よう実世界に転生した畜生系主人公が神室真澄に心を打ち抜かれる話   作:サンディエゴ

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四巻
畜生系主人公が神室真澄が試験の疲れを癒やす話


 

 

 

「とりあえず、まずはシャワー!」

 

 

 無人島試験が終わり、船に戻ることができたご主人がまず最初にしたことはシャワーを浴びることだった。

 

 当然、俺も一緒である。

 ご主人に連れ込まれて持ち込んだ猫用のシャンプーでアワアワと洗われた。

 

 

 えっ、詳しい描写? するわけーねーだろ! 女神であるご主人のご尊体だぞ!

 

 

 アワアワになった俺の身体をまたシャワーで洗い流され、シャワーから上がったら今度はドライヤーとタオルの二重攻撃で水気を取られ、最後に櫛で丁寧に毛を整えられて――完成。

 

 

「上手にできましたー」

 

「にゃー」

 

 

 うーん、さすがはご主人の手つきだ。惚れ惚れするね。もはや、俺の身体を洗うのと櫛で解くのプロ以上の腕じゃないかな? 見ろよ、俺のフワフワかつしっとりとした艶を帯びた毛の状態を……!

 

 

「うーん、やっぱりホームズはこうでなくちゃね。ワイルドなホームズも悪くなかったけど」

 

「にゃおにゃお」

 

 

 無人島生活も悪くなかった。久しぶりに野生のときを思い出したからな……。いやー、でもやっぱりこの状態の方が落ち着くね。今の俺はご主人の飼い猫(ペット)だからな。うんうん、この状態がしっくりくるな。

 

 

 気をつけていたつもりだが、やはり野外で一週間の生活というのは色々と汚れてしまうものだ。

 特に俺に関しては毎夜毎夜、綾小路や高円寺相手と全力で遊んでいたし泥や砂利とかで結構汚れる羽目になった。

 

 一応、川とかで水浴びして綺麗にしてはいたんだけどご主人的には気になっていたらしい。

 徹底的に洗われて身綺麗になり、ようやく一段落したので一緒にベットにダイブした。

 

 

「はー、ようやく終わったわねー」

 

「にゃふー」

 

「真澄さん、狡いです。先にシャワーを使うなんて……」

 

「ずっとアンタを背負って汗かいたんだから仕方ないじゃない」

 

「それはそうですけど……」

 

 

 ベットでぬくぬくしていると恨めしそうな声を出しながら同室の坂柳もやってきた。

 彼女もシャワーを浴びてきたらしく髪が濡れているが、どこか覚束ない足取りだ。

 

 

「どうしたの?」

 

「いや、なんか……身体の節々が痛くて」

 

「にゃー」

 

「もしかして、筋肉痛じゃない? 船に帰ってきて緊張が解けたから一気に……みたいな」

 

「温かいシャワーを浴びたせいでリラックスできたからかもしれません」

 

「にゃふー」

 

「なんですかホームズ。その小馬鹿にした顔は……っ!」

 

 

 坂柳が威嚇の声を上げるも身体がプルプルとしている。

 大きく移動するときはご主人に背負わされていた癖に真面目に筋肉痛になっているらしい。

 

 

 まあ、一週間のサバイバル生活……寝るときもベッドなんてなかったしなー。まあ、後から出てくることはあるか。それにしても貧弱すぎる気がするが……。

 

 

 たぶん、島に居る間はアウトドアに興奮して疲労に気づかなかったのだろう。

 一気に蓄積していた疲労が出てきたようだ。

 

 

「仕方ないわね、ホームズやってあげなさい」

 

 

 ふらふらとベッドに倒れ込んだ坂柳の様子を見て、ご主人がそう言ってきたので俺は喜び勇んで彼女の背に乗った。

 

 

 そして――

 

 

 食らえぃ! ご主人が大好きな必殺技の一つ、猫式マッサージを! うぉおおおおっ!

 

 

 ふみふみふみふみふみふみふみふみふみふみふみふみふみふみふみふみふみふみふみ

 

 

「なんですかこれ!? 全然、押せてない! 所詮、猫の力だから! あっ、でもなんか凄い気持ちいい……」

 

「ふっ、そうでしょうそうでしょう。ホームズの肉球マッサージはいつか癌にも効くぐらいの癒やし効果がある」

 

「すいません、足の方もお願いしていいですか? ちょっと筋肉が張ってて……」

 

「にゃおん」

 

 

 なんで貧弱ロリボディなのにふとももはむっちりしているんだ。ガーターベルトなんてエッチなのして、実はアピールポイントだと思っているんだろう! けしからん!

