よう実世界に転生した畜生系主人公が神室真澄に心を打ち抜かれる話   作:サンディエゴ

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畜生系主人公が神室真澄と共に7日間戦争の初日を過ごす話

 

 

 

 

「さて、そろそろお昼ですね。ご飯にしましょうか真澄さん」

 

「そうね。なんか周囲にいた教員たちも居なくなったし……いや、警備員さん的な人たちは居るんだけど」

 

「職員会議か何かをやってるんだろう。一応、担任教師たちに説得をさせてみたがダメだったんで本格的に……って感じか」

 

「しばらくすればまた来るだろうが……まあ、腹拵えをするか」

 

「にゃー」

 

 

 

 そんな会話をしながら俺たちは学食へと向かって歩いていた。

 時間は正午、何だかんだ夜更けに学校を占拠してから立て込んでて朝ご飯も簡単に済ませただけだからペコペコだ。

 

 

 

「そうねー、昼は何にしようかホームズ」

 

「そういえばホームズってなにを食べるの? ペットフードとか用意してるの?」

 

 

 そんな風にご主人に話しかけてきたのは朝比奈先輩だ。

 邪悪三銃士の南雲のお目付役的ポジで一緒に居ることが多いため、なんとなくご主人との仲が近くなった印象だ。

 

 普段はそこまで一緒に居るわけじゃないけど、坂柳と龍園が関わるとだいぶアレなのでお願いだから見てて欲しいと頼まれたらしい。

 

 何人もの生徒を退学に追い込んでいた頃の南雲よりマシだが、今の南雲もそれはそれで面倒なんだとか。

 

 

 堀北兄との決着とかもやれて不完全燃焼分とかないせいだろうか。あるいはもう支配している同学年相手より、学園側をターゲットにした方が面白いと定めたからか……ともかく、三銃士はどいつもこいつもろくなやつじゃないな!

 

 

「ふんっ」

 

「ふにゃ!?」

 

 

 そんなことを考えていると不意に坂柳が俺の鼻を指で弾いてきやがった。

 

 

 おのれ! その程度の攻撃に当たる俺ではないが……ご主人の胸に抱かれている状態では! 邪ロリ風情が!

 

 

ふしゃー!

 

しゃー! なにか不埒なことを考えましたね!」

 

「はいはい、喧嘩しないの」

 

「おおっ……メスガキ感溢れる坂柳がまるで子供みたいに」

 

「背が低いからって子供扱いしないでください。……んっ? あれ? 今、メスガキって言いました? おかしいですね、私は知性溢れるミステリアスな儚げ系美少女のはずですが」

 

「すごい自信だ」

 

「ツラだけはいいからな」

 

 

 などと一緒に歩いていた龍園が茶々入れてくる。

 

 というかなんで俺たち一緒に行動してるんだろう。

 まあ、先生たちも一旦引いた以上、理事室に留まってる理由も無いからだろうけど。

 

 

「うるさいですね……」

 

「まあ、そんなことより昼ご飯のことよね。それなら大丈夫、ペットフードは持ち込んでるし、ホームズは何でも食べるから」

 

 

 好き嫌いはしない。それがいいペットってやつさ!

 

 

「へぇ、でも猫って色々食べちゃダメなやつとか気をつけないといけないんじゃなかったっけ? 私もいつか猫は飼ってみたくてさー」

 

「タマネギとかチョコとかですね。そういうのはダメみたいですね」

 

「あー、それそれ」

 

「まあ、ホームズは食べるけど」

 

「え」

 

 

 そんなことを話している内に階段に作られたバリケードが見えてきた。

 

 

「あっ、うっす」

 

「おう、通らせて貰うぜ」

 

 

 机やらなにやらを持ち寄って作られたバリケード、見事なモノだな。

 うんうんと出来映えに納得しながら俺たちはそれを乗り越えて学食へと向かった。

 

 通りづらいが理事長室から学食までだとここを通るのが最短経路だから仕方ない。

 

 というか理事長室から学食までが微妙に遠い、まあ理事長が使うことはないんだからしょうがないか。

 

 

「……というかさ」

 

 

 雑談をしながら学食へ向かっていると、何やら先ほど悩んでいた朝比奈が口を開いた。

 

 

「雅たちの話だと学園側が強硬手段を取ってくる可能性ってもう無いんだよね?」

 

「ああ、そうだな。ゼロとは言わんが、取ったところで状況を悪くするだけの手だからな」

 

「初期も初期の頃に使うならいざ知らず、力による排除は基本的に悪手ですからね。何せ私たちは……か弱い生徒!」

 

