よう実世界に転生した畜生系主人公が神室真澄に心を打ち抜かれる話   作:サンディエゴ

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畜生系主人公が神室真澄と無人島試験を終える話

 

 

 

「それで様子はどうですか?」

 

「変わってないな。Dクラスはやっぱりスポット占有を諦めたんじゃないか?」

 

 

 坂柳の言葉に橋本はそう答えた。

 その回答を聞き、彼女は少し不満そうな顔をしている。

 

 無人島試験も最終日を残してあと僅かになった。

 Aクラスは順調に試験を進め、後もう少しでその苦労に見合った成果が得られるという段階。

 

 

 我らの邪悪のリーダーたる坂柳はどこか納得がいかないような顔をしている。

 その原因はDクラスの堀北鈴音のリタイアにある。

 

 

「でもさー、姫さん。それほど気にすることなのか? Dクラスの生徒が一人リタイアしてDクラスは-30CPを食らった。それだけのことだろ?」

 

「坂柳が言うにはあの堀北ってやつ、リーダーって話じゃない。いや、リーダー()()()……か」

 

「ええ、その通りです。Cクラスの拠点では彼女がリーダーであるということを知らせるわざとらしい言動もありましたし、それに彼女はスポット占有班の一人でしょう?」

 

「ああ、偶然Dクラスがスポットを占有してからその場を去るところを見たやつがいる。堀北はそれなりに目立つ容姿をしているからな、間違いないと思う」

 

「となるとやはり間違いはないと思います。恐らくリーダー変更を利用した策を実行するつもりだったのでしょう」

 

「リーダーの変更は基本的に認められないけど、リーダーがリタイアした場合は変更可能」

 

「うまくやれば相手からのリーダー当てから身を守りつつ、誤爆させることで-50CPを与えられる……。策としてはなかなかにいいものだと思います」

 

「でも、Dクラスはそれを失敗したんだろ? その策を使うならリーダーの交換は最終日ギリギリまで取っておくはずだ。それなのにまだ日数を残した状態で堀北はリタイアしちまった」

 

「考えられるとしたらやっぱり思った以上に体調が悪くなってしまったから? 一般の生徒はともかく、リーダーのリタイアは簡単にできちゃ試験が意味を為さなくなるし、確実にリタイアにしてもらわないとDクラスとしても困る」

 

 

 本当に機能しているのかいまいち怪しいけど、体調を測定する腕時計もつけているからな。仮病や軽度の体調不良でリタイアを申請して、認められなかったら作戦が根底からひっくり返っちゃうからな……。

 

 

「だから、体調の悪化をギリギリまで狙っていたら想定以上に悪化してしまいリタイアせざるを得なくなった」

 

「そうなんじゃないかってこの間の話し合いの時にもなっただろ? 事実、あれからDクラスはスポット占有に動いている様子はない。食料とかを集めに動いては居るが、基本的に拠点を中心に大人しく過ごしている様子だし」

 

「思わぬ失敗したから守りに入ったって感じよね。スポット占有ポイントは惜しいでしょうけど、堀北がリタイアした以上は占有に動くのはリスクしかないし」

 

「…………」

 

 

 橋本とご主人の言葉に坂柳は考え込んでいる。

 その気持ち、とてもよくわかる。

 

 理屈としてはそうなのだ。

 そうとしか見えない動きをDクラスはしている。

 

 

 だけど……なぁ? あの綾小路がそんなミスをするのか? たしかに所詮は他人の身体なんだから思いのほか体調が悪化して、作戦がご破算ってことはあり得なくはない話だ。ただし、その策を進めていたのが綾小路という天才じゃなければの場合だ。

 

 綾小路が堀北と一緒に行動していたのは体調を逐一把握するためだろうし、それに堀北にしたって多少の体調不良ぐらい石にかじりついてでも持ちこたえそうな女だ。なんというか大人しくリタイア……というタマじゃない。

 

 

 坂柳もそんな違和感を感じているのだろう、だからこそ動かせる人員をDクラスの監視に割いた。

 

 

 だが、監視から送られてくる報告はDクラスは動きを見せずにサバイバル生活をしているということだけ。

 

 

「……この程度なのですか?」

 

「姫さん?」

 

「いえ、なんでもありません。引き続き、Dクラスの監視を続けておいてください」

 

「まだ続けるのか? 占有していたスポットも放棄しているようだし、動くことはなさそうだけどな。どのみちCクラスに取られているからもう無理なんだけど……」

 

