よう実世界に転生した畜生系主人公が神室真澄に心を打ち抜かれる話   作:サンディエゴ

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[邪悪なるロリ]


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畜生系主人公と神室真澄が全学年参加の作戦会を眺める話 ★

 

 

 

「上級生もやるわね、さすがに」

 

 

 一年から三年までのリーダー格での合意が済んでからすぐに上級生は動き始めた。

 まず、何をやったかといえば証拠集めだ。

 

 坂柳が真嶋の言葉を録音しているが、最悪「あくまで真嶋個人が勘違いしていただけで、同点の場合はやっぱ下の方に合わせます。つまりは同点3位の場合は4位。同点1位なんての認めない」とか言い出す可能性があった。

 

 だからこそ、あとで逃げ道になりそうな部分を防ぐために、会長らの指示で証拠集めを開始した。

 

 やり方は至って簡単。

 ボイスレコーダー片手に真嶋以外の教師相手に質問を投げかけ、「同点の場合は上の方に合わせる」等の文言を引き出して録音するのだ。

 

 何も怪しいことはないですよー、至って普通のルール確認ですよという雰囲気を装って油断させて証言を入手。

 

 学校側がこちらの連帯の動きを察して警戒してからでは難しかったかもしれない。

 だが、こちらの動きが速かったため複数の証言を手に入れることに生徒側は成功した。

 

 

 これで全クラス、同点で終わらせれば同率1位ということになって全学年クラス+50CPを得る下地が整ったというわけだ。

 

 

 証拠もちゃんと押さえてあるから、「やっぱなし!」なんて言った日には学校vs全生徒に発展してしまう。

 そのために複数の教員から証言を確保したわけだからな。

 

 

 会長と南雲が音頭を取っているのも影響としては大きいのだろう、あの二人が動くとなると上級生を動かすのは難しくないからな。

 

 

 さて、そんな風に最大の懸念事項が解決された今、生徒側は来るべき体育祭(八百長)と体育祭(真)に向けての準備を勤しんでいるわけだが――

 

 

「よし、わかった。じゃあ、Cクラスで二枠を貰う。それで手を打とう」

 

「にゃははー、あまり無理をしない方が良いんじゃないかな? 中間テスト、あまり余裕はないんじゃない? Bクラスで三枠を……」

 

「Dクラスは四枠を希望する」

 

「四枠もいけるのかよ? 却下だ、却下」

 

「無理をせずにAクラスで多くを引き取って良いが」

 

「坂柳の枠で既に一つ確保してるだろうが。なら、他は譲るべきじゃねーのか」

 

 

 この会話が何を意味しているかわかる人間がいるだろうか。

 今、一年生のリーダー格が集まって調整しているのは……なんと総合個人成績下位10名の枠だったりする。

 

 総合成績下位10名の生徒は、2学期中間テストで全教科-10点のペナルティが存在する。

 クラス単位の点数を同点に調整することは出来ても、どうしても競技単位での最下位に関してはペナルティが発生する。

 

 まあ、-1000プライベートポイントの没収に関してはぶっちゃけ端金だから良いとしても、総合成績下位の10枠で発生するペナルティというのはそれなりに痛い。

 

 だが、踏み倒すことは出来ないので誰かが負うことになる。

 一応、総合成績下位の10名というルールなので同点最下位を大量に出すという手段もあるが、この手段は学校側の裁定がどうなるかに依存してしまうという欠点がある。

 

 じゃんけんでもして10名必ず決めろとか言われかねない。

 それなら10名をしっかりと決めていた方が安牌だ。

 

 とはいえ、誰が中間テスト全教科-10点なんてペナルティを負いたいか……押し付け合いになりそうなところ、坂柳が口を挟んでそれを解決した。

 

 その方法とは総合成績下位10名の枠に付加価値を付けることだった。

 総合成績下位10名の枠にそれぞれ10万プライベートポイントの価値を付ける、金額は四クラスが公平に分担……つまりは一枠につき、2,5万プライベートポイントを拠出する。

 

 10枠だとそれぞれのクラスの負担は25万プライベートポイントだ。

 結構な金額だが、船上試験で荒稼ぎした四クラスにとってはそれほど痛くない金額となる。

 

