ダンジョンショップ~趣味でダンジョンの中で出店を出していたらいつの間にか迷宮七不思議に数えられてました。配信者達を利用してお店の宣伝をしまくろう~   作:四季 訪

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第十一話 上級探索者はかませしかおらんのか?

 湊の首根っこを掴まえた小雛が猛スピードで十七階層を駆けていく。

 

 

 

 当然敵が襲ってくるが、湊が宙に出した筒のようなもので安全圏から次々と魔物を葬り去っている。

 

 

 

 小雛は湊がでたらめでここの敵くらい簡単に蹴散らすと信頼して、ただこの階層を早く抜けたいと必死に走り続けている。

 

 

 

 「階段の位置分かるの?」

 

 

 

 「人の匂いが濃い所だと思いますぴょん!!」

 

 

 

 「進んでるねー」

 

 

 

 「あなたのせいでしょうぴょん!!?」

 

 

 

 不幸中の幸いか、小雛は敏感になってきた嗅覚を存分に使って正解の方向へと進んでいた。

 

 

 

 「あれ、人の匂いぴょん?」

 

 

 

 小雛は近くに人がいる事を察知して立ち止まる。

 

 

 

 二人の前にすらりとした高身長のイケメンが立っていた。

 

 

 

 「おや、こんな所に君のような可憐な女性がいるなんて、うさ耳のアクセサリーも素敵だね。その変な仮面の男に無理やり連れて来られたのかな……え、ひょっとこ?」

 

 

 

 湊の仮面を見て気障な男が目を丸くした。

 

 

 

 「退いてください!私今急いでるんですぴょん!!」

 

 

 

 切羽詰まった様子の小雛に男が髪をかき上げる。

 

 

 

 「ぴょん?……お話なら聞くよ。この私なら君の力になれる」

 

 

 

 「だから退いてくださいぴょん!」

 

 

 

 「そう邪険にしないでほしい。見るからに君はこの階層の適正レベルにない。相応しい探索者に力を借りるべきだ。そんなふざけた仮面の男でなく、そう私のような上級探索者のね!」

 

 

 

 ────また上級探索者じゃん

 

 

 

 ────零院(れいいん) 涼真(りょうま)

 

 

 

 ────有名なん?

 

 

 

 ────今女性人気爆発中の探索者。配信はしてないけど

 

 

 

 ────消えろイケメン俺の小雛に近づくな

 

 

 

 ────本名田中茂治

 

 

 

 「……茂治?」

 

 

 

 思わすコメントを拾ってしまった小雛に茂治が怒り始めた。

 

 

 

 「本名で呼ぶな!私の名前は零院涼真だ!!」

 

 

 

 決めポーズを取る男に小雛はぽかんとしたが、しかし急いでいることを思い出して地団駄を踏む。

 

 

 

 「いいから退いてくださいぴょん!この人が居れば十分ですからぴょん!」

 

 

 

 小雛が湊を指さして言う。

 

 

 

 「照れるなぁ」

 

 

 

 「元はと言えばマスターのせいですからねぴょん!」

 

 

 

 後ろ頭を掻いて照れる湊に唾を飛ばして怒る小雛。

 

 

 

 地面を何度も蹴って怒りをアピールしていた。

 

 

 

 「スタンピングだー。食糞も近いか?それにしても症状の進行が妙に早いね」

 

 

 

 「わぁぁぁあああ!田中さん!今私たち急いでるんですぴょん!いいからそこを退いてくださいぴょん!」

 

 

 

 ウサギの習性がだんだんと増えてきた小雛の慌てぶりが顕著になってきた。

 

 

 

 ────食糞wwwww

 

 

 

 ────放送事故だろ

 

 

 

 ────流石にそっちの趣味はないぞwww

 

 

 

 ────wktk

 

 

 

 「君こそ待つんだ!ここは十七階層だ!そんな男より私と一緒にいた方が安全だ!」

 

 

 

 小雛は考える。

 

 

 

 マスターの実力は恐らくこの田中茂治よりもはるかに上だ。

 

 

 

 命を守る上ではこのままマスターに力を借りた方が絶対にいいだろう。

 

 

 

 しかし、尊厳はどうだろう。

 

 

 

 今までの事を振り返る。

 

 

 

 そして、今まさに食糞まっしぐらのこの状況が、果たして人としての尊厳が守られているといえるだろうか、と。

 

 

 

 「ふ、君も分かってくれたようだね。そんな冴えない男より、僕を選んだ方が良い。君の事は絶対に守るから」

 

