よう実世界に転生した畜生系主人公が神室真澄に心を打ち抜かれる話   作:サンディエゴ

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 【名探偵ひよりちゃん】


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 【アサシンガール山村】


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畜生系主人公が神室真澄に内緒で動き出す話 ★

 

 

 

「なるほど、来るという理事長代行はよほど危ない存在のようだな。ホワイトルームの関係者、だろうとは思っていたが……」

 

 どうして俺がやってきたという事実だけでそこまでバッチリと見抜いてくるんですか??(現場猫)

 

 

 

 いろいろと決めたらまず行動な俺はとりあえず綾小路のところへ向かうことにした。

 事情が事情だし、伝えておいた方がいいし、月城に対抗するために手を組めそうだと考えたからだ。

 

 

 まだ期末テスト前なのでクラスの勉強会で忙しい時期なので、普段より遅めの帰り道を歩いている彼と接触したのだが――接触して一言目がそれだった。

 

 

「茶柱からの情報で接触してきたという話は聞いている。どうやってかはわからないがあいつはやはり気付いていたようだ」

 

 やっぱそうかー、原作より時期が少し早い気もしたが……いろいろと派手に動いたせいもあって目立ったからかな。まあ、見つかるのが早まった原因はこの際はどうでもいいか、問題は綾小路パパが綾小路の所在を確信してどう動くか。

 

「理事長がオレの事情を知っていることは知っている。その上で在籍を許していたこともな。そんな理事長がいなくなって、すぐに新たに理事長代行がこの学園に来るとくれば疑わない方が難しい。そして、普段あまり接触してこないお前が自らこっちに接触してきた。となるとそれは場合によると神室真澄になんらかの実害が出る可能性が高い。そう判断したからだと考えた」

 

 なるほど、それらの情報から組み立てた……と。怖っ、天才怖っ……。でも、話が早くて助かるわー。

 

 話がスムーズすぎて怖いが頼もしくもある。

 綾小路にとっても色々と干渉されるのは嫌なはず、つまりは協力が出来るというわけだ。

 

 

 で、手伝ってくれる?

 

「むしろ、こっちとしても有り難いぐらいだ。オレとしても面倒ごとは避けたい。今の生活も気に入っているしな」

 

 では、手を組むということで。

 

「どう対応するつもりだ?」

 

 来ること自体は避けられないし、となると着任してからの動きを見て対応したいところだな……。

 

「どこまであからさまに動いてくるか、だな。向こうとしても事を荒立てたくはないだろう。なにせ話が話だ」

 

 

 ホワイトルームという存在はやってることがどう考えてもアウトラインぶっちぎっているものなので、公に出来ないのが彼らの弱点だ。

 多少、話が漏れたところでももみ消せるだけの力はあるだろうが、それでも弱みであることは間違いない。

 

 

「ああ、だから理事長代行の手としては出来れば穏便に。そして、合法的にこの学園から追い出したいはず……。そうなればオレを庇護してくれる存在は居なくなるからな」

 

 特別試験を使ってくるだろうな。

 

「恐らくは……。手段としてはやはりそれが一番楽だからな。立場の権限を使えば試験内容に干渉することは難しくはないだろう。調べた限り、退学者が発生するような試験自体は珍しくもないからな」

 

 それで綾小路が退学するように仕向ける……と。でも、綾小路をピンポイントで落とすなんて難しすぎるだろ。

 

 

 原作と違ってわりと自重もしてないし。

 

 

「ああ、真っ当な内容の試験でオレを落とすのは不可能だ。それでも退学させようと理不尽な試験を強いてくる可能性はある。ある、が……それは困る。オレはそれでも切り抜けられる自信はあるがその他の生徒は……巻き込まれで退学させられるのはな」

 

 なん……だと……!? ホワイトルームマシーンの綾小路に他者を思う気持ちが……っ! なんという成長!

 

「篠原や軽井沢の成績を上げるのにどれだけの労力を費やしたか。その苦労を水の泡にする、理不尽な退学のある試験など御免被る」

 

 やっぱこいつ育成ゲームにはまってないか? ないかな? いや、いいことだとは思うんだけど……まあ、いいや。ともかく、理事長代行がやりたい放題やって綾小路を退学にさせようとしてくると、学年全体が面倒なことになりそうなんだよな。――オレはそれが嫌です。

 

「ああ、どうにかしないといけない。最悪、そいつを暗殺するという手段も有りだが……」

 

 どうしてそんなに安易に殺害を選択肢に入れるんだ! お前も!