 

 

「なにを言っているんですか! もうっ! ……ああ、でも効きますねコレ」

 

「ホームズの必殺技だけ秘密だからね。なんせ凄い疲れるらしいから」

 

「にゃふー……」

 

「本当ですね。いえ、あれだけ高速でふみふみしていればそうもなるでしょうけど」

 

 

 短期間でどれほど連打できるかが猫式マッサージの神髄だからな……体力を一気に消費してしまう諸刃の剣……なりっ!(がくっ

 

 

 やりきった表情でベッドに倒れ込むとご主人に抱え込まれ、俺はそのまま横になった。

 柔らかなベッドの感触に文明の素晴らしさを感じる。

 

 

「少し休んでからレストランの方にいきましょうか」

 

「そうですねー。試験終わった直後はみなさん忙しいでしょうから」

 

 

 俺とご主人と坂柳はしばらく部屋で休んだ後、船内へと出た。

 坂柳は車椅子に乗っているだけで楽だが、サバイバル終わったあとに車椅子を押して動けるご主人は何気に体力お化けだと思う。

 

 

 レストランに到着すると連絡して落ち合うことになっていた佐倉がそこに居た。

 

 

「あれ、遅かった?」

 

「いえ、早く来過ぎちゃっただけなので……。坂柳さんも神室さんもお元気そうで何よりです。あっ、ホームズさんもお久しぶりです」

 

「にゃおにゃお」

 

 

 どうでもいいが猫である俺がレストランに入るのは問題な気がするが、一応あらかじめ聞いてみたところセーフだったので悪しからず。

 

 たぶん、貸し切りみたいなものだから大丈夫なのだろう。

 そういえばこの船って試験がないときはどうなってるんだろうか……。

 

 まあ、そこら辺細かいところはどうでも良いだろう。

 ご主人たちは食事を取りながら話を始めた。

 

 

 主な内容はもちろん、無人島試験の話だ。

 

 

「どうでしたか試験の方は?」

 

「とても大変でした何度も……こう、なんていうか。口喧嘩というか口論みたいなものがあって」

 

「へえ」

 

「主に女子と男子の対立というか」

 

「にゃふー」

 

「まあ、急に集団でサバイバル生活しろって言われたらそうなるわよね。しかも、異性と一緒とか」

 

 

 Aクラスはまあ、あらかじめある程度予測していたから心の準備ができていたけど急に異性と一緒に一週間生活しろと言われたら難しいよなー。特にDクラスの男子はおっぱいランキングとかの所業もあるし、女子からすれば嫌だろう。

 

 

 あとは原作通りにAクラスを目指すあまり語気が強い堀北や幸村らの存在の意識の違いが、Dクラス内で不和を起こしていたらしい。

 

 

「何度か危ない雰囲気にはなっていたけど平田くんや櫛田さん、それに綾小路くんが割って入ってくれて……。最初はともかく終盤はそれほどサバイバルはキツくはなかったかな。高円寺くんが拠点周辺の食料の場所を見つけてくれたから、そこら辺は余裕があったし」

 

「ほー、なるほどなるほど」

 

 

 どうやら、なんか俺のせいでことなかれ主義ムーヴをやめた原作主人公くんはクラスにおいてナンバースリーぐらいのポジションに収まっているらしい。

 リーダーはあくまで平田で彼の不足を補うような立ち回りをして、地位を確立し始めているのだとか何とか。

 

 

 どう考えても調整してるな……。綾小路ならリーダーとして全体を指揮することも可能だろうに。

 

 

 それをしないのはその気がないからだろう。

 

 

 まあ、如何に綾小路でもリーダーというポジションについてしまったら立場に縛られてしまうからな。

 それならリーダーである平田の信頼度を稼いで自分の意見を通しやすい立ち位置を確保しつつ、ある程度自由度もあるナンバースリーぐらいのポジションがやりやすいのかもしれない。

 

 

 実際、今回の試験で随分と平田との距離感が縮まっている様子だと佐倉は言っていた。

 女子の中で結構人気が上がっているとか何とか。

 

 

「試験全般のことは綾小路くんがやっていたみたいで、みんな見直した雰囲気だったというか……なんというか」

 

「なるほど、試験については主に綾小路くんがやっていたんですね」

 

「そうみたいですね。正直、何をやっていたのか詳しいことはわかってなくて」

 

「364ポイントだもんね。わりと驚いたわ」

 

「最終的には少し目減りするって伝えられたけど、それでも凄いってみんな喜んでいて」

 

 

 そりゃそうだろう、Dクラスは一クラスだけ三桁以下のCPだったからな。そこに毎月三万以上の収入が決まったんだから喜びは一入……。まあ、別にDクラスだけの話じゃないか。

 

 

 俺はチラリッと周囲を見回した。

 さすがにサバイバルを終えてそれほど経っていないので人もそれほど多くはないが、他クラスの学生はチラホラと見えた。

 

