よう実世界に転生した畜生系主人公が神室真澄に心を打ち抜かれる話 作:サンディエゴ
色んな競技があった。
200メートル走では、またもや熱い激戦を繰り広げたご主人と一之瀬が何故か握手をして仲を深めていたり。
「あんたの執念、わかったわ」
「真澄ちゃん……」
「とりあえず、ホームズから話させるから……その……気をしっかり持ってね?」
おや、俺の未来が不味いことになるのでは?
「自業自得ですね」
男女混合二人三脚では着替えるのが間に合わなかったチャイナ服伊吹と龍園のコンビが目立っていた。
「あああああああっ! 龍園、後で本当に覚えておきなさいよぉ!」
「くっくっく……! 伊吹……お前はうちのCクラスの看板娘だぁ! キチンと報酬は出してやる!! だから、精々バカな男子生徒を呼び集めるがいいさぁ!」
「……あんたテンションやばいけど大丈夫?」
「やめろ、俺を冷静にさせようとするんじゃない。このテンションで乗り切るつもりなんだから」
「あ、うん。ごめん」
龍園はもうダメかもしれん。
「テンションがやばいですよね……」
借り物競争に参加したとあるAクラス女子が、引いた持ってくる借り物の内容にキレて紙を地面に叩きつけたりもした。
「……高校一年の夏休み。友達の女子とばかりと遊んで終わった私に――やめなよ」
彼氏彼女はふざけすぎだと思うよ、うん。
「そうですね。進行役のマイクを奪って主張したせいで、結構な皆さんに被弾してしまいました」
悲しいなぁ。いや、でもこういったイベントがあってこそ、深まる縁というのもあるかもしれないしね! 性格もいい子だし、容姿は良いんだからイケるイケる! ……あとで慰めに行った方がいいかな?
「そういうところですよ?」
ともあれ、真・体育祭の競技は全て終了した。
結果は――
「くっ、済まない。みんな……このような不甲斐ない結果になったのは俺の責任だ。綱引きで勝てていれば……」
「言うなよ、葛城。まあ、頑張った方だろ」
「そうだよ。一応、紅白では勝ってるわけだし」
紅白の勝敗ではうちらの組である紅組が勝利した。
まあ、これはいいとして重要なクラス順位に関しては最終的に1位Cクラス、2位Dクラス、3位Bクラス、4位がAクラスという結果になった。
「結構、頑張ったんだけどね」
「にゃー」
ご主人は残念そうにしているが晴れ晴れとした様子だ。
なんか全力で楽しんでいたからだろう。
うーん、やっぱ全体的に運動能力が高いCクラスと須藤、綾小路、高円寺がいるDクラスはキツいわ。女子も堀北とか小野寺とか粒ぞろいだし……。
やはりエース級の数の差でDクラスは強かった。
ダメなやつはダメだが、その分得意なやつは得意という尖った人材の多いDクラスはやはり驚異なのだと感じた。
Aクラスにも鬼頭とかBクラスにも柴田とか居るけど、上手くぶつけられて1位とかは取られてるんだよなー。綾小路に出走表を予測されたっぽいな。
Dクラスは取れるところは取っていったって感じだ。
特に高円寺と綾小路が出たやつは1位を全部取ってるし。
ただ、それでも運動が苦手な生徒もそれなりに抱えていたり、団体競技は零していたりと総合点的にはCクラスに上回られた形だった。
「くっくっく……! これが王の力だ……野郎ども!」
「ぱねぇッス! さすがは龍園さん!」
「一生ついて行くッス! でも、そろそろ休んだ方が」
「馬鹿野郎が! まだ……真・体育祭が終わった後のラストスパートがあるだろうが! 最後まで気を抜くじゃんねぇ!」
「「龍園さん!」」
Cクラスのそんな声が聞こえてきた。
……何というかアレだ。今回のCクラスはヤバかったな。色んな意味で。
「ええ、全くです。Cクラスのポテンシャルの高さを見誤っていたかもしれません」
ある意味、最も真・体育祭を満喫していたクラスだったからな。競技に参加しつつ出店もやるとかいうハードワークを乗り切るとはなんというポテンシャル。あと、そろそろ龍園がヤバそう。徹夜明けのちょっと万能感に満ちたゾーンに入ったテンションをしているな。
