顔を天に向ける金晶蠍竜。身体の輝きが一層際立った様に感じたその時、身体中に俺が入れたヒビが無くなった。
「回復…竜ってだけで強敵側な癖に回復能力まであんのかよ」
ゲームを初めとするあらゆる媒体で絶対的な存在として描かれる竜。
"厄介"
この一言では片付けられない状況に思わず笑ってしまった。
「回復できたのは身体のヒビだけか、取れた翼までは回復できねぇのか…単純に損壊の規模によって回復出来るかが決まってるのか?………殴って壊して確かめようかぁ!!」
回復が始まらない翼にそう叫び飛び出す。すると、金晶蠍竜は突然口を開き溜めなしでブレスを放ってきた。
「クハっ」
(早いっ!だが、溜めが無い分威力がねぇ!!)
今までよりも細く弱いブレス、纏雷のバフを最大にしている状態なら難なく回避が出来る。後方で地面に当たったブレスは水晶を砕き地肌を露出させたが更地にするまでは行かなかった。
「まぁ、そう来るわな」
しかし、希少エネミー。たった一撃で終わるはずもなくブレスの連続掃射が来た。
「しゃらくせぇ!」
俺はジグザグに走る方向を変え続け被弾を避けて行く。そして、金晶蠍竜に接近すると迫ってきていた両腕による攻撃にカウンターを決め身体への近づいた。
兎月による連撃が入りクリティカルが大量に発生する。消費した魔力が兎月の効果で回復していく。しかし、金晶蠍竜はすかさず尾により薙ぎ払いで俺を迎撃する。
ステップによる回避で攻撃を躱すが隙を狙った毒液散布が襲う。
「何度も喰らうかよっ」
俺は飛んでくる毒液にそう呟くと近くにあった水晶を蹴り飛ばし盾にした。毒液が水晶にあたり飛び散るがそれを見る間もなく俺は再び毒付き水晶を金晶蠍竜に蹴り飛ばす。
自身に飛んできた水晶を金晶蠍竜を掌で押し返す。しかし俺は見た。
「金色が濁ってるぞ!」
金晶蠍竜の金色の水晶で覆われた掌が変色していたのだ。
(毒を内包する体内は毒に強くても外は弱いのか…いや、回復があるから平気なのか)
毒による変色をダメージとした時自身の毒にダメージを貰うのは可笑しい話だが回復能力がある此奴には関係ない。
俺は押し返された水晶を殴り飛ばし再び毒の追加ダメージを狙った。
しかし、金晶蠍竜は右手で押し返された水晶を砕いてきた。水晶の破片が飛び散る中、口に輝きが見える。
「面白ぇ!」
水晶を
俺は近くにあった大水晶を壊し殴り飛ばす。今度は俺自身を隠し金晶蠍竜が捉えられないように走り出した。
放たれたブレスは俺が飛ばした大水晶ごと地面を破壊し更地へと変えたが金晶蠍竜は顔を左右に振って当たりを見回していた。
「此方だ!!」
そして、そんな金晶蠍竜の頭を俺は
鈍い大きな音が鳴り金晶蠍竜の頭が少し下へ落ちる。水晶の目眩しとブレスで造られた爆煙を利用した強襲。俺は金晶蠍竜の首筋に着地すると兎月で殴りながら移動を始めた。
「ギャァァァァァァァァァッ!」
短い咆哮と共に金晶蠍竜が身体を振るわせる。しかし、突起を掴み飛ばされるのを回避した俺は再び攻撃を始めた。
「来たかっ」
そして、尾の先が俺の方を向いたのを確認した俺はそう叫ぶ。狙っていたのはこの瞬間、水晶群蠍にもやった事。
金晶蠍竜は背中に乗った
しかし
「【
直撃の瞬間にインベントリアに入り回避する。
「背中を砕け金晶蠍竜」
誰もいない格納空間でそう呟き俺は現実空間へと戻った。
「クハっ、作戦成功だな」
そして、狙い通り大破した金晶蠍竜の身体を確認して笑った。自分の一撃の強さを自身の体で持って体験した金晶蠍竜は身体を震わせている。
しかし
「いい面してんじゃねぇか」
俺は金晶蠍竜の表情を見てそう言った。
「殺意たっぷりの顔だな」
自身に大ダメージを負わせた相手を必ず殺す。言葉を話せるのならそう言うであろう表情で俺を睨んでいる。
そして、金晶蠍竜は身体を持ち上げると顔を天に向けた。
「させるかよっ」
回復能力を使う際の行動、自身の尾で付けたダメージは恐らく回復能力の範囲外だがそれ以外は別だ。
俺は能力の行使を止めるべく動いた。
しかし
「なんだ、アレ?」
金晶蠍竜の胸に光が灯っているのを見た。そして、その光が全身へ伝播していくのも。
(回復じゃねぇ!)
そう思った瞬間、金晶蠍竜は顔を俺に向け口を開いた。そして、ブレスが放たれた。
横へ跳びブレスを回避する。しかし、今度放たれたブレスは
直撃した場所は勿論、その周囲までもが
直撃地点から生じた余波で更地になった。
そして、俺のHPも1になる。
(余波だけで『食いしばり』が発動したのか!?)
