戦闘狂が行く理想郷   作:烏鷺

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初デート回終了!!

鈍い男ですが、兄同様に結構チョロいのでストレートに想いを伝えれば直ぐに堕とせます。


魔王()お出かけ・其ノ弍

奥古来魂の渓谷で歌う瘴骨魔(ハミング・リッチ)を倒しエイドルトへと到着した俺は待ち合わせ場所となっていた蛇の林檎に辿り着きその扉を開けた(ここまで来てちゃんとしたルートでエイドルトに到着しました)。

 

「やぁやぁ、ユウヒくん。待ってたよ〜」

 

来店を知らせるベルの音が鳴りそれを聞いて振り返ったペンシルゴンは普段と変わらない笑顔で手を振ってきた。

 

「遅くなったか?」

 

「全く。約束の時間より早いよ。今日は私が先に着いてただけ。『待ってた』って言うのは言いたかっただけ」

 

時間を間違えたかと思った俺が発したセリフに笑いながらペンシルゴンはそう言う。彼女のセリフにため息を吐くが此処で突っ込むと要らない墓穴を掘りそうなのでやめておく。

 

「んで?今日はなんで呼び出されたんだ?『お出かけしよう』とか書いてあったが…行先は地獄とかじゃねぇよな?」

 

俺はペンシルゴンと向かい合うように椅子を引いて座るとそう尋ねる。

 

「私の事なんだと思ってるの?失礼ってやつじゃないかなぁ??」

 

ペンシルゴンは目が全く笑っていない笑顔でそう言い返して来たが「サンラクやカッツォから話を聞いた感じそう思う」と応えると

 

「あの二人後で殺す」

 

真顔でそう呟いた。

 

「……まぁ、いいや。此処にあの馬鹿どもはいないし。それで呼び出した理由なんだけど私のクエストを手伝って欲しいんだよ」

 

馬鹿ども(サンラクとカッツォ)への殺意を滲ませていたペンシルゴンだったが表情を笑顔に戻すとウィンドウを開いてそう言ってきた。

 

「クエスト?」

 

「うん、ちょーと私だけじゃあ手が足らなくて達成が難しくてさぁ。ユウヒくんが居てくれたらなぁって」

 

彼女の開いたウィンドウを確認しながら話を聞く。ウィンドウには『いつかの姿をそのままに』と書かれており千紫万紅の樹海窟への探索がクエストの主な内容となっていた。

 

「別に難しそうなクエストじゃ無さそうだが…」

 

クエストの推奨人数は2人となっているがウェザエモン戦で騏驎相手に戦ったペンシルゴンだ、特に難しいクエストではないだろう。

 

「前までならねぇ。でも、対価の天秤からアイテムを返還してもらうのにレベルを40もマイナスされてるから少し大変なんだよ。それに、クリアする為に集めなきゃならない素材の数も多いし」

 

俺にそう応えた彼女のセリフで俺はウェザエモン戦後の報酬確認の時の話しを思い出した。確かにそんな事を言っていた気がする。

 

「それに、このクエストの報酬はセっちゃんに渡したいんだよ」

 

「!」

 

そして、続く彼女のセリフを聞いた俺は目を見開いた。

 

「ペンシルゴンまだ彼女の墓に顔だしてんのか?」

 

「うん、あれから何回か、ね…。友達だったからさ」

 

問に少し寂しそうに応えたペンシルゴンに俺は息を飲んだ。事前に聞いたり見たりした人物像とは少し違う姿だ。でも、紛れもなく彼女自身ありのままの姿でもある。

 

それに、人選が俺だった事も納得がいった。黒狼(ヴォルフ・シュバルツ)やライブラリ、SF-Zoo達との話し合いの折りキョージュに世界の真理書【墓守編】を渡してあの花園の存在が知られているとはいえ行き方などを知っているのは俺を含めた旅狼(ヴォルフ・ガング)のメンバーのみだ。

 

その為俺かサンラク、カッツォに絞られカッツォはリアルの影響で都合がつけずらくサンラクに関しては既読スルー(前科)の歴があるので消去法で俺になったのだろう。

 

「良いぜ、手伝う。時間あるしな」

 

色々と納得した俺はペンシルゴンにそう応えた。

 

「いいの?」

 

俺が断る事を警戒していたのだろう。彼女は意外そうな表情でそう言ってきた。

 

「誘っておいてそんな顔すんな。理由がはっきりして無かったら断って蠍共と戯れてた所だが、セツナやあの人(ウェザエモン)絡みなら俺も無関係じゃねぇしな」

 