「他の生徒はともかく、龍園のやつはずっとリーダーとして働き通しだったからね」
「しかも、出店でも普通に働いていますから」
率先して自分から動くタイプのリーダーとして、ほんと何て言うか偉いと思うよ龍園。
ご主人たちをコスプレさせてくれたという事実だけで俺を含めた男子の中の株価は、真・体育祭の前と後では雲泥の差だろう。
龍園……大した男だ。
ある意味、最も本気だったCクラスが執念で1位をもぎ取ったというのは順当な結果だったかもしれない。
そして、俺達のAクラスは4位。
3位のBクラスとの差はさほどなかった。
というかぶっちゃけて言えば、この僅差での敗北は坂柳が居なかったのが原因だ。
うちだけ競技に一人少ないのだからその分、どうしたって不利になる。
ただ、まあ……。誰もそこら辺は指摘しないんだよな。こいつら本当に良いやつだな。
身体が弱いんだから仕方ないとはいえ、そこら辺には一切触れず自らの力不足を悔いている葛城を含めたAクラス。
負けたとはいえ、そこにはあまり悲壮感はなかった。
いや、悔しいという感情はあった。
まだまだCPにも差があるから余裕があるというのもあるだろう。
それでも、一番大きな要素としては――ちゃんとぶつかり合った勝負だったというのが大きいのだろう。
みんなどこかスッキリとした表情だった。
真剣にやって、楽しんで、その結果負けたのなら仕方ない。
「来年は勝とう」なんて誰かが言った。
それに応える声があった。
実に青春だ。
しかし、これで1位のCクラスが+200CP、Dクラスは+150CP、3位が+50、4位が0CP……八百長で稼いだ+50と真・体育祭の参加費の-100を考慮するとクラス順位で得られるCPは-50されるから――
Aクラス 1533CP(真・体育祭収支[-50CP])
Bクラス 1064CP(真・体育祭収支[0CP])
Cクラス 539CP(真・体育祭収支[+150CP])
Dクラス 414CP(真・体育祭収支[+100CP])
になるから合計では。
Aクラス 1483CP
Bクラス 1064CP
Cクラス 689CP
Dクラス 514CP
って感じになるわけか。
まだまだ差はあるけど、だからといって安心は出来ないな負けは負けだ。
「そうですね、Cクラスは龍園くんの統制が今回の一件で更に強化されたでしょう。それはDクラスの方も同じ」
「にゃー」
綾小路のやつ、一切自重せずに競技で活躍してたからな……。それで1位を取りまくり。元から頭角を現してきた生徒って印象だったけど、今回の活躍でDクラス内での綾小路の立場はまず間違いなく強固になった。
他クラスからの視線も実力を隠してたヤバいやつって視線を向けられているしな。もうちょっと自重してくれてもいいのよ? と言いたい。
BクラスはBクラスでちょっと一之瀬が何故か壊れてご主人との勝負にこだわっていた結果、真・体育祭中のクラスのことは自分たちでなんとかしていたところも地味に成長に繋がるんじゃないかと睨んでいる。
Cクラスとは別の方向性でリーダーに依存気質だから……。一之瀬もそこら辺のことを危惧して、あえてご主人に突っかかっていたような――いや、でもなんかマジそうだったな? ガチな目で突っかかっていて気もする。勘違いかもしれない。
まあ、ともかくそれぞれ何か得るものが有ったイベントだったと俺は思う。
それが真・体育祭というイベントだった。
そんな感じで騒いでいると不意に声がかかった。
俺と言うよりも葛城たちにだが、声をかけてきたのは堀北兄だった。
「無事、終わることが出来そうで何よりだ」
「堀北会長……!」
「いい体育祭だった。大抵の場合、試験やイベントの後というのは空気が悪いものだったが……」
「そう、なのですか?」
「ああ、敗北したクラスは勝利したクラスを妬み。勝利したクラスは敗北したクラスを見下す。それが次の試験までなんかピリピリした感じで続く……それがこの学校の普通だった」
クソみたいな学校だ……!
