戦闘狂が行く理想郷   作:烏鷺

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蠍なのか竜なのか

「着いてこい蠍共!!」

4つのクランによる会議(オハナシ)から数日後。部活の助っ人と道場での鍛錬を終えた俺はシャングリラ・フロンティアの世界に戻って来ていた。

 

「レベルが88になって中々上がらなくなってきたからなっ、金策の意味も込めて俺の糧になれ!」

 

水晶巣崖(すいしょうそうがい)水晶群蠍(クリスタルスコーピオン)と鬼ごっこをしていた俺は崖まで来ると七艘(しちそう)跳びで上へと飛び上がった。

 

目の前から急に敵が消えた事で急停止した水晶群蠍(クリスタルスコーピオン)だったが場所が良くない。いつもの如く崖下へと落ちていく蠍達を上から眺めた俺は轍の残った水晶の大地に着地するとインベントリに溜まったアイテムを確認した。

 

「よっし!水晶群蠍(クリスタルスコーピオン)の素材大量ゲット!」

 

何時もの如く溜まりに溜まったアイテム達に拳を握った俺は時間を確認して帰路についた。

 

時間はもうすぐ16時。ビィラックに頼んでいた防具が出来る頃合なのだ。

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

「ビィラックいるか?」

 

「お邪魔しますね」

 

エイドルトでお留守番していたミュウラと合流しラビッツへと戻った俺は早速ビィラックのいる鍛冶場への向かった。

 

扉を開けて中に入ると先客(サンラク)がおりビィラックは何か大きめの珠を持っていた。

 

「何してんだ、お前ら?」

 

俺はサンラクにそう言い近寄る。すると、ビィラックは口を開けて目を見開き固まっていた。

 

「何してんだ、お前?」

 

再びサンラクにそう問いかける俺だったがサンラクは慌てた様にビィラックの頬を叩き始めた。

 

「俺この前水晶群蠍(クリスタルスコーピオン)の希少エネミーの金晶独蠍(ゴールディ・スコーピオン)ってのを倒したんだよ。んで、その素材をビィラックに見せたら………なんてこった!!死んじまったぁぁぁぁぁぁっ!!」

 

何処から突っ込んたらいいのか、そう思わずにはいられない内容だったが俺は固まったビィラックをサンラクから奪い取ると耳元に口を近づけ

 

「わ!!」

 

大声で叫んだ。

 

「うぎゃぁぁぁぁああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ!?何をするんじゃおどりゃァ!!」

 

「よし生きてるな」

 

俺の大声にも負けない叫びと共に殴ってきた(サラッと躱した)ビィラックに俺はそう言って手放す。

 

「このぉぉぉぉっ、ワリャ達は色んな意味で心臓に悪すぎじゃ!」

 

着地したビィラックは深呼吸をして俺達にそう言うと手に持っている珠をサンラクへと見せつつ話し始めた。

 

「さっきの話し了解じゃ。ワリャが倒した金晶独蠍(ゴールディ・スコーピオン)の素材も使って武器を作っちゃる」

 

「おぉっ!よろしく頼むぜ古匠(こしょう)ビィラック!!」

 

「!」

 

何やら俺の居ない間で武器制作の話があったようだがそっちは俺には関係ないのでスルーする。しかし、サンラクのセリフの中に俺は聞き逃せない単語があり目を見開いた。

 

「ビィラック…古匠(こしょう)ってまさか…」

 

ビィラックに指を指しつつそう言う。すると

 

「そうじゃ、ワチはもう古匠(こしょう)じゃ。エムルが見つけてくれた魔力運用ユニットのおかげじゃな」

 

ビィラックは胸を張ってそう応えた。

 

「遂にやったな!!」

 

「流石ビィねぇさまですね!」

 

「そうじゃろう!そうじゃろう!これで親父へ1歩近づいたわ!」

 

新たな古匠の誕生に湧く俺とミュウラだったが俺は気になっていた事をビィラックに尋ねることにした。

 

「ビィラック、古匠になったって事は作る武器のレベルも上がったって事か?」

 

以前サンラクが言っていた古匠になる事での作る武器のグレードアップ。それが可能なのか確かめずにはいられなかった。

 

「勿論そうじゃ。そしてワリャがワチに依頼しとった防具じゃが古匠になってから作らせてもらった。見ろ!これが新しくなったワチが作った防具じゃ!!」

 

ビィラックは不敵な笑みと共にそう言うと俺の前に1つの防具を出現させた。

 

甦機装(リ・レガシーウェポン)蒼水晶の籠手(そうすいしょうのこて)じゃ!!」

 

「「「「おぉ〜!!」」」」

 