「そっか……ありがとう嬉しいよ」

 

俺の答えを聞いたペンシルゴンはそう言って笑うと俺にパーティー申請を送ってきた。俺はその場で受諾し既にクエストを受注している彼女のパーティーに入る。

 

「よぉしコレで安心してクエストを進められる。じゃぁ早速行こうかユウヒくん」

 

俺のパーティーへの参加を確認したペンシルゴンはそう言って席を立つと俺が来るまでに何か頼んで消費したのだろうドリンクか食事の料金を支払って歩き出した。

 

俺もペンシルゴンの後に続いて歩き出す。目指すのは千紫万紅の樹海窟だ。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

クエスト『いつかの姿をそのままに』

推奨人数 2人

 

内容:千紫万紅の樹海窟に自生する植物『想記の華(そうきのはな)』の採集。

 

採集目標20本

 

採集した『想記の華』をサディア生花店に持ち込み『回帰の華石(かいきのかせき)』を獲得しよう。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

千紫万紅の樹海窟。以前、黄金石の墓石を加工する為の素材である『閃光結晶の花弁』と『往年の輝苔』を獲得する為に訪れたエリア。

 

俺とペンシルゴンは想記の華を探してエリアの端に来ていた。

 

「ユウヒくん、そっちあった?」

 

「いや…見つかんねぇ。少し捜索範囲広げるか?」

 

想記の華が自生しているとされている場所で中腰になって探し続けるが、探し始めて1時間だがまだ7本しか見つかっていない。クエストのクリア条件は20本の華を見つける事。一体何時間かかるのか心配になってきた。

 

「もしかしたら此処には無いのかも…。このクエスト自体は君とサンラクくんが発生させまくってる『ユニーク』とは違って普通のクエストだからね。他のプレイヤーと被ってるって可能性は十分にあるよ」

 

「じゃぁ、リスポーンするまで待つしかないか?今日以降に探すか?」

 

中腰の姿勢から上体を起こしそう言ったペンシルゴンに俺は周りを見回しながらそう返す。しかし、ペンシルゴンは首を横に振ると「今日中がいいんだ」と言ってきた。

 

「素材から『回帰の華石(かいきのかせき)』を作るのに1週間かかるんだよ。今日中に見つけないと満月の日に間に合わない…。セッちゃんはもう居ないから関係ないんだけどさ。どうしても満月の日に供えたいんだ」

 

そして、少し下を向いてそう言う。

 

「ったく。そう言われたら諦められねぇだろうがよ。さっさと見つけるぞ」

 

俺は下を向き表情が少し暗くなったペンシルゴンにデコピンをしてそう応える。そして、ありそうな場所へと移動して探し始めた。

 

『想記の華』は比較的背の低い華だ。茎が短くオマケに小さい。リアルにある植物で想像するとシロツメクサの葉、つまり四葉のクローバーが分かりやすい。

 

アレも一塊で沢山生えてても四葉になっているのは極わずかだ。想記の華も同様で似た様な形の華は大量にあるが中々見つからない(ちなみに想記の華の外見は中心が碧く9枚の白い花弁を持った華だ)。

 

華自体の背が低いので他の草木を掻き分けて探さなければならない。小さい頃にやった四葉のクローバー探しを思い出しつつ探し続ける。

 

そして

 

「おっ」

 

俺はやっと8本目の想記の華を見つけた。

 

「ペンシルゴンあったぜ」

 

「うそ、凄い!ありがとう!」

 

見つけた華をペンシルゴンの元まで持って行き彼女に手渡す。ペンシルゴンは笑顔で受け取りインベントリに収納した。

 

「じゃあ、もうちょい向こう探してくるわ」

 

俺はインベントリの一覧を見て頷いたペンシルゴンにそう言って歩き出す。

 

すると

 

「待ってユウヒくん!」

 

唐突にそう声をかけられた。

 

「ん?」

 

振り向いてそう声を出す。続きを促す声にペンシルゴンは少し考えるような仕草をすると

 

「前に言ってた話しなんだけどさ…ほらっ『昔1回だけ喧嘩した』って話し…あの話しまた聞いても良いかな?」

 

少し慌ててそう言ってきた。

 

「なんで??」

 

本当に突然すぎる話題に戸惑う。あの話しは人に聞かせられるような話しではないので話したくはない。

 

「あっ、無理に聞き出したいって訳じゃないよ?ただ、周りにはそういうの経験してる人っていないからさ。興味あるんだよね」

 