「それと比べればスッキリとした終わり方になった。礼を言う。1年がこの話を持ってこなければこうした機会はなかっただろうからな」
思った以上に真・体育祭が高評価で驚いた。
色々と現状の高育に憂いのあった堀北兄からすると思うところもあったのだろう、普段は硬い表情をしているが今日はどこか柔らかい表情をしている気もする。
「……今年の1年には期待している。今回は結果が奮わなかったがAクラスは特にな。入学してからこれまでの活躍、何かと聞いている」
「お恥ずかしい限りで」
「謙遜をすることはない。特にAクラスを率いている葛城と坂柳の両名は生徒会に是非ともスカウトしたいぐらいで――」
「「「「「それはやめましょう」」」」」
「にゃー!!」
話が聞こえていた周囲のAクラスの生徒と俺の声が重なった。
「いや、葛城はいいけど……ほら、姫さんはな?」
「ああ、葛城くんはともかく坂柳さんは……うん」
「やめなよ」
「葛城はいいけど」
「坂柳はちょっと……というかだいぶ……」
「にゃーおん」
「有栖はやめた方が良いです」
一斉に飛んできた言葉にちょっと堀北兄も引いている。
だが、まあこれはAクラスの総意なのだ。
冗談で言ったのかもしれないが坂柳が生徒会のメンバー……? それだけはいけない。(確信)
「なんですか、皆さん。私に何か問題があるとでも? 酷くありませんか? これまでの私の素晴らしい活躍を忘れたとでも?」
「忘れていないし、Aクラスの影のリーダーとしてこの上なく坂柳のことは信頼している……信頼しているのだが――」
あまりにもあまりな評価に、憤慨する坂柳に対して困ったような表情をしながら葛城が代表して答えた。
「うん、まあ……その……なんだ。坂柳は典型的な権力者の立場になっていはいけないタイプというか。特に生徒会みたいな組織の中に入ってはいけない人材というか」
「自分が会長じゃなかったら、とりあえず会長の座を奪うために暗躍しそう」
「会長というトップの座になったら、それはそれでつまらないからと言う理由で問題を自分で起こしそう」
「偶々味方サイドに居るだけの問題児というか。外付け良心回路に神室さんとホームズを装備して何とか……なるかなぁ?」
「言いたい放題言ってやがりますね、このクラスメイトども……っ!」
大体、正しい認識だぞ。滅茶苦茶頼りがいはあるけど、それはそれとして嬉々としてアジって八百長からの事実上のイベント乗っ取りとかやる女だからな。あくまでクラスの影のリーダーポジションぐらいでターゲットを学校側に向けてるからまだマシなだけで、そんなやつに権力を持たせるとか……なあ?
「そもそもこんなクソみたいな学校の理事長やってるのが、あんたの父親でしょうが」
「ふっふっふ……それを言われると否定が出来ませんね!」
坂柳有栖という女は自分より上に居ると思った相手にはやらかさないと気が済まないし、かといってトップに立つと退屈でやる気が変な方向に向かう悲しき生き物。
影のリーダーという面倒なことは光のリーダーである葛城に任せつつ、活躍できるときにはやりたいことができる今の立場ではないとクソほど面倒な女なのだ。
冷静に考えて組織内において良い人材ではない。
めっちゃ優秀だけど。
「なるほど、組織内に置いておくと私物化するタイプということか……外部アドバイザーとかそういうのが最適と」
「そんな……私は皆さんのためを思って、正義と大義のために日夜頑張っているというのに」
「にゃー」
「笑いましたね、ホームズ」
葛城の説明で堀北兄は納得したらしい。