出現した俺の防具に全員が声を上げる。以前装備していた「武人の弓篭手【改二】」とは違う両腕を全てカバーする事が出来る白地の籠手。

 

奔るラインには水晶群蠍の輝きが宿っており一目で高性能だと解る。

 

「どれどれ…」

 

俺は早速蒼水晶の籠手(そうすいしょうのこて)の性能を確認する為にウィンドウを表示した。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

蒼水晶の籠手(そうすいしょうのこて)

若き古匠ビィラックが手がけた1つ目の甦機装。水晶群蠍の素材で作成された。月光の魔力を蓄積し制御、活性化させ装備者に還す。

 

・【宿転(しゅくてん)

音声認識で水晶に蓄積された魔力を還す。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「はははっ…すっげぇな………」

 

蒼水晶の籠手(そうすいしょうのこて)の性能を確認した俺はそう声を漏らした。

 

「自身の武力に魔法の力を加えて戦う。それがワリャのスタイルじゃろ?自力が高いからこそ+αの力が活きる。そんなワリャを支える装備じゃ」

 

俺をよく理解して作られた装備。ビィラックの鍛冶師としての腕が良くわかる。

 

「ありがとう」

 

俺は蒼水晶の籠手を装備するとビィラックにそう言った。

 

「ばっ、真っ直ぐ過ぎじゃっ」

 

ストレートの感謝に慣れていないのだろう。ビィラックは照れたように顔を背けてそう言う。そんなビィラックに俺達は微笑んだ。

 

「クッソ〜俺も早く古匠ビィラックの武器が欲しいぜぇ!!よろしく頼むビィラック!!」

 

そして、俺の籠手をジッと見たサンラクは声を上げてそう叫ぶ。ビィラックは「うっさい!わかっとるわ!」とサンラクに応えた。

 

「今から始める。ワリャ達はさっさと出ていけ、集中するけぇの」

 

そして、槌を手に持つと俺達にそう言ってきた。その目は本物の鍛冶師の目であり俺たちが見た事のないビィラックの表情だった。

 

そんな顔をされては拒否なんてできない。俺達は頷いて鍛冶場を後にした。

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

『金晶独蠍ってのを倒したんだよ』

 

鍛冶場でビィラックから新しい防具を受け取った俺はサンラクとは直ぐに分かれるとエイドルトに戻りミュウラに留守番を頼むと再び水晶巣崖に戻ってきていた。

 

思い出されるのはサンラクのあの言葉。

 

今まで倒してきた水晶群蠍とは違う希少エネミーの存在。当然惹かれない訳が無い。此処にくる前にミュウラに散々ごねられたがどうしてもと説得してやって来た。

 

「さぁて、出てくるか?」

 

希少エネミーがそうそう出てくる訳が無いので音を立てずに歩き続ける。サンラクは金晶独蠍を倒して素材をゲットしたばかりかレベル99になったらしい。

 

ウェザエモン戦、水晶群蠍大漁討伐。それらを経てレベルは上がったがレベリングが難しくなってきた今日この頃。サンラクも同じ悩みを抱えていたようだがたった一戦でレベルがカンストしていた。

 

つまり

 

「意味でとは別格の強敵………!!」

 

その事実に俺の口は歪んだ。

 

そして水晶巣崖を歩き続けて2時間弱。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

俺は金色に輝く巨大な水晶の塊を見つけた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なんだ、コレ……?」

 

水晶巣崖。大小様々な水晶で形作られる大地だが明らかに異質な水晶だ。まず色だ、周りの水晶は半透明の水色をしているのに対しこの水晶は金色。

 

次に高さ、水晶巣崖には目算で10メートル以上の水晶か大量にあるがこの水晶は余裕でその倍はある。

 

そして、塊の大きさ。この水晶は他の角張った棒状の水晶ではなく丸みを帯びた巨大な水晶だ。

 

「……………」

 

俺は無意識でその水晶に吸い込まれる様に近づく。

 

コンっ

 

そして、水晶の欠片を蹴り()を鳴らして()()()()

 

次の瞬間、水晶群蠍が湧いてきた。

 

「あぁクソっ!気をつけてたっつーのに!!」

 

無意識とは言え俺は自分のミスで湧き上がってきた水晶群蠍にそう吐き捨てると兎月【満月】を構えて纏雷を発動した。

 

身体で雷光が弾け俺は水晶群蠍を迎え撃つ。飛び込んできた水晶群蠍の攻撃を躱し前へ飛び出す。水晶群蠍の鋏を兎月で弾き上のスペースを空けて跳ぶ。

 

(水晶群蠍が砕いた水晶が舞ってる。空中の足場、ありがてぇ!!)