俺の表情や返答から察したのかペンシルゴンはまた慌てた様子でそう言ってきた。

 

(何か隠してやがるな…)

 

その様子からそう思わずにはいられないが悩んでしまう。

 

話したいか話したくないかでいえば話したくはない。だが、ペンシルゴンが何を隠しているのか知りたい。

 

「…………………」

 

ものすごく悩ましい。しかし、俺は視線をペンシルゴンに合わせると

 

「話すよ。何が聞きたいんだ?」

 

彼女にそう言った。

 

「ありがとう!」

 

俺の応えにペンシルゴンは見た事無いくらいの良い笑顔でそう言うと色々聞いてきた。

 

高校生たちは強かったのかとか

 

怖くなかったのかとか

 

師匠にはどんな事を言われたのかとか

 

絡まれていた子の事は覚えているのかとか

 

その子の事をどう思っているのかとか

 

二人で想記の華を並んで探しながら聞かれ俺は答えて言った。

 

「弱かったよ。威勢と格好だけは良かったけどな」

 

「全然、まぁあの時は苛立ってたから」

 

「俺はお前が人を傷つける為に教え鍛えた訳じゃないって怒られた。でも、女の子を助けたのは偉いぞって言われたな。……そう言えばなんで女子を助けたって知ってたんだ?」

 

「顔は余り覚えてねぇな。黒っぽい髪で綺麗な顔してた気がする」

 

「感謝してる。その子のお陰で俺師匠にも師匠の奥さんにも怒られずに済んだからな。それに、初心に帰る切っ掛け作ってくれたし…また会えるなら会ってみてぇよ。………まぁ、奇跡が起きないと無理だけどな。俺、その子の名前とか何一つ知らねぇし」

 

一つ一つ質問に答えつつ想記の華を探していく。すると、最後の質問に答えを聞いたペンシルゴンが急に上体を起こした。

 

「『もし会えるよ』って言われたらどうする?」

 

そして、上体を起こした彼女に視線を向けていた俺を見つめてそう言うと真剣な眼差しを向けてきた。

 

「…………もしかして」

 

ペンシルゴンのセリフにある可能性を見出した俺は上体を起こしてそう呟く。そして、ペンシルゴンは俺の呟きに頷いた。

 

俺はその頷きに笑うとペンシルゴンに近づき。

 

「その子の事知ってんのか!?」

 

そう言った。

 

「は??」

 

俺のセリフにペンシルゴンは目を点にするが俺は気づかずに話し続ける。

 

「あの子こと知ってんだよな?話の流れ的にそうだろ?仕事関係とかか?綺麗な顔してた気がするしそうだろ?」

 

「えっ、あ、いや…」

 

「じゃあ、私的な友達とかか?そう言えば制服着てたし同じくらいの歳だよな?」

 

「ちょっ」

 

「マジか、奇跡って起きるんだな〜。こんな所に知ってる人がいるなんて!」

 

「ちょっと待て!!」

 

俺はハイテンションでペンシルゴンに話していたが彼女は大声を出して俺が話すのを止めた。

 

「何故そうなる」

 

そして「訳が分からない」といった表情でそう言うと顔を手で覆った。

 

「鈍っいなぁ〜……」

 

そして、小さくそう呟く。俺は意味がわからず首を傾げるがペンシルゴンはそんな俺を見てため息を吐くと笑い。

 

「まぁいいや!」

 

と言った。何が何だかわからず俺は「何が?」と聞いたがペンシルゴンは

 

「もう大丈夫!覚悟決まったから!さぁ、今はクエストに集中しよう!」

 

と言って俺の肩を叩いた。俺は言われるがままに想記の華の捜索を初め結局日が暮れるまで想記の華を探し続けたのだった。

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

「いや〜ありがとねユウヒくん。クエストクリアだよ」

 

「いや、俺も未開拓の場所に行けたから問題ねぇよ」

 

日が暮れて夜になりエイドルトの街の街灯が灯り始めた頃、俺達はサディア生花店の店主に集めた20本の想記の華を渡す事が出来た。

 

そして、店から出た俺たちは話をしながらエイドルトの街を歩く。

 

「そう言えばユウヒくんと何時も一緒にいるあのウサギちゃん今日は居なかったね」

 

「あぁ、彼奴怖いのとかがダメなんだよ。今回はペンシルゴンが怖いって行って付いてこなかった」

 

「えぇ……私ってウサギちゃんから怖がられてるの?」

 

俺のセリフにペンシルゴンは「なんで??」と言った表情でそう言い少し残念そうなにする。

 

