楽しんで頂ければ幸いです!!
時間はウェザエモンを倒した頃まで遡る。場所はサードレマ、その宿の一室で彼女は溜息を吐いていた。
「はぁ………まさか、ね」
溜息を吐くのは元阿修羅会のNo.2であるアーサー・ペンシルゴン。普段ユウヒやサンラク、カッツォ達に見せる悪辣さを引っ込めて彼女は黄昏ていた。
理由はわかっている。
『小3の時、高校生とケンカした』
(ウェザエモン戦の後、ユウヒくんとサンラクくんから詳しく話しを聞いたせいだ…)
あの時、2人から聞いた話し、その中で出てきた男5人に絡まれた女子それは私だ。
私は昔から人よりも容姿が優れていた。いや、私だけじゃない。父も母もあの愚弟も他者と比べて優れた容姿をしていると言える。
所謂、美形家族と言うやつだ。
自惚れている訳ではない。実際、昔から色んな男の子、男子、男性に声をかけられたし告白もされたし良い思いもしたし良い出会いもした。
私と容姿で競って勝負になったのはモモちゃんくらいだ。
でも、容姿が良いと
純粋に真っ直ぐに好意を向けてくれる異性や同性がいるのと同時に悪意を向けてくる人達もいた。
(まぁ、そんな連中より私の方が綺麗だけどね)
そう言うモノに触れる度にそう思っていたし何時も
でも、あの時は違った。
『なぁなぁ良いじゃん!ちょっとお茶するくらいさぁ〜』
中学に上がってからある人と出会って始めた読者モデル。案外楽しくて続けていたらいつの間にか世間に広く知られるようになっていた。
その仕事の帰り道で私は同い年の男達に声をかけられた。
何時もは母が車で送り迎えをしてくれていたが前日に母と口喧嘩した私は気まずさから送り迎えを断ってしまった。
『暗くなると親に心配されるので』
中学から初めて数年、顔が色んな人に知られて
私はそう思い口喧嘩してしまった事を後悔した。
『高校生でしょ?そんな心配しないって!』
男達はそんな母の気持ちや私の気持ちを無視して軽薄そうな声でそう言ってくる。
『ちょっとだけでいいからさ!俺らと遊ぼうよ!』
『可愛い子とオチカヅキになりたいだけなんだよぉ』
そして、男達は私を囲むように広がると肩や手を掴んで来た。
(最悪っ!勝手に触れないでよ!)
触れられた肩や手にそう心の中で毒づきながら「やめてください」と言うが話してくれない。
(あぁ!こんな時嫌になる。モモちゃんがいないとこんなに弱いなんて!!)
そして、改めて親友がいる事への心強さと自分の不甲斐なさを実感して歯噛みした。
『おい、やめろよ』
その時だった。後ろから声が聞こえたのだ。
『あぁ?』
『ガキ?』
『ちっさ!』
『小学生じゃん』
私は男達と一緒に声のした方へ振り向き声の主を視界に捉えた。
私達に声を掛けてきたのは私よりも小さい男の子だった。男達の言うように小学生だろう。
『おーガキんちょ俺達に何の用だ?今、忙しいんだよ』
すると
『そいつ嫌がってんだろ。ダセェ上にキモイ事してんなよ。今、イラついてんだ。さっさと失せろよ』
男の子は自分より大きい男を睨んでそう言い放った。
(馬鹿っそんな事言ったらっ!!)
