戦闘狂が行く理想郷   作:烏鷺

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黒狗、大志、熱・其ノ壱

ラプトルもどき共との戦闘後から早2時間、ペンシルゴンの案内で歩いていた俺は高く登った月を見て口を開いた。

 

「なぁ…ペンシルゴン」

 

「……………何かな?」

 

既に何を言われるのか解っているのか、ペンシルゴンは振り返らずにセリフだけで応えた。

 

「マップ上で見た時斜めに進んで正規ルートに出るって話だったが………………迷ったよな?」

 

「「「…………………………」」」

 

そんなペンシルゴンに俺はそう言う。サンラク、カッツォ、サイガ-0は俺とペンシルゴンの両方を見つつ口を閉じている。

 

3人も時間だけが過ぎて目的のルートにつかないのでそうではないかと思っていた。しかし、相手はペンシルゴン(魔王)。下手に口を出したり揶揄ったりしたらナニが起こるか分からない揶揄ってもいい時とダメな時を見極めて黙っていた。(サイガ-0はサンラクとカッツォ、ユウヒが黙っていたので空気を読んでくれていた)。

 

「………………………」

 

そして、ペンシルゴンはユウヒの問に上手く答えられないでいた。何時もならサンラクやカッツォに揶揄われる事を解った上で謝るのだが、何故がユ(・)ウ(・)ヒ(・)の(・)前(・)で(・)そ(・)れ(・)を(・)し(・)た(・)く(・)な(・)い(・)と思ってしまっていた。

 

自分でも変なプライドが思考をしていると理解している。でも、行動する事が出来ない。

 

しかし

 

「別にキレたりとかしてねぇから大丈夫だよ。ペンシルゴンが一人で決めたんじゃなくて俺たち全員が賛成して決めたんだからな」

 

ユウヒにそう言われてペンシルゴンは振り返った。

 

ペンシルゴンの視線の先にはいつも通りの表情を浮かべるユウヒがおり言葉通り怒った様子では無かった。

 

(良かった…)

 

ユウヒの表情にペンシルゴンは心の中でそう呟き自身が見ていたマップをユウヒ達に見る。

 

ペンシルゴンが持つマップはかなり詳細な情報が乗ったものでありユウヒ達が持つものは言うに及ばすビィラックが持つ地図よりも優秀な物だった。

 

しかし、地図にが移している情報と自分達が歩いて来た道に少し差異があったらしくそれが少しずつ積み上がり迷ってしまったらしい。

 

「このマップはライブラリのメンバーの方が作られたマップですね」

 

すると、俺たちと一緒にマップを覗いていたサイガ-0がそう言ってきた。

 

「プレイヤーのハンドメイドって事ですがレイ氏?」

 

「はい、ゲーム内で販売されているアイテムではなくライブラリのメンバーの方々が実際に歩いて作り上げたものです」

 

「へぇ、そんなのがあるんだ」

 

「土地の情報を集めるのもライブラリの仕事って事なのか?物好きだな」

 

全く知らなかったアイテムの存在に俺、サンラク、カッツォはそう言う。話を聞くだけならかなり便利そうだなアイテムだ。しかし、ペンシルゴンが迷っていると言うことは一長一短があるのだろう。

 

「しかしですね…」

 

そして、そんな俺の予想を肯定するようにサイガ-0がおずおずと話し出した。

 

「複数のプレイヤーの情報を出し合って作るからなのか偶に意見に差が出るようで、細かな部分で漏れが出たりする事があるんです。実際、今回の様な事は稀に、ですが起こります。ライブラリの方に報告すれば直して貰えますが…」

 

「あぁ…大多数の情報を持ち寄って作るから、情(・)報(・)を(・)集(・)め(・)た(・)プ(・)レ(・)イ(・)ヤ(・)ー(・)の(・)感(・)性(・)によって与えられる情報に差が出来るのか…」

 

