戦闘狂が行く理想郷   作:烏鷺

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誤字報告何時もありがとうございます!!お手数お掛けしてます!!


黒狗、大志、熱・其ノ伍

「危なかったよ……………俺達が」

 

振り向いた俺にウィンクを飛ばしたペンシルゴンにカッツォが首の後ろを触りながらそう言う。確かに偶々俺達に当たらなかったから良かったが、俺かカッツォの位置がcmズレてたら当たっていた。

 

「それは私より遥かに上等な君達の反射神経で躱してくれるでしょ」

 

カッツォの文句にペンシルゴンは悪びれる様子なくそう言う。

 

「さっきの槍なんだ?リュカオーンの動きが止まったんだけど」

 

カッツォの言いたい事は解るが俺は無視してペンシルゴンにそう尋ねる。槍が一瞬で破壊されたので本当に一瞬だったが、確かにリュカオーンの動きは停止した。今も俺達から距離をとり様子を見ているリュカオーン。その行動を選択させたきっかけを作り出したのはペンシルゴンだ。

 

「黒楔の槍(シャドウ・エッジ)って言う魔槍だよ。対象の影に突き刺す事で動きを止める事が出来るの。時間は対象の身体のサイズで変動するんだけど…リュカオーンくらい大きいと一瞬しか止められないみたいだね」

 

「ってか騏驎に使った時ってもう少し時間長くなかったっけ?」

 

俺の質問に答えたペンシルゴンにカッツォはそう言う。騏驎はウェザエモンの愛馬で俺は戦うことは無かった。当時の様子を知らないので何も言えないがペンシルゴンが「そういえば…」と呟いているのでそうなのだろう。

 

「ユニークモンスターだからなのか、リュカオーン自体に何かあるのか…情報が少なくて解らないな」

 

ペンシルゴンは悩みながらもそう言いリュカオーンを見る。確かに、ユニークモンスターは他のモンスターとは一線を画す存在だ。カッツォの疑問も「ユニークだから」の一言で片付けられそうな気がするがこのゲームは『シャングリラ・フロンティア』だ。

 

「ユニークの一言で片付けると足元すくわれるな…」

 

俺の呟きに2人は頷き魔槍と拳を構える。俺も金晶竜骨を構えると言葉(キーワード)を発した。

 

「【宿転(しゅくてん)】」

 

音声認識により蒼水晶(そうすいしょう)の籠手に蓄えられていた魔力が俺へと流れ込む。ここしばらく昼夜問わず装備し続けていただけはあり蒼水晶の籠手に蓄えられていた魔力は棘尽雷を放ったことて全損した俺のMPを全快させた。

 

しかも、まだ余裕がある。

 

(ビィラック様々だな)

 

改めてビィラック作の甦機装(リ・レガシーウェポン)の性能に感嘆しつつリキャストタイムが終了した「詠唱破棄」で纏雷を発動させた。

 

「何……その装備」

 

すると、蒼水晶の籠手が俺に魔力を流す瞬間を見ていたペンシルゴンがそう言ってきた。隣にいるカッツォも目を丸くしている。

 

「あぁ、古(・)匠(・)に(・)成(・)っ(・)た(・)ビィラックが作った装備だよ。魔力を回復させる機能がついてる」

 

俺はリュカオーンへと事前を戻しペンシルゴンとカッツォにそう答えた。

 

すると

 

「へぇ………」

 

「ふぅん……」

 

2人は何やら意味深な反応を見せた。

 

「何だよ?」

 

2人の反応が気になりそう言うがペンシルゴンは俺に「後でね」と言ってきた。凄く気になるがそうも言っていられない。話をしている俺達の意識を引っ張る様にリュカオーンから圧が放たれ緊張感が上がる。

 

そして

 

「アオォォォォォォォォォォォォォッ!!」

 

分身の遠吠えと共に本体が飛び出してきた。

 

しかし

 

「お前らどけェェェェェェェェェっ!!」

 

本体が飛び出した瞬間に響いたサンラクの声に俺達は身を引かされた。俺達の間を縫うようにサンラクはリュカオーンの前に飛び出し蒼い水晶が付いた武器を振るう。

 

「『アガートラム』!!」

 

光と衝撃が奔りリュカオーンが弾かれる。それだけで打撃の強さを物語っている。リュカオーンを殴ったサンラクはしたり顔で着地しそれと同時に入れ替わる様に影が舞った。

 

「『剣神断破』!!」

 

影の主はサイガ-0。手に持つ黒い大剣がスキルで強化され弾かれ体勢が崩れたリュカオーンに叩き込まれた。

 

「グゥっ!」

 

此処で初めてリュカオーンの呻き声が聴こえリュカオーンに確かなダメージが入った事を教えてくれた。

 

「遅せぇよ」

 

「悪い」

 

「すみません」

 

やっと合流した2人に俺はニヤリと笑いそう言いサンラクは不敵な笑みで、サイガ-0は真面目に返してきた。

 

俺がリュカオーンと戦(や)り始めてから約10分、後方で俺達を観ているミュウラも含め全ての戦力が揃った。

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

帝王は見る

 

自らに相対する小さき開拓者の一団を

 

その中の1人を睨む

 

過去、自らと雌雄を決した友(強敵)を想起し

 

帝王は嗤う

 

彼の者と比ぶべくもないか弱く

 

されど、彼の者に良く似た一撃を放った開拓者を

 

帝王は叫ぶ

 