 

「いや……ん? オレ以外にも殺害を選択肢に入れた人物が?」

 

 俺の敬愛するご主人様だが?

 

「……なるほど、さすがは神室真澄といったところか」

 

 

 なにやらご主人に対する間違った認識をしているように感じたが……まあいいやろ。それよりも殺害はダメ、絶対。なんか妙に強いおっさんだけど、ガチ殺意モードで綾小路が動いたら普通に殺れてしまいそうだし。

 

 普通の学生生活に日常に殺人計画の四文字は要らないから。そういうのは必要になったら、俺がなんとかするし! いや、殺りはしないけどさ!

 

 

「……そうか。まあ、仮にそれで排除できたとしても次が送り込まれてくる可能性を考えると、やはり短絡的すぎたな」

 

 確かに……居場所自体はもう見つかってるからねー。理事長代行はその先兵ってだけで。

 

「そいつだけとも限らない、か。この調子だと二年になったときの新入生、首輪が付いている生徒の一人や二人は居そうだな」

 

 おっ、鋭い。さす綾!

 

「まあ、そこら辺はあとで考えればいいとして……問題は理事長代行の方だな。排除――は次が来るだけだから意味が無い。となると相手を理事長代行の座に居座らせた状態で、どうにかして無力化かあるいは弱体化させての無害化か。ともかく、方針としてはそっちの方向性で動くとしよう」

 

 それでそれで?

 

「今のところはこれ以上は……着任は確か明後日だったか。すぐに動くとは思えない。まずは色々とこちらを探ってくることに専念するはず。ペーパーシャッフル自体に関わってくることはないだろう。その後の一年主催のテスト勝負もな。その他諸々を観察しながらどう動くかを決めてくるはず……。その間に出来るだけ情報を集めたい」

 

 情報……なるほど、月城のことを探れってことだな。

 

「月城……なるほど、それが理事長代行の……。覚えのあるホワイトルーム関係者にそんなやつは居なかったはず、やはりホワイトルームの直接の関係者というより、やつの手駒か? ホワイトルームの直接の関係者はあまり公の場に出したくはないだろうし……」

 

 

 そこを踏まえると綾小路パパの手先と考える方が自然だ。

 事実、それはあっているのだが――

 

 

 

「にゃん」

 

「なるほど……だが、確証が欲しいな。使える情報だ」

 

「にゃー」

 

「理事長代行様が着任したら、オレはあいつの興味を出来るだけ引くように動くつもりだ。その隙に……頼んだ」

 

 

 

 話が終わり、俺と綾小路は別れた。

 

 

 そして、ご主人の部屋に帰っていつも通りに一緒にお風呂に入って、毛繕いをして貰って、一緒のベッドで寝る。

 これほどの幸福がこの世にあるだろうか?

 

 

 いや、無い!(確信)

 

 

 やる気十分、気力MAX。

 この生活を守るために、俺は悪の組織からやってきた男と戦うのだ。

 

 

 いや、ぶっちゃけ月城がどういう存在というか、どういう勢力の後ろ盾があるのかも実のところよくわかっていないのだが。

 まあ、そんなことはどうでもいいのだ。

 

 

 ともかく、情報収集! 諜報活動! というわけで行くぞー、我が弟子よ!

 

「期末試験前なのに……。でも、頼りにされて嬉しいです師匠」

 

 そして、なんでお前がいるんだ! 椎名ー!

 

「謎解きっぽい空気を感じました! ホームズさん、おはようございます。今日もいい天気ですね」

 

 あ、うん。おはよう。今日もいい天気ですねー。しかし、呼んだのは山村だけだったのに……。

 

「あっ、師匠! お、おはようございます?」

 

 いや、お前もそんな「しまった!?」みたいな顔をして、挨拶しなくていいからね? でも、おはよう。

 

「それから椎名さん……でしたよね? おはようございます」

 

「はい、山村美紀さんですよね? ホームズさんのお弟子さんなんてすごいです! おはようございます」

 

「いえ、そんな……」

 

 

 ぺこりぺこり、と猫一匹と女子学生二人がやり合っている光景――なんだ、これ? 大体、ちょっと天然が入っている椎名のせいなのだが……。いや、挨拶は大事だよ? 大事だけどさー。

 

 あと、山村はあくまで隠形術の弟子なだけでホームズ的な弟子というわけじゃ……というかホームズ的な弟子って何!? たしかにホームズだけど、俺にちょくちょく名探偵ムーブを求めるのはちょっと困るっていうか。

 

 そもそも謎解きっぽい空気ってなに!?