実際、坂柳を生徒会に入れると乗っ取ってやらかしかねないので正しい。
「それに南雲との相性も良さそうだからな……」
場合によっては対立するかもしれないが、相性が良いときはむしろ肩を組みそうなレベルで相性が良さそうなのでそこも危惧しているのだろう。
彼の視線は今、グラウンドで行われているエキシビションイベントに向けられている。
「ひぃ、ひぃ……」
「これは明日……いや、明後日か? 筋肉痛が……」
「おぇ……っ!」
「待て、吐くな。こっちまで……おぇっ!」
そこでは悲惨なことが行われていた。
グラウンドを走っているのは教員だ。
我らが真嶋先生を筆頭とした1年の担任のみならず、2・3年の担任がリレーを行っていた。
何故、そんなことをやっているのかと言われれば大体坂柳・龍園・南雲の三人が悪い。
こいつらが招待されて真・体育祭を観戦していた教員らを言葉巧みに誘導することでこの競技は行われることになった。
教員たちもわかっていたのだ。
ぶっちゃけ今の自分たちの立場が危ういと言うことぐらい。
そもそもみんなが口裏を合わせて体育祭(八百長)が実行できた事実からも、生徒側の学校に対するヘイトの高さは窺える。
学校側主催のイベントではなく学生主催のイベントでこれだけ盛り上がっているあたり……。
そこにつけ込むように南雲たちは教員対抗の競技の企画を持ち込んだわけだ。
『ここら辺で先生としての株を上げてみませんか? 先生のー、ちょっといいとこ見てみたいー』
『無理なら無理で良いんだぜ? 参加を決めた教員だけでやるからよー』
『無理強いはしませんよ? 無理強いはね』
生徒たちの中で株が下がりまくっているのは自覚している教員に拒否の道はなかった。
ここで拒否った完全に空気を読めていないやつ扱いで、ただでさえ低い株はどん底になるのは誰の目にも明らかだったからな。
そんなこんなでエキシビションイベントとして教員によるリレー競技が実現したのだ。
当然、三人の目的はトトカルチョによる収益だ。
真・体育祭の競技で結構な額が動いたというのに、さらに絞ろうとする根性……嫌いではない。
大なり小なり教員に思うところのある学生は、急遽始まったイベントに嬉々として参加して賭けた。
しょうがないね。
必死に走るいい大人に向けて生徒たちからの暖かい(自身の勝ちのための)声援。
何て心温まる光景だぁ……。
「これは教員に向けられたヘイトを良い感じで抜いて溜飲を下げるための、私たちからの心遣いのようなもの。なんて気が利く私たちなのでしょう」
「ほんとぉ?」
「本当ですよ、真澄さん」
そういうとこだぞ、坂柳。まあ、良いガス抜きになってるのは間違いないけど。
真嶋先生たちの年齢で急な運動はきついのだろう、走り方もかなり危ない。
彼自身が言っているとおり、たぶん忘れたときに筋肉痛が襲ってくるアレだ。
ご愁傷様としかいえない。
ただ、まあ真嶋先生たち男の先生はまだマシだ。
真・体育祭の青春力のせいで酒を飲んでいた茶柱と星之宮は、無駄に意地を張って頑張った結果、顔を蒼くして吐くという悲惨な結末を迎えていた。
「ああはなりたくないな……」とAクラスの女子の一人が呟いたのが俺の耳に届いた。
反面教師として――――ヨシ!!
そんなこんなで一部悲惨な結末を起こしつつも、教員が参加したエキシビションイベントは終了した。
頑張った先生はある程度株は回復したし、やらかした先生も親しみは上がったんじゃないかな……うん。
大人としての尊敬度はまあ……なんだ。致命傷を負った気がするが、そんなの元からだから問題ないな!
