「ただいまミュウラ」
金晶蠍竜を撃破した俺はエイドルトの宿に戻ってきた。
「遅いですっ、ユウヒさん!」
「悪ぃな、ちょっとした野暮用でよ」
俺を見るなり飛び付いてきたミュウラを受け止めつつそう言いミュウラを肩に乗せる。すると、ミュウラは俺をじっと見つめ
「ユウヒさん、また強敵と戦いましたね?」
唐突にそう言ってきた。
「分かるのか?」
理由は定かじゃないが何故か分かるらしいミュウラに笑いながらそう問い返す。
「当たり前です!私はユウヒさんの相棒ですからね!今のユウヒさんからは
「ふっ、実はなとんでもねぇのと戦りあって来たんだよ」
目をキラキラさせて答えたミュウラに俺はそう言うと金晶蠍竜の撃破を伝えた。
「…………………………………………」
すると、ミュウラは口を開けて固まってしまった。
「ミュウラ?」
「……」
「おい?」
「………」
「どうした?ミュウラ??」
固まったミュウラに声をかけるが一向に動かない。眼前で手を振ってみても無反応だ。
「わっ!!!!!」
「ぴぎゃあぁぁぁぁぁあぁぁぁぁぁぁぁぁあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?!?」
何をしても無反応なミュウラに取り敢えず大声を出してみるととても良い反応が返ってきた。ミュウラは耳を抑えて涙目で俺を睨んでいるが兎がそんな行動をとっても可愛いだけだ。
「どうしたんだよ?」
ミュウラの視線を柳に風と受け流し再度問いかける。ミュウラは目に溜まった涙を拭うと拳を握って話し出した。
「金晶蠍竜はかの地を天から支配する絶対王者です!水晶の地で眠る自らの邪魔をするモンスターと古の開拓者の尽くを蹂躙したモンスター…!!それを!それを!倒すなんて凄いです!!ユウヒさん!!!!」
「お、おう…」
あまりにも力の入った力説に若干引いてしまったがミュウラの説明を聞いて納得した。確かにそう言われるだけの強さはあった。腕、尾、翼、爪、毒、ブレス、どれをとっても一撃必殺の威力のある攻撃だった。
俺が勝つことが出来たのは技術と纏雷、スキル、武器、アイテム、運等の全てを注ぎ込んだからだ。今並べたどれかが一つでも欠けたら、欠けていたら勝ちはなかった。
そのレベルの強敵だった。
(そのレベルの相手に勝てた。強くなった。今なら行ける……のか?)
頭に浮かぶのはかつて対峙した剣鬼。今なら届くかもしれないと拳を握ったが俺はその拳をすぐに開いた。
(悩んでいるウチはダメだな)
「ユウヒさん…」
すると、ミュウラが心配そうな表情を向けて声をかけてきた。
「どうした?」
「今、またヴォーパル魂が揺らめきました…。誰の事を考えているのですか?」
「!」
ミュウラのセリフに 俺は目を見開いた。まさかここまで見透かされるとは思ってもいなかった。
「……あぁ〜大道の事をちょっとな…。今ならちゃんと戦えるかもしれねぇと思ってた。でも、自分で自分を疑っちまってるから止めた」
未だ心配そうな表情をしているミュウラに笑いながらそう答える。そんな俺にミュウラは呆れたように笑うと
「仕方の無い人ですね…。金晶蠍竜を倒したというのに考えている事は別の強敵の事ですか…。流石、いいえ、其れでこそユウヒさんです…」
目を細めて息を吐くように滔々とそう言った。そして
「あの剣鬼に挑む時は私もお供します」
目を開き力強くそう言ってきた。
「勿論だ!」
そんなミュウラに俺は力強く返して一緒に宿屋を後にした。
そして、ラビッツへ戻りビィラックに金晶蠍竜のドロップアイテムを渡して絶叫されたのは別の話だ。
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「んっ……あぁ〜!!」
ビィラックに金晶蠍竜のドロップアイテムを渡し武器制作を依頼した俺は1度リアルへと戻ってきていた。
理由は1度睡眠をとる為であるのとビィラックの武器制作に少し時間がいると言われたからである。
「楽郎の武器を先に作ってるからそこそこ時間がかかるって言ってたっけか…」
金晶蠍竜相手に長い夜を過ごした弊害か欠伸が込み上げてくる。俺は体を伸ばしつつ欠伸をするとふとある事を思い出した。
「そういやぁビィラックは
俺と楽郎が魔力運用ユニットを求めたのは甦機装ウェポンの為ではなく規格外エーテルリアクターを直す為だ。ついつい武器の事で頭がいっぱいになって忘れてしまっていた。
「カッツォには俺たちに預けられたけど持ってるのは楽郎なんだよなぁ。今度聞いてみるか…」
部屋の中で軽くストレッチをしつつそう呟いた俺は部屋の電気を消してベッドに転がった。そして、そのまま押し寄せる睡魔に身を任せて眠りに着いたのだった。
「んで?どういうつもりだテメェ…?」
「大変申し訳ありませんでした!!」
数時間後(日付が変わって既に昼)、陽務家のリビングでは楽郎がソファに座る俺に美しい土下座をしていた。
その理由は
「なんで規格外エーテルリアクターが直ってること黙ってたんだよ?」
コレである。
睡眠から目覚めた俺はすぐにシャンフロにログインしサンラクへとメールバードを飛ばした。しかし、サンラクはログアウトしており俺の飛ばしたメールバードは手紙を加えて戻ってきてしまった。