「非力で哀れな抗議をしているだけの生徒を力で排除したとあっちゃ……修復不可能なほどの傷を学園と学生の間に作ることになるなぁ。そして、学生側はより結束することになる」

 

「か弱い生徒を自称している顔じゃないわね」

 

「にゃむ」

 

 

 言っている顔が完全に悪役顔なのよ。

 

 

「雅たちがか弱いかどうかはさておくとして、強硬手段を取ってこないならなんでバリケード作りをしてるの?」

 

 

 朝比奈の問いは明確だった。

 外から見える位置でのバリケードは牽制として理解できるとして、わざわざ校舎の中にまでバリケードを作る意味がわからない……と。

 

 

 

 とても真っ当な意見だった。

 反論の余地もないほどに正しい意見だ。

 

 

 

「なんでって言われても……なあ?」

 

「ああ」

 

「ですね」

 

「にゃー」

 

 

 

 俺たちは顔を見合わせて頷いた。

 校舎内にバリケードを作る理由なんて……そんなもの決まってる。

 

 

 

 

「「「だって、格好いいし」」」

 

「にゃー」

 

「お、おう……」

 

「ダメだ、こいつら」

 

 

 

 朝比奈とご主人が呆れたような視線を向けるが……これは仕方のないことなのだ。

 

 思春期の学生なら誰だって何故か校舎を占拠しに来たテロリストと戦う妄想を一度や二度したことがあるはず。

 

 今回の場合、支配したのは俺たちだけどまあそこら辺の細かいところは置いておくとして……要するに学校という場所で非現実的なことをするシチュエーションがいい、というか。

 

 見ろよ、あの机を運んでいる二年生の男子生徒たち。

 みんな楽しそうだ。

 

 後で直すときどう考えても面倒くさいはずだが、それでも嬉々としてバリケードを作っている。

 

 

 どこから敵が来ることを妄想して、それをどう撃退するかを妄想して備える……これだけでご飯は三杯いける! 間違いないね!

 

 

「やっぱ校舎を占拠したらバリケードは鉄板だよな」

 

「ふふっ、一体感というやつを感じますね」

 

「おっ、堀北先輩から返信来た。なるほど、あっちの方にもバリケードはあった方が合理的か」

 

「さすがは堀北元会長ですね」

 

「堀北先輩ぇ……」

 

 

 

 堀北兄、本当に参加できなくて残念がってそうだな……。

 

 

 そんなことを話しながら歩いているとようやく学食へとたどり着いた。

 当然、占拠して学生しかいないので作ってくれる人は居ないため、調理をするのは自分たちでしなくてはならない。

 

 

 そのため、調理班を作ってローテーションで回している。

 

 

「ドラゴンラーメン一丁、入りましたー!」

 

「ドラゴンラーメン一丁!」

 

「焼き鳥セットはいかがですかー!」

 

 

 回している……のだが、それには偏りがある。

 

 いや、料理経験のあるヤツを集めてやってもらおうという話だったのだが、なんかクラス単位で調理班に突っ込んだクラスがあるのだ。

 

 

 それが龍園のクラス。

 彼が奉公精神に目覚めた――というわけは当然なく。

 

 

「……おい、調子はどうだ?」

 

「ドラゴンラーメンの売れ筋はいいですね。ただ調理過程に少し問題が……。焼き鳥セットはちょっと売れ行きが芳しくなく」

 

「回転率が命だ。調理過程の問題点は洗い出せ。それから焼き鳥セットの売れ行き不振の原因も探れ、味なのかそれとも別の問題なのか。それから――」

 

 

 あの野郎、次の出店チャンスに備えての練習に使ってやがる……! 何ならオリジナリティーを出すための創作料理にまで手を出してる!

 

 いや、わかるよ? 売れ筋になりそうなものを探れるまたとないチャンスだからな。だからといってこういった機会を利用しようというバイタリティーの高さよ。

 

 

「PDCAサイクルをちゃんと回しているな」

 

「見た目完全に不良なのにマニュアルの作成まで命じてる」

 

「インテリヤクザ……」

 

「くくくっ、言いたい放題だなお前ら」

 

 

 そんなことを言いながら指示を出し終えた龍園が戻ってくる。

 

 

 いやだってマニュアルの作成を指示する不良って何だよ。

 

 

「マニュアルを作らねぇと効率的に動けねぇだろうが。バカどもでもわかるマニュアルの簡略化こそが肝だがな。経験は決して無駄にはならねえ」

 