「なるほどねぇ、詳しい事までわかる分普通なら探索しないような場所となるとズレるわけだ」

 

「まぁ、正規ルートから外れた時点で仕方の無い部分ではあるな。実際、これまでは普通に進めてたし」

 

サイガ-0のセリフでサンラクとカッツォも納得したのか「どっちに行く?」と言って進む方向を考え始めている。

 

「ごめんね、ユウヒくん」

 

サンラクとカッツォの話し合いにサイガ-0も混ざっている。その様子を見ていた俺にペンシルゴンが小声でそう言ってきた。

 

「良いよ。ってか、ペンシルゴンもこう言うミスするんだって解ってちょっと安心したわ」

 

「意外です」

 

俺は少し俯いているペンシルゴンにそう言って笑い肩に乗っているミュウラは少し驚いた表情でそう言った。

 

「ってか早くあの話し合いに入らねぇと俺達見当違いな場所に行くことになるかも知んねぇぞ。サンラク意外と地図に弱ぇから」

 

俺は俯くペンシルゴンにそう言いサンラク達の話し合いに加わった。ペンシルゴンも俺の後を追って話し合いに加わり俺達は5人でマップを見合って道を探し始めた。

 

しかし

 

「避けろっ!!」

 

視界の端に捉えた光(・)に俺は反射で全員にそう叫んだ。

 

「「「「ッ!!」」」」

 

俺のセリフに呼応して散開した面々、その瞬間に俺達が居た場所には魔法が着弾し地面に穴を開けた。

 

1番最初に動いた俺は魔法の光を捉えた方向を見て俺達に向けて魔法を使ったプレイヤーを確認した。思考の最初に出てきたのは「捕らえる」の4文字。スキル「詠唱破棄」の効果で最大バフ状態の纏雷を発動すると瓦礫とスキル「ピンボール」を使って最短最速で魔法使いに迫った。

 

「なっ!?」

 

一瞬で間合いを詰められた事に驚く魔法使い。それを護るように盾を構えたプレイヤーが割って入るがピンボールの効果で空中で転進した俺は更に邪魔が入るより速く魔法使いの胸ぐらを掴み地面向けてぶん投げた。

 

「ひっ」

 

そして、魔法使いの顔スレスレに湖沼の翠杖を突き刺す。最初見た時は誰だかわからなかったがじっくりと見ることが出来るようになった事で詳細がはっきりした。

 

「そのエンブレム…『SF-Zoo』か」

 

そう、俺が張り倒した魔法使いはクラン『SF-Zoo』のメンバーだった。

 

「誰の指示だ?あんたの意思か?」

 

完全に怯えてしまっている魔法使いにそう問いかける。彼女は凄い速さで首を横に振ると別人の声が響いた。

 

「その子を話してくれないかしら?ユウヒさん」

 

「……………またあんたか、一応聞くぞ『なんのつもりだ?』Animalia!」

 

聞き覚えのある声、聞くのはクラン会議の時以来だ。俺は上を見上げてそう叫ぶと視線の先にいるAnimaliaはニヤリと笑った。

 

すると

 

「だっ!?」

 

俺は突然、頭を殴られた。

 

「何す「馬鹿かお前は!俺達が止めるより速く反撃すんじゃねぇよ!」

 

俺は少し減ったHPを見ながら頭を殴ったサンラクに文句を言おうとしたが、サンラクは俺の言葉を遮るとそう怒鳴った。

 

「はぁ?何言ってんだ俺たちに向けて攻撃して来たんだぞ。やり返すに決まってんだろ」

 

「だとしても早すぎんだよ!何処の誰かも、何の目的があるかも分からねぇうちに殺(と)りに行くんじゃねぇ!」

 

俺のセリフにサンラクはそう言うと再び拳を振り下ろして来たが俺は普通に受け止めると合気道の技で投げた。

 

「お〜お見事!」

 

「今のは合気道ですよね…流石ですね」

 

「うわぁー、見事に投げられたねサンラク」

 

