よう実世界に転生した畜生系主人公が神室真澄に心を打ち抜かれる話   作:サンディエゴ

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畜生系主人公が神室真澄と登校する話

 

 

 吾輩は猫である。

 名前はまだ無い。

 

 

 ……もうこのフレーズが使えなくなって一抹の侘しさを感じなくもない俺――ご主人のペットでホームズだ。

 

 

 近況報告といこう。

 ご主人は俺が手に入れたボイスレコーダーをとても有効的に使った。

 

 

 学校と交渉して口止め料を貰うか、あるいはこの情報をクラス内の有力者である葛城か坂柳に渡して自らの地位を固めるか……ご主人はその両方をやった。

 

 

 それってありなのかと聞かれれば、やりようによってはセーフな手法って感じだ。

 

 

 要するに学校側と交渉して口止め料を得る前に、先に話している分は契約違反と言うことにはならない。

 

 つまり、情報を渡す→それを学校側に知られるよりも前に契約を結んでしまうという手順だ。

 

 普通に考えれば難しいがそこはそれ、情報を得たルートが猫である俺がボイスレコーダー片手に盗聴したなんてこと気づかれるわけがないのだからそう難しいことではなかった。

 

 

 問題があるとすれば葛城と坂柳のどちらに媚を売るべきかという点だ。

 

 

 こういった場合にどっちにも媚を売るというのはあまり頭のいい選択とは言えないため、どっちかを選ぶ必要があった。

 

 

『ホームズはどっちがいいと思う? 私としてはどっちでもいいと思うんだけど……。どっちかの派閥に入るつもりはないし』

 

『にゃあ』

 

『なるほど、葛城ね』

 

 

 最終的に選んだのは俺の進言もあり葛城だった。

 俺が進言した理由としてはやはり、邪悪なるロリよりも善良なるハゲの方が信用ができると判断してのことだ。

 

 能力的には邪悪なるロリ、略して邪ロリである坂柳の方が善ハゲである葛城よりも上だろう。

 

 葛城も悪くはないのだが考え方が保守的でさらには常識と良識を持っているという弱点を持っている。

 

 

 ……常識と良識を持っているのが弱みになる学校って普通に怖いがここはそういった世界だ。

 

 

 坂柳やら龍園やら綾小路やらを相手にするには葛城は真っ当すぎるのだ。

 真っ当すぎた結果、原作ではまあまあ酷い目に遭ってしまうわけで……。

 

 

 そういった点を鑑みると取り入るなら坂柳の方なのだが――けどなー、人間として信頼できるのはどう考えても葛城なんだよなー! 邪ロリにも情があるのは知っているがそれはそれとして不都合があったら容赦なく人を切り捨てられるタイプの人間だ。

 

 正直、怖い。

 

 キャラとしては好きなんだよ。原作として紙面の向こう側にいる坂柳はとても魅力的なんだが……リアルであんまり近寄りたくないというか、関わりたくないタイプの人種というか。

 

 というかこの世界の人間そういうタイプ多いな。

 キャラとしては好きだけど現実にいたら関わりたくないタイプ。

 

 

 コンパス刺しの堀北、地雷ガール櫛田、主人公綾小路、神室町にでも行ってろ龍園、平気で人をぶん殴ってくる生徒会長堀北、脅迫してくる教師茶柱etc

 

 

 やはり、女神であるご主人がナンバーワン! まあ、ご主人はご主人でちょっと万引きったけど邪ロリにパシらされるという刑期を果たしたのでセーフ!(依怙贔屓

 

 

 まあ、そんなこんなで恩を売るならまだ恩と思ってくれそうな葛城を俺は薦め、ご主人もそれに従った。

 

 

 葛城を呼び出してカメラのないところで他言無用を条件に情報を披露した。

 

 

 当然、葛城はあっさりと信じたわけではなかったが別にそれでいいのだ。

 学校側からのネタバレより前にそれを調べ上げて、葛城に伝えていたという事実さえあれば今後のご主人の立場はある程度保障される。

 

 

 葛城と話したあと、ご主人は職員室へと向かって口止め料をせしめにいった。

 

 

 先生への質問という体裁を取り繕いながら、この学校の制度に気づいているムーヴをすればマニュアル通りに口止め契約の話になった。

 

 ボイスレコーダーで収集した話の通りだ。

 録音されていた内容からおおよその相場にあたりをつけていたご主人は、交渉してその満額に近い300万ポイントを得ることに成功した。

 

 

 称賛するべきはご主人の演技力だろう。

 如何に俺の働きによって相手の手札が丸わかりだったとはいえ、巧みに交渉した結果最大利益を引き出すことに成功したのだから。

 

 

 あくまで気になったことを職員室にまでやってきて問いただした結果、この学校の制度について確信を持った――というスタンスを崩さなければ学校側がご主人を突き崩すのは不可能に近い。

 

 

 結果として葛城へのアピールと口止め料の名を借りたお小遣いゲットをご主人は達成したのだった。

 

 

 さすが、ご主人! 略してさすご。こういうと言い方が悪い気がするがご主人はやっぱりできる子だったんだ!