 

 Dクラスが引きこもりの動きを見せた後、動きを見せたのがCクラスだった。

 やはり全員がリタイアしたわけではなかったらしいCクラスが今更ながらスポット占有に動き始めたのだ。

 

 

 原作じゃ、龍園だけが残っていたけどここまで流れが変わると同じわけがないよなー。

 

 

 恐らく、坂柳のヒントでAクラスとBクラスの同盟に気づいたのだろう。

 

 

 二クラスのリーダー当てはかなり難しくなった……というか下手するとBクラスとの契約内容次第では手も足も出せない可能性が高いんだよな。少なくともBクラスには手を出さないような契約をしたはず、そしてAクラスのリーダーとキーカードを持っているのはBクラスの生徒だ。この場合……どうなるんだ。契約内容次第だが、かなり難しくなるよなー。

 

 

 何にしろリーダー当てを狙えるのは下位クラスのDクラスぐらいしかないという状況、方針を変更して少しでもスポット占有でCクラスはCPを集めることにしたのだろう。

 

 

 Aクラスはその動きを見逃していた。

 所詮、慌てて集め始めたスポット占有のCPなんて限られている。

 

 

 これでいざとなったら何をしてくるかわからないCクラスが大人しくしてくれるなら十分すぎる。

 

 

 どのみち、フリーのスポットはどうしようもないからな。いくら再更新に八時間の猶予があるとはいえ、11ヶ所のスポットを占有し続けるのでAクラスは手一杯。これ以上は、さすがに無理をし過ぎることになるからな。

 

 

「サバイバル生活の方は問題ないのでスポット班以外に仕事を割り振るとなると、残りはDクラスとCクラスの監視ぐらいしかありませんね。Bクラスは放置で良いですし」

 

「それでどうするの?」

 

「……ここまで動きがなかった以上、Dクラスの警戒度は下げて最低限残し、それ以外はCクラスのスポットの監視に向かわせましょう。大半がリタイアしたのは間違いありませんから、島の中に残っているのは二桁も居ないはず。仮にデコイを含めてスポットを更新したとしてもかなりリーダーは絞ることはできるはず」

 

「CPには余裕もあるし、-50CPのリスクがあっても狙いに行くもありだしな」

 

「まあ、それなりに確信がなければリーダー当てをする気はありませんが。……残り少しの無人島試験を楽しみましょう」

 

 

 

 そう坂柳はまとめて、そして俺たちは動き始めた。

 

 

 

「さーて、一緒に行こうかホームズ」

 

「にゃー」

 

 

 俺とご主人はCクラスのリーダーを探すことになった。

 本当は俺だけで行くつもりだったのだが、ご主人もちょっと動きたいということで。

 

 少し雲の様子も悪いし、坂柳は拠点でお留守番だ。

 

 

 ご主人と共にCクラスが取っているスポットの一つに向かった。

 単純な待ち伏せ作戦だ。

 

 スポットを監視していれば更新が必要になったリーダーが現れる。

 デコイ要員と一緒かもしれないが島内に居るCクラスの生徒がわかるだけでもリーダー当てに有効だ。

 

 

「誰だろうね」

 

「にゃー」

 

 

 スポットから離れた木の陰で俺とご主人はのんびり過ごす。

 拠点は他の人が多いから二人っきりは久しぶりだ。

 

 

「にゃー、にゃー♪」

 

 

 ご主人はご機嫌な様子で俺を膝に乗せて撫でたり、尻尾を弄んだりしている。

 

 

 あー、癒やされるぅ……。綾小路や高円寺との戦いの疲れが癒やされていく。マスミセラピーはいつか癌にも効くようになる。ハッキリわかんだね。

 

 

 なんだかんだ楽しんだ無人島での生活だったなと俺は思い返す。

 明日はついに最終日だと思うとそんな気持ちにもなろう。

 

 

 原作の影も形もない展開になってしまったな。……まあ、今更かー。順当にCPは稼げたから1位だろうな。契約の都合上、試験上ではBクラスには負けるだろうけど。実際はAクラスが勝つことになるはず。

 

 

 実に素晴らしい。

 CPが増えると言うことはご主人の懐に入るポイントも増えると言うこと、それはとても素晴らしいことなのだ。

 

 

 まあ、俺の脱走でまたプライベートポイントをもぎ取ったらしいけどそれはそれとして。ポイントはあればあるほど良いからなー。

 

 