地面に転がったサンラクを見てペンシルゴンは笑いながら拍手しサイガ-0は関心した様子を見せカッツォはそれはもういい笑顔でそう言った。

 

「その笑顔ムカつくから止めろカッツォ!」

 

サンラクは下半身の動きで勢いよく立ち上がるとニヤニヤと笑っているカッツォにそう言う。そして、恒例のじゃれあいが始まったが俺が仕返しに頭を殴ってAnimaliaに指を指すと動きを止めた。

 

「それで?コレはどういう事かなAnimaliaさん?後ろにぞろぞろ引き連れてる見たいだけど…私達と敵対するって事で良いのかな?」

 

サンラクとカッツォのじゃれあいが終わったのを確認したペンシルゴンが満を持してAnimaliaにそう問い掛ける。彼女のセリフの通りAnimaliaの後ろには「SF-Zoo」のメンバーが勢揃いしており全員が完全武装していた。

 

それを確認した瞬間に既に翠杖を持っていた俺以外の全員が武器を構える。しかし、それを見たAnimaliaは笑うと

 

「貴方達と戦う気はないわ。今日は別の目的で此処に来たの、さっきのは挨拶がわりよ。まさか、貴方達が居るとは思わなかったから」

 

杖を俺達に向けてそう言ってきた。そしてそのセリフに俺は首を傾げた。

 

「なんの目的があってこんな迷わねぇと来れないような場所に来たんだ?」

 

俺は改めてAnimaliaにそう問い掛ける。迷(・)わ(・)な(・)け(・)れ(・)ば(・)来れない場所に完(・)全(・)装(・)備(・)の(・)メ(・)ン(・)バ(・)ー(・)全員で来た。何か重大な事がある。そう思わずにはいられなかった。

 

「私達は貴方達に兎の国『ラビッツ』への情報提供を拒否された。あの時はああ言ったけど…クランメンバー全員に話をした時に言われたのよ。私(・)達(・)も(・)貴(・)方(・)達(・)と(・)同(・)じ(・)経(・)験(・)を(・)す(・)れ(・)ば(・)ラビッツに行ける可能性があるんじゃないか、ってね」

 

「「!!」」

 

Animaliaのセリフに俺とサンラクは目を見開いた。そしてそれを見たAnimaliaは笑みを深くする。

 

「私達はシャンフロ動物園(SF-Zoo)。動物達の生態、行動パターンを限界まで調べあげる。その精度と調査力は『ライブラリ』をも凌駕する!」

 

「「「!!!!」」」

 

Animaliaのセリフに遅れてペンシルゴン達も答えに辿り着いた。俺達からユニークを出した時の情報を聞かされた者、俺達がリュカオーンと接敵したと知っている者、そして、リュカオーンに呪いを貰った者(餌と認識された者)。勘づかないはずがない。

 

「例えそれがユ(・)ニ(・)ー(・)ク(・)モ(・)ン(・)ス(・)タ(・)ー(・)夜(・)襲(・)の(・)リ(・)ュ(・)カ(・)オ(・)ー(・)ン(・)であっても!!」

 

彼女の言葉に引き付けられるように無果落耀の古城骸に散らばる巨大な瓦礫の上に『夜』が落ちてきた。

 

「クハっ、マジか!」

 

「嘘だろ…!」

 

『夜』は次第に体を成しその全貌が明らかになる。俺とサンラクはつい言葉を漏らし現れた因縁を睨み付けた。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

『ユニークモンスター』

 

『夜襲のリュカオーン』に遭遇しました。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「「また会ったなッ!『夜襲のリュカオーン』!!」」

 

俺達の2度目の黒狗との戦いが始まろうとしていた。

100話記念の番外何が良い?

  • 未来の陽務家の話し(弟)
  • 過去の陽務家の話し(家族旅行)
  • 過去の陽務家の話し(兄弟喧嘩)
  • R-18開拓
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