 

 

 原作だと明らかにやる気なさそうだったがやはりモチベーションの差というものが大きく影響しているのか、だいぶ能力がアップしている気がする。

 

 

 

 とにもかくにもご主人は300万ポイントという大金を手に入れたわけだが――

 

 

『さて、これで300万ポイントの送金は済んだわけだが……』

 

『では、先生。早速ですけどこのポイントを使ってしたいことがあるんですけどいいですか?』

 

『ほう? 早速か……なるほど、いいだろう。随分と積極的な生徒なようで嬉しいぞ。それで何をしたい?』

 

 

 

 それを使ってご主人がまず何をしたか、それは――

 

 

 

―――

 

 

 

 あのさぁ、ご主人さぁ……。

 

 

「きゃー! かわいい! 神室さん、触ってもいい?」

 

「別に……ホームズが許すならいいんじゃない?」

 

「ホームズっていうんだー! たしかに賢そうな顔をしているかもー」

 

「おいでおいでー!」

 

 

 ここは一年Aクラスの教室。

 そこで俺は女子生徒の歓待を受けていた。

 

 いや、男子生徒も興味深そうな目で見ているな。

 それも当然か、野良の猫のときだって手入れを欠かすことなかった美猫であった俺だがご主人のペットになってからはそのプリティーさに磨きがかかった。

 

 

 メロメロになってしまうのはしょうがない。

 

 

 さて、俺がなぜAクラスの教室にいるのか……その説明をする必要がある。

 如何にご主人のペットになったとはいえ、学校の中にまで俺は大っぴらに入ることはできない。

 

 まあ、放し飼いってことでご主人が学校にいる間はわりと勝手に敷地内を動き回っているのだがそれはそれとしてだ。

 

 こうして堂々と教室内にいることができるのは当然理由がある。

 

 ぶっちゃけ、非常に単純な理由――ご主人が「ペットを学校に連れてくる権利」を購入したからだ。

 

 

 そう、ご主人はなんと300万ポイントが手に入ったからと即座にそんな交渉を行ったのだ。

 

 

 これには真嶋先生も困惑。

 

 

 そりゃ、「ペット飼いたい」ぐらいの交渉ぐらいならご主人以外にもしたことはあっただろうが「ペットを学校に連れてきたい」まで言いだした生徒は恐らくご主人ぐらいじゃないだろうか。

 

 真嶋先生がちょっと調べた結果、猫アレルギーの生徒はおらず、また俺の大きさも所詮は猫のサイズだから邪魔にはならないだろうということで通せなくもない……という判定にはなったらしい。

 

 

『とはいえ、例えばそのペットが問題を起こした場合その責任を神室が取ることになるが……』

 

『問題ありません。ホームズは大人しく、そして賢いですから。うちの子は賢いですから問題ありません』

 

『し、しかしだなぁ……別に学校に連れてこなくても飼う許可は出しているわけだし』

 

『出来るんですか? 出来ないんですか?』

 

『不可能な申し出ではない以上、通すことはできるが……わかった。80万、80万ポイントでどうだ? それを支払うなら――』

 

 

 真嶋先生はとても嫌そうな声でそういった。

 それはそうだろう、彼からすればご主人はネタバレをする前にこの学校の制度を見抜いた優秀な生徒だ。

 

 できれば今回の口止め契約で得た300万ポイントを今後のために有効に使って欲しいという思いがあるのだろう。

 

 

『わかりました。じゃあ、100万ポイントを支払うのでそれでお願いします。やっぱなしはやめてくださいね、真嶋先生』

 

……はい

 

 

 ……が、ダメっ!! ご主人にそんな思いは届かなかった。さすがに80万は要求しすぎな気がしたが、ご主人はそこに更に20万ポイントを上乗せすることで権利を購入したのだった。

 

 

 正直、やり過ぎだよと俺は思った。

 原作を知る俺からすればポイントの重要性を深く理解している。

 

 たしかに元手ゼロで得られた300万ポイントとはいえ、その三分の一をあっさり溶かす使い方をするなんて……ここは心を鬼にしてご主人に苦言を呈しなければならない。

 

 

 俺はそう思った。

 

 

 甘やかすだけが愛情ではない。時には厳しいことを言うのもペットの役目! いざっ――

 

 

 

「これで学校でも一緒だね、ホームズ♪」

 

 

 

 

 ―――アッ!!!!!(尊死

 

 

 

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