 うんうん、と頷いた。

 暮らしが豊かになれば俺の食事のグレードも上がるだろうと考えると思わずよだれが出てしまいそうになるが気を引き締める。

 

 

 まだ、試験は終わってないしな。できればCクラスのリーダーを見つけてダメ押しにCPを稼ぎたいところだけど……。

 

 

 鋭敏な俺の聴覚が誰かが近づいてきている音を察知した。

 すぐさま、それを伝えるとご主人はすぐに息を潜めた。

 

 

「ホームズ」

 

「にゃー」

 

 

 あっちの方だ、と手をちょいちょいさせて指さすと林の奥から人影が――その人物は龍園だった。

 

 

 なんか……妙に顔に怪我を負ってない? 殴られたような痕があるんだけど、気のせい?

 

 

 気のせいではなかった。

 明らかに負傷した感じの龍園がスポットの機械に近づくとキーカードを取り出し、スポットの更新を行った。

 

 

 そして、周囲の様子を確認した後、また林の奥へと戻っていた。

 

 

「Cクラスのリーダー……龍園だったんだ。これは大手柄じゃない、ホームズ!」

 

「……にゃー」

 

 

 ご主人の言葉に俺はなんとなく納得できずにそんな声を出した。

 

 

 龍園がCクラスのリーダー……いや、まあ原作でもそうだったし別段おかしくはないんだけど。なんでアイツあんなにあっさり?

 

 

 龍園は非常に頭が回り警戒心の強い男だ。

 そんな男が不用心にスポットを更新した事実に俺は納得がいかなかった。

 

 いくら人数が居ないとはいえ、せめて二、三人はデコイ要員を連れてくるものではないのか。

 それにあの怪我の様子も俺は気になった。

 

「龍園の怪我? ああ、そういえばなんか妙にズタボロだったわね。なにかあったのかしら……」

 

「にゃむにゃむ」

 

 考えたが結論は出なかった。

 一先ず、龍園がキーカードを使って更新していたのは間違いないのだ。

 

 

 

 つまりは龍園はリーダーなのは確定。

 あとは最終日のリーダー当てで当てるだけ――そう考えていたのだが。

 

 

 

「えっ、龍園がリーダー……ですか? 山田っていう生徒じゃ。私、キチンと確認しましたよ」

 

 

 ……なんですと?!

 

 

 別のスポットを監視していた山村の言葉に俺達はようやく事態を把握した。

 

 

「つまり……どういうこと?」

 

「なるほど、わかりましたよ。要するにこちらと同じ作戦を実行したんです。最も我々はリーダーの交換を行いましたが、CクラスとDクラスは片方のクラスにリーダーを二人置くという形ですが」

 

 

 坂柳の言葉通り、Cクラスの別々の生徒がスポットを更新したと言うことはキーカードが二枚あるとしか考えられない。当然、1枚はCクラスのキーカード。もう一つは――

 

 

「――Dクラスのキーカード。つまり、CクラスとDクラスは同盟を結んだというわけです」

 

「堀北がリタイアしたから……でも、何のために?」

 

「理由はいくつか考えられますが、やはりAクラスとBクラスの同盟に気づいたからでしょう。上位クラスが互いに結んでリーダー当てを封じ、スポット占有でがっつり稼いでいる状況。下位クラスで足の引っ張りをしても仕方ないと考えたのでしょう」

 

 坂柳がどこか楽しげにそう答えた。

 

「Dクラス的には動くにしてもCクラスが邪魔ですし、Cクラスとしても当初の作戦自体が破綻した状態。手を結ぶことができれば稼ぐ手段はありますからね」

 

「稼ぐ手段って……リーダー当てが使えないならスポット占有しかなくない?」

 

「いいえ? ありますよ、リーダー当ての制度を使えばね」

 

「えっと、どういうことです?」

 

「0ポイントは使いようと言うことです」

 

 そんな彼女の言葉に俺はあることを思いついた。

 

 

 たしかにそれなら稼ぐことはできる。まあ、協力あってのものだけど……。そっか、つまりは龍園たちも邪ロリの目的に気づいたか。

 

 

「そちらにシフトするなら乗ってあげましょう。我々には不利益はなさそうですからね。その前に一つだけ先生に確認を取ってきておいてください橋本くん。内容は「試験中のCPの移動は有りか無しか」。恐らく問題は無いとは思いますけど」

 

 

 そう坂柳は締めくくった。

 そして、最終日の前日は終わり――最終日、当日。

 

 

 

 

