よう実世界に転生した畜生系主人公が神室真澄に心を打ち抜かれる話   作:サンディエゴ

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[佐倉愛里(私服・夏バージョン)]

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畜生系主人公が神室真澄と占いを聞く話(いんたーるーど) ★

 

 

 なんやかんや課題も終わったのでケヤキモールにでも行こうという話の流れになった。

 

 

 外が暑いとはいえ、部屋の中に居続けるのも不健康だ。

 ポイントは三人ともあるのでそれでパーッと買い物なり美味しいものを食べに行こうという話になったため、当然ながら俺もついて行くことになった。

 

 

 でも、正直……夏は苦手だ。特に黒い身体がな……夏と相性が悪いんだよ。

 

 

「大丈夫ですかホームズさん」

 

「にゃー……」

 

「暑いのダメなのね、ホームズ」

 

「まあ、見るからに暑そうですからねその身体」

 

 

 ただの暑さならともかく、直射日光は天敵だぜ……。

 

 

 というわけで俺は佐倉の腕に抱かれてケヤキモールまでの道のりを進んでいた。

 紫外線対策の日傘はまさしく神と言える。

 

 最近はどんどん夏の暑さも酷くなってるし、女性だけに限らず男も日傘をした方がいいと俺は思います。というかごめんねー、世話をかけて。ケヤキモールまでつけばなんとかなるから。

 

 

「いえいえ、大丈夫ですよ。むしろ、ありがとうございます!」

 

 

 そう言って佐倉はこそっと俺を撫でている。

 普段はご主人や坂柳相手に遠慮しているが触りたかったのかもしれない、遠慮なく俺の毛並みを堪能するがいい。

 

 

「それにしても暑いですね」

 

「そうね、ほんと……」

 

「そういえば特別水泳施設の開放があるって話を知っていますか?」

 

「そうなの? 出来ればもっと早く開放して欲しかったけど」

 

「そこら辺の詳しい事情は知りませんがよかったらいきませんか? 船上のプールもよかったですけどだいぶ趣も違うでしょうし」

 

「うーん、そうね……。まあ、坂柳だけだと危ないからいけそうにないし付き合ってやるわ。佐倉もどう?」

 

「よ、よろしくお願いします」

 

 

 うーん、実にキャッキャとした様子。何というか見ているだけで和むね。プールはいいよね。

 

 

 そんな会話をしているとケヤキモールへと到着した。

 クーラが効いてて気持ちいい、文明の利器って最高だとたしかに実感する。

 

 そのまま三人は買い物モードへと入った。

 こうなった女子の勢いというかテンションは凄い、基本的に俺は見ているだけだ。

 

 

 楽しそうな彼女たちの様子を眺めているだけで嬉しくなるので別にいいんだが。

 

 

「あっ、ホームズだ」「やっほー!」「ご飯あったっけ?」「ここはモールの中だから――やめなよ」

 

 

 限られた敷地内の中で過ごしているため、外に出ればそれなりの確率で顔見知りと出会ってしまう。

 

 特に俺は顔が広いからな。

 声をかけられたり手を振られたりするので、ちゃんと挨拶を返していく。

 

 マスコット猫というのは日々の努力が肝心なのだ。

 それにしても今日は学生が多い気もするな、なにかイベントでもやっているのかと思いながら周囲を見渡していると一枚の張り紙に気づいた。

 

 

「なになに……へー、占い師なんてやっているんだ」

 

 

 いつの間にか側にやってきていたご主人が張り紙の内容を読んでいた。

 

「どうかしましたか真澄さん?」

 

「なんか占い師がやってきてて占いをやってくれるんだってさ」

 

「ああ、そういえばさっきAクラスの子がよく当たる占いがどうこう言ってましたね」

 

「へー、当たるんだ。だから、妙に学生が多いのかな?」

 

「たぶん? それにしても学外からの人ですか……」

 

「どうかしました?」

 

「いや、その……大丈夫な人なのかなって」

 

 

 佐倉がちょっとおっかなびっくりな様子で呟いたのはストーカーの前例があるからだろう。

 

「さすがに色々と洗っているとは思いますけど……いや、でも」

 

「……どうなのかしらね」

 

 うーん、という顔で悩むご主人と坂柳。

 その態度から彼女たちの学校への信頼度の低さが窺える。

 

 

 もうちょっと信じてあげようぜ! どうなるかわからないけどこの後、月城みたいなやつがポップする学校だけどさ!