 

 

 白い歯をキラリと覗かせるキザ男。

 

 

 

 「スンスン」

 

 

 

 嗅ぎなれない臭いが小雛の鼻に付く。

 

 

 

 「発情の臭い……ぴょん」

 

 

 

 「ンンッ!?」

 

 

 

 「目つきもエロいし、なんで興奮してるんですかぴょん?」

 

 

 

 本能的にそれが発情の臭いだと分かり、田中をじとりと睨む。

 

 

 

 ────そいつ結構女好きで有名や

 

 

 

 ────ヤリ捨てされたって女結構いるよな

 

 

 

 ────まぁひなっちがエロいのは理解できる

 

 

 

 ────男ならしょうがなくね?

 

 

 

 ────ってか上級探索者ってろくなのいないの?

 

 

 

 コメント欄も驚く上級探索者のくそエンカウント率。

 

 

 

 「そ、そんなわけないだろ!私は紳士だよ」

 

 

 

 ちら

 

 

 

 「おっぱい見てますよねぴょん」

 

 

 

 「そ、そんなことはない!」

 

 

 

 田中は目を逸らし否定。

 

 

 

 そこで湊の懐からひょろりと顔を覗かせた縄が小雛の胸元の襟をひらり。

 

 

 

 「きゃっ!?」

 

 

 

 「お、おぉう!!」

 

 

 

 「見てるじゃないですかぴょん!!?」

 

 

 

 「今のは仕方がないだろう!?」

 

 

 

 ────おい!どうなってる!

 

 

 

 ────何があった?

 

 

 

 ────くそっスマホの弊害がッ

 

 

 

 画面外の出来事を見る事のできない視聴者たちのコメントが流れる。

 

 

 

 「僕の縄がね、勝手に小雛ちゃんの胸元をチラリズムしたんだ」

 

 

 

 「説明しないでくださいぴょん!」

 

 

 

 ────は?

 

 

 

 ────みたぁぁぁあい!!

 

 

 

 ────田中殺す

 

 

 

 ────茂治見たのか?俺以外の奴を

 

 

 

 ────なんでダンpro壊したんだよマスター!!

 

 

 

 今日一の阿鼻叫喚だった。

 

 

 

 湊の位置からは中身まで見えてしまったことは口にしないことにした。

 

 

 

 「くそっ私を馬鹿にしやがって!上級探索者だぞ!大人しくついて来い!」

 

 

 

 「配信乗ってるよ?」

 

 

 

 本性を現した田中に湊がそう忠告するが、当の本人はどこ吹く風だ。

 

 

 

 小雛のチラリズムの破壊力が強すぎたのか、田中の理性が怪しくなっていた。

 

 

 

 強くなった臭いに小雛の顔が歪む

 

 

 

 「私はか弱い彼女を守ろうと行動しているだけだ!おい!そこの変な仮面の怪しい男!その娘は私が預かる!どっかいけ!」

 

 

 

 下心丸出しの男に小雛は非難したくなるが、その臭いの強さに恐怖すら感じ始めた小雛は身を縮こまらせて湊の陰に隠れた。

 

 

 

 怯えているのが分かりやすく、耳がぱたんと倒れている。

 

 

 

 「一応、うちの責任でこの娘を上まで送ることになってるから、危なっかしい人には預けられないかな?」

 

 

 

 「ふん、聞いたことがあるな。お前、もしかして【変態仮面】か?さっきの縄はお前が作ったやつだろ?名前に相応しいゴミじゃないか。どうせ女をちょめちょめするしかできないゴミなんだろ?あ?【変態仮面】」

 

 

 

 わかりやすい挑発だ。

 

 

 

 対人戦にも慣れた上級探索者の常套手段。

 

 

 

 しかし、それが故に上級探索者のほとんどはそんな安い挑発に乗ることはない。

 

 

 

 田中だってこの飄々とした男がこんな安い挑発にのるとは思っていない。

 

 

 

 それでも探索者同士の戦いの前のような口上のつもりで田中はそう言った。

 

 

 

 しかし、

 

 

 

 「てめぇ、今なんつったよ。誰が【変態仮面】で誰の作った商品がゴミだって?僕の造ったドッグロープを馬鹿にする奴は絶対に許さない……!」

 

 

 

 想像以上にブチギレていた。

 

 

 

 ────否定できないよなぁ

 

 

 

 小雛も内心では完全に同意だった。

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