「よぉ、ちょっとばかし契約を結んでもらいに来たぜ」

 

「ようこそ、龍園くん。この後、忙しいでしょうから手早く済ませましょうか」

 

 

 

 

 唐突に訪れた龍園との契約を最後に俺達は無人島試験の終了をむかえた。

 

 

 

―――

 

 

 

「現時刻を持って、特別試験の終了を宣言する」

 

 

 

 そんな真嶋が試験終了の宣言が響いた。

 どことなく顔色が悪そうに見えるのは気のせいだろうか。

 

 

 いいや、きっと気のせいじゃないんだろうな。でも、まあ仕方ないよねって。

 

 

 整列した生徒たちの中にシレッと交ざりながら俺はうんうんと頷いた。

 顔色の悪い理由に俺は見当がついていた。

 

 

「ではこれより、特別試験の結果を発表したいと思う。なお、結果に関する質問は一切受け付けていない。自分達で結果を受け止め、分析し次の試験へと活かしてもらいたい」

 

 

 その言葉に生徒たちはあまり気にした様子を見せない。

 それも当然だろう、この試験の順位ほど意味のないものはないからだ。 

 

 

「最下位は―――Cクラス。0ポイント」

 

 

 真嶋の言葉に龍園は特に反応も見せない。

 怪我が痛むのかさっさとして欲しそうな顔をしている。

 

 

「3位は―――Dクラス。364ポイント」

 

 

 Dクラスから歓声が上がった。

 87CPしかなかったDクラスにとっては十分すぎるほどの成果だ。

 

 

「2位は―――Aクラス。406ポイント」

 

 

 そして、次に呼ばれるのは我らがAクラス。

 惜しくも2位という結果だが、それを気にするAクラスの生徒はいない。

 

 

 所詮はただの順位でしかないとわかっているからだ。

 

 

「そして1位は―――Bクラス。498ポイント」

 

 

 圧倒的といっていい数値を叩き出したBクラス、とはいえその数値になったのは我らがAクラスのスポット班が11ヶ所を回り続けて198ポイントも稼いだおかげだ。

 

 それとCクラスのおかげで残せた300CPによるもの。

 198CPに関してはこちらに戻るため、特に問題はない。

 

 

「妙ですね……」

 

「にゃあ?」

 

「Bクラスも恐らく、Cクラスとの契約をしたはず。となるとあと+50ポイントあってもおかしくないはずですが……となるとやはりDクラスですかね」

 

 

 坂柳の言葉になるほどと俺は頷いた。

 彼女が言っているCクラスとの契約とはなにを指しているのか――それはCクラスのリーダー当てについてだ。

 

 坂柳の言っていた0ポイントの使い方、それは自身のリーダーを教えることで分け前を貰うという手法だ。

 

 本来、リーダー当ては当てられると-50CPされスポット占有分のCPも無くなるというデメリットがあるが0ポイントならばそのリスクも踏み倒せる。

 

 こちらからリーダーを教えるので得た分の半分を寄こせ、という契約をCクラスと行ったのだ。

 

 要するに得られる+50CP分を試験後に山分けという契約。

 どちらも+25CPを得られるというやり得の契約、それをBクラスとも結ばない理由はない。

 

 

 では、なぜBクラスには+50CP分が反映されていないのか。

 

 

「恐らく、Dクラスが脅し取ったのでしょう」

 

「脅し取ったって……」

 

「少し言い方は悪かったかもしれませんね。交渉でもぎ取ったのでしょう。恐らく、Cクラスからの情報提供込みでAクラスのスポット班のメンバーを探り当てたのではないのでしょうか? スポット班は六名で回していました。そうなると六分の一で当てられる可能性はあります」

 

「だから、リーダー当てをしない契約を結ぶために+50CPを支払ったってこと? でも、そんな脅しに乗るかしら。Dクラスにしてもかなりリスクの高い分の悪い賭けでしょうし……」

 

「そうですね、普通なら突っぱねて終わりですがBクラスには弱点があります」

 

「弱点?」

 

 

 Cクラスと結んだ契約だな。少なくないプライベートポイントの支払い契約は結んでいるはず。となると-50CPは損切りだと考えた可能性がある。

 

 

「そんなところでしょう。契約を結んだCクラスと協力関係なのです、うまくやることができたのでしょう」

 

「それにしてもDクラスのCPの高さは異常ね。よくもまあ……」

 

 

 ご主人が感心したように呟いた。

 たしかにAクラスとBクラスは順当に稼いだが、Dクラスも凄まじく稼いでいる。

 