それにしてもイベントとしては面白かったが事前には決めていなかったイベント、よく堀北兄が許可を出したなと思いつつ、チラリッと彼の顔を観察していたが色々と無様を披露しながらリレーをする教員を見て、あくどい顔をしていたのでなにも言わずに俺は視線を戻したのだった。
まあ、思うところは強いよねって。
「……まあ、なんだ。となると、生徒会に関しては葛城と一之瀬辺りに任せるべきか。彼女なら南雲の牽制にもなるだろうし」
「南雲先輩の……ですか?」
「あいつも坂柳と似た気質があるというか。正攻法でもやれるだけの力があるのに、どうにも手段を選ばないときがあるからな。ブレーキ役というかやつに流されない人材を生徒会には入れておきたい。その点、一之瀬は問題ない」
「帆波なら?」
「ああ、一度南雲が彼女に言い寄ったことがあるのだがその時にかなり強めに振られてな。それからどうにも苦手意識があるようだ」
そういえば原作でも言い寄ってたな。それにしても既に振ったとは一体どんな理由で……。
「「チャラ男っぽいから無理」らしい」
あっ、それ俺のせいだわ。なんか、こう……変なチャラ男に引っかかって破滅しそうな雰囲気があったから注意したような。
「何をやってるんですかバカ猫」
にゃんだとう! 変な男に引っかかって最終的に風俗嬢に堕ちそうな雰囲気をしているだろうが!
「どうしようもない男に引っかかって、最終的には捨てられそうな女なのは同意しますけど」
「やめなさい。帆波は……うん、まあ……うん」
ちゃんと擁護しようぜご主人!
それはともかくとして、俺の男には気をつけろよという注意(特に金髪チャラ男)が効いているせいか、南雲に対して「無理!」と突きつけて苦手意識を刻み込んだらしい。
南雲がどれだけ本気だったのかは不明だけど、あいつはあいつでハイスペックだからなそこまでキッパリと無理と言われることはなかったのだろう、結構ダメージがデカかったようだ。
まあ、一之瀬みたいな女子にやんわりとじゃなくハッキリと「無理」と言われたら誰でも傷つくとは思うが、そもそも彼女が好きになるようなタイプでもないからなぁ。
ともかく、堀北兄としてはそんな方針があるらしい。
「まあ、あくまで今の考えだ。生徒会の件は考えておいてくれ」
「わかりました堀北会長」
「さて、残すは最後のエキシビションマッチだな」
急遽始まった教員たちのレースも終わり、最後のイベントとして真・体育祭とは別のエキシビションマッチを行うことになった。
南雲が推していた無差別級のレース。
学年での区別なく、参加可能なレース。
堀北兄の表情からはやる気が窺える。
なんだかんだ、堀北兄は堀北兄で南雲と勝負したかったのだろう。
「頑張ってくださいね」
「ああ。ところで1年Aクラスは誰が出るんだ? 3年Aクラスは俺が出るが……」
最終エキシビションマッチ。
参加費30万プライベートポイント、1クラス1名まで。
参加は自由、種目に関しては参加クラスによってリレーか200m走で――という話だった。
別に参加費は無くても良いのでは、という話もあったがそれがあった方が楽しいと言うことでそういうことになったはず。
「参加クラスは決まっているんですか?」
「ここを含めて8クラスだな。4クラスは辞退した。1年だとBクラスが辞退している」
「なるほど、30万プライベートポイントが効いているんですね」
「8クラス分ですと240万か。それで1位総取りだっけ?」
一発勝負でこれは狂気の勝負だ。
辞退するクラスが居るのも頷ける。
堀北兄とか南雲はポケットマネーから出してるっぽいけど、普通に高額だからな。
稼ぎまくっている一年だとそれほどでもないけど、無視できるほどの金額でもない。
「メンバーが決まっていないとトトカルチョが始まらないと南雲が言っていたぞ。登録を出していないのはここだけだ。それともまだ決まっていないのか?」
「いえ、決まっていますよ。今から申請を出しますね」
あれ? もう決まっていたのか? やっぱり出るのはやっぱり鬼頭か? でも、さすがに競技に出すぎて体力的にも厳しそうなんだよなー。けど、他に誰か勝てそうなやついたっけ? ご主人とか? いや、いくらご主人でも男子相手だとな……。
などと考えていると不意に坂柳がこちらを向いた。
彼女は笑っていた。
「さあ、ホームズ」
訂正。
とてもニヤニヤしていた。
「頼みましたよ?」
「……にゃあっ!??」
な、なんでだぁあああああっ!!
