ダンジョンショップ~趣味でダンジョンの中で出店を出していたらいつの間にか迷宮七不思議に数えられてました。配信者達を利用してお店の宣伝をしまくろう~   作:四季 訪

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本日(4月19)二投目


第二話 ダンジョン七不思議

 「いらっしゃいませ」

 

 目を開けた小雛の耳に明瞭な男性の声が届く。

 

 小雛は先ほどまでいた東京ダンジョン第六階層のレンガ造りの風景が一瞬にして変わった事に目をぱちぱちしていた時にその声は届いた。

 

 しかし、頭のついていかない小雛はその声に気付かないまま辺りを見渡した。

 

 薄暗いシックな狭い部屋。

 

 コンビニ程度の広さのその壁には見たこともない装飾品や装備の類が飾られている。

 

 一目で分かる、それらがどれも今の小雛では手の届かない一級品ばかりの品々だという事が。

 

 小雛は突然の出来事と自身の場違い感に呆然としているともう一度、男性から声が掛けられる。

 

 「お客様?どうかいたしましたか?」

 

 柔らかいその声にようやく我を取り戻した小雛が男性の声のした方へと向く。

 

 そこにはひょっとこの仮面を被った店主がいた。

 

 「え?」

 

 そこで、自分のスクリーングラスに再び文字が流れ出したことに気付く小雛。

 

 ────なんだここ!?

 

 ────配信でこんな場所見たことない。ダンジョン?

 

 ────ひょっとこwww

 

 ────お店?

 

 ────おい、なんだよここの装備

 

 ────は?なんでこんなやばいのばっかあんだよ

 

 ────イレギュラー!?

 

 ────ここってまさか

 

 活気を取り戻した小雛のスクリーングラスは、このいきなりの状況に目が追いつかない程にそのコメントの勢いを激しくしていた。

 

 「五万人!?」

 

 画面の端に移る同時接続数の多さに小雛は驚愕。

 

 ダンジョン配信は覇権ジャンルとは言え、視聴に年齢制限がかかっている事から、他のジャンルの配信と比べてもそう水をあけるほどに人が集まることはない。

 

 小雛の普段の二万という数字も、ダンジョン配信者トップクラスの視聴者数だ。

 

 だからこそ、小雛はいまこの異常な数字の上昇に驚きの声を上げたのだ。

 

 「お客様?」

 

 「あ、ごめんなさい!あの、その、ここは……?」

 

 「当店はダンジョンに於ける探索者の方々のサポートを旨とした出張販売所でございます」

 

 ────マジで店かよ

 

 ────どうなってんの

 

 ────初めて聞いた

 

 ────仮面が気になってしょうがない

 

 ────まさか

 

 「配信……ですか?」

 

 コメントに目を奪われていると、男性から疑問の声を掛けられ、小雛が慌てる。

 

 「あっ、はいっ。そのすみません。ダンジョン配信の途中だったので、配信しっぱなしで……」

 

 「ふむ、最近賑わい始めたダンジョン配信ですか。初めて配信の方とお会いしました」

 

 男性の声には不満や憤りのようなものは感じなかった。

 

 「あの、大丈夫ですか?配信に乗せちゃっても……」

 

 恐る恐るの確認。

 

 「そうですね。問題はないですよ。面白そうですし」

 

 「よかったーー」

 

 小雛がほっと胸を撫でおろす。

 

 ────初対面の人には物腰柔らかいひなっち好き

 

 ────俺がそのたわわを撫でおろしてあげようか?

 

 ────男と関わらないでほしい

 

 ────画面に男が映ってるの心臓に悪い

 

 ────ユニコーンわらわらで草

 

 ────お前ら今はマジでそんな場合じゃないだろ

 

 ────あれ見てもなんも思わないのかよ!これだから一般人は!!

 

 一部のコメントに小雛は激しく同意したい気持ちだった。

 

 「あの、ここにあるものって全部本物ですか?」

 

 「本物か、ですか」

 

 「あ、ごめんなさい!失礼でしたよね」

 

 「いいえ、お気になさらず。そう思うのも仕方ないでしょうから。ここにあるものは全て本物ですよ」

 

 「うそ……」

 

 信じられないと驚く小雛。

 

 それは無理からぬこと。

 

 なにせ、ここにあるもの全て、深層に出てくる魔物からでしか手に入らない素材を用いた品の数々だからだ。

 

 恐らく、上級探索者、その上澄みでしか入手できないような伝説級ばかり。

 

 ダンジョンの運営組織、探索者たちの総締めであるギルド本営であってもこれらの品々を集めることは困難に違いないのだから。

 

 コメント欄の一部が荒れるのも理解ができる。

 

 そんなお店があることなど小雛は聞いたことがない。

 

 そんな話、都市伝説の中でしか────────

 

 そこまで考えて何かに気付いた小雛がもう一度店主に質問を投げかけた。

 

 「あの、すみません。ここの名前ってもしかして……」

 

 まさかと思いながら、そう口に出す。

 

 店主は雰囲気を柔らかくしてそれに応える。

 

 「えぇ、当店の看板の名は────────【DDショップ】。そう名乗らせてもらっております」

 

 「ダンジョン七不思議────────ダンジョンの中に現れる謎のお店【DDショップ】────────の、店主【変態仮面】!?」

 

 ────七不思議!?

 

 ────都市伝説の!?

 

 ────有名どころじゃん!

 

 ────【変態仮面】キタ―――(゚∀゚)―――― !!

 

 「……………………はい?」

 

 店主が不服そうに首を傾げた。

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