戦闘狂が行く理想郷   作:烏鷺

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邪魔が多くて宝石がゲットできない?なら大元を持って帰ればいいじゃない

エイドルトから奥古来魂の渓谷へ向かいその崖を登る。既に慣れ親しんだ場所となりつつある水晶巣崖へ足を踏み入れた俺は音を立てぬように慎重に歩いていた。

 

STポイントの振り分けは既に済ませ現在のステイタスはこうなっている。

 

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レベル99《extend》

 

体力 30 魔力 230

スタミナ 200

筋力 117 敏捷 200

器用 135(+50) 技量 85

耐久力 808(装備により+800) 幸運 55

 

STポイント0

 

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金晶蠍竜を倒してLv88からLv99になった時に獲得したSTポイントの殆どをDEXに振り残りはSTRに振り分けた。

 

「Lv100越えモンスターが犇めく場所ではこれでも最低限な感じだがな…」

 

強くなっても油断はしない。自分にそう言い足を進める。そして

 

「アレかっ」

 

水晶巣崖を歩き続けて俺はやっとお目当てのモノを見つけた。半透明な水晶とは見た目からして違う黒や蒼色が混ざった鉱物。

 

間違いなくこの鉱物が宝石を獲得する事のできる鉱物だろう。

 

「鉱物と一括りにするより原石と言った方が良いんだろうな…そしてその原石を砕くにはピッケルが必要になる」

 

原石を前にそう呟き俺はインベントリからピッケルを取り出した。コイツを使うのは四駆八駆の沼荒野での鉱石採取以来だ。

 

しかし

 

「ピッケルを叩きつければ()が響くんだよな〜」

 

準備は万端だが問題が一杯なのだ。ピッケルを振って原石に叩きつければ音に反応して水晶群蠍が湧いてくる。それも大量に。

 

四駆八駆の沼荒野の時よりもSTR、STMが上がっているので恐らく一回でも全力で振れば宝石をゲットできるとだろう。

 

「でも、1個ゲットしたからってなんなんだよって話なんだよなぁ…」

 

俺はピッケルを手にそう呟く。しかし、現状は変わらない。ピッケルを振って音を出さないのは不可能だし音が鳴っても水晶群蠍が出てこないなんて有り得ない。

 

「水晶群蠍に対する絶対的信頼…」

 

俺は一人で訳もなくそう呟くと覚悟を決めて思いっきりピッケルを振り上げて原石に叩きつけた。

 

水晶巣崖に音が響き渡ると同時に原石の一部が砕ける。

 

「うしっゲット!」

 

そして、俺はそれを急いで拾い上げるとインベントリにピッケルをしまい兎月(とつき)【満月】 を手に持った。

 

「来たな、蠍共」

 

そして、水晶に擬態し俺が出した音で目覚めた水晶群蠍達を睨みつける。

 

「来いっ」

 

そして、俺がそう言うと同時に水晶群蠍達は俺に突っ込んで来た。水晶を砕き俺へと直進してくる水晶群蠍達、そして先頭の1匹が鋏で攻撃してくる。

 

「『不王ノ舞(ふおうのまい)』」

 

俺はスキルを発動し初撃を躱すと詠唱破棄を使い纏雷を発動する。身体を雷が纏い雷光が弾ける。発動した瞬間に俺は走り出すと水晶群蠍の腹の下に入り込んだ。

 

何時も通りの同士討ち狙い。そしてスキル「瞳浸破欲(どうしんはよく)」を発動する。スキルの効果は20秒間の物体の透視。俺は水晶群蠍を下から見上げて以前まで見えていなかった()の様子を確認する。

 

「狙い通り」

 

そして、潜り込んだ水晶群蠍から見えた仲間ごと俺を狙う針や鋏を見て俺はそう呟く。そして、攻撃が到達するであろう場所を見極めて走る。

 

すると、今まで居た場所には水晶群蠍の針や鋏が突き刺さっておりそれを後目に俺は別の水晶群蠍の下へ潜り込んだ。

 

「『身隠れ』」

 

そして、スキルを発動する。このスキルは相手の視界から外れているのなら3秒間だけヘイトを()()事が出来る。

 

水晶群蠍の下へ潜り込み仲間ごと俺を狙っていた水晶群蠍達には言うまでもなく俺を捉えられていない。そして、完全にヘイトが消えた3秒間で1匹の水晶群蠍の下半身側へ走り抜けるとスキル「プッシュアップ」を発動し下から上へと兎月を振り上げ攻撃した。

 

スキル「プッシュアップ」の効果は下方から上方への攻撃の際のSTRの上昇。シャンフロにおけるSTRは武器をどれ程軽く扱えるかに関わっているステイタス。攻撃力ではなく()()()()に関わるステイタス。

 

シャンフロを初めて少ししてそれを知った時、俺は考えた。

 

STRが攻撃力に直結しないなら武器を振るう速度と武器の重さが攻撃力なのか、と

 

AGIは敏捷性を示すステイタス。それは決して足の速さだけでは無い。足だけではなく反射や身体の部位を動かす速さに関係してくる。

 

そして「速さ×重さ=攻撃力」がシャンフロでの物理エンジンが示す攻撃力なら纏雷とスキルでAGIとSTRを上げればどうなるのか。

 

水晶群蠍はその身体を半回転させるように跳ね上げられた。

 

「武器を軽々と高速で振ればこうなるよな!解ってるのと解ってねぇのとじゃ大違いだぜ!!」

 

俺は開けっぴろげに腹を晒した水晶群蠍にそう叫びその腹を蹴り飛ばした。元々の水晶群蠍の重量が重量なので吹っ飛びはしなかったが僅かに水晶群蠍の身体は押され仲間を巻き込んで地面に倒れた。

 

(畳み掛ける!!)