 あとは枠を受け持ったクラスに一枠につき、10万プライベートポイントが渡るというルールだ。

 一枠受け持って10万、二枠で20万、三枠で30万……25万の支払いがあるので三枠でプラス収支になる。

 

 

 なので龍園たちはこうして奪い合っているというわけだ。

 中間テストの全教科-10点というのはかなり痛い、成績が悪い生徒にとっては死活問題となるレベルのキツさだが――成績最上位者にとってはさほど問題がないからな。

 

 

 極端に言えば全教科100点取れるなら-10点されてもあまり影響は出ない。

 綾小路とか坂柳とはまるで問題にならないだろうし、平均90点近く取れる自信がある生徒にとってもそれほど痛くはない。

 

 

 タダで10万プライベートポイントを手に入れられると考えれば、まあ奪い合いになってもおかしくはないわけで……。

 

 

「本当に坂柳ってこういうの上手いわよね」

 

「にゃー」

 

 

 まさか面倒になりそうだった総合成績下位10枠がこんな形で処理されるとは思ってもみなかった。

 

 

 結局、話し合い(じゃんけん)の結果、Aクラスが三枠、Bクラスが三枠、Cクラスが一枠、Dクラスが三枠という形となった。

 

 

「ちっ、しょーがねーか」

 

 

 最終的にはCクラスがババを引く羽目になったが……これに関しては仕方ないだろう。

 平均的な学力が高いAクラスとBクラス、須藤らを筆頭とした凄いバカなやつらがいる一方で平田や堀北、幸村など学力面で高水準な生徒もいるDクラスとは違い、Cクラスは学力面での層が薄すぎた。

 

 

 せいぜい椎名や金田が居るぐらいで、それ以外は全体的にとても低い。

 複数の枠をおさえるには不安が残る人材しかいなかった。

 

 

「……学力も大事か

 

 

 ぼそっと龍園がそう呟いたのを俺は聞き逃さなかった。

 

「まあ、いい。体育祭……あー、八百長じゃない方だが。そっちのルールはあれでいいんだよな?」

 

「ええ、上級生たちと細かい部分は擦り合わせる必要があるのであくまで概要だけですけど……」

 

 気持ちを切り替えたのか龍園は坂柳に尋ねた。

 彼女はそれに答えるように既に決まった大まかなルールに関して説明を開始した。

 

 

「まず、真・体育祭に参加するために一クラスにつき100CPを払って貰います。つまりは一学年で400CP、これらを成績に応じて分配するというルールです」

 

「100CPってのは結構大きいね」

 

「とはいえ、八百長の方の体育祭がうまく行けば50CPが得られるから」

 

「実質的に支払うのは50CPか」

 

「それなら悪くない……かな?」

 

「順位につき得られるCPは?」

 

「1位が200CP、2位が150CP、3位が50CP、4位が0CPですね」

 

 

 つまりは収支的には八百長での+50CPがあるため、それぞれ1位になれば+150CP、2位で+100CP、3位で±0CP、4位で-50CPになるというわけだ。

 上位2クラスは大きくプラスになって、3位は変動無し、4位でマイナス……なかなかに悪くない配分だと思う。

 

 

 少なくとも上位を目指して頑張ろうという気にはなるな!

 

 

 三クラスの反応を見れば悪くない感触だ。

 

「基本的なルールは体育祭のものを流用するんだろう? 紅白の組に分かれて競技をするのとか」

 

「まあ、細かい部分まで突き詰めると面倒ですからね」

 

「紅白の勝敗での報酬はどうなるんだ? 本来のだと報酬と言えるのか微妙なものだが……」

 

「勝ったクラスが0CPで負けたら-100CPとかいうアレだよね」

 

「それに関しては当然そういったものは無しで。ただ、勝っても負けても何もないというのはアレなので、負けた組は真・体育祭で使った経費と打ち上げ代金を割り勘でプライベートポイントを支払うということにしました」

 

「ペナルティ有りか……まあ、それくらいなら」

 

「全生徒参加の打ち上げって結構な額がするんじゃ……」

 

「まあ、そこは払う側がその全生徒の半分だから一人、二万は飛ぶかもしれないけど」

 

「あの体育祭をやるよりはマシだろう。それに勝った組なら支払う必要もない」

 