というわけで何故か俺はグランドに居るわけだ。
「ふはは、思わぬ再戦のチャンスだね。やはり私は愛されている。そう思わないかね、キャスパリーグ」
出てくるのお前かよ……。いや、綾小路かお前かのどっちかだろうとは思っていたけどさ。
「勝てよー、高円寺ー!」「240万だぞー」「頑張れー」「やってやれ高円寺」
どうでもいいけど思いのほか、こいつDクラスに馴染んでるな。普通に声援が飛んできてるし。……原作と違ってそこまで問題行動を起こしてないからか? 無人島試験も最後まで居たし、船上試験でも勝手な行動はしてないし。
そうなるとDクラスの生徒の認識としては偉そうな口を利いているけど、実際それが許されるほどの実力がある男……ってのを真・体育祭で証明した形になる。
なるほど、それなら普通に声援が送られるわけだ。
俺は他の選手に目を向けた。
「くっくっく……! 俺が求めるのは完璧な勝利。240万プライベートポイントも頂きだ」
お前はもう本当に休もうぜ龍園。自分ではわかってないと思うけど顔色がヤバいからな? なに? 「俺は止まんねぇからよ……」だって? やめろ、音楽が流れ始めるぞ!
「やはりホームズを入れるのはどうなんだ?」
「1年Aクラスがそれでいいって、申請を出してきたんだから良いんじゃないですか? 気楽にやりましょう」
良くはないと思うな! なんで俺でオッケーなんだよ! おかしいだろ、我ただの猫ぞ!?
「ホームズ、頑張ってくださーい。私と真澄さんのポケットマネーですよー!」
「ホームズ……ガンバ!」
あの邪ロリ、絶対に俺を揶揄うために黙ってやがったな。情報統制しっかりしてたもん! それにしても坂柳は別にいいけど、ご主人のポケットマネーも含まれている……だとっ!
「しゃぁぁあああああっ!!!」
「うおっ、ビックリした!?」
「ふふふ、やる気十分のようだね。キャスパリーグ――では、再戦と行こうじゃないか」
高円寺やら龍園、堀北兄や南雲がなんぼのもんじゃい! こちとら女神がついているんだ! やってやるぜ!
「よし、やる気になりました。では、ここでホームズ一点賭けです。やはり、倍率が良い!」
「そういうとこよ?」
愚かなる人間どもめ! 我に勝てると思ったその思い上がりを悔いるがいい!! うぉおおおおおっ!
こうして真・体育祭は終わりを迎えた。
〈人物紹介〉
●ホームズ
→いきなりのキラーパスを受けたが、ご主人の声援もあって漆黒の弾丸になってなんとか勝った黒猫。真・体育祭の競技で対戦相手がそれなりに体力を消耗していたことが勝因。
●神室真澄
→当然、ホームズ一点賭けをして最後のトトカルチョでお小遣いゲット。精も根も尽き果てるぐらい本気を出したホームズを愛でた。真・体育祭はなかなか楽しかったなーと満足。
●坂柳有栖
→競技には出られなかったけど楽しんだロリ。胴元もやったし、ホームズ賭けで稼いだ。どれだけ合計で稼いだかは秘密。
●綾小路清隆
→高円寺にジャンケンで負けたのが悔しかった。真・体育祭でのクラス順位は想定内。トトカルチョで地道に個人資産を増やすことに成功。楽しかった。
●一之瀬帆波
→神室とぶつかって友達になった結果、脳が破壊されるでしょう(未来形)
●龍園翔
→止まるんじゃねぇぞ……。真・体育祭が終わってからの売り時も乗り越えて、その後死んだ。ちゃんとした事前の計画、余裕のある人員の確保。飲食って難しいなということを身をもって知った。真・体育祭でクラス勝利して、トトカルチョで稼いで、出店でも稼いだ勝利者。どれだけ合計で稼いだかは秘密。
●南雲雅
→トトカルチョで稼いで、龍園への人員レンタルで稼いで、堀北兄と勝負も出来てホクホク。でも、猫に負けた。なんだあの猫……。
●堀北学
→生徒会長だってストレスぐらい……ある。色々と発散できた。なんだあの猫……。
●教員ズ
→数日後筋肉痛に悩むことになる。