「まぁ気持ちは分からなくもない」

 

しかし、俺がそう言うと一転して目が全く笑っていない笑顔を作り

 

「それってどういう事かなぁ?」

 

と言ってきた。

 

「そういうとこだ」

 

笑顔で迫ってくるペンシルゴンにそう言いつつ距離をとる。なんて事ない会話だがシャンフロ内でサンラクやNPC以外でこう言う会話をするのは何気に初な気がする。

 

「なんかこういう日があっても良いな」

 

「何か言った?」

 

ふと出た呟きをペンシルゴンに聞かれていたらしく隣にいたペンシルゴンにそう尋ねられた。

 

俺は「何でもない」と返して歩き続ける。すると、俺目掛けて一羽の鳩が飛んできた。

 

「メールバード?誰から?」

 

俺の肩に止まる鳩が持っている紙を見てペンシルゴンはそう言い俺は首を傾げながらもそれを受け取り確認する。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

ユウヒくんへ

 

返事が遅くなり申し訳ない。早速なのだが、君が教えてくれた『スキルの再取得』についてだが、我々で検証した結果『可能』だと判明した。また、『再取得したスキル同士の合体も可能』と判明した。

いやはや、()()()()()()()など今まで考えもしていなかったのでとても驚いたよ。だが、君が発見してくれたお陰で検証をする事が出来た。シャンフロでは複数の同じスキルを持つことが可能なようだ。これは戦闘面ではかなりのアドバンテージを確保することのできる情報と言える。もし君が良ければこの事に気がついた状況なども含めて色々と話を聞きたい。

勿論この打診はクラン『ライブラリ』からクラン『旅狼(ヴォルフ・ガング)への打診と取ってもらって構わない。では、良い返事を待っているよ。

 

キョージュより

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

メールの中身を確認してた俺は「そう言えば」と呟いた。自分のスキル一覧の中に以前習得し特技剪定所で消費したスキルがありスキル再取得の可能性について少し前にキョージュにメールを出していたのだ。

 

「誰からのメールだったの?」

 

メールの内容が気になるのかそう尋ねて来たペンシルゴンに内容を見せる。すると、彼女は「はぁ!?」と大声を上げて天を仰いだ。

 

「なぁんで私に相談なく()()()()()()しちゃうかなぁ…」

 

「すまんすまん」

 

デカイため息を吐くペンシルゴンに謝りつつライブラリに話をしに行っても良いか尋ねてみる。すると、ペンシルゴンはニヤリと笑うと

 

「ちょっと色々考えるから待ってて」

 

そう言ってウィンクを飛ばしてきた。

 

「はいはい。悪巧みの時間ってわけね」

 

俺はペンシルゴンにそう返しつつメールのウィンドウを閉じる。

 

「交渉って言って欲しいなぁ。ユウヒくんにそんな風に言われるとお姉さん悲しくなっちゃうよ」

 

「はいはい、悪い悪い。まさかそんな繊細な心の持ち主だと思ってなかったよ」

 

「ひっどいなぁ〜泣いちゃうよ?いいの?」

 

「色んな意味で怖ぇよその脅し。マジでやめろ」

 

彼女の脅しに街中で女性に泣かれるという最悪な状況(男が100%悪く見える)を回避するためにそう言いつつなんて事ない会話をしながら歩く。すると、またメールバードが飛んできた。

 

「またか」

 

今度はなんだと思いながらメールを受け取り確認する。

 

「はぁ嘘だろ!?」

 

そして、俺はその内容を見て大声をあげた。突然の大声に他のプレイヤーが一斉に俺を見る。俺は急いで今すぐ入れる入れる店か裏路地を探し大声に困惑しているペンシルゴンの手を引いて裏路地に入った。

 

「急にどうしたの?」

 

「見ろ」

 

そして、裏路地でそう尋ねてきたペンシルゴンにそう言ってメールの内容を見せる。

 

そこには

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

ユウヒへ

 

今どこにいる?ネフホロで『深淵のクターニッド』についての情報を手に入れた。お前の力が借りたい。問題なければ数日中にフィフティシアに来てくれ。内容と経緯は後で話す。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

と書かれている。

 

「はぁ!?」

 

それを読んだペンシルゴンも俺と同じくらいの大声を上げ俺とペンシルゴンはは2人揃って顔を見合わせる事になった。

100話記念の番外何が良い?

  • 未来の陽務家の話し(弟)
  • 過去の陽務家の話し(家族旅行)
  • 過去の陽務家の話し(兄弟喧嘩)
  • R-18開拓
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