 

 

 改めて原作って全員悪人のアウトレイジのような世界だなと思い直していると坂柳が口を開いた。

 

「ちょっと気になりますね。いえ、占い云々のオカルト的なことに興味を持っているわけじゃありませんけど」

 

「坂柳さんはオカルトとか信じないタイプですか?」

 

「そうですね、オカルトなんて――」

 

 チラリっと俺に一瞬視線をやって彼女は言葉を続けた。

 

 

「いえ、まあオカルトだから否定ということはありませんね。ただ、ペテン師が多い業界なのも確かなので迂闊には信じないというだけで」

 

「にゃー!」

 

 

 おい、待て。なんで俺をちょっと見てから言葉を修正した。俺をオカルトと認識してやがるのかお前も!

 

 

「ホームズをただの猫の枠組みに入れるのは他の食肉目ネコ科ネコ属の皆さんが可哀想でしょう」

 

「「たしかに」」

 

 

 ご主人と佐倉まで!? そ、そんな……っ! 俺がいったい何を……まあ、色々したか(納得

 

 

「まあ、それはそれとしてその占い師とやらは気になります。変な人間でなければそれでいいんですけど」

 

「前科があるからね」

 

「心優しい私としては危ない人であった場合、学生の皆さんのことがとても心配です。確かめなくては……っ!」

 

 

 本音は?

 

 

「お小遣いチャンスにならないかなって」

 

「こいつ、ストーカーの一件で味を占めているわね」

 

「にゃー」

 

「ふふふっ、それほどでもありません」

 

 

 褒めているわけじゃねーよ。

 

 

 ただ、まあ坂柳の言葉にはそれほど本気度を感じない。

 ちょっと面白そう、刺激になりそうぐらいの感じだ。

 

 

「真澄さんはどう思いますか?」

 

「私? 私としてはどうでもいいけど……なになに? 相性占い、か」

 

 

 占いの項目を見ていたご主人は徐ろに俺を抱き上げた。

 

 

「ちょっと行ってくるわ」

 

 

 ご主人はやる気だった。

 目がマジだった。

 

 一之瀬の一件とか、雫のペット説で独占欲を刺激された結果なのか俺との相性占いを実行する気のようだ。

 

 

「あっ、でもこの占いってカップル限定……というか異性との二人組限定みたいですよ? ほら、ここに条件が」

 

「ああ、そういうイベントでしたか。道理でカップルが多いと思っていましたが」

 

「大丈夫よ、ホームズは雄だし。そして、私は女。つまり問題なし」

 

「え」

 

「問題なし」

 

 

 せやろか?

 

 

「真澄さんの親バカ……いえ、これ親バカ? まあ、とにかくポンコツが発動しましたね」

 

 

 というわけで俺とご主人だけで占い師のところに突撃することになった。

 

 

 いや、いけるか? いけるのか?

 

 

――――

 

 それっぽい天幕の中、フードを被った怪しげな老婆がいる。

 雰囲気のある薄暗い一室に丸いテーブルと水晶玉があった。

 

 

「うむ、ではまずは支払いを頼む」

 

 

 いけるんだ……。

 

 

 どう考えてもダメではと思いつつ、俺はご主人と共に並んでいた。

 そこそこの列が出来ており、順番が来るまで20分はかかったがその間色々な視線が突き刺さった。

 

 なにせ列はカップルだらけなのに俺達は一人と一匹の組み合わせだ。

 「なんだこいつ……」的な視線が当然向けられたが、ご主人はその視線を全て封殺して順番の時まで待った。

 

 そして、入った天幕の中。

 入ってきたご主人と俺の姿に占い師は困惑していたが、堂々としたご主人の態度になにも言わずに進めることに決めたらしい。

 

 しれっと操作して表記された価格が全部倍になっていたが特になにも言わずにご主人は料金を支払った。

 

 

 さすがはご主人、心が強い! 大体、ごり押しだ!

 

 

「ふむ、では名前やら何やら答えて貰うぞ」

 

「神室真澄よ」

 

「にゃー」

 

「ふむふむ……いや、にゃーじゃなくてじゃな」

 

 

 言われた通りに答えていると占い師は水晶玉に手を翳しながら雰囲気を出して口を開いた。

 

 

「まず、相性は良いな。むしろ、最高じゃ」

 

「むふー、でしょうね」

 

「そこの猫はお主を崇拝しておるし、お主はお主で猫がいるだけで頭がパーじゃし」

 

 

 口が悪いなこの占い師。

 

 

「当然よ、私とホームズの仲は前世から固く結ばれているのだから」

 

「いや、前世って……あっ、マジで繋がりがあるな。この猫はお主を出会う前から知っておった。そして、お主の運命を良き方向に変えておる」

 

 

 嘘だろ、ババア。もしかしてマジモンなのか?!