「勤勉ですねぇ」

 

「くくっ、次はもっとむしり取ってやる」

 

「そうはいきません。真・体育祭では後れを取りましたが出店で稼ぐのがそちらだけの特権だとは思わないことです」

 

「ほぉ、俺達の土俵でやろうってのか」

 

「私たちはAクラスですからね。当然、全ての分野で完璧を目指すのです。向上心の塊というやつです」

 

「面白ぇ」

 

 

 悪ぶった顔でにらみ合う龍園と坂柳。

 やってることは出店勝負という真っ当なことなので反応に困るな。

 

 

「絶対に有栖の趣味というかわがままよね」

 

「にゃーむ」

 

 

 別段、そこまでプライベートポイント集めを積極的にする理由無いからなAクラス……。

 

 

 因みに出店を出すときのために今回の機会をうまく利用しようと指示だけは出したものの、後のことは葛城にお任せという……。

 

 

 まあ、こいつの料理スキルってご主人のお手伝いできゅうりを自信満々に切って成果を見せびらかしたら、全部繋がっていた程度のものだからな。ろくな戦力にならないから、変に口を挟まない方が最適――って、うわ! なにをする!

 

 

「また何か私をディスっていた気がします!」

 

「ふしゃー!! しゃー!」

 

「それにしても食材って大丈夫なの? 勝手に使って」

 

「キチンと購入したので大丈夫ですよ。見積もり出して勝手に学園側に送りつけました。少し多めに出したので問題は無いでしょう」

 

「この量だと相当な額じゃない?」

 

「一・二年で折半でやりましたし問題ありませんよ。どうせ後で回収するので」

 

「回収って……」

 

「ふふふっ、勝利する気満々ですからね。この立てこもりにかかった費用は当然あとで払って貰うつもりなので実質タダ!」

 

「食材費タダで料理の反応も貰えて、ついでに調理の練習にもなる……こんな機会またとねぇ。存分に利用させて貰うぜ」

 

「なんか一年のすごいやる気を感じる」

 

「まあ、やってることを考えるとある意味で体験型の経営学習みたいなものだから健全だな。……ふむ、こういう方向性の試験もありか」

 

 

 などと南雲が考え込んでいる。

 

 確かにやっていることを考えると自分たちで店を作って、上手く稼げるように商品のアイディアを考えたり、消費者の視点を考えたり。それからうまく運営するためにマニュアルやら人員配置やら考えたり、体験するのは学びの機会としてはいい感じではある。

 

 少なくとも無人島サバイバルよりかは社会に出ても役に立ちそうな経験だ。

 

 

 

「っていうかあとでチャラにするつもりなら、わざわざ払う必要も無いんじゃないの?」

 

「ああ、踏み倒せばいいと? まあ、それも手ではありますけどね。……真澄さん、今回の一件で一番重要な点がどこかわかりますか?」

 

「重要な点?」

 

「ええ、今回の一件を理想的な形で終わらせるために一番重要な点……それは「正義」を見失わないことです」

 

「熱でもある?」

 

「真澄さん???」

 

「ごめん、有栖が正義なんて言葉を言い出すから……」

 

「どういう意味か小一時間ほど問い詰めたくなりましたね」

 

 

 落ち着けご主人。邪知暴虐の権化である邪ロリの口から「正義」なんて言葉が飛び出してきて驚くのはわかるけど、こいつにとっての「大義」とか「公正」とかは単なる武器の一種であることを知っているはずだ。

 

 

「そうだったわね、ホームズ。ごめんね、有栖」

 

「ふふふっ……ちょっと泣きたくなりました。まあ、大体あってるんですが」

 

「あってるんだ」

 

 

 朝比奈がそんな言葉を思わず呟いているが、坂柳は大体こんな感じのやつだ。

 というか三銃士の残り二名もうんうんっといった感じで頷いていやがるし。

 

 

「私たちの現状は不当な学園側の支配に対する抗議……つまりは正義の行いです」

 

「不法占拠してるけどね」

 

「相手が強大である以上、多少の行為は仕方ありません。何せ学園と学生とでは立場も力も違う。それ故に多少の許容範囲というものが存在します。ただし、この場合重要なのはそれが必要最小限度であることですね。度が過ぎる不法行為をしてしまっては、我々の正義の行いに土が付いてしまう」

 

「要するに後々、学園側から突っ込まれるような隙はできるだけ作るなってことだな。何せ俺達は不当な扱いに抗議したか弱い学生だからな」

 