 不満の声は特に出なかった。

 主体はやはり学年単位での順位で紅白の勝敗はあくまでおまけぐらいの感覚だと共通の認識を得られたためだ。

 

 

 基本的な合意が終わってしまえば後は真・体育祭のための細かな調整だけだ。

 集まったリーダー格の生徒は各々、自由に雑談を始めるのだった。

 

 

「それにしてもこんな風に穏やかな会合になるなんてね」

 

「にゃおにゃお」

 

「本来ならもっとピリピリと牽制し合ってても良かったはずよね」

 

 

 それな、とご主人に同意するように頷いた。

 ここは学校の外の大型のカラオケ店のとある一室だ。

 

 学校側に動きを知られるのを避けるためにこの場所が選ばれた。

 教えてくれたのは会長で、密談なりするための意図的に用意された穴場スポットというやつらしい。

 

 個室の中にカメラが無いのはもちろん、カラオケ店周辺のカメラの数も少ないためこっそりと集まるには便利な場所らしい。

 

 

 悪巧みをしやすいようにカメラの位置や数を意図的に配置されているのは知ってたけど、こういうのもあるのかー。そこまでやるかね……。

 

 

 高育は本当に何処を目指しているのか、ちょっと心配になるがその意図的に悪巧みしやすい環境をまさか対学校の密談に使われるとは思ってもみなかっただろうなー。

 

 

 自業自得とは正しくこのことだろう。

 

 

 最初こそ緊張感はあったが、大まかな方針の話し合いが終わったのでどこか弛緩した空気が流れていた。

 

 

「それにしても一体なんであんな体育祭のルールに……」

 

「はっ、どこぞのロリがやり過ぎたからじゃねーか?」

 

「なんでみんな私を悪者扱いするんですかー。同意は取ったのだから皆さん共犯のはずです!」

 

「いや、それ以外にも事あるごとに活躍していたからな……」

 

「葛城くん! 貴方はいったい誰の味方なんですか!」

 

「にゃはは、でもアレは無いよね。いくらなんでもね」

 

「配りすぎたポイントを回収するためとはいえ、あそこまであからさまだとな」

 

 

 悲報。体育祭のルール、学校側が仕掛けてきた配りすぎたポイントの回収だとみんな思っている件について。

 

 まあ、状況証拠的にそう思われてしまうのは仕方ない。仕方ないが……凄いな、まるで学校側への信頼感がない!

 

 

「誰がこんなルール作ったんでしょうね。こんなの真面目にやる気なんて起きませんよ」

 

「だからといって上級生まで巻き込んで八百長をやろうなんて発想、早々ならないと思うんだけどなー」

 

「八百長をやるにしても同学年だけに話を通しても意味が無いですしね。なら、いっそ派手にやった方がいいでしょう?」

 

「上級生達にとってもやはり今回の体育祭は嫌だったんだろうな」

 

「誰もろくに得をしないイベントを開催した結果、全学年が心を一つにする切っ掛けとなったというわけですね。……はっ!? まさか、これを狙って!?」

 

「にゃいにゃい」

 

「まあ、でしょうね」

 

「おい、今喋らなかったか!?」

 

 龍園がぎょっとした目で見てきた気がするがスルーだ。一之瀬もなんかジトッとした目を向けてくるがスルーだ。

 

 

 俺は猫、ただのご主人のペットの黒猫なんだ……っ!

 

 

 視線を合わせないようにそっぽを向きながら、ご主人にあやされてニャンニャンしていると遅れてやってきた上級生達がやってきた。

 メンバーは堀北兄や南雲らを筆頭としたリーダー格の生徒、カラオケ店の中でも一番の大部屋を取っていたがこの人数が集まるとさすがに窮屈さを感じる。

 

 

 気を利かせた橘が別の部屋を取るために受話器を取っている傍らで、全学年のリーダー格が揃った話し合いが始まった。

 

 

「それでどうなりましたか? 堀北会長」

 

「すまないな、少し遅れた。だが、二・三年の間の合意は問題なく結ぶことが出来た」

 

「これで全学年、八百長を行うための意識の共有ができたと考えてよろしいですね」

 