 

大きな水晶が砕かれた事で出来た足場をスキル『グラスホッパー』を使って走り抜ける。そして、水晶から水晶へ跳ぶと俺を狙った針での攻撃を兎月で受けた。

 

「ぐっ……!!」

 

針先と杖体が接触し火花が散る。レベルの上昇に伴ってステイタスも割り振った。以前より上がった筋力のお陰で空中で水晶群蠍の針を受ける事になっても兎月を手放さなかった。

 

しかし、針の勢いまでは殺せず身体が後ろへ飛ばされる。空中で身体を操作し金色の水晶に着地した俺は水晶群蠍の背中へと飛び降りた。

 

「此処だぜ」

 

近くで俺の動きを見ていた水晶群蠍達が針を振り下ろして来る。俺はその瞬間に斜め右に跳ぶと針は俺が乗っていた水晶群蠍の身体を貫き絶命させていた。

 

そして、俺は一体の水晶群蠍の針を繋ぐ関節部に殴雷撃を叩き込む。

 

「落下の物理エンジン込みなんだ!イクだろ!!」

 

言葉通り関節部は砕け針が取れる。俺はその針を現在進行形で向かってきている水晶群蠍達に向けて蹴り飛ばした。

 

針は水晶群蠍達に直撃し顔にヒビを入れていく。しかし、そんな状態に上機嫌になる暇を与える水晶群蠍達ではない。

 

「相変わらずの物量っ!!」

 

次々と俺に向けて鋏や針で攻撃を仕掛けてくる。ギリギリでそれを躱しながら足や鋏の関節へと攻撃を仕掛けクリティカルを量産していく。

 

(クッソ危ねぇ!攻撃躱しきれたのは運だな)

 

ビィラックの新造した蒼水晶の籠手を装備して足される耐久力は800。それでも水晶群蠍相手では自力の耐久力が低すぎるのも相まって瞬殺だろう。

 

かするだけならまだしも直撃なんて以ての外だ。なのに数が多すぎる。俺は回避と攻撃を同時に行いつつ魔力の回復を待ち続けた。

 

そして

 

クリティカル発生回数205回。スキル『詠唱破棄』リキャストタイム終了。俺は再び纏雷を纏い攻撃を仕掛けた。

 

鋏の振り下ろしを躱し兎月を横薙ぎに振るう。弾かれた鋏は他の水晶群蠍にあたりその行動を阻害する。

 

その隙に水晶群蠍の体の下へと走り同士討ちの展開を作り出す。同族を自身の攻撃を破壊する水晶群蠍共の関節や頭に兎月を振るう。

 

打撃でヒビが入るのを見ながら攻撃を躱し一体の水晶群蠍の身体にスキル「表壊打ち」と「拳豪砕破」を使った右ストレートを叩き込んだ。

 

ビシッ

 

拳は水晶群蠍の体表にヒビを入れそれと同時にスキル「連撃連打」を使い兎月による連撃を叩き込む。

 

ヒビが入り弱点部位となった箇所への攻撃。クリティカルが大漁を発生し水晶群蠍の身体は後ろへと押されて行った。

 

「棘尽雷!」

 

そして、溜まったMPを全て消費して殴りまくった水晶群蠍を貫きその後ろの個体群も巻き込む形で棘尽雷を放つ。

 

身体を覆っていた雷光が消え水晶群蠍の身体を稲妻が貫く。俺の攻撃は水晶群蠍達から金色の水晶まで到達した。

 

「しっ!」

 

大ダメージで動きが鈍くなり身体中にヒビを入れた水晶群蠍に声を上げる。

 

(あと一押し!!)

 

そう思った時だった。

 

轟音と共に金色の水晶が弾け飛んだ。皮肉にも水晶群蠍がクッションとなり弾け飛んだ水晶が俺に直撃する事はなかったが俺は身体を屈めて水晶群蠍達が押し出されて行くのを見届ける事しか出来なかった。

 

そして、水晶群蠍達が消えた先で俺は見た。金色の水晶で覆われた身体、鋭利で巨大な針、水晶の地を覆う翼、無数に並んだ牙

 

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レアエネミー

金晶蠍竜(ゴールディ・スコルピオ・ドラン)

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「おい、あんまワクワクさせんなよ」

 

そして、口角を釣り上げて新たな的にそう呟いた。

 

100話記念の番外何が良い?

  • 未来の陽務家の話し(弟)
  • 過去の陽務家の話し(家族旅行)
  • 過去の陽務家の話し(兄弟喧嘩)
  • R-18開拓
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