 

 

「ミステリー的なことをやろうとしている気配というか……ひより、気付いちゃいました!」

 

 気付いちゃったかー。俺達がやろうとしているのはただの調査……いや、それも探偵っぽいといえば探偵っぽいことなのか? うーむ、わからん。

 

 

 とはいえ、何故か察知されてしまったのなら仕方ない。

 なんかすごいやる気満々というか目がキラキラしている椎名を帰すのも可哀想だ。

 

 

「むふー、ホームズさんと一緒に捜査……ドキドキしますね!」

 

 

 うーん……しょうがない、椎名も混ぜてやるかー。

 

 

「やったー!」

 

「師匠、ところでいったい何をするんでしょうか」

 

 

 ピョコピョコと喜びを露わにする椎名を横目に山村が問いかけてきたので、俺は事情を簡単に説明した。

 当然、ホワイトルーム云々に関しては誤魔化したが。

 

 

「なるほど、新しく来たっていう理事長代行の……たしか月城理事長でしたっけ? その人の調査を……」

 

「たしか坂柳さんのお父さんの代わりとかいう……。坂柳さんは大丈夫でしょうか?」

 

 

 椎名は優しいな、あいつは普通に大丈夫だから問題ないぞ。

 普通すぎてクラス内だと「これは触れない方がいいな……」って雰囲気になってるけど。

 

 

「たしかに気になりますよね。理事長が急に変わるなんて……噂だと今までの学校の運営が問題視されたから、それの改善のために来たって話ですけど」

 

「気にしている風でしたね、そういえば……」

 

 

 椎名曰く、龍園も急にやってきた理事長代行の存在を気にしているようだ。

 今のところ、彼視点だとそれなりに上手くいっているところなのに、急にこの学園のトップが変わるのだからそうもなるだろう。

 

 TRPGをやっている最中に急にゲームマスターが交代するようなものだ。

 今まで許されていた裁定が通るのか、レギュレーションが変わるのか気になるのは当然といえば当然といえる。

 

 

 いい感じでやれてるんだから、このままの調子でやりたいよな……わかるよ。

 

 

 そんなこんなで気にはしているけど、テスト前の時期なのであまり動けない龍園は今のところは静観の構え。

 テスト後に色々と調べるために動く予定らしい。

 

 

「月城理事長に関して、全校集会でちょっと説明があっただけぐらいで謎に包まれていますからね」

 

「そもそも、坂柳理事長のこともそんなに詳しくは知らないというか」

 

 

 まあ、理事長なんて顔もよく知らないぐらいが普通だよな。校長とか理事長とかの存在って学生視点だと集会とかイベントの時の挨拶ぐらいでしか見ない、レアな存在というか。存在自体は知ってるけど顔と名前を聞かれると困るというか……。

 

 

 ぶっちゃけ普通の学生にとって空気のような存在というべきか。

 ただ、それはあくまで普通の学校の場合の話。

 

 

 何故ならこの高育では特殊な学園ルールによる試験の存在があるからだ。

 この学校の特殊性を考慮すると学園のトップである理事長の存在というのは、とても大きなものがある。

 

 

「なるほど、だから調査が必要――というわけですね」

 

「酷い人だと困りますしね」

 

 

 まあ、実際に色んな意味で酷いヤツではあるんだけどな。そこら辺は言えないわけで……。

 

 

 とにかく、月城を調べる理由に関して必要性を説くことで納得させることに成功した俺は山村と椎名を交え、彼の調査を始めることにした。

 

 

 調査と言っても月城は着任したばかりで、大きな動きもまだ起こしていない。

 

 

 本来ならあんな急に集会を開いてサラッと説明するだけではなく、もうちょっとちゃんと生徒には説明するべき案件だよなー。現理事長が職務停止……謹慎状態になって、理事長代理がやってきたんだから。

 

 