「そうなるな。とはいえ、話が話だからな。下手に話をすると漏れる可能性も高い。だから、体育祭が始まるまでの期間、できるだけ情報を知る人間は少なくした方がいいだろう」

 

「つまりはリーダー格、またはその補佐をする生徒のみで話を進める……と?」

 

「『全学年で共謀して八百長します』なんて話が漏れたら、学校側がどう動くかわからないからな」

 

「八百長云々の話なんて証明しようがないから対処は難しいと思いますけど……まあ、証拠が握られた場合が問題ですか」

 

「ああ、少なくともチャットやメールなどの記録が残るもので八百長関連の話は禁止。口頭で情報をやり取りする場合でも、今日のように場所に気をつけて秘匿をして欲しい」

 

 記録に残る形で証拠を掴まれてしまうと面倒だ。

 一応、学業行事ではあるので「真面目にやらなかった」とか難癖をつけてくる可能性は確かにあった。

 

 ただ、逆に言えばそういった証拠でも掴まない限り、八百長が行われた証明など全員で口裏を合わせてしまえば不可能だ。

 

 

 そう言った意味で情報を知る人間はギリギリまで限定して置いた方がいいだろう。

 

 

「クラスのみんなを驚かせることになるね」

 

「まあ、あくまで当日の体育祭を八百長するだけで後日に新たに生徒主催の体育祭をやると説明すれば、特に混乱は起こらないだろう。実利としてもそちらの方が高いわけだからな」

 

「そういうこと。表向き、普通に他の生徒は体育祭に向けて練習を頑張っていればいい。競技は基本的に流用するからその練習も決して無駄にはならないからな」

 

 

 実に無駄がない。

 秘密にされていたとしても、反発が起きにくいようにうまく話を擦り合わせている。

 

 さすがはこの高育でこれまで生き抜いてきた上級生だ。

 なんというか裏方仕事にそつが無いというか……経験が生きている感じだ。

 

 

 あとなんかどこか彼らはやる気に満ちていた。

 

 

「先輩方も色々あったのね……」

 

「にゃー」

 

 

 妙に楽しそうに体育祭が行われるまでの隠蔽方法と、体育祭で実行する八百長の擦り合わせ、そして真・体育祭について喋る上級生を見て俺とご主人はそんなやり取りをした。

 

 

 南雲はまあ、わかるんだよ。

 けど、真面目な堀北兄までちょっとやる気が強く見えるというか……ストレスあったんだなー。

 

 わかるよ。

 普段偉そうにしている大人相手に悪巧みするのって楽しいよな。それに体制に対する革命欲は人間の三大欲求の一つとも言われているし……!(個猫の感想です)

 

 

 そんなこんなで全学年のリーダー格での話し合いはかなり遅くまで行われることになった。

 

 

 

「胴元……」「分け前……」「協力の代わりに……。伝手の提供を……」「なら――――」

 

 

 

 和やかな形で友好を深める中、坂柳、龍園、南雲の三人が隅の方で何やら悪い顔で話し合っていたが……まあ、いいやろ!

 

 

 

「ふっふっふ……」「くっくっく……」「はっはっは……」

 

 

 

 なんだあいつら……。あの三人の組み合わせ、ダメかもしれないな。あと邪ロリ、悪魔の翼と尻尾が隠せてないですよ??

 

 

 

 




〈人物紹介〉
●ホームズ
→人は分かりあえる……そう、共通の敵がいればね! 悪ガキ3人衆に関して見ないふりをした。

●坂柳有栖
→入学してからずっといい空気を吸っている邪悪なるロリ。アジって体制に反旗を翻すのは楽しいぞい! いい感じの体育祭になりそうでニッコリ。それはそれとして悪巧みをする。

●龍園翔
→早い段階で牙を折られたので色々と模索中の男。奇策を得意とするが奇策だけが得意なだけでは勝てないと学んだ。体育祭はクラスレベルで見れば勝ち目があるので、正攻法で1位を取りたいと考えている。それはそれとして悪巧みをする。

●南雲雅
→堀北兄と一緒にやれるイベントがクソみたいなイベントじゃなくなってニッコリ。それはそれとして悪巧みをする。

●上級生の方々
→1年よりもはりきっている。学校側に対して恨み辛みがないやついるか!? いねぇよな!
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