「最大限こちらは配慮した上で、学園側の行為を糾弾しましたよ――というポーズが我々の「正義」、そして立場を保障してくれます。「正義」はあくまで武器です。わざわざ汚してナマクラにすることに意味なんてありません」

 

「なるほどねぇ」

 

「というわけで暴走しないようにちゃんと手綱はお願いしますね、南雲先輩」

 

「問題ない。メガホン片手に教員相手に言いたい放題するだけでも、いい感じのガス抜きになってるようだからな。変な暴走はさせないさ」

 

「か弱い学生ってカードをわざわざ捨てるなんてただのバカだからな」

 

「ああ、俺達は非力でこんな抗議の仕方しかできない可哀想な学生なんだ」

 

「まったくですね。なんて哀れな私たち……正義万歳」

 

 

 などと三銃士が言い合っている。

 もちろん、悪役顔でだ。

 

 

「暴力上等だった龍園が多少マシになって成長したかと思えば、変なことも学習しちゃってるわね」

 

「雅もね。いや、前の雅よりかは多少マシにはなってると思うんだけど」

 

 

 邪ロリもそうだけど、悪辣さは減ってるけどたちの悪さは増大してるよな。立場を利用することを覚えやがって……!

 

 

「ターゲットになってる高育が可哀想……って思ったけど、問題児を入学させたの高育だったわね」

 

「うーん、自業自得。すくすくと成長して牙を剥くことになるなんてね」

 

「にゃー」

 

 

 

 ご主人たちと呆れた視線で三銃士を眺めながら、俺たちは昼食を取ることにした。

 戦いはまだ始まったばかり、鋭気を養わなければ――特に俺はな!

 

 

 ご主人と途中で混ざってきた一之瀬のあーんで昼食を取ったあと、俺は仕事に出掛けた。

 

 

 

 仕事が何かって? それはもちろん――

 

 

 

「どうするんですか、理事長代行」

 

「………っ」

 

「生徒たちは校舎を占拠したまま動く気配がありません。説得はしてみたのですが聞く耳を持っていない状態で……」

 

 

 

 話し合いの場にしれっと侵入する仕事だ。

 

 

 ふー、やれやれ。猫遣いが荒いぜ……。なんて、俺としても興味があるからやってるんだけどね。

 

 

 校舎が使えないので別の建物の会議室で行われている学園関係者を集めた話し合いの場の空気は当然のように最悪だった。

 

 

 みんな顔色が悪く、沈んだ雰囲気だ。

 

 

 そりゃそうだろう、一・二年が連帯して校舎を占拠とか想像もしたことないだろう事態だし。

 

 いや、そもそも学生による大規模な反抗自体が経験無いのかもしれないな。高育の特殊性からして支配的で、学園側が一方的に有利な立場だから……ここまであからさまな態度の表明は初めてでもおかしくはないか。

 

 それもここまでの規模ともなると……。

 

 

 ハッキリ言って一教員では手に余るレベルの事態。

 事態の収拾にはトップの――理事長代行である月城の力が必要不可欠。

 

 

 そんな状況。

 

 

「……その、事態は既に我々の手に余る段階です。300名近い学生が占拠に加担しているとなると」

 

「単純にこちらの手が足りません。やはり機動隊等への協力の要請をした方が」

 

「なりません。こんな事実が知れ渡ればこの高度育成高等学校の名誉に傷が付くことになる。その責任を取れるのですか?」

 

「し、しかしですね」

 

「あれだけの人数で立て籠もれば食料などに問題が出てくるはずです。腹を空かせれば出てくるしかなくなる。学食や購買部などの食料があるにしても……」

 

「その……占拠する際にかなりの量の食料も持ち込んでいるようで、かなり持つことになるかと」

 

「長引かせれば長引かせるほど情報が漏れるリスクが。理事長代行の命令ですぐに内外との接触を最小限に切り、誤魔化せてはいますが」

 

「ならば切り崩しです。生徒の端末は使えるのでしょう? ならば抱き込めそうな生徒を抱き込み、中から切り崩せば……主犯格である南雲雅、龍園翔、そして坂柳有栖、そして綾小路清隆のみに処罰を絞ることを約束し、プライベートポイントも添えれば愚かな生徒など」

 

「はあ、他の三人はともかく……綾小路清隆、ですか? 確かに彼は優秀な生徒ではありますが」

 

 

 

 なんか強引に綾小路のことも巻き込んでて草。余裕無くなってるな月城のやつ。いつもの取り繕った胡散臭い穏やか顔がピクピクしてるわ-。

 