 

 その誰もが顔色が明るい。

 まあ、それもそのはず基本的に全クラスかなり収益を出したのだから。

 

 

 三クラスは三万以上の増額、Cクラスは一番低いがバカンスを楽しんで一部を除いてあとはリタイアして船の中で過ごしていただけだからな。気分的には楽しみまくっていただけだから悪くないわけで……。

 

 

 基本的に一年全体の雰囲気は悪くはない。

 原作だとしてやられたAクラスやCクラス、思ったよりも伸びずに結果を出せなかったBクラスなど雰囲気が良くない部分もあったが全体的に明るい印象だ。

 

 

 えっ、教員側の反応? 知りませんね、そんなこと……。

 

 

「それで……うん、最初のリーダーは堀北さんだったことは教えて貰ったけど、堀北さんがリタイアした後のことはよくわかってなくて……。ただ、Cクラスと綾小路くんが交渉して手を組んだってのは間違いないみたい」

 

「なるほど、なるほど。やはりそうでしたか……」

 

 

 どうでもいいけど、そういえば今回の試験で高円寺のやつがリタイアしてないから堀北って唯一リタイアした扱いなんだよな。いや、作戦のうちなんだろうけどさ。

 

 

 堀北以外のリタイアはCクラスの集団リタイアのみなので、堀北はどんな気持ちで船で待っていたのだろうか。

 

 

 宣戦布告までしておいてリタイアして船の中で待つ羽目になるってなんか哀れだな……南無。

 

 

 そんなことを考えつつ、佐倉の話に耳を傾ける。

 思いっきりDクラスの内情を話しているが彼女に悪気はない、単に苦労話を聞いて貰いたいだけだろう。

 

 一応、坂柳としても友人である佐倉をスパイとして扱っているわけじゃない。

 自分たちの話もしているからな。

 

 まあ、それはそれとして下心がないとまではいえないのが坂柳なのだが。

 

 

「私はですね、なんとか魚を釣ったんですよ。こんな大きいやつをですね」

 

「いや、そんなに大きくなかったでしょ。ホームズが取ってきたやつの方が大きかったし」

 

「なんでこの猫は平然と飛び込んで魚を捕らえてくるんですかね……」

 

「にゃふん」

 

 

 ジトッとした目で坂柳が睨めつけてきたので俺はどや顔を返した。

 洞窟の中は暇だから食料調達用にポイントで購入した釣り具で近くの川で釣りをしたときの話だ。

 

 坂柳は釣り初心者でやってみたいと主張したのでチャレンジしたのだ。

 まあ、結果はほどほどでせいぜい二、三匹取れただけだったが彼女にとっては自慢できる成果だったらしい。

 

 

 俺はその間に六匹、川に飛び込んで捕らえたが……。

 

 

「というか餌ぐらいちゃんと自分で刺しなさいよ。私はもうやらないからね」

 

「だって、うねうねしていますし……」

 

「あはは、あれはなんというか慣れが必要ですよね」

 

「おや、佐倉さんも?」

 

「はい、私も。最初はうまくいかなかったんですけど、綾小路くんが少し教えてくれたのでなんとか五匹ぐらい釣れました」

 

「むっ……」

 

「にゃーふ」

 

「いえ、きっと私の方が大物だったはずです。……きっと!」

 

 

 負けず嫌いかよ。いや、知ってるけどね。

 

 

 ともかく、そんな感じで無人島試験についての話を姦しく話す三人。

 話は今度はAクラスのものが主体となる。

 

 

「へえ、じゃあAクラスのリーダーは鬼頭くんがやっていたんですか?」

 

「そうですね。少し事情が厄介なのがあくまで試験の中ではBクラスのリーダーだったのですが……まあ、彼を含めたスポット班の頑張りのおかげで+198CPを得ることができました」 

 

「ふわー、凄いです。大変だっただろうな」

 

「そうですね。佐倉さんからも労ってあげてください。鬼頭くんはあなたのために頑張ったようだったので」

 

「えっ、なんでそんな……」

 

「佐倉さん、あなた衣装代に関しては一人で支払っているようじゃないですか」

 

「それは鬼頭くんにいろいろと融通を利かせて貰って作ってもらっているから……」

 

 

 鬼頭はどうもその辺りを気にしているらしい。

 雫としての活動を助けている鬼頭だが、彼としても慈善事業や単純に仕事として割り切ってやっているわけではなく、自分の夢にも関わる事柄だ。

 

 なんというか一方的に支払われていることに後ろめたさというか、申し訳なさというものがあるのだろう。

 