私は咄嗟にそう叫ぼうとした。だってそうだ、こう言う男達はプライドだけは1級品だ。それを貶されたら子供にも手を出す。
しかし、私が叫ぶ前に男の一人が走り出し子供は男に殴られた。
『あぁっ……!』
私はそう声を漏らした。絶対に怪我をした。そう思える程の音がした。
(私のせいだ)
そう思った。男の子の言い方も問題があったが私が声をかけられるより早くこのクズ共をあしらっていたらコウはならなかった。
自分の行動に後悔して私は目を閉じてしまった。
しかし
『ガッ!?』
変な声が聞こえた。
『へ?』
目を開けてみると男が腹を押さてえ倒れている。そして、殴られたはずの男の子は拳を握って立っていた。
『テメェ!』
『このクソガキ!!』
目を閉じていた私は分からなかったが男の子が男を殴ったのだろうという事は理解できた。そして、その光景をしっかりと見ていたであろう男の仲間が2人そう叫んで走り出した。
拳を握り振りかぶって自分より小さい男の子を殴ろうとしている。
『逃げてっ!』
私はそう叫んだ。
しかし
『『ガッ!!』』
私は信じられない光景を見た。
男の子は男が振り抜いた拳に合わせて身体を回すと横から腕を蹴り上げたのだ。そして、蹴られた腕は隣にいた男の顔に当たり動きを止めた。
『ぐっ!』
そして、男の子はそのまま腕を蹴った方の男の腹に拳を放った。男が痛みで膝をつく。すると、男の子は位置が下がった顔に左から拳を打ち込んだ。
『『クソガキが!!』』
そして、乱闘が始まった。あれだけ執着していた私から手を離し男達は一人の男の子へと走っていった。
男の子に殴られた2人も立ち上がり顔に仲間の腕が当たった男も顔をさすって男の子へと襲いかかった。
しかし、大の男5人が男の子一人に苦戦していた。男の子も殴られてはいるが男達の方がもっと殴られている。
私は信じられなかった。あの小さい身体の何処にそれだけの力があるのか。
『た、助けないと…』
そして、そう呟いて鞄をまさぐった。いつまでも見ている訳には行かないこのままでは男の子が大変な事になってしまう。
『うそ………』
だが、私は鞄の中を見つめてそう呟いた。何時も、入れていたはずの携帯が鞄に入っていない。
『ちゃんと持ってたのにっ』
そう呟いて私は思い出した。次の仕事の予定を言われて用意された楽屋で携帯を使ったのだ。恐らくその時に出しっぱなしにして置き忘れてしまったのだ。
『こんな時にっ!!』
私はすぐにその場から駆け出した。近くにコンビニがある。そこにある電話を使えば警察を呼べる。
(早くっ、急いで!!)
心の中でそう叫んで私は走った。そして、コンビニで電話を手に取り警察を呼んだ。
(あぁ、コレでもう大丈夫だ)
そう思った私はその場に座り込んでしまった。自分でも信じられないが今まで体験した事の無い事態に思った以上に疲れてしまっていたのだ。
そして、やっとの思いで立ち上がりあの場所に戻ると人混みと救急車が集まっていた。そして、後悔した。
(遅かった…)
人混みのせいで見えないが解る。私のせいであの男の子は酷い怪我を負ったのだ。そう思った私はその場から逃げ出した。
それからはしばらく仕事と学校生活に集中して過ごした。あの時のことを考える暇を自分に与えなかった。
そして、その時の事がきっかけで私は成長出来た。皮肉な話だが忘れようと仕事をしまくったお陰でより多くの雑誌に載るようになったし、勉強もモモちゃんに教えられてやっとだったはずなのに自分で何とか出来るようになった(国語だけはヒドかったが)。
『あの子に負けないように頑張ろう』
そして、いつの間にかそう思えるようになった。自分にとっての苦すぎる思い出を力に変えられたのだ。
そして
「まさか、再会するなんて思わないよ…」
私はあの時の男の子に再開したのだ。私以外誰もいない部屋で声に出した。そして、顔が熱くなるのを感じた。
「ずるいなぁ…」
そして、そう呟く。
『ペンシルゴンがこの作戦を実行したお陰でウェザエモンは最後に鎧越しじゃなく自分の目でセツナの墓を見れた。あの人も満足だろ。…それにセツナも写本としてじゃなく自分自身の言葉を遺せた。ペンシルゴンの中に。全部、ペンシルゴンのお陰だ』
頭の中で思い出されるこの言葉。本人的にはなんて事ない言葉なのだらうけどあの時の私にはとても大切で大事な言葉だった。
「はぁっ!私ってこんなにチョロい女だったっけ!?」
そして、胸に込み上げてきたモノを押さえつけるように胸に手を置いてそう叫んだ。今までどんな男に声をかけられても何も感じなかった。それどころか笑い話のネタにしてたくらいだ。
だからこそ今の自分の状態が自分で信じられない。
「どうしようセッちゃん………」
私は既にいなくなってしまった友達にそう呟いた。
「私…貴女みたいに出来るかな」
そして、ウェザエモンをいつまでも想い続けた彼女を思い出してそう呟く。こんな気持ちになったのは初めてだ。だからこそ手離したくない。誰かの物になんてしたくない。想像したら寒気がする。
「やってやる……」
そして、私は1人の部屋でそう言葉を漏らした。
100話記念の番外何が良い?
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未来の陽務家の話し(弟)
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R-18開拓