今宵の戯れが自らの願いを叶える者を運命(さだめ)る夜になると確信して

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

「ペンシルゴン指示出せ」

 

「うん」

 

リュカオーンを前に立った俺はサンラクとサイガ-0の攻撃を喰らい体勢が崩れたリュカオーンから目を離さずにそう言った。ペンシルゴンは迷うこと無く頷くと1歩後ろに下がり指示を出す。

 

「ユウヒくんとサンラクくんは完全な前衛。何があっても中衛、後衛には下がらないで。カッツォくんも前衛、だけど状況を見て中衛、後衛にも下がって。私は後衛。ユウヒくん達みたいにリュカオーンとゴリゴリに削り合いかできる程私は強くない。だから、ミュウラちゃんと一緒にサポートに周る。………そして、サイガ-0ちゃん」

 

俺達の戦力、自身の全力、全てを分析し冷静にされど素早く指示を出すペンシルゴン。彼女は指示の最後にサイガ-0を見ると言葉を切った。

 

「はい……」

 

自分を見るペンシルゴンに少し硬い声色で応えたサイガ-0にペンシルゴンは小さく息を吐くと

 

「アナタにはフィニッシャーになってもらう。『最大火力(アタックホルダー)』の称号を得た攻撃をリュカオーン相手に決めてもらう」

 

緊張した面持ちでそう言った。

 

「……………」

 

ペンシルゴンのセリフにサイガ-0は無言になった。それはそうだ。リュカオーン(クランの目標)が目の前に居るとは言え、自分の周りに居るのは他のクランメンバー。

 

最大火力(アタックホルダー)の称号を得た攻撃は黒狼(ヴォルフ・シュバルツ)にとっては切り札も切り札。おいそれと他のクランメンバーに見せていいものではない。

 

その観点から言うと俺の『殴雷撃』と『棘尽雷』も今のところ俺しか使っているプレイヤーか居ないのであまり他のクランメンバーに見せるべき技ではない(俺の場合はそれ以上の強力な攻撃手段がないので何も言われていないだけだ)。

 

「お願い出来る………?」

 

ペンシルゴンは少し不安そうな表情でサイガ-0にそう尋ねた。すると、サイガ-0は「安心してください」と俺達全員に聞こえるように言い言葉を続けた。

 

「私は黒狼(ヴォルフ・シュバルツ)のメンバーですが、今日は『黒狼のサイガ-0』ではなく『サンラクさんのフレンドのサイガ-0』として来ています。強敵を前にサンラクさん(フレンド)の皆さんの足を引っ張る事などしません。……私は今を全力で楽しむだけです!」

 

「流石だレイ氏!」

 

「ハハッ!最大火力を取るプレイヤー…やっぱりゲーマーだね」

 

「へぇ……」

 

「ありがとうサイガ-0ちゃん」

 

サイガ-0の言葉に俺達は各々そう言い武器を構える。

 

「サイガ-0ちゃん、最大火力を出す為に必要な事は?」

 

最後の確認。俺達を睨むリュカオーンを前に全力で挑む為の確認。

 

「専用の攻撃を合計で10回当てる事と長文の詠唱が必須です。そして、詠唱終了直(・)後(・)に攻撃を当てなければなりません」

 

「なるほど…」

 

「重い条件だね」

 

サイガ-0のセリフにカッツォとペンシルゴンはそう呟くリュカオーン(アレ)を相手にその条件。成功させる難易度は計り知れない。

 

「「だからなんだっつー話」」

 

しかし、それは関係ない。

 

俺とサンラクのセリフにペンシルゴン、カッツォ、サイガ-0の視線が集まる。

 

「シャンフロ内最大火力の攻撃が見れるんだぞ?」

 

「こんなに魅力的な提案されてるのに乗らない訳ねぇよ」

 

3人の視線に応えるよう笑ってそう言う。

 

「確かに!難しくても『成功させる(やる)』それこそがゲーマーだよねぇ!」

 

カッツォも笑ってそう言いペンシルゴンもカッツォに頷いた。

 

「4人で隙を作る。だからそこを突いて準備を整えてサイガ-0ちゃん。それじゃあ………始めましょう」

 

「「「応っ!!」」」

「はいっ!!」

 

ペンシルゴンの静かな号令に俺達は力強く答えて散開した。今此処から始まるんだ。

 

俺とサンラクのリベンジマッチを含めたリュカオーンとの戦いが。

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

「待ってくださいですわ!!兎御殿で待っていて欲しいんですわぁ!!」

 

「大丈夫です!走った方が早いですから!!」

 

俺達がリュカオーンに挑み始めた頃、エムルは兎御殿を出てあるプレイヤーとエリアを爆走していた。いや、爆走するプレイヤーに必死に捕まっていた。

 

「諦めるでござる妹よ。此奴はそう言う性質(タチ)なんでござるよ」

 

兄とその兄が連れてきたプレイヤーと共に相棒であるサンラクの元へと連れてかれているのだ。

 

そして、このプレイヤーが自分の相棒であるサンラクと仲間の窮地を救う事になるのをエムルはまだ知らない。

 




ペンシルゴンの「始めましょう」の部分、滅茶苦茶綺麗な声で言ってる想定(笑)。ペンシルゴンのキャラクター性とは180°反転のレベルです。

100話記念の番外何が良い?

  • 未来の陽務家の話し(弟)
  • 過去の陽務家の話し(家族旅行)
  • 過去の陽務家の話し(兄弟喧嘩)
  • R-18開拓
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