるので、その分の労力をリーダー探りに振り分けることが可能ですからね。Dクラスを監視することで圧をかけるつもりです。リーダーを見つけることができれば一番ですが動きを制限できるだけでも上々の成果と言えるでしょう。気になるのはCクラスですね」

 

「Cクラス……一部の生徒が残っているって言ってたわね?」

 

「間違いはないでしょう。彼らの目的は油断を誘ってリーダーを探ることでしたが、それを見抜いていることは示しました。その上で交代策に気づいた場合、作戦変更を余儀なくされるはずです。穏当な手段を取るのならいいのですが」

 

 坂柳の顔が少しだけ曇った。

 彼女が気にしているのはCクラスが暴力的な手段に出た場合のことだろう。

 

 学校側が口だけで実際に暴力的な手段を行っても介入してこないのは金田の件でわかっているのだ。

 目の届かない場所でAクラス生徒を暴力的な手段に出てこないとは限らない。

 

 

 学校側が一切信用できないからな……。そこら辺はマジで。

 

 

 そんなこんなでAクラスは無人島試験の最終パートに向けて動き出し始め――そして。

 

 

 

 

「――Dクラスの堀北鈴音がリタイア?」

 

 

 

 

 試験は大詰めを迎える。

 

 




〈人物紹介〉
●ホームズ
→坂柳の策をちゃんと見抜けた。あと真の目的に関しても花丸が貰えた。ご機嫌な猫。拠点では女子に頼まれて虫とかペシペシやってる。

●坂柳有栖
→ホームズがちゃんと回答できてご機嫌。アウトドアは楽しいが虫がやはり苦手、急に虫が木から落ちてきてビックリしてホームズに助けを求めた。取ってくれた。

●綾小路清隆
→わりと満足している。今のDクラスで勝ち目はないことはわかっていたので今回の試験はもとより捨てている。やはりクラスの力を向上させるのが大事かと結論を出す。それはそれとして打てる手は打つつもり、あまり点差がつきすぎるとクラスのモチベにも関わるので。堀北にリタイア宣告して、龍園を折りに行った。怪異はルールに厳しいのでルール違反しすぎて祟られるのは定番、常識でしょーが。

●堀北鈴音
→Aクラス相手に宣戦布告したのに「お前もう船の戻れ」された。作戦切り替えたから役目ないし……。

●龍園翔
→野生のホワイトルーム生に襲撃を食らった。いろいろと早い。


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