 普通なら生徒に不安が広がるのを避けるため、しっかりと説明するべきだが特に何も無かったのは今の時期が期末試験前の時期だから生徒に配慮して――という建前になっている。

 

 

 が、実際はそうではない。

 

 

 なにせ、既にある程度独力で調べたからな。実は少しわかっている。

 

 

 着任してきたその日、俺はこっそりと「絶」って月城をつけ回した。

 俺という存在を風景の一部として刷り込ませた高育内の人間ではないせいで、ちょっとつけ回しにくかったがどうにも月城は高育内の資料を漁って、色々と調べているようだった。

 

 綾小路が想定していたとおり、まずは情報収集に努めているらしい。

 今年度、学園内で起きた事柄を中心に調べているようだ。

 

 どうやって綾小路を退学させるかを考えているのだろう。

 高育は中であんな試験とかをやっているだけあって、学園内の情報が外に漏れないように結構セキュリティが高い作りになっているらしく、外部の人間である月城は入学してからの綾小路などの行動をよく知らない。

 

 理事長代行として潜り込めたからこそ、調べられるようになったのでまずは調べてからどうするか決めようと考えていたのだろうが――

 

 

 

『……ん、んん? 「よくわかる猫の神話」? 「東北民俗伝承全集」、「ああ、くとぅるふ様」、「三○猫ホームズシリーズ」、「お祓い習俗辞典」……なんだこれは?』

 

 

 

 なんか、どこぞの最高傑作の図書室で借りた本を調べて理解不能という反応をしていた。

 

 

 わかるよ……、あいつ何を借りてるんだよ。しかも、知ってるんだからな茶柱を使って図書室の本の品揃えに文句言ってるの。どうしようもないのは購入という形で外から取り寄せてみたいだけどさー。

 

 

 その他諸々の作業は当然、茶柱がやっている。

 というかドマイナーな本を探させて困らせてよく困らせていたりもする。

 

 

 それはさておき、なんかどっぷりとオカルトとか民俗学にハマってしまっている綾小路。

 その行動の片鱗を見て、困惑していた月城はその行動の意味をなんとか分析しようと今頑張っているところだ。

 

 

 

 あのホワイトルームの最高傑作と呼ばれた綾小路が、なんか明らかにオカルトっぽいアレな方向に傾倒していたのだ。

 

 

 そりゃなんか、裏があると考えてしまうのは……仕方ない、こと……なのか?

 

 

 いや、違うんです普通にオカルトにハマったんですよ何故か。

 別に担任である茶柱に注文をさせて外から本を取り寄せているのも、この高育の蔵書では満足できないから――ってだけで、別に何か外にいる仲間へのメッセージとかそういうんじゃなくてね?

 

 

 綾小路は自身に注目を向けさせて、隙を作るみたいなこと言ってたけど入学前の綾小路の情報と今の綾小路との差異が酷くて、なんか勝手に混乱してるじゃないか月城。好都合と言えば好都合なんだが……。

 

 

 

 まあ、そんなこんなで勝手にドツボにはまって困惑している月城。

 完全に隙だらけの状態になっているのでこの隙に調べてやるぜ。

 

 

 

 というわけで行くぞー!

 

 

 

「「おー!」」

 

 

 

 

 




〈人物紹介〉
●ホームズ
→普通にヤバい相手なのでさっさと原作主人公を頼る畜生。月城は危険だし、面倒ごとを起こすので排除したいが、排除すると別のホワイトルームからの刺客(笑)が来そうなのでどう対処するべきか困っている。
●綾小路清隆
→平穏を乱す邪魔者が現れた。面倒だから殺ろうかと短絡的にちょっと考える程度には今の生活が気に入っている模様。最悪、オカルト猫がなんとかするだろうと思っているので案外気楽に考えている。
●山村美紀
→ホームズに呼び出された。猫に呼び出される少女。猫とは普通に話せるが人とはまだ普通に苦手。
●椎名ひより
→ホームズと一緒に調査が出来るというシチュエーションにどこからともなく気付いてやってきた。三毛じゃないのがちょっと残念だが、ホームズの名に恥じないほど頭がいいのでまあいいのだ。ちょっとテンションがおかしい。
●月城常成
→最高傑作の惨状にメタパニを食らった。天才、オカルトに傾倒しているんだけど……。

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