「ログアウト中?扉に張り紙あったのにか?別ゲーでもやってんのか?」
手紙が届かなかった事に首を傾げた俺は一先ずSNSで連絡をしてみた。
すると
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メンタル崩壊中につきネフホロプレイ中
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コレが返ってきた。
「はぁ?なんで今更ネフホロやってんだ?」
返信された文に俺はそう呟き更に首を傾げた。ネフホロとは以前サンラクがプレイし俺も貸してもらったロボットゲームである。
正式名称を「
ランキング1位のプレイヤーと引き分けたとボヤいていた楽郎からソフトを借り受けランキング1位のプレイヤーを倒して返した。
「あれ以来彼奴もログインはしてねぇはずだよな?なんで今更…?」
考えれば考えるだけ分からないタイミングでのネフホロへの復帰。しかし、俺は再び返信された文を読んで
「あの野郎…」
その理由を察した。そして
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今すぐ戻ってこい
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この8文字を送信した。
「リュカオーンの呪いのせいでSFスーツが装備出来なくて俺より先にペンシルゴンやカッツォに遊ばれるのが我慢なりませんでしたっ」
そして、この状況である。
「だったら俺に隠す理由はねぇよな?」
「はい、仰る通りでございます」
「なんで隠した?」
「…………………」
土下座をしつつ黙り込んだ楽郎を見つめる。理由は大体わかっている。大方、自分が1番最初に
「言え」
「俺が1番最初に使いたかったからです」
理由はわかっていても言わせる。俺のセリフに閉ざしていた口を開いた楽郎に溜息を吐く。思った通り過ぎて逆に呆れる。
「ハァ………まぁいいや」
土下座を続ける楽郎に俺は再び溜息を吐いてそう言った。
「…許してくれるのか?」
言われた本人は顔を上げて「そんな馬鹿な」とでも言いそうな表情でそう言うがコレは保険なのだ。
「許す代わりにペンシルゴンとカッツォにはお前から言い訳しろよ?俺は助けないからな」
「おぉッ!
楽郎はそう言ったがあの二人が簡単に許すとは思えない。しかし、俺は再び頭を下げた楽郎に足を崩すように言い尋問を終わらせた。
「あっ、そう言えば俺、金晶蠍竜ってレアエネミー倒してレベルカンストしたんだけどお前は?」
そして、冷蔵庫へ水を取りに移動しながら楽郎にそう問いかける。すると、大きな音が鳴った。
「何やってんだよ?」
顔をのぞかせてみれば楽郎がソファから落ちており阿呆な体勢になっている。しかし、楽郎は俺のセリフを流すと
「
目を点にしてそう声を漏らした。
「あぁ」
「
「あぁ」
「
「だからそう言ってんだろ」
そして、俺にそう問いかけ続け突然立ち上がると
「なんでお前だけェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェッ!!」
家中に響く程の大声でそう叫んだ。
「るっせェな!!」
あまりの大声に耳を塞いでそう言う。しかし、楽郎は俺のセリフを気にせず俺に向かって歩き出した。
「教えろ!!何処にいる!!その金晶蠍竜とやらは何処に!?」
そして、俺の肩を掴むとそう叫んだ。
「だからうるせぇよ!」
俺は楽郎の顔に縦拳を打ち込み(軽く)そう言ってソファへと戻る。そして、遭遇から決着までの経緯を全て話しゲットしたドロップアイテム類も教えた。
「クソォ………いいなぁ!!俺も戦りあいてぇ!!」
俺の話を聞いた楽郎は顔を手で覆ってそう言い天井を仰いだ。
「強かったよ。認めたくはないが運を味方にて倒した感じだな特に最後の方」
そんな楽郎にそう言いつつ水を飲む楽郎は未だに天井を仰いだままだが俺がレベルの事を聞くと自分もカンストしたと答えた。
「マジか…追い抜いたと思ったのになぁ」
「そう簡単に行くかよ。兄より強い弟など存在しないのだよ」
「言ってて悲しくならねぇのソレ?」
「なる」
何気ない会話、始まりは
「あら?2人とも居たの?」
そして、そこに前回いつ顔を合わせたか分からない母さんが来て俺たちは束の間の日常を過ごしたのだった。
100話記念の番外何が良い?
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未来の陽務家の話し(弟)
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過去の陽務家の話し(家族旅行)
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過去の陽務家の話し(兄弟喧嘩)
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R-18開拓