 

 

 ご主人は占い師の言葉を聞いてご機嫌になったのか、明らかに声が弾んだ様子だった。

 

「やっぱり前世からの繋がり、絆があったのは事実なのね。私とホームズは運命で結ばれた間柄……うんうん♪ それにしても運命を良き方向に変えたって?」

 

「あー、そうじゃな。ちょっとよく見えんが仮にこの猫と出会うことが出来なければ、お主の運命は悲惨な物になっておった。具体的に言うと弱みを握られて高校生活を強いられて過ごす羽目になって、卒業することも出来ずに途中で仲間の裏切りにあって退学する羽目になる」

 

「最悪じゃん」

 

「学校を去る前に裏切り者に報復するようにとある者に約束を残すが、その者はあっさりとその約束は放り捨てられるので……まあ、いいように使われて裏切られて、残した約束も捨てられる。それがお前の運命じゃった」

 

「最悪すぎない??」

 

 

 うーん、原作邪ロリぃ……。というかこの占い師マジで何者だよ! 本当に本物なのか!?

 

 

「まあ、そうはならなかった世界を生きているのじゃからそこら辺を気にすることはないじゃろう」

 

「それもそうね。ふふふっ、やっぱり私にとってホームズは幸運の黒猫ということね!」

 

「そういうことになるじゃろうな。故に相性は最高じゃ」

 

 

 そう呟きながら占い師は俺の方を見た。

 

 

「ただ、まああくまで相性の話じゃ。この猫は中々にタラシじゃぞ」

 

 

 タラシってなんだよ……。

 

 

「人を惹きつける力がとても強い。男難の相と女難の相が見える」

 

 

 ようするに男も女のもダメってことじゃん!? 俺がそんなに人間関係で面倒なことになるなんて……なんて……。

 

 

 目をつけてきた綾小路や高円寺などの悪いやつじゃないが厄介な男連中、女難に関しては目下一之瀬とかの存在も居るわけで……。

 

 

「みゅー」

 

一之瀬、佐倉……それに坂柳も怪しい……

 

 

 真剣な顔をしてこっそりと呟かないで欲しいですご主人ー!

 

 

「良くも悪くもトラブルの中心にいる。そして、この者は非常に相性のいい存在が多い」

 

「私との相性が最高でも他にも居ると」

 

「ちょっとの歯車の違いで似たような関係になった者も居たじゃろうな」

 

「絶対に渡さない……」

 

 

 おい、煽りを入れてくるんじゃない占い師。さっきまで機嫌が良かったのにまた独占欲メーターが出現した感じじゃないか!

 

 

「先のことは見通せぬがこれからも仲良くなることかな。お主に関して言えることはここまで。次はそっちの番じゃが――お主、化け猫?」

 

 

 違うが!?

 

 

「うーむ、見えてこん。上辺の方は見えるもののもっと深い場所が全然見えてこぬ。ただの猫にあらず、じゃがただの霊や妖怪とも違うような」

 

 

 ちょっと前世が人間なだけの猫だよ! 「それってただの猫じゃないのでは?」と言われればそうかもしれないけど!

 

 

「不思議な瞳をしておる。叡智を感じられる。貴様の奥底に何が―――がががががっ!?

 

 

 俺の瞳を覗き込むように見ていた占い師が突如として奇声を上げた。

 その様子にご主人はビクッとした。

 

 

 

「―――ががががっ!? これは前世……?! いや、違うこれはもっと別の……!? そ、そうか!? この世界は?! 紙面上の……っ、神々の無聊慰める箱庭であり、つまりは――いあ! いあ! おおっ、神よぉ!! くとぅるふ ふた……「にゃー!!!!」

 

 

 

 しっかりいたせー!!

 

 

 とりあえず、なんか知ってはいけないことを知ってしまった。

 あるいはSAN値チェックの判定に失敗してしまった感のある占い師の顔面に、俺は渾身の猫パンチを叩き込んで意識を取り戻させた。

 

 

 やっぱこいつ本物だよ! 本物過ぎてあかんことまで見えちゃってるもん!! そんで接続しちゃいけないところに繋がりそうになってる!