 

「DクラスはCクラスのリーダー当て成功とBクラスの譲渡で+100CP、それと初日から抑えていたリーダー交代前のスポット数がたしか四ヶ所で、その後にCクラスが抑えていたスポット数はたしか六ヶ所のはず。それの合算とリタイア分の-30CPの合計が364CPとはなかなかやってくれますね」

 

「あー、なるほどCクラスが集めてたスポット占有のCPはリーダー当てをされたら消えちゃうじゃんって思ってたけど、Dクラスに移していたのね」

 

「恐らくそうでしょう。たいした量ではありませんが稼いでおくことに越したことはありませんからね。本命としてはBクラスとの契約と三クラスから徴収した25CPずつ。合算すればCクラスもなかなかに得をしたと思いますよ」

 

 

 クスクスと楽しげに坂柳は言った。

 

 

 よくまあ、この状況に持ち込んだものだよ。

 

 

「ふふーん、見直しましたかホームズ♪」

 

 

 などと不適に彼女は言った。

 そう、つまりはそういうことなのだ。

 

 

 坂柳がリーダー当て封じなんて手法を取ったのはただ単純に勝つためじゃない。

 CPを学年で搾り取るための作戦だったのだ。

 

 

 考えてみると単純なのだが、実のところリーダー当てというシステムはクソみたいなシステムだ。

 

 

 リーダーを当てれば相手に-50CPで自分には+50CP……実質、100CP分を縮めることができるチャンス――のように見える。

 

 

 ただ、それはあくまで一クラスの視点。

 学年全体を見ればリーダー当ては成功した場合、当てられた側のスポット占有分のCPが消え、当たれた側が-50CPで当てた側に+50CP、つまりはただ単に50CP分が移動するだけ。

 

 要するに学年全体で得られるCPは目減りする。

 リーダー当てに失敗した場合は単純に-50CP。

 

 

 そうつまり――リーダー当てはした時点で学年全体が得られるCPが減るクソシステムなのだ

 

 

 そんなクソみたいなルールに反逆を行うのが今の邪悪なるロリ――坂柳有栖である。

 

 

 

「ええ、そんなの実にいけません。どうせパイを取り合うならできれば大きなパイを取り合うべきです。小さなパイをせせこましく奪い合うなど……ねえ?」

 

 絶対、他クラスも潤沢な資金があった方が面白くなりそうって理由だぞ。騙されないぞ。

 

 

 十分に無人島試験を満喫した、という顔の坂柳を横目に俺は真嶋たちの方を見た。

 

 

 明らかにどうするんだよこれ……という顔をしてる。

 

 

 

 そんな……たったの学年合計で1268CP増えただけなのに!

 

 

 

 クラスが一つ増えたぐらいの被害に目を逸らしつつ、俺達の無人島試験は終わった。

 

 




[Aクラスの獲得CP]:(230+126+50=406[実際:230+198+25=453])
[物資購入]:300CP-70CP=230CP
[スポット占有]:11カ所×3×6=198CP(Bクラス分に反映。後に返還)
[リーダー当て]:「Cクラスのみ正答」=+50CP(後に25CP返還)

[Bクラスの獲得CP]:(300+198+50-50=498[実際:300+126+25-50=401])
[物資購入]:300CP-0CP=300CP
[スポット占有]:7カ所×3×6=126CP(Aクラス分に反映。後に返還)
[リーダー当て]:「Cクラスのみ正答」=+50CP(後に25CP返還)
[その他]:「Dクラスとの契約」=-50、毎月1.5万のプライベートポイント出費

[Cクラスの戦略]:(0CP)(実際:75CP+12CP=87CP)
[物資購入]:300CP-300CP=0CP
[スポット占有]:4×3×2=24CP 2×3×2=12CP(最終日に全部Dクラスへ譲渡)
       (契約によって元のDクラスのスポット以外のスポット分を返還)
[リーダー当て]:「三クラスに正答される」=25CP×3(後に返還)
[その他]:毎月1.5万のプライベートポイント

[Dクラスの獲得CP]:(210-30+48+24+12+50+50=364[実際:210-30+48+24+50+25=327])
[物資購入]:300CP-90CP=210CP
[リタイア]:-30
[スポット占有]:(4カ所×3×4)=48CP
[リーダー当て]:「Cクラスのみ正答」=+50CP(後に25CP返還)
[その他]:「Bクラスとの契約」=+50CP
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