 特に相手は女の子だからな。

 しかも、材料費だけならともかく私用で被服室を使わせて貰うためのプライベートポイントも佐倉が支払っているらしい。

 

 これはさすがに半分払うと鬼頭も言ったらいいのだが、彼女としては自分の衣装を作ってもらうのだから当然ということでそれを固持。

 

 それどころか善意で部屋でも作業できるように色々とプレゼントをする始末で……。

 

 

「佐倉……」

 

「はい」

 

「いくら大金持つのが怖いからってやり過ぎ」

 

「はい」

 

 

 まあ、事実というのはそんな感じだ。

 ストーカーの一件で思わぬ大金を手に入れた佐倉。

 

 だが、小市民の彼女にはこの金額というものは大きく。

 また動画作成という新たな趣味というか仕事のようなものもできたので、そのための投資を兼ねて使った結果――鬼頭としてはなんというか、居たたまれない状況になってしまったらしい。

 

 

 やる気十分だったな鬼頭のやつ。今回の試験、スポット班は成果に応じてAクラスの共有資産から報酬が支払われることになっていたからな。それで返すつもりなのか、それとも別の方法を取るのかは知らないけど。

 

 

 ともかく、鬼頭のやる気は凄かったと言っておこう。

 佐倉的にはさっさとお金を使いたかっただけなんだろうけどあそこまでされると男としては全力出さないと廃るというか何というか、男のプライドとかあるからな……。

 

 

 因みにAクラスでは月に六割の徴収が決まっている。

 現在の残高は葛城が管理しているから細かいところまでは知らないが、たしか5月から始めて今が8月なので1000万近くはあるはずだ。

 

 

 なお、ご主人は個人で700万ほど持っている模様。

 俺の脱走の件でまた200万ぐらいむしり取った上で、その後の夏休み期間中の試験に参加させる権利を50万くらいで買い取っている。

 

 だから、まあ俺は無視されていたんですねー。

 相変わらず、ご主人は金遣いが荒すぎである。

 

 というかシレッと無人島試験に参加させるだけじゃなくて、後もう一回試験があるって予測を立てているから交渉にねじ込んでいるのが強かすぎる。

 

 

 惚れ直すぜ!

 

 

 それにしても原作通りだと次は船上試験――干支試験となるわけだが……なんだろう、とても嫌な予感しかない。

 

 

 いや、よそう。

 ぶっちゃけ、坂柳無双しか想像できないとかそんなことは思っていない。

 

 

 原作坂柳よりもなんか変な方向性でスキルビルドが伸びている感じがする邪悪なるロリにとって、格好の餌にしかならないような試験だな……なんて思っていないのだ。

 

 

 まあ、最終的にAクラスにとっては悪くはない落とし所になるだろう。

 それで俺としては十分である。

 

 どうせ苦しむのは高育側なわけなので……それに関しては――うん、自業自得というかなんというか。

 

 

 とりあえず、試験が始まるまでのしばらくの自由の時間を楽しむかー。

 

 

 




〈人物紹介〉
●ホームズ
→野生猫からペット猫に戻った。前世は人間だった気がするがそんなのはポイ捨てして、推しに飼い慣らされていることに喜びを感じている畜生の鏡。坂柳をいっぱい踏み踏みした。その後、ご主人も踏み踏みした。

●神室真澄
→準備していたとはいえわりとピンピンしている体力お化け。気力に関してもホームズのマッサージを受けて回復した。高級猫シャンプーで洗い立てのホームズ吸いも久しぶりに出来て満足。

●坂柳有栖
→無人島試験でいっぱいアウトドアを楽しんだ貧弱ロリ。今更、筋肉痛がやってきた。試験中ははしゃぎ過ぎて気づかなかった模様。船内は車椅子などで助かっているがプルプルしている。

●佐倉愛里
→大金を処分したいために無自覚に鬼頭を追い詰めていた悪女。とりあえず、船内で撮影も計画中。

●鬼頭隼
→貢がれて追い込まれていた悲しき男。雫の活動のサポートを更に熱心にする。熱心にするほど佐倉も信用して金を使う、さらにやる気になる(以下ループ

●Dクラスの面々
→全体的に原作ほどのトラブルは起きていない。起こったとしてもあえて綾小路が見過ごす範囲でのトラブルや諍いで、それを平田と共に解決することで自身の地位のカクほどDクラス全体を仲間意識を高めることに試験中は専念していた。因みに伊吹による下着泥棒事件は起きていない。そもそも夜間にもかかわらず、なんか普通に出歩く二人がいたので動けなかった。龍園はボコられるし……。

「現在のクラスポイント」

「Aクラス」:1080+453=1533CP
「Bクラス」:663+401=1064CP
「Cクラス」:452+87=539CP
「Dクラス」:87+327=414CP
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