 

水晶群蠍の巨体が上から倒れ込んだ事で群れを成していた水晶群蠍はダメージを負った。都合16体いた水晶群蠍は一体は仲間の攻撃で4体は倒れ込んだ個体の下敷きになってドロップアイテムを残してポリゴン塊へと変わり果てた。

 

そして、残った水晶群蠍達も倒れ込んだ個体の鋏や尾、針等が当たりヒビが入っている。

 

「攻撃系の新スキルのお披露目だ!『強襲天誅』っ!!」

 

俺は蹴った水晶群蠍の真上に跳びスキルを発動させる。4体の水晶群蠍とぶつかった衝撃のせいで既に瀕死となった水晶群蠍に兎月を振るう。

 

確定で発生したクリティカルは水晶群蠍をポリゴン塊に変えあっという間に水晶群蠍は11匹になった。

 

「次だ」

 

セリフと共にスキル「ピンボール」を発動し空を足場に移動していく。最短距離にいた水晶群蠍のヒビが入った尾に兎月による打撃を加えていく。

 

クリティカルが大量に発生し兎月の変形ゲージが溜まっていく。そして「瞳浸破欲(どうしんはよく)」の効果が切れる直前で別個体のヒビに当たるように尾を殴り飛ばした。

 

「透視、使うポイントによるが便利だな!」

 

個体同士の接触で水晶群蠍の尾はバラバラになり針が飛ぶ。それを逃さずキャッチしてインベントリアに入れると追撃を開始する。

 

水晶群蠍達はそんな俺に針による攻撃を仕掛けるが空を足場に移動が出来る今の俺には回避は容易だった。

 

「スキル『心身壊打』『連段連打』っ!」

 

ダメージが蓄積すれば動きは鈍る。それはレベルが100を超えるモンスターも例外ではない。何も無い場所でも足場に出来る恩恵は凄まじく俺はトップスピードを維持している。

 

動きの鈍った蠍には荷が重いだろう。

 

スキル「心身壊打」の効果は5回までの打撃攻撃の確定クリティカル発生。さらに連段連打は10回までの拳又は武器での打撃によるダメージの増加。

 

威力が1番高いのは5回までだが充分すぎる。

 

俺は顔にヒビが入った水晶群蠍に兎月を振るいクリティカルを発生させ頭を砕く。そして、次に鋏を振り下ろして来た水晶群蠍の攻撃を躱しその鋏に兎月を振るった。

 

鋏は自分に向かって押され顔にあたって砕ける。ダメージとそれに伴う怯み。俺はそれを見逃さず移動すると身体を押すように殴りつけた。

 

「もうすぐ『ピンボール』の効果が切れるな!」

 

ピンボールの発動からもうすぐ30秒。効果が切れる前に俺は真反対に移動するともう一度押すように水晶群蠍を殴りつけた。

 

密集している場所での両側からの攻撃。拳による攻撃でも身体が動けば別個体に接触する。同時にとは行かなくとも接触すれば水晶群蠍の身体のヒビ(弱点部位)は増える。

 

「まさか、こんなに早く溜まるなんてな」

 

この戦いの殆どの攻撃がクリティカル。兎月【満月】の変形ゲージが満たされる。

 

「兎月【新月】」

 

真っ白な杖体が黒へと変色し形状が変わり三節棍へと変形する。

 

「ぶっ飛べ!『致命の新月(ダークムーン・ヴォーパル)』!!」

 

密集している水晶群蠍への攻撃。ヒビが入った部分へ的確に打ち込まれた兎月【新月】が水晶群蠍を砕きつつも押し込んで行く。

 

「行けぇ!!」

 

そして、押し込まれた水晶群蠍は別個体を巻き込んで吹っ飛んだ。玉突き事故の如くお互いがお互いを傷付けあいそしてポリゴン塊になって消滅した。

 

「クハっ俺の勝ちだ!!」

 

正しく完全勝利。水晶群蠍を罠に嵌めるでもなく真正面から倒した。

 

そして

 

「ん?」

 

吹っ飛んだ水晶群蠍の先()()()()()を見て俺は声を漏らした。

 

「まじか!?水晶群蠍達がぶつかったせいで原石が丸ごとぶっ壊れてやがる!…これって入んのかな?」

 

棚ぼたな事態にドキドキしながら俺はインベントリアを使用すると原石はあっさりと目の前から消え去った。

 

「マジで………?」

 

宝石を原石の塊ごとゲット。俺は気の抜けたセリフを漏らした。

 

だが

 

嬉しさに浸っている暇は無い。此処は水晶巣崖。先の戦いの音を聞きつけ俺の周りに水晶群蠍が大量に集まってきた。

 

「今は機嫌が良い。頼むから興を削ぐなよ」

 

俺は口角を釣り上げて蠍共にそう言った。

 

その後、俺が水晶群蠍の素材を大量に持ち帰りビィラックに絶叫され、宝石の原石の塊を呼び出されたアラミースに渡して絶句されたのは別の話し。

100話記念の番外何が良い?

  • 未来の陽務家の話し(弟)
  • 過去の陽務家の話し(家族旅行)
  • 過去の陽務家の話し(兄弟喧嘩)
  • R-18開拓
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