幸運値の高低で発動するかどうかが決まる
その事実に驚愕しながらも起き上がり金晶蠍竜を見る。
「クソがっ!!」
俺は思わずそう声に出した。金晶蠍竜は再び胸を発光させていたのだ。
(棘尽雷で妨害する?いや、無理だ!棘尽雷は的が大きければ良いが口をピンポイントでは狙えねぇ!!それに棘尽雷でも妨害出来るとは限らねぇ!!)
瞬間的に頭の中でそう考えた。棘尽雷は威力は大きいがピンポイントで狙えないと言う弱点がある。先の二撃の様に的が大きい場合はその限りではないが、翼よりも小さい顔を狙った場合
ウェザエモン戦の時は
(方法は1つ!!)
「【
咄嗟に魔力を消費しインベントリア内に飛んだ。現実空間では恐らく
「【
HPを全快させ覚悟を決めて現実空間へ出る。するとそこには煙が立ち込めており直前に攻撃が放たれた事がありありと解る。
「どんだけだよ……」
そして、煙が晴れ更地となった水晶の地の規模を見てそう呟いた。視線の先では金晶蠍竜が此方を見つめており口角を上げている。
笑っているようにも見えるその仕草に俺も口角を上げる。
そして
「次の
そう叫んで走り出した。
纏雷の使用からもうすぐ30分。バフの効果が切れてしまう。この
迫る攻撃を回避し、カウンターを入れながらクリティカルを発生させて近づいていく。
狙いは一点。
(あの光が灯っていた場所を確実に破壊する!!)
あの場所が光りだしてからあの攻撃が来た。来た、と言うよりも可能になった。そう考えるのが1番正しいだろう。
接近する俺に金晶蠍竜は次々と攻撃を仕掛けて来る。
ブレスの連続掃射。
両腕による多方向からの攻撃。
尾の薙ぎ払い。
毒液散布。
尾の叩きつけ。
一撃、一撃が俺にとっては必殺の一撃のなる攻撃を回避し俺は接近し跳び上がった。
しかし
「クソっ」
金晶蠍竜はいつの間にか手に握っていた水晶を俺に投げつけてきた。思わず声が出た。極一瞬だけ思考が止まったが俺はインベントリから
致命の包丁が刺さっていた事で水晶は簡単に割れ解っていた通り水晶を目隠しにした尾の攻撃が伸びてきた。
空中、予備動作のない状況、スリッピングアウェーでの回避は出来ない。
「前回が自作じゃなくて良かったぜ」
俺は静かにそう呟くとインベントリからもう1本の致命の包丁を取り出し
包丁を握った手が尾による攻撃で押し出されて刺さる。HPがみるみる減っていき金晶蠍竜は勝ちを確信した様に尾を引いた。
しかし、HPの減少は1で止まる。
敵の攻撃による
そして、宙を落ちる水晶を足場に再び跳ぶ。
俺を殺したと思っていた金晶蠍竜はまさかの自体に反応が出来ない。
そして、その隙は致命的だった。
「殴雷撃っ!!」
バフとクリティカルの発生で溜まっていたMPが消え金晶蠍竜の胸に今までの比では無い打撃が叩き込まれる。
金晶蠍竜の身体を造っている金色の水晶が砕け散り光っていた部分が明らかになる。
真っ白な丸い水晶
それを確認した刹那俺は兎月を両手で持ち
「終わりだ」
「
「『
そして、純白の水晶へ兎月【新月】を振るった。
三節棍の先端は水晶を捉え身体の奥へとめり込ませる。そして、この一撃が最後となり金晶蠍竜の身体はポリゴン塊となって消滅した。
「ははっ」
静寂に包まれた空間にSEが鳴り響く。それはレベルアップとスキルの成長、進化を告げる音。俺はそれを聞き、上がったレベルを見て笑い声を上げた。
Lv88→Lv99
今まで蓄積していた経験値も有るのだろうがそれが可愛く見えてくるレベルの成長。
「はぁ…………たっのしかったなぁ………。最高だぜ、シャングリラ・フロンティア!!」
その場に寝転び俺は思わずそう叫んだのだった。
ドロップアイテム
【|金晶蠍竜《ゴールディ・スコーピオン・ドラン】
水晶巣崖で産まれる
変態を遂げるまでに更なる食糧を求めて水晶巣崖の奥地に進み其処で繭に籠って変態を遂げる為、プレイヤーには今まで発見されていなかった。水晶群蠍の猛追から長時間逃げ切る事が出来る事、更に水晶巣崖に好んで行くような馬鹿以外戦う事は出来ない。また、変態は成功する場合と失敗する場合があり失敗した場合は天ではなく地にて性質の違う力を得る事になる。
100話記念の番外何が良い?
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未来の陽務家の話し(弟)
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過去の陽務家の話し(家族旅行)
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過去の陽務家の話し(兄弟喧嘩)
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R-18開拓