 

 

 生涯でここまで本気で打ったことはないといえる猫パンチ、そのおかげで占い師は正気を取り戻した。

 

 

 よかった。これでダメなら俺のニャーシャルコンバットを全て叩き込む羽目になることだった。

 

 

「むっ、いかんな記憶が飛んでおった。さて、占いの続きじゃが……」

 

「あっ、もういいです」

 

 

 スンッとした表情になって何事もなかったかのように話を続けようとする占い師に対して、ご主人はそう言ったのだった。

 

 

 

 まあ、そうなるわな。

 

 

 

 その場を後にした俺達は待っていた坂柳たちと合流するのだった。

 

 

「どうでした? 占いの結果は」

 

「ホームズと私の相性が最高だって。それからやっぱり輪廻転生する前からの絆で結ばれていたわ」

 

 

 問われたご主人はそんな感じで答えた。

 占い師の最後の醜態は忘れることにしたらしい、そしてご主人にとって都合のいい占い内容を自慢することに決めたようだった。

 

 

 綺麗さっぱりアレだった記憶は削除し、坂柳と佐倉にふふーんとした顔をするご主人。

 その可愛さといったらもはや衆生全てを救うぐらいの癒やし効果があるに違いない。(ホームズ調べ

 

 

 

「素敵ですね」

 

「ヤバいですね」

 

 

 

 坂柳の言葉の枕詞に「頭が」という言葉が聞こえた気がしたがきっと気のせいだろう。

 

「ホームズと出会わなければ私は退学させられていたらしいわ」

 

「なんですかそれ?」

 

「弱みを握られて苦労する学校生活を送って、最終的にはクラスの仲間の裏切りにあって退学させられるんだって」

 

「酷いです」

 

「可哀想な人生を送るんですね、真澄さん」

 

 

 まあ、その弱みを握ってご主人を僕のように扱うのはお前だがな坂柳……。

 

 

「それでせめて裏切り者だけはけじめをつけるように言い残して去るらしいんだけど、言い残された方はそんな約束を放り投げて学校を辞めちゃうんだって」

 

「カスじゃないですか」

 

 

 お前じゃい!! いや、まあ、あくまで別世界のお前のことだけども……。

 

 

「ともかく、そんな悲劇的な運命から私を救ってくれたのがホームズということよ。まさしく運命で結ばれた関係! 今の私は無敵よ」

 

「まあ、真澄さんが嬉しそうならそれで……。それにしてもホームズが居なかった世界ですか」

 

「そもそも神室さんたちと関わりを持つ切っ掛けとなったのがホームズなので、もしかしたらお二人とは交友が無かったかも」

 

「そういえばホームズを撮るためのカメラが切っ掛けだったわね。でも、私たちと交流する切っ掛け無かったらストーカーヤバくない?」

 

「たしかにそうですね」

 

 

 そこら辺は原作主人公がなんとかしたよ。まあ、その結果、惚れたその原作主人公の手によって引導を渡されて学校を去ることになるわけだが……。改めて酷いな!? いや、綾小路が悪いというより櫛田を優先した堀北のせいなんだけども。

 

 

 などと俺達は占いの話で盛り上がりながらショッピングを楽しんでその日を終えたのだった。

 

 




〈人物紹介〉
●ホームズ
→夏が苦手な黒猫。正直、クーラーの効いた部屋でずっとゴロゴロしていたいが貴重な高校生の青春の夏休みをそれで過ごすのもな……と外に出るときは思っている。ご主人が楽しそうならヨシ! 前世からご主人のことを知っているとマジモンの占い師に暴露された。そして、うっかり発狂しそうになってて猫パンチで止める羽目になったりと大変だった。苦労猫。

●神室真澄
→都合のいい部分だけをピックアップして、都合の悪い部分を削除する系JK。発狂しかかっていた部分は綺麗に削除して、占い師の話で機嫌が良くなったし、自慢もした。気分が乗ったのでその後はプリクラして、カラオケに行って、ボーリングをするという高校生の青春ムーブして一日を終えた。ホームズとの関係が輪廻転生レベルの縁だと証明されたな!

●坂柳有栖
→ホームズが居なかった場合の神室が辿るだろう運命の話を聞いた感想。「へー、そんなカスみたいな人居るんですねー」、やってないからセーフ。

●佐倉愛里
→順風満帆に成功しているアイドル系JK。一応、雫のことは隠しているが一緒に出ているホームズが妙に目立ってしまっているせいで、気づかれるのも時間の問題かなーと思っているが「その時はその時」だと思っている。課題も終わったし、お小遣いもタップリあるので一日を楽しんだ。

●占い師
→占い師(ガチ)。あくまでごく稀に真実を見抜ける霊的な才能がある。ある意味、クリティカルというかファンブルを起こして性格にホームズの正体に気づいてしまった結果、ちょっと気づいてはいけない系統の真実にまで気づきかけてしまった。ネコを覗くとき、ネコもまたこちらを覗いているのだ。
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