 

 スマホは重いので持って来られなかったのが残念だ、是非とも邪ロリに見せたい顔だ。

 

 

 

「それはやめておいた方がいいでしょうな」

 

「どうしてですか茶柱先生」

 

「なに、確かに抱き込もうとした生徒が従ってくれればいいですが。交渉の内容をバラされてしまえば、生徒たちはさらに団結を強固にするでしょう。そもそもの話、生徒たちが今回の一件を引き起こす切っ掛けとなった出来事を考えれば、こちらの提案に果たして乗ってくるかどうか……」

 

「私も同意見です」

 

「真嶋先生……」

 

「うちの坂柳がその程度のこと対策していないとは思えません。それに今の一・二年生は体育祭を以降は何かと交流も多いので、その……」

 

 

 ぶっちゃけ学園側より生徒間同士の信頼度の方が高いから無理、ということ歯切れ悪そうに伝える真嶋。

 

 そんな彼の言葉に月城は苛立ったように少しだけ眉をひそめた。

 

 

「首謀者的な役割の生徒たちだけ処罰ってのも今回の解決法には合わないかも。確かにこういった事態を、そういった方法で事態を収拾した例はありますけど……」

 

「星之宮先生……」

 

「今回の事例でそういったことを言っちゃうと、大人しめの生徒たちも本気で怒っちゃうっていうか。たぶん、一之瀬さんは認めないだろうし」

 

 

 やんわりとした否定の言葉の連続、それに月城が苛立っているのが伝わってくる。

 たいして茶柱たちはもうなんというか一周回って開き直っているというか、事件発覚当初よりも冷静になっている印象だった。

 

 

 もうこれ、一介の教員がなんとかできるレベルの事態じゃないな……というのがわかったからだろうな。

 

 ある意味では気が楽な境地に立っているというか。

 

 

 何だろうな、この一致団結して対応しなきゃいけない事態なのに水面下ではバチバチやってる感じ……端から見るととても楽しい!

 

 

 

「実力での排除も切り崩しも困難……おのれ、綾小路清隆」

 

 

 

 ホワイトルームの最高傑作の綾小路なら手玉に取られても仕方ないからって、頑なにあいつにやられたって思いこむのやめようぜ。ただの学生相手にやられたなんてプライド的に認められないのかもしれないけどさ。

 

 

 

 

 

「――というか占拠しておいて、何の交渉も持ちかけて来ないのは……。いったい何が目的……っ」

 

 

 

 

 因みに駆け引きとかではなく、普通に忘れていたらしい。

 

 

 あとで思い出した坂柳たちが学園に対する交渉条件を送ったのはだいぶ後のことだった。

 

 

 校舎占拠して学園を相手に手玉に取っていた事実が気持ち良過ぎたとか何とか。

 

 

 

 

 




〈人物紹介〉
●ホームズ
→今日も今日とて神出鬼没な黒猫。職員会議に交ざってる。スマホは重いので持ち込めなかったか弱い黒猫(ボイスレコーダー)。

●坂柳有栖
→なんか忘れてると思ってたら抗議の意は示したけど具体的な要求を出すのを忘れてた。うっかりミスだがしれっと「これも作戦の内、これは学園側との交渉を優位に立つための駆け引きの一種であえて遅らせて(云々」と誤魔化そうとしたが普通に黒猫にバレた。ミスぐらいあるさ。

●龍園翔
→バイタリティーの塊。いい機会なので創作料理の試食と料理経験の蓄積も兼ねて積極的に調理班に参加。ちゃんとクラスメイトには資金も支払う。食材代はあとで回収するから実質タダで経験を積めるわけだしな。もう猫に違和感をもてないほど慣れてしまった。具体的に言えば新入生に黒猫が何故居るのかを聞かれると、何故太陽は昇って沈むのか、リンゴは何故落ちるのかを問われたぐらいに困惑する。そりゃ、黒猫は居るだろ、そこに。

●堀北学
→いいなぁ……(´・ω・`)

●職員会議
→暗闘が始まっている。

視点での描写が欲しいキャラ

  • 葛城康平
  • 坂柳有栖
  • 神室真澄
  • 鬼頭隼
  • 山村美紀
  • 一之瀬帆波
  • 椎名ひより
  • 綾小路清隆
  • 堀北鈴音
  • 櫛田桔梗
  • 佐倉愛里
  • 南雲雅
  • 堀北学
  • 茶柱佐枝
  • 真嶋智也
  • 星之宮知恵
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